<スポーツ雑感+ 2024/11/25>
東京地方裁判所で、東急エージェンシーと安田光夫元執行役員を被告とする東京五輪・談合疑惑の公判を傍聴した。検察による求刑、東急Aに罰金2億円、安田被告に懲役1年6月に対する最終弁論がおこなわれ結審した。東急A側は、テストイベントの計画立案段階の談合は認めたが、その後のテストイベントの実施運営、本大会の運営については談合がなかったとし、あらためて争う姿勢を示した。
東急A側は、特に、組織委との情報共有において、電通、博報堂、セレスポなど他の受注業者ほど密ではなく、競合入札業務に真摯に向き合ったことを強調した。また、安田被告が、検察の取り調べで、その内容を認めなければ、安田被告の部下を逮捕することになると「脅迫」され、やむなく捏造された調書にサイン、押印したという後悔とともに、裁判所には事件の本質をしっかりと見極めてほしいと述べたのが、印象に残った。
この件では、発注側の組織委・森元次長の懲役2年(執行猶予4年)が確定している。また、博報堂に罰金2億円、横溝被告に懲役1年6月(執行猶予3年)が言い渡されたが、博報堂は不服として控訴している。なお、セレスポには、罰金2億8千万円、鎌田被告に懲役1年10月が、電通には罰金3億円、逸見被告に懲役2年が求刑されている。セレスポは12月18日に、電通は2025年1月30日に判決が出る予定だ。
組織委・森元次長、博報堂関係の判決が、検察の求刑通りとなっていることを考えると、同じ裁判長の下、セレスポ、電通、東急A、さらにはFCC、セイムトゥーも同じ流れになるのではないか。ただ、そうだとしたら、明らかな官製談合であるにも関わらず、発注側で罪に問われているのが森元次長という一個人だけで、東京都や組織委(すでに清算してしまっているが)が対象になっていないことに大きな疑問を抱かざるをえない。引き続き、裁判の行方を注視したい。