古書は読みづらい。しかし、がっぷり四つになって読むとそれなりの満足感がある。
但し、本は我慢して読むものではないと思っているので、日頃はこの本を読もうとは思わないのだが、本の整理をしていて勉強の意味で読んだ。
深田久弥の「知と愛」である。
深田久弥はヒマラヤ研究の本や、「日本百名山」の著書として有名だが、その前に何冊かの小説が出版されている。
正直言って読みづらい。なぜなら、漢字がことごとく旧漢字なのである。
日ごろ使わないので、対照表を見ながら読み進める。
どこの古書店にもないだろう貴重な本だ。昔の本は著作権者が奥付に押印した印紙を貼り発行部数の証拠としていた。

『知と愛』は丹頂書房と、河出書房がある。

河出書房のほうは、表紙をめくると見返しに著者の手書きの題名が印刷されている。これは貴重なものと思う。こちらは『續 知と愛』と、なっているが、出版は昭和18年で、昭和21年の方には続がついていない。順番で行くと当然『知と愛』が、先に出版されているはずだ。なので手元にあるのは好評で、戦後印刷されたと思える。
戦後の辛い時代に出したというのは、それなりに売れていたのだろうが、紙質が悪くて印刷も不鮮明で旧漢字を解読するのは目眩がしそうなので、角川文庫のきれいなものを読むことにした。これは昭和26年出版である。


内容は主人公大杉伴三が小説家として出てくるところから始まる。
山の本でお馴染みなので雰囲気は全く違う。小説であるから当然だが。
帰省する場面は大聖寺が舞台だと確証した。深田久弥の生家は大聖寺なのでそう思うが、金沢に住まいしていたこともあり、どちらも城下町で、鷹匠町は金沢にもあったというので少し迷ったが、町の名士の胸像の落成式で「てんぽなもんや」というところで、これは大聖寺弁・・・。
話しの内容はともかく旧漢字を飛ばさずに読むことは辛かったが、読み終わるころには何とか読めるようになったが、残念なことに字面を追うことに一生懸命で、話の内容が飛んでしまった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます