今日は金大医で、診察の日だ。先週の予定だったのだが、怒涛の1週間だったので延ばした。病院へはいつも電車で本を読みながらのんびり行く。今日はyちゃんとランチの約束もある。
ホームでは、殆どの若者は携帯をしている。異様な光景だ。
わたしの横の若いお姉さんが化粧をし始めた。本格的につけまつげや、まつげをカールする。「電車で化粧は、やめなはれ」の歌が頭に浮かんできた。「やーめなはれ、やーめなはれ・・・・」そして、仕上げの口紅をする頃、計ったように金沢到着だった。
で、下りるときにどこからか唸り声のような声がする。二つほど後ろの席だ。誰かが急いで乗務員に知らせに行った。どうも誰かが倒れて唸っているようだ。その間、向かいの席の人は緊張の表情で固まっている。みんな遠巻きにしている状態だ。
わたしは、矢も楯もたまらず、飛んで行って白髪のおばあさんを抱えた。ううう・・と、唸るばかり「胸ですか?薬はありますか?」首をふる。背中を抱え手を握ると、しっかりと握り返してくる。「大丈夫ですよ、救急車を呼びましたから・・」と、いうと座席の上や下へと悶え苦しむとはこのこと。ひたすら抱えて、手をさする。背中をさする。ほんとはどうしていいか分からないのに、自然にほっておけなくて、自分の身内のように「おかあさん。大丈夫、大丈夫、もう少しだから・・」と、言っていると駅員が3人来て「今、救急車がきます。身内の方ですか?」と、聞かれて「いいえ。お任せしていいですか?」と、交代する。
改札を通り、東口に出たころピーポーのサイレンが聞こえてほっとした。なんで何の躊躇もなく、あのおばあさんを抱いていたのだろう。少し前の私だったら、気になりながらも遠巻きにして、フェードアウトしていたかもしれない。わたしはこんな人間だったのか。どうも、旦那の窮地をいろいろな人たちが救ってくれたので、こういう行動になったのだと思う。先週2回も救急車に乗ったので、他人ごとではなかった。何の処置ができるわけではないが、ひとりで苦しんでいる人を見ていられなかった。