夕方病院から呼ばれた。状態が悪いので福井の循環器病院へ転院することになった。夜7時30分に救急車で福井へ。今週2度目の救急車同乗。
説明が聞けたのは11時だった。血が止まったら今度は血栓ができて手術も、フィルターもできない状態だった。娘たちと一緒に聞いて冷静にしていたが、帰って風呂に入ったら、涙が止まらなかった。もうすべての時間を一緒に過ごしたい。この時をどうやって乗り越えればいいのか分からない。
いろいろなことは、平然と乗り越える自信はあったが、これだけはダメだ。大切な人との別れだけは耐えられない。娘たちは、希望を捨てないでと慰めてくれるが、いまここにいないことがすでに寂しい。
残る奇跡を信じるというのもつらい。もう5年目になる癌は自然と体に悪さをしているのだ。この状況を乗り越える力が出るだろうか。血液をじわじわ溶かす間に、血栓が心臓に入ったら突然死です。と、何回も突然死という言葉を繰り返された。言葉は心をそこへ持っていく。
どんなことがあっても越える。しかし、今まで旦那に何でも話していたので、家に帰って話し相手がいなくて寂しい。ブログでしゃべるしかない。夜中に黒ちゃんに8月の大会の出席を取り消してもらうことを連絡した。夕方に急変した旦那の状況も話した。黒ちゃんは奥さんを癌で亡くしているので、気持ちを汲んでくれる。一言一言に優しさがある。意外としぶといもんだよとも言ってくれた。
夜、持ち帰った旦那の携帯と腕時計を眺めても泣けてくる。余命宣告にも泣けてきた。いざとなると弱いのである。腕時計をはめて、お気に入りの呉服屋で買った作務衣っぽい服を抱いて寝た。しっかり朝まで寝ていた。疲れていたのかもしれない。
気持ちは八方塞の状況に絶望的な気分になる。この山は越えられるのか。