2013年発行の大沢在昌の超大作である。
タイトルはユーラシア大陸で造られたヘロインの事。
ヘロインは日本ではあまり出回っていないようだが、
1960年頃に流行ったらしい。
ゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)は、
聞いた事はあると思う。タイ、ミャンマー、カンボジアの
国境地帯にありケシが栽培されている。
もう一つは知らなかったけれど、アフガニスタン、
パキスタン、イランの国境地帯をゴールデン・クレセント
(黄金の三日月地帯)と呼ぶらしい。
ケシからアヘンが造られ、そこからモルヒネが造られ、
ヘロインが造られる。
今回の主人公は麻薬取締官の三崎。
潜入捜査の際に同僚を殺され、自身は寸前のところで、
一命をとりとめた。その昔、命を助けた若者の父親シェイが、
地下組織の大物であったために恩返しをされたのだった。
そこから三崎は行方不明(殺されたと思われて)のまま、
台湾人のシェイと運命を共にする事になる。
舞台がユーラシアと広いので・・・・
日本のヤクザと他にロシアやイタリアのマフィア、
中国の蛇頭、アメリカのCIAやDEA(麻薬取締局)等を、
巻き込みながら壮大なスケールでストーリーは展開していく。
アメリカで枯渇しているヘロインをユーラシアから、
香港、マカオ、台湾、日本、グアム・・・・
様々なルートと手段を使って輸送する。
そこに絡む国際的な組織。白虎と言う謎の人物(?)とは?
いやはや、スパイ合戦が凄い。基本的には三崎と
DEAのベリコフは信じられるとして、
CIAや中国の警察官や犯罪者たちは、
お互いの欲の為に騙し合う。
上下巻2冊共にぶ厚くて読み応えがあった。
通常、図書館の貸し出しは2週間で、
いつもは2冊ずつ借りるんだけど、
1冊で2冊分の厚みだったので延長したわ。
麻薬ビジネスは非合法だがお金になる。
いつでも、どこでも麻薬や博打や売春はなくならない。
と言う事だなぁ。