2016年の作品、タイトルはヒンディー語であるが、
2つの意味がある。1つは主人公の名前の頭文字から、
ヒロインがキアで相手役がカビール。もう一つは、
ヒンディー語の単語には女性名詞と男性名詞があり、
女性名詞の場合は前置詞に「キ」、
男性名詞の場合は「カ」が付く。
で日本語のタイトルが「彼女と彼」となっているのだ。
私は観る映画を選ぶ時にキャスティングで選ぶことが多いので、
この映画はインドでは観ていなかった。大筋は知っていたが、
今回は日本語字幕で新鮮な気持ちで見た。
<ストーリー>
バリバリのキャリアウーマンのキアは、
飛行機の中でメソメソと泣いている男と隣合わせる。
その男カビールは死んだ母親を思い出していたのだった。
(補足:インド人の男性はほぼマザコンである。)
デリーに付いたキアとカビールは飲みながら、
お互いの事を語り合う。驚く事にカビールは、
大企業の御曹司でビジネスの才能はあるにもかかわらず、
家業を継ぐことやビジネスには一切の関心がなかった。
社長である父親より専業主婦として家を守った母親を尊敬し、
主婦業をアーティストと語り専業主夫になりたかった。
女子力ゼロのキアと主夫になりたいカビールは結婚する。
キアはマーケティング部門でバリバリと働き、
カビールは家事を完璧にこなし同居するキアの母親の
面倒までみる。
ただこのような二人の役割分担は世間には理解されなかった。
(補足:ただでさえインドは男尊女卑であり、
男性は外で働き収入を得て、女性は家から出ない。
と言う考え方が主流である。最近の都市部では
外で働き収入を得る女性も増えている。)
ある日、家主が家を売るため3人に出て行くよう告げる。
引っ越したくない2人は家を買う事を決意し、
資金稼ぎの為にカビールは近所の主婦相手にアルバイトをする。
人気者のカビールは瞬く間に資金を溜める。
そしてそんな二人の逆転関係が取材対象となり始め、
カビールはTVや雑誌などのメディアに出始める。
自分がいつも主役だったキアはカビールに嫉妬し、
その事から二人の関係がギクシャクし始める。
キアがニューヨーク出張に行った際、キアの母親が倒れ、
その時にムンバイに行って不在だったカビールをキアは責める。
主夫で裏方だったカビールが表立って活躍するのは、
最初から自分が上りつめるための策略だったのだと。
そこまで言われたカビールは黙って家を出る。
入院している母親に諭されたキアはカビールを追う。
最後は元のさやに戻ってめでたし、めでたしである。