大沢在昌の1993年の作品で、異色のシリーズ。
主人公は刑事でもなく、麻薬取締官でもなく、
探偵でもなく、スパイでもなく、トーシロ(素人)である。
27歳の坂田勇吉はササヤ食品と言う
ポテトチップスなどの会社のサラリーマンである。
日本一運の悪いフツーの男が事件に巻き込まれて行く。
タイトルも変わっている。
大沢作品は漢字二文字とか三文字とか四文字とかが多い。
このような長い文章のタイトルは珍しい。
走らなあかんである。大阪弁である。
坂田は東京生まれの東京育ち(文京区)で、
ササヤ食品も東京の会社であり、
しかも彼は大阪へは行った事がなかった。
ある日、坂田は新商品の売り込みで大阪出張へ行く。
祖父が将棋好きだったため勇吉と言う名前になったので、
坂田は坂田三吉を知るために将棋会館へ向かう。
そこでちょっと目を離したすきに、
新製品の企画書入りのアタッシュケースを盗まれてしまう。
そこから・・・・アタッシュケースを取り戻すために、
坂田は走らなあかん、夜明けまで・・・
と言う事になってしまうのだった。
途中で真弓と言うヤンママでホステスで、
困っている人を放っておけない女性が現れて、
大阪を知らない坂田を助けてくれる。
あとはヤクザ者やいい味を出している大阪人たちが、
いい意味でも悪い意味でも絡んでくる。
実際の所、夜明けまで走っている感じでもないけど。
ヤクザにボコボコにされてしまうのがかわいそうだった。
1996年に映画化されているんだね。
萩原聖人が坂田勇吉で、大阪で助けてくれる真弓が
大塚寧々と言うキャスティング。