2014/05/28 8:57:08
現在ODA大綱の見直しの議論が進んでいます。
11年ぶりの見直しですが、ちょっと心配です。
外務省の有識者懇談会の議事録を見ていると、
従来のODA大綱に比べて「国益」の定義が、
かなり狭くて短絡的になりそうな気配です。
現行ODA大綱は、国際社会の信頼を得るため
国力にふさわしい責任を果たすといった点が、
前面に出ており、利他的で格調高いものです。
見直しの議論では、自国の国益追求が前面に出て、
「国際社会における責任」といった色合いは薄く、
これまでの日本のODAの評価を下げかねません。
日本企業の海外進出や資源確保という側面が、
ODAの中でも重視される傾向が見られます。
自国の国益を露骨に追及する姿勢が見えます。
どの国でも自国の国益を考えるのは当然ですが、
それを露骨に政策文書に書き込むのは愚かです。
人間関係と外交は、似ていると思います。
露骨に損得勘定だけですり寄ってくる人とは、
あまり良い人間関係は築けないと思います。
自分のことよりも、相手のことを思いやり、
真摯に助けてくれる人に好感を持つのが、
人情というものだと思います。
そういう真摯で誠実な人とは、一緒にいて楽しく、
ビジネスもうまく行きそうな気がすると思います。
好感度をアップさせるのもODAの役割です。
露骨に資源や市場の確保という銭金目当てだと、
あまり良い感情を持たれないのは明らかです。
*ご参考:2013年9月3日付ブログ「外務省の外交オンチ」
http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-9b63.html
露骨に自国の利益を追求する援助と言えば、
これまでは中国が世界的に有名でした。
ODA業界での中国の悪名は有名です。
日本も同じ道を歩もうとしているのでしょうか。
日本のODAの中国化が、進みそうな気配です。
中国の援助は技術者から労働者まで自国民を使い、
資金を融資して、資源を確保し、市場を開拓して、/
結果的に相手国の国民感情を悪化させました。
中国政府は、国会議事堂とか、スポーツ会場とか、
庶民の利益にはならないけれど、独裁者に好まれ、
派手で目立つ援助を好む傾向にあります。
しかし、そういう援助は政権交代が起きた後には、
ときには恨みをかう原因にもなっています。
目先の利益だけを追求して「存在感」は増しても、
逆に「好感度」は下がるケースも多いです。
また、独裁政権への軍事援助はリスクがあります。
政権交代(民主化)すると、軍事援助の供与国は、
当該国に嫌われ、恨まれてしまいます。
日本のODAが目指すべきは、中国との差別化です。
中国政府は逆立ちしても、民主化支援はできません。
中国の援助は、貧困層や少数民族への配慮は少なく、
非民主的なやり方を取る場合が多いでしょう。
日本のODAは「中国化」を目指すのではなくて、
「中国との差別化」を目指すべきだと思います。
引用元http://yamauchi-koich.cocolog-nifty.com/blog/