世耕経産大臣の「強い懸念を伝えた」は本当か?
トランプ大統領の輸入規制宣言に対し、中国やEUの反発が強まっている。
その勢いに押されたのか、シンガポールに外遊中の世耕経済産業大臣が3月3日、ロス米商務長官に電話して、「日本の強い懸念を伝えた」と記者団の明らかにしたと言う。
この世耕大臣の発言を、シンガポール発共同が伝え、きのう3月4日の毎日などが小さく報じた。
しかし、この世耕大臣の発言は本当なのか?
これまでの安倍政権の対応は、日米同盟の日本が米国の安全保障を脅かすはずがない、という一方的な思い込みであり、安倍・トランプの強固な日米同盟関係のよしみで日本には配慮して欲しい、という一方的な懇願だった。
ところが、中国やEUは毅然とトランプの不合理な輸入規制に筋を通している。
その勢いに押されて、安倍政権も、抗議した振りをせざるを得なくなったのだ。
しかし、世耕大臣が言う、ロス米商務長官に「日本の強い懸念を伝えた」
というのは本当だろうか。
「強い懸念を伝えた」とは、具体的にどういう表現で、何を伝えたのか。
何よりも、その時、ロス商務長官は何と世耕大臣に答えたのか。
何しろ、トランプ大統領はEUの対抗措置に対して、そんな事をすれば鉄鋼・アルミだけでなくEUからの輸入車にも高関税をかけると言い返す強硬ぶりだ。
ロス商務長官は、輸入規制によって米国が受けるマイナスは取るに足らない小さなものだ、と米テレビで語るほどトランプ大統領に忠実だ。
世耕大臣の「強い懸念」など、一蹴されたに違いない。
世耕大臣は、誰も電話会談の中身を知らない事をいいことに、ウソをついているのではないのか。
メディアは世耕大臣の記者会見の発言について調査報道して、国民に本当のことを知らせなければいけない。
因みに、河野外相は3月16日ー18日に訪米し、北朝鮮への圧力強化についてティラーソン国務長官、マティス国防長官と話し合うらしい。
その時、河野大臣は、北朝鮮の事だけでなく、日本に対する輸入規制について抗議しなければ日本の外相として失格だ。
メディアは、訪米を控えた河野外相に対し、輸入規制についても話すだろうなと念を押さなければいけない。
ウソばかりつく安倍政権に対するメディアの仕事は山ほどある(了)