子の返還拒否を「違法」とした最高裁判決は第二の砂川判決だ
2013年に政府がハーグ条約締結を決めた時、私は、これもまたあらたな対米従属のなせるわざではないかと書いた。
米国の執拗な圧力に屈し、外務省主導でハーグ条約の締結を急いだと思ったからだ。
しかし、そのような指摘をする者は当時メディアでは皆無だった。
それから4年ほどたち、このハーグ条約は当初の期待通りの効果は出ていない。
連れて帰った母親が抵抗し、多くの場合返還が困難なまま、司法もそれ以上の強制はできなかったからだ。
無理もない。
日本では、親権をどちらの親が持つかは家裁が中心になって当事者同士の話し合いに委ねられ、法律がそれを強制するという文化がないからだ。
ところがついにきのう3月15日、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は、母親による拘束は「違法な拘束に当たる」として、在米の父親の返還要求を退けた一審の判決を破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻す判断を下した。
私はこの最高裁の判決を見て、これは第二の砂川判決ではないかと思った。
米国の意向を忖度して、在日米軍は憲法9条違反だと判断した東京地裁の一審(伊達判決)を誤りだとして差し戻した、あの田中耕太郎最高裁長官が下した砂川判決の事である。
しかし、今度もまた、この最高裁判決が米国に配慮したものだと書いた記事は皆無だ。
それとも、この最高裁の判決は対米配慮とは無関係だというのだろうか。
私が考え過ぎであるというのだろうか。
メディアは本当の事を国民に説明しなければいけないと思う(了)