広島県連(宏池会)の意地<本澤二郎の「日本の風景」(4227)

<「県民も国民も納得していない」と岸田首相に直訴>

安倍晋三自民党総裁(当時)の指示で、前回の参院選直前に送金した違法な血税資金の1・5億円使途について、自民党本部は先の総裁選のどさくさに紛れて、河井の東京地検特捜部への大嘘の申告報告会見で逃げた。納得しない河井の地元・自民党広島県連が怒りの真相究明を、官邸で岸田首相に直訴した。これが総選挙の帰趨を決定することかもしれないだけに、波紋は拡大する一方である。

 

 「機関紙代6400万円」などありえない説明に「このままでは広島は焼野原。広島県連や国民も納得していない」という官邸直訴に、これの詳しい事情を知る新首相は「渡りに船」よろしく、対応する姿勢を見せた。安倍の意向を受けて「説明不要」の党本部の逃走作戦で、早くも官邸と党本部に亀裂が入った格好だ。甘利にすがりつく安倍の心臓は、再び高鳴っている!

 

 県連と官邸の阿吽の呼吸?に、下野した前幹事長の二階もにやついているという。甘利自身も、大臣室でカネをもらうという途方もない事件当事者・傷物幹事長だけに打つ手がない。1・5億円事件に蓋をすると、世論が激高して目前の総選挙にも影響する。ただでさえい支持率低迷の政権は、大敗してお陀仏かも。広島県連の意地は、自民党の総意としての重みがある。岸田も逃げられない。

 

<宏池会の総意を官邸に叩きつけた巻き返し作戦の行方>

 被爆地・広島県とおとなり長州・山口県は、敗戦後しばらくして、政争に巻き込まれる。双方の領袖が政敵関係となって、攻防を繰り返してきた。A級戦犯容疑の岸信介の山口県と、吉田茂の保守本流を継承した池田勇人の広島県

の激突である。

 

 河井事件を仕掛けた安倍の先手に、一敗地にまみれた岸田・宏池会だったが、今は次期宏池会リーダーの林芳正が、いずれ山口県を牛耳ることになると見られている。反安倍の河野太郎の総裁選出馬が、岸田の出番を作ったものだ。攻守所を変えての一番に、大義は岸田にある。

 

 林検察は、岸田の判断で大きく踏み出す可能性もある。心臓が震え上がる場面である。安倍を取るか、それとも世論か。岸田の聞く耳は、後者しかない。安倍の叫びは、もはや犬の遠吠えでしかない。どう展開するか。

 

<巧妙な宏池会戦略に安倍晋三の心臓はまたドキドキ!>

 改めて、政界一寸先は闇であると感じる。自民党広島県連と新しい主の官邸の連携という、巧妙な作戦を甘利も安倍も見逃してしまっていた。

 

 地元のブロック紙・中国新聞は、割合公正な報道で知られている。極右に対して冷ややかなのだ。1・5億円事件をかすめた公明党創価学会も、安倍の腰ぎんちゃく・太田ショウコウもいない。落選を前提とした今回の斎藤入閣という。安倍退治は、大歓迎という元清潔の党というのだが。

 

 岸・安倍VS池田・岸田の今回は、後者のソフト戦略が功を奏するのか否か、国民は格別の注目をしている。安倍の実弟・岸信夫を、安倍の要求で内閣に残すことで、安倍を油断させたものか、しかし、岸田にとっても、台湾有事にかこつけての防衛相の暴走監視も懸念材料だろう。

 

<岸田の聞く耳に世論も注目>

 甘利・安倍を抑え込めるか?妥協すれば、選挙に大影響するという、現在はきわどい政治情勢である。

 国民を納得させる処理をして、過半数維持となるのか?目前の参院静岡補選を見ると、未だに野党は分裂している。岸田月末のの投開票という、いわば奇襲作戦は、逃げの選挙管理内閣レベルであろうが、これまた野党攻略作戦でもある。与野党共に現時点での展望は明るくない。

 

 しかも、コロナ禍の総選挙は、経験のない未知の選挙だ。投開票に安倍の「ムサシ」を起用するのか?依然として不透明感が漂っている。所信表明演説と代表質問での岸田・聞く耳発言が注視される理由である。 

2021年10月7日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)

 

TBSおととしの参議院選挙での買収事件をめぐり、自民党から河井案里氏側に支給された1億5000万円について、きょう、広島県連の幹部が岸田総理と面会し、再調査と再発防止を求めました。 自民党・広島県連 中本隆志 会長代理  「まだ今のやり方では広島県民、また国民の皆さんは納得してませんよということも、お伝えをいたしました」  おととしの参院選の買収事件をめぐり、河井氏の陣営に支給された1億5000万円について、自民党は先月、「買収事件の原資ではなかった」と結論づけ、甘利幹事長は再調査しない考えを明らかにしています。  広島県連の中本会長代理は、きょう、岸田総理と面会し、「このままでは広島県民や国民は納得しない」として、この選挙資金についての再調査と再発防止を岸田総理に求めました。これに対して、岸田総理は「十分確認をした上で必要であればしっかりと説明をする」と応じたということです。(0513:30

岸田内閣には「政治とカネ」疑惑大臣が9人も! 今後も不祥事続出の予感<リスト付き>(日刊ゲンダイ) 赤かぶ (asyura2.com)