Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2025年3月のプレイリスト

2025-03-31 | 今日のBGM



◆2025年3月のプレイリスト
2025年3月に聴いていた愛すべき31曲

1 Like A Rolling Stone(Timothée Chalamet)
映画「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」鑑賞。声色も歌もボブ・ディランなりきりで素晴らしい。
2 Tombstone Blues(Sheryl Crow)
映画の余韻でディラン楽曲を聴く。クラプトンなど豪華なメンバー参加のライブ盤。
3 LONELY MAN(佐藤竹善)
SHOUGUNのカバー。
4 GLORIA(高橋真梨子)
上手い人は何を歌っても上手い。
5 Mistral(The Square)
ホーンセクション🎺もカッコいい。元金管楽器吹きはついつい反応してしまう。
6 Sweet Vibration(CRAZY KEN BAND)
こちらもホーンセクション🎺のアレンジが好き。トロンボーンのソロかっちょいい。
7 Magic Hour Melodies(NEIL AND IRAIZA)
ユニット名の由来はもちろん「キャンディキャンディ」なのだ。
8 Raven(The Alan Parsons Project)
1stアルバム「怪奇と幻想の物語 エドガー・アラン・ポーの世界」より。
9 The Circle Game(Buffy Sainte-Marie)
映画「いちご白書」鑑賞。
10 Something In The Air(革命ロック)(Thunderclap Newman)
「いちご白書」でも印象的な使われ方をしていた。

11 The House of The Rising Sun(朝日のあたる家)(Joan Baez)
「名もなき者」を観てちゃんと聴いてみたくなりまして。
12 The First Cut Is The Deepest(Rod Stewart)
Sheryl Crowのカバーも好き。
13 マイバックページ(真心ブラザーズ)
ボブ・ディランの日本語カバー。
あの頃の僕より今の方がずっと若いさ♪
14 Most of The Time(Sophie Zelmani)
映画「ボブ・ディランの頭のなか」鑑賞。使用されたカバー曲の一つ。
15 Dixie(Bob Dylan)
同映画でディランが演奏する。調べてみるといわくつきの歴史がある曲なんすね🤔
16 I Am A Rock(Paul Simon)
アルバム「Song Book」ちゃんと聴いたのは初めてかも。この粗いアレンジ好き。
17 My Cherie Amour(Stevie Wonder)
名曲。この曲をぞんざいに扱ったある映画が大嫌い💢
18 女王様物語(女王様)
じーてんしゃ♪じーてんしゃ♪
ぼく乗りたいなぼくの じーてんしゃ♪
19 恋は、ご多忙申し上げます(原由子)
ソロアルバム2枚目「Miss YOKOHAMADULT」は愛聴盤なのです。
20 Always(Bon Jovi)
歌いたいー♪

21 Relight My Fire(Dan Hartman)
ダンスミュージックが出てくるとストレスが溜まった証である🕺
22 拍動(水樹奈々)
いろんな要素の詰まった意欲作。歌いこなせるのはすごいけど、もっと王道の奈々さまが聴きたい今日この頃。
23 Only My Railgun(中川翔子)
「歌ってみた」動画よりfripsideの名曲カバー。
24 三つ数えろ(甲斐バンド)
ハードワークの帰り道にふと聴きたくなるのは、出だしの歌詞のせいw
25 I Will Follow You(Night Ranger)
来日公演ですとっ!🤩でも九州までくる外タレいないんよね。
26 Stick to Fun Tonight〜ダンシングヒーロー(斉藤和義)
僕も参戦した2018年のライブ盤より。ダンシングヒーロー踊っちゃったよー!😆
27 Waiting On A Wish(夢に見る)(Rachel Anne Zegler)
何かと話題の「白雪姫」鑑賞。ミュージカル全振りはいい。でもオリジナルの世界観は守って欲しかった⤵️
28 風のタイムマシンに乗って(サザンオールスターズ)
新作アルバムでお気に入りの一曲。このキーボードのアレンジは弾きたくなるっ🎹
29 Knockin' On Heaven's Door(天国の扉)(Bob Dylan)
ディランが音楽担当兼出演したビリー・ザ・キッド映画鑑賞。目立つ使われ方ではなくても心に残るのは名曲の証。
30 Blaze Of Glory(Jon Bon Jovi)
ビリー・ザ・キッドの最期というと僕ら世代は「ヤングガン2」。主題歌は最高にカッコいい。

31 会いに行くのに(あいみょん)
もう4月またひとつ息を吐く






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白雪姫

2025-03-29 | 映画(さ行)


◼️「白雪姫/Snow White」(2025年・アメリカ)

監督=マーク・ウェブ
主演=レイチェル・レグラー ガル・ガドット アンドリュー・バーナップ

グリム童話の白雪姫は一般に知られている白雪姫のストーリーよりもずっと怖いものだと言われる。心も美しい白雪姫を妬んだ継母が魔手を伸ばす。そして白馬の王子様が彼女を救う。このストーリーをスタンダードとして定着させたのは、言うまでもなく1937年のディズニーアニメ版だ。

その実写版として製作された本作。ポリコレ配慮のキャスティング、主演女優のオリジナルをディスるような発言が世間を騒がせている。何に感動して育ったかは人それぞれだから仕方ないかもしれないけどねぇ。完成した作品にも批判的な意見、感想を多々見かける。世間が望む白雪姫のイメージとはかけ離れている、ということなんだろう。

近頃のディズニー作品を敬遠していたのだが、本作についてはあんまり世間が騒ぐから逆に興味が出てきた。監督は大好きな「(500)日のサマー」のマーク・ウェブだし。グレタ・ガーウィグが脚本…あれ?クレジットされてないやん🫤?

思いっきりミュージカルにシフトした演出のアレンジはなかなか。映画冒頭から舞台となる国とヒロインの両親の考え方、これまでの状況を歌で示す演出は、簡潔だけどしっかり観客に伝わる。この手際の良さは上手い。

そんな冒頭の好印象は先に進めば進むほど「あれ?」という空気に変わっていく。"吹雪の夜に生まれたから白雪姫"というナレーションに、まず唖然😮。この国が豊かであるのは、ダイヤモンドが採掘されているから。常春の国マリネラかよ(例えが悪いw)。冒頭の楽曲でも小人たちの鉱山での仕事でもギラギラした宝石たちが輝いている。庶民の豊かさの象徴までもが宝石で示されているように見える。分かち合う心が素敵な愛のある場所、みたいな歌が流れるのにそれでいいのかな。

白雪姫を森に連れて行って殺せとの命を受けた狩人。それまで質素な服装だった白雪姫が突然お馴染みの配色のドレスで登場する。作業の邪魔でしょ、それ。でもこの服装でないと白雪姫のお話にならない。CGで作られた動物たちの緻密さはすごいなと思うけど、7人の小人は妙に生々しくてちょっと怖い印象すらある。毒りんごを口にするまでの流れも、「食べると願いが叶う」ではなく「腹ごしらえをしな」だもの。そのりんごである必然性がないではないか。

そして白馬の王子様は登場しない。だから名曲「いつか王子様が」は流れない😩。これがいちばん残念。老婆が現れる場面の直前に、白雪姫が一瞬ハミングしてるようにも聴こえたが、エンドクレジットに曲名が出てないから僕の聴き間違いだろう。今の時代に、王子様を待つ受け身のヒロインは観客にウケないってことなのだろうか。姫が幸せになるという結末ではなく、王国を取り戻すために女王に立ち向かうのがクライマックス。

人の名前を覚えておくことは大切なことだな、という教訓は素晴らしいと思った。そこは大きな学び。うん。

自分を取り戻す物語が現代風だと言われればそれまでだけど、それは多くの観客が期待した白雪姫なんだろうか。そこは大きく異なっているように思えた。シアターを後にして、グッズ売り場を見渡す。白雪姫関連のグッズは、本作の肌の色をしたものはほんのわずか。並んでいるのは従来の色白でふっくらしたお顔の白雪姫がデザインされたグッズばかり。ほーらね。これも世間が求めるものとの違いがハッキリ出ている結果では。

改めてポスターを見る。コピーはこうだ。
"ディズニーの「白雪姫」から生まれた
 最高のファンタジー・ミュージカル"
そうか。ディズニーの「白雪姫」とは別物です、って宣言してるのだ。
じゃあ仕方ないのかなw🤨



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フィデリテ 女写真家ソフィー

2025-03-27 | 映画(は行)


◼️「フィデリテ 女写真家ソフィー/La Fidélité」(2000年・フランス)

監督=アンジェイ・ズラウスキー
主演=ソフィー・マルソー パスカル・グレゴリー ギョーム・カネ

アンジェイ・ズラウスキーとソフィーが組んだ最後の作品で、日本は劇場未公開。「女写真家ソフィー」のタイトルでDVDがリリースされている。2025年「不倫 美しき妻の告白」のタイトルで配信が始まった。ソフィー・マルソーファンの私だが、ソフィーを主役に据えたズラウスキー監督作に気に入った映画がない。本作はDVD買ってまで観るか?と敬遠していたので、今回の配信はありがたい。

本作はフランス文学の古典「クレーヴの奥方」の翻案。17世紀に書かれた原作は、貴族階級男女の三角関係ドラマで、これまでも様々に趣きを変えて映像化されている。フランスでは古くさいものの例えとして「クレーヴの奥方」が出されるのか、政治的な発言で引用されたこともある。当時それに対するアンサーとして製作されたのが、現代の学生を主役に改変したレア・セドゥ主演作「美しいひと」。時代を越える普遍的なテーマであることを訴えたかったのだ。アンジェイ・ズラウスキーは現代の出版業界を舞台にして、写真家のヒロインとその歳上の夫、彼女に惹かれる同僚カメラマンの三角関係のドラマに仕上げた。

では本作が文芸作品の映画化らしい"品がある"映画かと言われたらさにあらず。そこはズラウスキー作品らしく、突然誰かが叫び、疾走し、服を脱ぎ、男女が絡みあい、殴り合い、銃撃戦が起こる。複雑な登場人物の構成が、乱れた相関関係でさらにややこしくなり、劇中撮影された写真はやたら陰部を映すからボカシだらけ。しばしば不快にさせられる。

それでも160分強を飽きずに乗り切ることができるのは、原作のストーリー軸がしっかりしてるから。臓器売買やスキャンダル報道の不穏な空気をまとっても、話が破綻せずにちゃんと進行している。そして、これまでのズラウスキー作品ではニコリともしない役が多かったソフィーが、いろんな表情を見せてくれるからだ。

ヒロインのクレリアは、年下の同僚カメラマン、ネモに惹かれながらも自ら夫を裏切る行為はしていない。それを夫に疑われ続けるのは「クレーヴの奥方」通り(ちょっと疑問ではあるが)。しかし夫を心配させる行動をとってるのは確かだし、ネモへの好意はしっかりアピールしている。ネモと2人でスカッシュする場面、胸の汗を拭いたタオルをネモの前に残していく場面なんて、そりゃドキドキさせちゃうよね。

クレリアとネモが写真家としての感性が近いことを作品を示して映画は終わる。男女として惹かれると同時に、表現者として共鳴していたのだ。ズラウスキー作品にしては意外と素直に観ることができる映画でございました。


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デュオ 1/2のピアニスト

2025-03-25 | 映画(た行)


◼️「デュオ 1/2のピアニスト/Prodigieuses」(2024年・フランス)

監督=フレデリック・ポティエ バランタン・ポティエ
主演=カミーユ・ラザ メラニー・ロベール フランク・デュボスク イザベル・カレ

エール!」、そのリメイク「コーダ あいのうた」、「ふたりのマエストロ」と、ここ数年好感を持った音楽ものを手がけたプロデューサー、フィリップ・ルスレ。その新作と聴いて初日に映画館へ向かった。今回は、幼い頃からピアノに打ち込んできた双子の姉妹が演奏に大きな障害と向き合う姿を描いた作品と紹介されている。

今回僕はフランス映画の音楽ものという情報だけでこの映画をセレクトした。つまり姉妹が立ち向かう障害とやらが何なのか知らないままだったのだ。それだけに映画館の暗闇で彼女たちに告げられることの重大さに驚いた。どうなるんだ。彼女たちに突きつけられた事実はあまりに重い。

映画前半でいつも一緒で支え合ってきた二人が、音楽大学で「冴えないコピーならいらない」とクラスを分けられ、名誉あるソリストには姉が選ばれる。「1位しか意味はない」と過剰な期待を押し付けてきた父親、その陰で自分の才能を埋もれさせていた母親。そんな家族の確執で最後まで進む話だと思っていたのだ。

この映画を紹介する多くの記事では、姉妹が直面する障害に触れている。それはこの物語が実在するピアニスト、プレネ姉妹が紹介されているからだ。決してネタバレというつもりはないだろう。彼女たちはその障害を乗り越えるために独自の奏法を編みだした。映画後半は、その努力と家族の葛藤を描き出す。

こうした紹介記事をしっかり読み込んでいたら、映画の感動ポイントが最後のひと山しか味わえなかったかもしれない。家族の関係が軋んでいく前半の緊張感。それが困難に明るく立ち向かう姉妹を中心にテンポよく進んでいく後半と大きな印象の差につながって、僕ら観客に感動を届けてくれる。ただ前半に見られた描写の緻密さが、後半は話を進めることに終始したように感じた。男性教師の横顔をじっと見つめる無言の場面とか、その教師に突然観客の前での演奏を求められて心が揺らぐ場面、などなど印象に残った。

型破りな演奏方法を本番まで指揮者に伝えずにやったのか?と疑問は残る。けれどクライマックスのステージ場面は、演奏するシルエットが美しい映像に仕上がっていて、良い印象で終わりを迎えることができた。父親が好きなシャルル・アズナブールを歌いながら、再びピアノに楽しそうに向かう姉妹。ジャズクラブでクラシックピアノ楽曲にドラムが合わせる場面のカッコよさ。クラシックに詳しい方なら、演奏される楽曲がそれぞれの場面に選ばれた意味を深読みできたりするのかな。母親役のイザベル・カレは「視線のエロス」で初めて観て以来気になる女優さん。




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ベルナデット 最強のファーストレディ

2025-03-23 | 映画(は行)


◼️「ベルナデット 最強のファーストレディ/Bernadette」(2023年・フランス)

監督=レア・ドムナック
主演=カトリーヌ・ドヌーヴ ドゥニ・ポダリデス ミシェル・ヴュイエルモーズ サラ・ジロドー

政治家を主人公にした映画はあれこれあるが、ファーストレディが映画の主役となるとジャクリーン・ケネディくらいしか思いつかない。本作はフランスのジャック・シラク大統領夫人ベルナデットを主人公にして、"事実を自由に脚色"して製作されたコメディ。

映画冒頭、合唱隊が"事実に基くけども自由に脚色してます〜♪"とナレーションを歌いあげる。ウディ・アレンの「誘惑のアフロディーテ」は、本筋に関係ないギリシア悲劇を演ずる俳優がナレーターと主人公への忠告者となる演出で面白がらせてくれたが、本作では合唱隊がナレーションだけでなく製作の狙いまで歌って説明してくれる。これでツカミはオッケーだ。

シラク夫妻の間に起こった公私様々な出来事をよりドラマティックに、より面白おかしく見せてくれる。パリで重要な事件が起きた時、シラク大統領はイタリア女優と密会していたという現実のエピソードも登場し、笑わせてくれる。シラク大統領を演じたミシェル・ヴュイエルモーズは、かなり本人に風貌を寄せている。しかしカトリーヌ・ドヌーヴは主人公であるベルナデットに全く寄せていない。古風でお堅いイメージと描かれるベルナデットは、僕ら映画ファンがカトリーヌ・ドヌーヴに持つ、おしゃれで進歩的なイメージとは正反対だ。

しかし、大統領夫人という立場は夫の引き立て役になることを求められがち。映画でも前半から目立つな、つまらない事を言うな、黙っていろ、妻の行動で大統領のイメージを壊すな、とあれこれ注文をつけられる。夫たる大統領だけでなく、補佐役の娘クロードからもだ。"時代遅れ"と評された大統領夫人のイメージアップのために顧問としてベルナール・ニケがつけられる。ベルナデットは過去のニケの印象から頼りにならないと決めつけるのだが、次第に2人は互いのいいところを導き出して快進撃を始める。

見た目から始まったイメチェンは、地方議員でもあるベルナデットの評判も上げていく。そんな彼女を好ましく思わない大統領の側近たちは、選挙情勢や政治に対するベルナデットの助言に耳を貸さない。しかしいちばん現実の感覚に近いのはベルナデット。やがて古風と言われたファーストレディは人気を獲得していくことになり、落ち目になりつつあった大統領の立場を救う活躍を見せることになる。

脇に追いやられた女性が自分を取り戻し、大統領と家族を守るために毅然と立ち向かう姿は、とにかくカッコいい。フランソワ・オゾン監督作「しあわせの雨傘」でもドヌーヴは、飾り物の社長夫人から自分にしかできないことを見出して輝くヒロインを演じている。本作のベルナデット役は、そのイメージと重なる。実在の人物を面白おかしく演じるだけでなく、本人のパブリックイメージをアップさせるようないい仕事。これは日本映画ではなかなかできない。

助演陣がみんな素晴らしい。あまり出演作を観ていないのが申し訳ない。顧問ニケ役のドゥニ・ポダリデスのコミカルな働き。娘クロードを演じたサラ・ジロドーは政界で頑張りながらも、自分に無理をしている弱さを感じさせて好演。ひと癖ある魅力的な人々が楽しませてくれる。





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ターミネーター3

2025-03-22 | 映画(た行)


◼️「ターミネーター3/Terminator 3 : Rise of The Machines」(2003年・アメリカ)

監督=ジョナサン・モストウ
主演=アーノルド・シュワルツェネッガー ニック・スタール クレア・デインズ

第2作から12年後に製作された第3作。前2作はそれぞれの魅力があって好きだが、本作が公開された2003年、僕の興味は「ターミネーター」には向かなかった。だってこの年僕を夢中にさせたのは「キル・ビル vol.1」と「マトリックス」の続編。「ターミネーター」、まだやるのか?と正直思い、劇場鑑賞はスルー。世間の感想も芳しくなかったから今まで観ていなかった。2025年が初鑑賞。

前作「ターミネーター2」でジャッジメントデイを阻止したサラ・コナーとジョン、T-800。しかしそれは核戦争を先延ばしにしただけだった。スカイネットは新たな刺客である女性型ターミネーターT-Xを送り込む。そして、ジョンと後に重要な存在となるケイトを守るためにT-800の改良型T-850が現れる。

シュワちゃん演ずるT-850の表情は相変わらず堅いのだが、これまでの無機質な感じが和らいでいるようにも見える。人間の心理学まで学んでいるらしいから、妙に達観した台詞を吐くし、2人の未来を知っているから見守っているよりも導いている感がある。もはや単なる終結させる殺し屋ではない。2人を救う結末もやり口が巧み。そこまで学んでいるのかw。

それにしても、キリッとした美少年だったジョンがどうしたら本作のようなどこか冴えない男(失礼)に成長するのだ。その後苦労を重ねたとはいえ、前作のエドワード・ファーロングの面影はちっとも感じられない。シリーズお約束である冒頭の衣服調達場面も、妙に笑いをとりに走っていて、せっかくの緊張感を途切れさせてしまう。一瞬ではあるけれど、シュワちゃんがエルトン・ジョンみたいなサングラスかけるのは無駄。

T-Xを演じたクリスタナ・ローケンは元モデルだそうで、終始無言でビシッとした立ち姿が美しい。T-1000は多少喋ったが、今回は台詞すらなく、首をかしげるだけで、不気味さを強調している。

2000年代に製作されたSF映画は、本作や「トゥモロー・ワールド」「アイ・アム・レジェンド」「A.I.」「2012」などダークな未来観が描かれたものが多い気がする。本作はイラク戦争が始まった年に公開されている。世界の先行き不安な空気が映画にも反映されているのかな。


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ターミネーター2

2025-03-20 | 映画(た行)


◼️「ターミネーター2/Terminator 2 : Judgement Day」(1991年・アメリカ)

監督=ジェームズ・キャメロン
主演=アーノルド・シュワルツェネッガー リンダ・ハミルトン エドワード・ファーロング ロバート・パトリック

プレデター」のレビューでも述べたが、長男が一時期シュワルツェネッガー主演作にハマったことがあり、二人で連日シュワちゃん主演作を観まくった。「ターミネーター2」が話題にあがったある晩の会話。

😼「ねぇ、「ターミネーター2」は観たことあるんやろぉ?」
😜「あるよ。女の子と2人で土曜日の夜のオールナイトでw」
しまった…😰
余計なことを口にしてしまった。
😺「それってお母さん?」
…聞こえないふりをした😗♪
結婚前の話やっちゅうねんw

それにしても明け方まで上映するオールナイトなんて、今じゃほぼ見られなくなったな。

本題です。
「T 2」こそが「ターミネーター」との感想をけっこう見かける。ちょっと待て。「T2」で初めて観たのは仕方ないにしても、T-800が悪玉だった1作目があるからこそ「T2」が面白いわけで、1作目を否定していただいては困るのだ💢。

1作目から7年も経って続編が製作されたのを、当時は不思議に思う意見は多かった。「キャメロン、もうネタ尽きた?」とか言ってる人もいた。ウン十年経って続編製作されるのも不思議ではない現在では、こんな声は出ないだろう。

忘れちゃいけないのは、新作を撮る度にジェームズ・キャメロンは新たな撮影技術を開発してきた人でもあることだ。この映画の見どころの一つである液体金属ターミネーターT-1000の描写は、80年代にはまだ困難だったのだ。

今さら語るまでもないだろうが、本作が成功した理由は多々ある。低予算アイディア勝負の第1作とは違ってこれは超大作。"ジャッジメントデイ"と呼ばれる2029年の悲劇を阻止する為に共に闘う大活劇にスケールアップしている。核爆発シーン、製鉄所をラストバトルの舞台に選んだこと、ド派手なカーチェイス。確かな技術とスタッフ、予算に支えられた映画だ。記憶に刻まれるシーンの連続。

シュワルツェネッガー演ずるT-800が今度は味方。目の前に現れて最も衝撃を受けそうなサラ・コナーが意外とあっさり現実を受け入れてしまうことも驚きだが、人間の言葉や感情を学習して理解を示すT-800が前作を知る者には衝撃かつ泣かせるポイント。名台詞「地獄で会おうぜ、ベイビー」や車のキーの在りかを学習するのはユーモアも感じられてワクワクするところだ。それだけに溶鉱炉を前にしたラストが切ない。ホラーテイストすら感じる前作のラストとは大きな違い。

さらに役者陣。サラ・コナーは逃げ回っていただけの前作とは違ってもはや戦士。脚本を手がけた「ランボー2」以来、キャメロン監督作には芯の強い女性がつきもの。サラを主役にしたテレビシリーズも製作された。

ジョン・コナーを演ずる美少年エドワード・ファーロングが素晴らしい。他の出演作をほぼ観たことがないが、本作の輝きは多くの人の記憶に刻まれた。当時おだてられて歌まで出したことは本人も反省しているとかw。T-1000のロバート・パトリックもこれでブレイク。同時期、「ダイ・ハード2」にも出演してるので探してみるといいかも。

そしてGuns 'N RosesのYou Could Be Mine🎸♪⚡️が最高 ✊✊✊✊。

…と魅力ある要素満載の大ヒット作だけど、第1作あっての続編なんで。「T2」のクスッと笑える小ネタさえ邪魔に思う硬派なファンもきっといる。



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ターミネーター

2025-03-18 | 映画(た行)


◼️「ターミネーター/The Terminator」(1984年・アメリカ)

監督=ジェームズ・キャメロン
主演=アーノルド・シュワルツェネッガー リンダ・ハミルトン マイケル・ビーン

ジェームズ・キャメロン監督の名前を初めて知ったのは本作「ターミネーター」だった。80年代のヒット作には特撮がつきもの。僕の周りの特撮好き男子たちは、そっちからこの映画に興味を持った。SFやホラーが注目されるアボリアッツ国際ファンタスティック映画祭(現在は廃止)を知ったのも、これがきっかけ。されど、これまでの映画生活で最もハリウッド映画の新作から距離を置いていた時期で、劇場鑑賞をスルーしていた。今思うと惜しい。初鑑賞は地上波にて。2025年に再鑑賞。

よき娯楽作は観客にあれこれ考える暇を与えず、浮世の憂さを忘れさせてくれる没入感が必要だ。改めて「ターミネーター」1作目を観ると無駄がないことを思い知る。

開始早々全裸のシュワちゃん登場。こんなに単刀直入な導入だったっけw。ディティールにこだわらず、描かなきゃいけないパートに徹底的に力を注ぎ込んだ映画。未来世界の人々の生活なんていちいち描いてる暇はない。サラ・コナーがカイルに未来の生活についてあれこれ尋ねても、具体的に話す台詞は一切なし。今目の前の危機をどうするかだけに、観客を集中させてくる。この潔さは見事だと思う。公開当時の生意気な自分が観ていたら、深みがねぇだのなんだの言ってたんだろうなぁ💧

今さら述べるまでもないけれど、シュワちゃん演ずるターミネーターの不気味なカッコよさが最大の魅力。自分で故障を直す場面は、今観るとチープにも見えるけど80年代当時は感激した。噛み合わないやりとりには、キャメロン監督のユーモアも感じられる。視覚データの映像なんて当時は斬新だったけど、ロボット側の視覚映像のルーツは映画「ウエストワールド」がルーツに違いない!と語り合っていた。機械のフレームだけになっても迫ってくるターミネーターの怖さとしつこさも、「ウエストワールド」のラストにも通じる。

続編が製作され続ける人気シリーズと化すなんて、1作目を観たあの頃は思いもしなかった。





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ボブ・ディランの頭のなか

2025-03-16 | 映画(は行)


◼️「ボブ・ディランの頭のなか/Masked and Anonymous」(2003年・アメリカ=イギリス)

監督=ラリー・チャールズ
主演=ボブ・ディラン ジェフ・ブリッジス ジェシカ・ラング ジョン・グッドマン ペネロペ・クルス

南米らしき政情不安な某国。チャリティコンサートが企画されるが当然アーティストが集まらない。そこで服役している伝説のシンガー、ジャック・フェイトに白羽の矢が立つ。コンサート本番が近づく中、大統領には死が迫っていた。

ボブ・ディランが主役のジャック・フェイトを演じ、脚本、音楽を手がけた作品。共演陣がジェフ・ブリッジス、ジェシカ・ラング、ペネロペ・クルス、ジョン・グッドマン、ミッキー・ローク、ヴァル・キルマーなどなど豪華な面々なので、そちらで興味を持つ方もいるだろう。だがとことんカオスな雰囲気の怪作で、フツーの映画を期待すると呆気にとられるかもしれない。

ディランの歌詞と同じく、含みのある表現の台詞が時折挟まれる。原題Masked and Anonymousは、ヴァル・キルマーが喋り倒す台詞の中にチラッと出てきて、顔や名前を出さずに文句や意見だけは言う人々を皮肉るような意味に思えた(違ってたらごめんなさい)。また、主人公がインタビュー嫌い(素のディランぽいw)で、ジェフ・ブリッジス演ずる記者が何か引き出そうと次々に話題を投げかけるが何も答えない。"答えは風の中"ってことなのか。

音楽はディラン自身のライブ演奏もたっぷりあるが、様々なアーティストのディラン楽曲カバーが使われてるいるのが面白い。レゲエぽいLike A Rolling Stone、ソフィー・セルマーニのMost of The Time。オープニングで流れるのは真心ブラザーズのMy Back Pages日本語カバー🤩
あの頃の僕より今の方ずっと若いさ♪

少女がジャックに歌を聴かせたい、とやって来て「時代は変わる」をアカペラで歌う。主人公の過去の作品ということのようだ。政変が今にも起ころうとする中で、この曲が周囲の大人の感情を揺さぶる。大統領の死、側近による武力弾圧が起こるクライマックス。エンドクレジットではアレンジが大きく変わった「風に吹かれて」が流れる。国の行く末が混沌とした映画の結末に、ちょっと投げやりに歌われた"答えは風の中"と歌詞が重なる。不思議な余韻。

メタリカのTシャツ着て高速で十字を切って祈るペネロペ・クルスがきゃわゆい。






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月世界旅行

2025-03-15 | 映画(か行)


◼️「月世界旅行/Le Voyage dans la Lune」(1902年・フランス)

監督=ジョルジュ・メリエス
主演=ジョルジュ・メリエス ジュアンヌ・ダルシー

ジュール・ベルヌの原作を基にジョルジュ・メリエスが製作したサイレント映画。

メリエス自身は劇場主であり、演劇やマジックを舞台にかけてきた言わば興行師でもある。リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフに目をつけて、映画を劇場にかける出し物の一つとして製作を手がけていくようになる。面白いもの、珍しいものを客に見せたい。それが根底にあるから、エンターテイメントとしての映画を世界で初めて世に出した人と言える。

「月世界旅行」では、大砲型のロケットで月に降り立つ冒険が描かれる。人間の顔をした月面に砲弾ロケットが突き刺さる場面で知られている作品だ。メリエスはただ写したものを見せるのではなく、観客を驚かせたい。元はマジシャンだったから当然の気持ち。

いわゆるトリック撮影がこの映画の最大の見どころになっている。モノクロのフィルムに色を塗った独特の色彩美、ロケット発射、月面に降り立った面々が寝ているうちに空が次々に変わる様子。そして月世界で遭遇する異星人との対決。異星人は衝撃を与えると爆発することに気づき、画面狭しとアクションが繰り広げられる。

科学的な考証もないから、唖然とする方法で帰還する大団円。アマプラで見られるバージョンは14分。撮影技術も今とは違う20世紀初めに、ワクワクしながら楽しむ人々を想像するのも面白い。







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