Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2023年2月のプレイリスト

2023-02-28 | 今日のBGM

◆2023年2月のプレイリスト◆

2月に聴いていた愛すべき28曲


1 Show Me Heaven(Maria McKee)

トム君の「デイズ・オブ・サンダー」で使われた美しいラブバラード。

2 The Spirit of Radio(Rush)

プログレ色とポップ色が入り乱れる音楽絵巻。

3 Love Is All Around(Wet Wet Wet)

なんでだろ。これ聴くと気持ちがホッとするんだよねー。

4 The Hustle(Van McCoy)

ディスコヒッツとして知られる曲。高校時代に吹奏楽部で演奏したことがある🎺

5 You Gonna Get Your Finger Burned(火傷)(The Alan Parsons Project)

名盤Eye In The Skyに収められたロックンロールナンバー。大好き🎸

6 赤ずきん(水曜日のカンパネラ)

そうきたかっ!🤣ぜんぜん似てないね、だいぶ無理あんね♪

7 White Sister(Toto)

ストレートな疾走感にバスの中でヘドバンしそうになる私💧

8 Rusputin(怪僧ラスプーチン)(Bonny M)

ディスコヒットの中でもお気に入りの一曲。B'zのLOVE PHANTOMはこれが元ネタだと信じている私。

9 True Faith(New Order)

ダンスチューンを聴くことが増えたら、ストレスが溜まった証拠。特にこの曲に手が伸びたら危険信号🚥。80年代のディスコに心が帰りたがっている😖

10 アイデン貞貞メルトダウン(えなこ feat.P丸様)

実はえなこちゃん好き♡アニソンらしい合いの手応酬のゴキゲンなダンスチューン。


😩あー、12連勤+残業で身体やばい。明日休もう。


11 He's A Pirate(Klaus Badelt、Hans Zimmer)

苦手な「パイレーツ・オブ・カリビアン」に挑むの巻。

12 Kiss You(TM Network)

今まさにダウンな気分、シックなヘッド抱えてる。

13  fantastic dreamer(Machico)

ダウンな気分、シックなヘッド。そんな時に気持ちをアゲてくれるのはアニソンw。

14 Roppongi Suicide(六本木心中)(アン・ルイス)

六本木心中の英語版。Can't Live Without You, Babe ♪ Don't You Go !

15 Things Can Only Get Better(Haward Jones)

エレポップとホーンセクションのからみが好き。

16 黒のクレール(大貫妙子)

アルバム「cliche」は大好きなのです。

17 I Will (Take You Forever)(Christpher Cross duet with Frances Ruffelle)

Back Of My Mindはお気に入りのアルバム。レミゼのオリジナルキャスト、フランシス・ラファエルとのデュエット曲。

18 N.E.W.

映画「BLUE GIANT」より。

19 Heart Turns To Stone(Foreigner)

産業ロック?何が悪い!

20 銀河鉄道999(ゴダイゴ)

R.I.P. 松本零士センセイ。

21 One More Time(Daft Punk)

フランスのエレポップグループ。松本零士が手がけたPVを久々に見る。

22 Don't Tell Me You Love Me(Night Ranger)

1stアルバムを聴きなおす。

23 Hard Habit To Break(忘れ得ぬ君へ)(Chicago)

アルバム「17」は愛聴盤。この頃の洋楽って、邦題のセンスもいいんだよね。

24 ℃(ラックライフ)

アニメ「ツルネ」OP曲。サビの四分打ちにヘドバンしてしまう変な父娘である。

25 逢いたくていま(MISIA)

久々にライブに参戦😆。熱唱に思わず涙🥲。

26 Rhapsody In Blue(Pyramid)

ガーシュインの名曲を神保彰、鳥山雄司、和泉宏隆のPyramid+葉加瀬太郎の演奏で。素敵なアレンジ。

27 SELF PORTRAIT(坂本龍一)

アルバム「音楽図鑑」より。これがリリースされた頃は、YMOメンバーの作品をよく聴いてたな。

28 Colorado Bulldog(Mr.Big)

通勤中に聴いたら頭から離れないぜ😣









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心の旅

2023-02-26 | 映画(か行)

◼️「心の旅/Regarding Henly」(1991年・アメリカ)

監督=マイク・ニコルズ
主演=ハリソン・フォード アネット・ベニング ビル・ナン ミッキー・アレン

仕事に没頭する敏腕弁護士ヘンリー。勝訴に導く雄弁な語り口を映画はまず冒頭で見せつける。医療過誤訴訟と思われる法廷で、被告席のいかにもか弱そうな老夫婦をカメラは見せた後、ヘンリーは「彼らが招いたことです」と冷たく言い放ち病院側を勝訴に導く。家庭では家族を顧みず、妻が買ったテーブルに文句を言い、娘にも威圧的な態度をとる。短い時間で主人公の性格と立場を明確に示してくれる。悪役イメージがあまりないハリソン・フォードが嫌なヤツとして現れるのだ。マイク・ニコルズ監督、さすがに最初の掴みは見事。

ある晩、煙草を買いに外出した先で強盗に遭遇し、銃弾に倒れるヘンリー。一命はとりとめたものの、記憶を失ってしまい、彼にとって家族は知らない人でしかない。リハビリを助けてくれる明るい理学療法士ブラッドレー(「天使にラブソングを…」の刑事役ビル・ナン)が、唯一心を許せる存在だ。しかし娘との触れ合いから記憶が戻り始めたヘンリーは、自宅に戻ることを決心する。今までとは全く違う優しい人柄のヘンリーは、過去と向き合い始める。

主人公が記憶を失う話は、いかに記憶を取り戻して元の生活に戻るのかに主眼が置かれるのが典型。周囲が思い出させようと必死になるのは、テレビドラマでもよく見かけるシーンだ。だけど、世間で評判のよい記憶喪失ものってそんな簡単な話ではないはずだ。ハリウッドクラシックの「心の旅路」は、本来の記憶を取り戻してからがドラマティック。アキ・カウリスマキの「過去のない男」は、記憶喪失後の日常がとってもユーモラス。記憶は失っても生きていく日々は毎日やってくる。

この「心の旅」もただの記憶喪失ものじゃない。J・J・エイブラムスが脚本を手がけた本作は、記憶を失う前の自分に戻るのではなく人間性を取り戻す物語だ。そこには世間で成功者として称えられているハイソな人々や社会に対する皮肉や批判が込められている。過去の自分を知れば知るほど嫌いになるヘンリーに、ブラッドリーが「そのうち本当の自分が見つかるさ」と言う。事故後のヘンリーが"なりたい自分"となる物語。ファンタジーと言われればそれまで。だけど、日々いろんなことに追われてる身には、幸せって何だろ?と振り返るにはいい機会をくれる映画だと思うのだ。

音楽担当はハンス・ジマーだが、デイブ・グルーシンぽいしゃれた劇伴。






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BLUE GIANT

2023-02-24 | 映画(は行)

◼️「BLUE GIANT」(2023年・日本)

監督=立川譲
声の出演=山田裕貴 間宮祥太朗 岡山天音

僕自身の音楽遍歴を振り返ると、ジャズに深くハマった時期はない。理由はジャズを解するには肥えた耳が必要だと思っていたからだ。その演奏のすごさが理解できないなら、演奏者に申し訳ないとずっと思っていた。僕の地元では70年代からジャズの夏イベントが開催されていて、耳に馴染みはあるのだが、どこか距離を置いていた。だんだんとジャズに近づいて行ったのは、自分が楽器を手にするようになってからだ。トロンボーン吹きだった高校時代はビッグバンドジャズに興味があった。鍵盤弾きが主になって友達のフュージョンバンドに参加もした。かっちょいいプレイをコピーして、プロの鍵盤弾きの凄さを感じ憧れるようになった。

同じ頃。スティングのアルバムでブランフォード・マルサリスの演奏を聴いてから、密かにサックス🎷に憧れ始めた。そして今。ウインドシンセでサックス向けの曲ばっかり練習するおいさんになった。音楽ものは毎度前置きが長くて申し訳ないです💧。

だから"音が聴こえる漫画"と巷で評判の「BLUE GIANT」には興味があった。ジャズピアノの上原ひろみが音楽担当でアニメ映画化!と聞いて、もぉー劇場で観るしかない!と心に決めて初日参戦。原作にない音が映像をどのように彩るのか。それが最大の関心事だった。

音楽に対する純粋な気持ちと、努力を積み重ねることの大切さが心に残る。映画化されるより前の高校時代のエピソードでは、ジャズを知らない友人たちに魅力を語る姿と気持ちのこもった演奏で納得させるダイをカッコいい…と思った。その気持ちのまま東京にやって来て、頭角を表していく。

純粋な気持ちだけでなく、障害となる厳しさもきちんと描かれているのが好感。鼻息の荒い若者たちにビシッと厳しい言葉を浴びせる大人たちがまたカッコいいのだ。ジャズクラブSO BLUE支配人の平さんがユキノリのプレイと態度を戒める言葉。あれを抑えたトーンで言える大人に、自分はなれているのだろうかと考えてしまう。チャラい大人だからなぁw。

また、ジャズを演奏するプレイヤーとしての人間関係も生々しい。お互いを踏み台にして名をあげる。だからずっと一緒に組んで演奏するような関係ではない。作曲もこなすユキノリのアドリブが面白くないと指摘されて悩む場面で、本人の問題だからできることはないと言うダイと、仲間として何かできないかと言う玉田。決定的な立場の違いとプレイヤーとしての凄みが同居するいい場面だった。

その反動が映画後半に炸裂する。ユキノリが眼を見開いて演奏するピアノソロの凄まじさ。モーションキャプチャーで演奏を撮影してアニメに置き換えているから、その絵の向こうでは上原ひろみが立ち上がって鍵盤を叩いているわけだ。ダイのテナーサックスがまさに唸りをあげる。ベルから流れる空気の流れや、ライトに照らされた楽器が放つ光の動きが演奏の激しさをビジュアルで表現している。原作のテイストを大事にしつつ、アニメだからできる表現が加わる。

音楽と映像が一体となった瞬間って、映画ファンにとっては最高のエクスタシー。この映画でジャズに興味もってくれる人が増えたら嬉しいな。玉田がダイの影響を受けたように。原作でダイがライブを聴いて衝撃を受けたように。




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セッション

2023-02-22 | 映画(さ行)

■「セッション/Whiplash」(2014年・アメリカ)

●2014年アカデミー賞 助演男優賞・音響賞・編集賞
●2014年ゴールデングローブ賞 助演男優賞
●2014年全米批評家協会賞 助演男優賞

監督=デイミアン・チャゼル
主演=マイルズ・テラー J・K・シモンズ メリッサ・ブノア ポール・ライザー

 音楽映画だと期待してはいけない。これは格闘技映画だ。コロッセオやリングではなく、ステージで繰り広げられる、意地と意地のぶつかり合い。とんでもなくカッコいい映画だ。音楽を楽しもうと思って映画館に行くと痛い目に遭う。血は滴り、張り手と罵声が飛び、自動車はクラッシュし、死者も出る。しかし、劇中の演奏クオリティの高さを前にすると、ビートにとにかく身を委ねたくなる。ビッグバンドジャズの曲がちょっとでも好きなら、気づくと指先が、つま先が、踵がビートを刻んでいるのではないだろうか。

 音楽大学で変わり者の名物教授のバンドに入れられた主人公ニーマンは、教授の執拗なシゴキに耐え、ライバルを蹴落としながらドラム主奏者の地位を得る。教授の望む厳格なテンポを叩けず、超高速のダブルタイムスイング(倍のテンポで演奏するスイング)を苦手とする彼は、課題曲のキャラバンがうまくこなせない。血と汗を流しながら罵倒に耐える主人公。これはもはや音楽映画ではない。しかしそのプレッシャーから、コンサートで大きな失敗をしでかす。学校を退学した彼。スティックを握ることもなく、日々を過ごしていた。ある日、ジャズクラブのライブに出演していた教授と思わぬ再会。指揮を担当しているバンドのドラムがよくないから手伝って欲しいと言われ、カーネギーホールのステージに立つ。しかし…。

 音楽を楽しむことを望む、いちリスナー的立場でこの映画を観ると、煮え切らない気持ちも残る。フレッチャー教授は「音楽を演奏する意味」をニーマンに問う。彼はとても曖昧な返事をする。ストーリーが進み、彼が人よりも上に立ちたい、偉大な音楽家として名を成し認められたいという欲望が原動力になってることがわかってくる。家族と食事する場面で、フットボールでの活躍を自慢する男の子と父親に、自分の方が上だと言い放つ。正直いけ好かない奴だ。フレッチャー教授の厳しさは、情熱故の行き過ぎなのか、と思ったが次第に偏った考えの"人格破綻"によるものだと思えてくる。人間的にはどちらにも共感できる余地はない。唯一二人に共通することは、ジャズの演奏家は他のミュージシャンよりも優れているという"選民思想"。確かに演奏するには感性だけじゃなく、卓越した技術がいるジャンルだとは思う。劇中「無能なヤツはロックをやれ」と書かれた紙切れがピンナップされてるのが映されるが、まさにこれが彼らの自負であり、信条。音楽をする意味って、それでいいのか。プロになるということは、音楽を楽しむことよりも人を蹴落としていく厳しさばかりでいいのか。それがプレイする意味なのか。自分が演奏して楽しいのがプレイする目的であって欲しいのに、それを阻むのは"競争"という環境と"成功"なのだ。

 だからその煮え切らない気持ちは、演奏者の立場でこの映画を観るとその厳しさは逃げられるものじゃないとよく理解できる。スケールなど血のにじむような基礎練習を繰り返し、やがて上達するという過程(これが試練でもあり、楽しみでもある)を経て、やっと演奏できるようになる。チューニングが狂っている者がいる、と犯人捜しをする場面。僕自身も吹奏楽部時代に似たような経験があるので、あのトロンボーンの彼には同情した。ニーマンがダブルタイムスイングをマスターするまでの、スポ根映画のような展開。あそこまでしなくってもと普通には思うのだけど、フレッチャー教授の狂気じみた要求、それを心底できるようになりたいという気持ちに、ニーマンが持つ"野心"という偏ったモチベーション加わることで、この映画は一層熱くなっていく。

 音楽をテーマにしている目新しさこそあるけれど、この映画は実はいわゆる"鬼軍曹"ものだ。「愛と青春の旅立ち」のルイス・ゴセットJr.や「フルメタル・ジャケット」のリー・アーメイなど、映画史上に残る"鬼軍曹"たち。音楽というフィールドでこそあれ、フレッチャー教授の狂気はこの系譜だ。しかも3人ともアカデミー助演男優賞という共通点も。この手の映画が巧いのはキャスティング。鬼軍曹に怒鳴り散らされるのは、精悍な顔つきの役者ではない。雨の中で「帰るところがないんだ!」と叫ぶリチャード・ギアも、"ほほえみデブ"のヴィンセント・ドノフリオも、この映画のマイルズ・テイラーも、どこかのほほんとした第一印象を受ける。それが人が違ったように変貌するのだから怖いし面白いのだ。世間ではスポ根音楽映画として新しい地平を開いたように言われているが、決してそうではない。今の時代だから描けたような映画ではなく、むしろ普遍的な面白さだと思えるのだ。しかし。フレッチャー教授は最後までニーマンと対立し続ける。ルイス・ゴセットJr.のように主人公を認めることもなく、リー・アーメイのように途中で姿を消したりしない。最後の最後までニーマンを苦しませる存在だ。この映画が決定的にかっこいいのは、スティックを手にステージに戻ったニーマンが挑む大反逆。それは恥をかかせようとした教授に復讐すること。

 あの難題だったダブルタイムスイングのキャラバンを見事に演奏する中、二人が映画のラストで交わしたアイコンタクト。それは無言ではあるけれど、互いを本当に認め合った瞬間だったのではないだろうか。映画は曲のエンディングと同時に幕を降ろす。この後ステージで何が起こったのかを知ることはできない。もしかしたら再びニーマンが罵られたかもしれないし、無言で視線を交わしてステージを去ったかもしれない。ニーマンはプレイヤーとして認められたかもしれない。それを白黒つけない幕切れこそが、この映画のカッコよさなのでは。リスナーの立場で観れば、ラストの壮絶な演奏の素晴らしさに「すっげぇもん聴いた」と感動する。演奏者の立場ならば、ラストシーンのビシッと演奏が決まった瞬間のエクスタシーがどれだけのものか知っているはず。そして僕ら映画ファンは映像と音楽が一体となった瞬間のエクスタシーに心揺さぶられるのだ。その先に何が起ころうと知ったことか。素晴らしい音楽がそこにあって、お互いが関わった。それでいいじゃないか。




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銀河鉄道999

2023-02-21 | 映画(か行)

◼️「銀河鉄道999/The Galaxy Express 999」(1979年・日本)

監督=りんたろう
声の出演=野沢雅子 池田昌子 肝付兼太 井上真樹夫 麻上洋子

松本零士作品には「宇宙戦艦ヤマト」以来夢中になった。スポ根や屈強な男子が殴り合うようなコミックに馴染めなかった少年にとって「銀河鉄道999」は、作品世界を空想することでさらにイマジネーションが広がるのがたまらない魅力だった。テレビシリーズは小学校高学年の頃に放送開始。最終回は中学の部活で放送時間に間に合わないから、学校隣の文房具屋さんで「おばちゃん!お願いだからテレビつけて!999の最終回見せて!」と頼み込んで友達と一緒に見たっけ(恥)。

さてその劇場版。公開されたのは中学1年の夏休みだった。叔父に連れて行ってもらったのだが、なんと「エイリアン」第1作とハシゴ鑑賞する羽目になる。「私はあなたの青春の幻影」「さらば少年の日よ」に涙した数時間後、不気味なクリーチャーと流血に少年は絶句した😱。リドリー・スコットとH・R・ギーガーに感動をグチャグチャにされた少年は、さらに銀河鉄道999、松本零士作品に夢中になるのだったw。

東映動画の、いや日本映画の大傑作の一つ。あの上映時間の中に途方もない物語のエッセンスを綺麗に収めたことがまず見事。松本零士センセイの訃報を聞いた晩に改めて観たのだが、無駄が全くないことに驚かされる。原作からセレクトされたエピソードがうまく構成されていて、劇場版だけの新たな展開も加えられている。それらのどこが欠けても言葉足らずになるし、映画の魅力が損なわれてしまう。見せ場をつなぐパートも登場人物を掘り下げるのに重要な描写があり、全く飽きさせることはない。

ハーロック登場場面のカッコよさ、アンタレスの男気。ほんとにいい台詞がいっぱい。

この映画で鉄郎が着てたロング丈の緑色のジャケット。真似したくて、似たデザインのデニムジャケットをオーバーサイズで着ていたことを思い出した(恥)。それだけ当時の僕はこの作品に愛着があったのだろ。

松本零士センセイのご冥福をお祈りします。







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007/ダイヤモンドは永遠に

2023-02-19 | 映画(た行)


◼️「007/ダイヤモンドは永遠に/Diamonds Are Forever」(1971年・イギリス)

監督=ガイ・ハミルトン
主演=ショーン・コネリー ジル・セント・ジョン チャールズ・グレイ

ショーン・コネリー再登板となったシリーズ第7作。おなじみのガンバレルの後、映画冒頭に執拗に宿敵ブロフェルドを追い回す荒々しい姿が登場する。それまでのスマートなイメージと違うし、ちょっと貫禄ついた感じすらある。

お話としてはスケールも大きいし、市街地のカーチェイスなど見どころもあるのだけれど、個人的にはシリーズ中最も物足りない作品。前作のジョージ・レーゼンビー降板後のせいではないと思うが、脚本やディティールを練り込んでない、どことなく間に合わせた感があるのだ。

危機には陥るがアクションシーンが少ない。ブロフェルドを演じるチャールズ・グレイはすでに「007は二度死ぬ」で出演済み。謎の富豪ホワイト氏を絡ませて話が複雑になったし、何よりもブロフェルドがいるのにスペクターが登場しない違和感。衛星をカセットテープに記録されたプログラムでコントロールするというのに、わざわざ「嫌い」と言う行進曲集のカセットを手元に置く不思議。衣装の費用を削ったかのように露出多めの女優陣。

こちらも再登板となったシャーリー・バッシーが歌う主題歌は、パンチがあって素晴らしい。






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バビロン

2023-02-18 | 映画(は行)

◼️「バビロン/Babylon」(2021年・アメリカ)

監督=デイミアン・チャゼル
主演=ブラッド・ピット マーゴット・ロビー ディエゴ・カルバ ジーン・スマート

デイミアン・チャゼル監督が撮る映画はカッコいい。絵になるアングル、長回しで動き回るカメラ、台詞に頼らずに物語を伝える手腕。これまでの作品でも発揮されてきたこうした面は本作でも健在。いや、むしろパワーアップしている。

延々続く酒池肉林のパーティ場面では、人をかき分けてカメラは突き進む。後でストーリーに絡んでくる人を紹介するように止まり、そしてまた動き出す。ギャングに連れて行かれる秘密のクラブに入っていく場面でも、観客もその場に導かれるような気持ちにさせる(嫌だ。もう帰りたい!と思ったもんw)。さらにカメラは自在に動き回り、映画館を俯瞰で捉えたり、踊るマーゴット・ロビーを見上げるエロ目線まで。ヴァラエティ紙の記事や雑誌の表紙で示す成り行きや世間の動き。スマートだし見事だ。

その一方で、観客が娯楽映画で見たくないものを容赦なく示してくれるのもチャゼル監督。象の尻はカメラをも汚し、「猟奇的な彼女」ほど生々しくないけど(笑)激しい嘔吐、秘密クラブの怪しく危険な世界。サイレント時代のハリウッドを描いた映画だから静かな雰囲気かと思ったら、セット撮影場面のうるさいことうるさいこと。音が記録されないからすぐ隣で別な映画撮っても平気。だからこんな無茶苦茶が成り立っていたんだろう。カメラを借りるために車を走らせる場面は、「セッション」みたいに事故るのかと思ったぞ。

特に映画前半、僕は聴覚に不快感を覚えた。ピーター・グリーナウェイの「ベイビー・オブ・マコン」より人であふれかえる映像に、バズ・ラーマン映画よりやかましいサウンドが乗っかる。それが延々続くんだもの。あーもぉー😩、この映画、チャゼル監督の代表作「ラ・ラ・ランド」(大嫌い)より嫌いかも。

ところが、トーキーの時代に物語が進むとピタッと音が止む。同時録音のために撮影現場が静まりかえるからだ。この切り替えが見事。「ファースト・マン」の月面シーンで無音になるところも見事だったな。この撮影場面から先のストーリーの進み方はさらに緻密になっていくし、僕らも映画への没入感が高まっていく。映画が音を伴ったことで地位を追われていくスタアたち。その末路は厳しく哀しい。そして、かつて同じテーマを扱った名作ミュージカル「雨に唄えば」が引用される。

映画のラスト、主人公が映画館で「雨に唄えば」を観て号泣する場面がたまらなく胸に迫るのだ。
「映画という未来に残り続ける大きな存在の一部になりたい。」
そう思って撮影所で働いて頑張ってきたんだもの。トーキー導入の苦しさ。あの現場にいたんだもの。でもその涙はいつしか銀幕を見つめる笑顔に変わっていく。カメラは場内を舐めるように移動して、観客のニコニコした表情を映していく。映画は夢を与え続けるもの。あの頃も今も。この映画への愛が込められた場面の印象が、それまで不快だった部分を吹き飛ばしてくれる。今回も巧さを見せつけるな、チャゼル監督。前半の不快感がなければ好きな映画だったかも。

歴代の映画の名場面をつないで、後の時代から今まで残り続ける映画たちを示す場面。本筋に関係ないからズルいと思うけど、確かに感動的ないい場面。でも似たようなことは、ニール・ジョーダン監督の「インタビュー・ウィズ・バンパイア」で、もっと筋に則してやってるからね。

「セッション」が大好きなだけに、僕はチャゼル監督への期待が大きくて、目線が厳しいのかな。でも最後に言わせて。

長えよ!長けりゃいいってもんじゃねえよ!




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ユー・メイ・ドリーム

2023-02-15 | テレビ・アニメ


鮎川誠と悦子(シーナ)の出会いから、シーナ&ロケット結成、ブレイクまでを描いたNHK福岡製作の地域ドラマ。シーナが亡くなった2018年に放送されたものを、鮎川誠の死去に伴い2023年2月に再放送。

地域ドラマは、全国放送では取り上げないテーマを扱う作品が多いが、単発だし物足りないものが多いのも現実。しかし、本作は挿入されるロックの名曲や当時の福岡の音楽シーンについての解説も巧みに盛り込まれていて、単に人情や家族愛のドラマにとどめていない。そして地元愛をたっぷり詰め込むのは、地域ドラマのお約束。これも方言コテコテ、ローカル地名も生々しく入ってくるから、全国放送じゃ伝わらないのでは?と心配になるw。

石橋静河がヒロイン悦子を好演。負けん気の強いキャラクターが最初のシーンから伝わってくる。グループサウンズのライブに行くのを大人に阻止され、夢中になれる音楽を大人は理解してくれない。ドアの向こうから聞こえてきたヤードバーズに惹かれて、誠と出会う場面。二人で音楽の話で盛り上がっていく様子が素敵だ。「電車男」で山田孝之が「マトリックス」を語り倒す場面みたいに、誠がブルースロックを話題に口が達者になる様子に、こっちまで表情がゆるむ。
「あんたはキース・リチャーズよりカッコいい♡」
そんなこと女の子に言われたら舞い上がっちゃうよ!😂。「好き」のベクトルが一致するのは男女の出会いでは大切なこと。そして音楽でつながれた絆はとてもとても強い。

悦子の妊娠、結婚を経て、生活という現実に悩む誠の生真面目な姿。悦子の厳格な父を演ずる松重豊の「東京で勝負してみんね」のひと言が事態を動かす。

今も続く若松の高塔山ロックフェスのきっかけは悦子のこんなひと言だったのか。アルバム「真空パック」のジャケット撮影シーンも再現してみせて、ラストはYou May Dreamを歌うライブシーン。二人の活躍の陰に、福岡の温かさがあったことが伝わる良作。父と娘が見つめる若戸大橋の場面は胸にくるね。

鮎川誠氏のご冥福を改めてお祈りいたします。




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パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト

2023-02-12 | 映画(は行)

◼️「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト/Pirates Of The Caribbean:Dead Man's Chest」(2006年・アメリカ)

監督=ゴア・ヴァーヴァンスキー
主演=ジョニー・デップ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ ビル・ナイ

世間が騒ぐ気持ちはわからんでもないのだけれど、第1作がどうしても好きになれない…と、ある飲み会で発言した。僕がキーラ・ナイトレイ好きと知っている女友達が、
👩🏻「素直じゃないなぁ。キーラ好きなら観たら。悪くないよぉ」
と言うので金曜ロードショーを録画して再びジャック・スパロウに挑むの巻。

なんかねー、分かりやすさがモットーのハリウッド大作のくせに、話が首尾一貫してない。コンパスがないと彼女が救えない!ジャック、コンパスがいるんだ。じゃあオレが探しているカギの謎を解かなきゃな。お歯黒女のところに行こう。そしてタコ野郎と対面、死んだ親父とも対面。鍵をタコ野郎から手に入れる。箱を探さなきゃ。中身は××だ。次から次へと求める対象が変わり続ける。コンパスはお前の探しているものを示す。いえいえ、僕らからしたらずーっと対象が変わり続けてるんですけど。そんで結局何がいるんだよ。

本筋がそんな感じでフラフラしてる間に、派手なアクションや見せ場が目の前を通り過ぎて行く。その場その場の楽しさはアイディア満載だし、面白さも認めるけれど、映画半ばで何のためのこの冒険だっけ?と思い始めた。ハリウッド映画がわからんと首をかしげる僕はどこかおかしいのだろうか。続編ありきのクライマックスで、さらにごまかされたような気持ちになる。

オーランド君もキーラたんも熱演。タコ野郎のマスク被ったビル・ナイ先生や、フジツボだらけのステラン・スカルスガルドら名優が、顔も出せないこんな役で脇を固めてくれている。お歯黒ナオミ・ハリスは、「007」のマネーペニー級に名サポート。確かに役者は揃ってる。ステランお父ちゃんは泣かせどころだけど、大タコ以外に何が心に残っただろか。

ジョニー・デップは好きな役者なのに、ジャック・スパロウが出てくるとイライラする。クライマックス、颯爽と船に戻ってくるけどその心情はくみ取れない。ご都合主義?。もしかしたら、話を引っかき回すジャックがいない方が、この映画は話がスッキリするのかな。

これも乗り掛かった(海賊)船なので、第3作もお付き合いします。


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Mの物語

2023-02-10 | 映画(あ行)

◼️「Mの物語/Histoire de Marie et Julien」(2003年・フランス)

監督=ジャック・リヴェット
主演=エマニュエル・べアール イエジー・ラジヴィオヴィッチ アンヌ・ブロシェ

劇伴は全くなく、時計が刻む音と会話だけが流れ続ける。集中力が続くのか不安だったが、気持ちが途切れずに完走。そういえば、同じリベット監督の「美しき諍い女」も似たようなこと考えながら観た気がする。

時計職人ジュリアンと美しい女性マリー。二人は知人のパーティで知り合って、惹かれあった仲。一緒に暮らし始めるが、マリーは突然一人になるために外泊したり、自分が口にした言葉の意味がわからないと言ったり、2階の部屋を模様替えし始めたり、謎めいた行動を繰り返す。ジュリアンが恐喝めいたやりとりをしていたマダムXの元に、ジュリアンの使者として出かけたマリー。マダムXはマリーの様子を見て彼女の素性に気づく。ジュリアンが知ることとなるマリーの秘密とは。

エマニュエル・べアールの一挙一動に意味があるだろうと思うと目が離せない。でも子猫のようにソファでゴロゴロ、寝起きにガウン着て気に入らないとか文句を言い、前の女が残していった衣類を嫉妬深く眺めたり、といろんなべアール嬢を見ていて幸せな気持ちになる。ジュリアンと抱き合いながら、謎めいた物語を二人で語る。彼女は何者なのか。

(結末に触れています)
映画後半はマダムXの妹がストーリーに絡んできて、マリーの正体が明らかになる。それは偽りの肉体で現れる死者だった。マリーはジュリアンと一緒にいることを望む。怪我をしても血が出ないマリーの身体だが、クライマックスでは傷を負った手首から血が流れ出す。それはマリーが血が通った人間になった瞬間。彼女のハートはこれから現世で鼓動を刻んでいく。ジュリアンが修理した時計のように。

流れる血が感動的な映画って、他にあるだろうか。いや、きっとない。予想していなかったファンタジーな結末にホッとする。映画冒頭ではこの150分が不安で仕方なかったのにw。





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