Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

1月のBGM

2011-01-31 | 音楽
2011年1月に通勤中やら何やらで聴いていた音楽たち。

1.Eye In The Sky/The Alan Parsons Project
 アラン・パーソンズ・プロジェクトは、高校3年のときに Don't Answer Me を聴いて以来今でも大好きだ。演奏もアレンジも洗練されていて、それぞれがきちんとしたコンセプトアルバムで、起伏のある楽曲、ちょっと知的な印象の英国ロック・・・僕が好む要素がすべて網羅されている。年末から年始にかけてふと聴きたくなり、The Very Best Live とこれをしばらく聴いていた。こういうロックバンドやりたいなぁ。
アイ・イン・ザ・スカイ

2.Tambu/Toto
 Totoも大好きなロックバンドだが、このアルバムはしばらく聴くことを敬遠していた。だってジェフ・ポーカロの死後最初のアルバムだもんね。後任サイモン・フィリップスがいかにスゴ腕だろうとどうしてもジェフの影を求めてしまいそうだし。今改めて聴くとサイモンの頑張りがよくわかる。意外と好きになれそうな気がしてきた。来日公演があるそうだ。キーボードはデビッド・ペイチとスティーブ・ポーカロ!、ヴォーカルはジョセフ・ウィリアムズ!でもマイクが来ないそうな。WOWOWが中継してくれないかなぁ。
タンブ

3.What's The Story : Morning Glory/Oasis
 今月はなーんか洋楽が聴きたい気分だった。オアシスはギターの音に輪郭が感じられず、どうも僕の好みと合わなかった。これまでもあれこれ試したけど・・・ねぇ。でもこのアルバムは別格。ときどきふっと手が伸びるんだよね。
モーニング・グローリー

4.Blue Orange/原田知世
中古店で入手。トーレ・ヨハンソンのプロデュース作はあの頃聴きまくったけど、アイドル時代とは違う独特の歌い方がいいよね。シングルだった 恋をしよう と気怠い雰囲気の day by day が好き。そういえば最近のアルバムは聴いてなかったな。
Blue Orange

あ、「80年代映画主題歌のお店」久々に更新し始めました。
あの頃の音楽が欲しい!という方は是非覗いてくださいな。
DVDも追加しなきゃな。

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ずっとあなたを愛してる

2011-01-30 | 映画(さ行)

■「ずっとあなたを愛してる/Il Y A Longtemps Que Je T'aime」(2008年・フランス)

監督=フィリップ・クローデル
主演=クリスティン・スコット・トーマス エルザ・ジルベルスタイン セルジュ・アザナヴィシウス

●2008年英国アカデミー賞 外国語映画賞
●2008年ヨーロッパ映画賞 女優賞
●2008年セザール賞 助演女優賞・新人監督作品賞

 観る前は「ずっとあなたを愛してる」というタイトルに対して、「あぁ、また配給会社が下手な邦題考えちゃって・・・」と正直なところ思っていた。しかし・・・エンドクレジットを迎え、柔らかなギターの調べの静かな曲と映画の余韻に身を委ねながら考えた。これは登場するそれぞれの人々の愛し方を表していたのだ。

 親が子供を、家族同士がそれぞれを思う気持ちを失わせることはできない。ジュリエットが息子を殺した本当の理由。そしてその姉をいないものとして育てられた妹。ジュリエットは誰にも真実を打ち明けず、すべてを自分で抱え込んだ。妹レアは突然姉が去った日から、毎日日記に姉の名を綴り、出所した姉を支えようとする。記憶を失ってレアが娘だと理解できない母親が、ジュリエットだと一目でわかりきつく抱擁する場面は感動的だ。「姉はいないもの」とされていたジュリエットはその抱擁にとまどう。その背後に妹レアが立っているという構図は、映像としてとても雄弁だ。

 ほんとうにいい演技に支えられた映画だ。脇役の一人一人の生き方、考え方、心の動きが伝わってくるし、愛すべき人々たち。ものを言わぬおじいさんもベトナム人養女も友人たちも。保護観察の為にジュリエットと会う刑事も印象的な人物だ。オリノコ川への憧れと夢を語りながら、ジュリエットに自らの身の上を打ち明ける。「旅立つ決意をした」と言い残して自殺する彼は、水源がわからないオリノコ川にたどり着くところのない自分を重ねていたのかもしれない。それは温かい人々に囲まれたジュリエットとは違う。そんな人々に支えられて15年の刑期を終えて誰にも心を許せなかったジュリエットが、少しずつ変わっていく姿が心に残る。疲れ果てた表情だったクリスティン・スコット・トーマスが次第に笑顔をみせていく。そして映画の最後お互いの気持ちをぶつけ合い、妹にすべてを打ち明けた彼女は「私はここにいる」と言う。

 地味な映画だが、人間模様をきちんと描くことは、フランス映画の伝統だ。監督フィリップ・クローデルはそもそも小説家。登場人物の一人ミシェルと同じく刑務所で教師をやっていた経験がある。人を見つめる優しい視線が銀幕から伝わってくるのはそのせいなのかな。




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花と竜

2011-01-17 | 映画(は行)

■「花と竜」(1962年・日本)
監督=舛田利雄
主演=石原裕次郎 浅丘ルリ子 岩崎加根子 葉山良二

 若松出身の作家火野葦平は昨年が没後50年。様々な催しが続いていたが今回はその最後、代表作「花と竜」の映画上映会である。会場となった若松市民会館がほぼいっぱいになるお客さん。僕は午後の回に行ったのだが、最後列には折りたたみ椅子が並べられていた。午前中はもっと多かったとのこと。火野葦平が、また「花と竜」という作品が、若松の人々にいかに愛されているのかを気づかされた。

 石炭積出港として栄えた頃、仕事を求めて人々が集まっていた若松を舞台にした原作は、葦平の父金五郎と母マンの生き様を綴ったもの。石炭という新エネルギーが国を支えている時代。石炭に仕事を求めて人々がギラギラしていた時代。何度も映画化されているものだが、僕は今回初めて観た。任侠映画というと、仁義きってひたすら斬る斬る・・・そんな活劇のイメージが強かった。
ところが意外と人間ドラマ重視なのに驚いた。日活が撮った本作は石原裕次郎がとても男気ある金五郎像を演じており、実に魅力的だ。それに基本的に喧嘩は嫌いで、ラストゑびす神社の決闘シーンも重傷を負って終わるくらいだから、基本的にアクションを楽しむ活劇ではない。

 それよりも男の生き方、男としての筋の通し方、そこをかっこいい!と楽しむのが吉だろう。その一方で男の馬鹿なところもきちんと描かれている。女性に冷たくできない優しさ、「彫り物は男の紋章」と言われてその気になってしまったり、周囲に認められてちょっと有頂天になってしまったり。この辺りは裕次郎の明るいキャラクターだから描ける部分かもしれない。殴り込みに来ると聞いた金五郎が、ラムネを飲みながら長ドスをたらいでチャプチャプしながら、たった一人で迎え撃とうとする場面が好き。仲間を守ろうとし、自分を貫く姿はかっこいい。

 北九州の歴史として、また石炭産業がいかに重要なものだったのか。ロケ地は注意して観たけれど、門司港駅かなー・・・若松南海岸だろうなぁ・・・というのはわかったけど、昔の風景は僕にはちょっと特定しずらかった。あとは北九州にみたてて撮っているように感じられたが。



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ぼくのエリ 200歳の少女

2011-01-14 | 映画(は行)

■「ぼくのエリ 200歳の少女/Lat Den Ratte Komma In」(2008年・スウェーデン)

監督=トーマス・アルフレッドソン
主演=カーレ・ヘーデブラント リーナ・レアンデション ペール・ラグナー

 いじめられっ子の少年オスカーは友達もなく、夜な夜なナイフを持っていじめる相手に復讐する姿をシュミレーションする。そんな悩みは誰にも言えない。彼が住むアパートの隣室に家族が真夜中に引っ越してくる。夜の中庭でオスカーは隣室に住む少女エリと出逢う。「友達にはなれない」と冷たく言い放つエリだが、二人はだんだんと親しみをもつようになる。一方、町では不可解な連続殺人事件が起こる。

 この映画をジャンル分けするならばホラーということになるだろう。しかし、吸血鬼映画でありながらこの映画で描かれるのは、孤独な少年少女の心の交流。オスカーの孤独感の見せ方がとても上手い。両親はどうやら離婚していてオスカーは母親と暮らしているのだけれど、学校での出来事にも関心がなさそうで、頬に傷を負った日もさほど心配している様子もない。たまに会う父親とオスカーは楽しく遊ぶのだけれど、友人が来ると父親(実は同性愛者?)はオスカーをそっちのけにしてしまう。学校ではいじめっ子グループに追い回されてトイレに隠れる(いじめっ子の声とトイレの鍵だけを撮るナイスな演出)。そしてオスカーは、部屋でナイフを片手に自分がいじめっ子に言われた台詞を繰り返す・・・。

 そんな孤独な彼に理解を示すエリの存在。エリもまたバンパイヤとして長い年月孤独を当たり前の状況として生きてきた。エリがバンパイヤだと気づいた後も、彼はとまどいながらもその現実を理解しようとする。そして彼女が「ここを去って生き延びるか。とどまって死を迎えるか。」と書いた伝言を見て、オスカーは人に向かい合う勇気を得ることに。そしていじめっ子に反撃・・・。二人が心を通わすきっかけになるのが、一人遊びの玩具であるルービックキューブという小道具の使い方、テレビを話題にして母親との溝を表現するのもナイス。原題は英語ではLet The Right One In(モリッシーの曲が由来だとか)。劇中エリは、オスカーの部屋に入るときに(ときに窓からだったりもするのだが)「”入っていい”と言って」と必ずオスカーに許可を求める。正しき者を中にいれよ。それはオスカーにとっての理解者、エリにとっての理解者。二人が壁越しにモールス信号で会話するところもいいね。

 北欧の寒々とした空気感がふたりぼっちの主人公をひきたたせている気がする。だからハリウッドリメイクすると、どんな軽い映画になってしまうのかがかなり心配。映画のクライマックスで、オスカーに訪れた危機をエリが救う。ここはさりげなく残酷描写だが、それを忘れ去ることができるくらいに画面全体にエリの笑顔が映される。それは数百年を生きてきながら、12歳の気持ちになれたようなそんな笑顔。二人に焦点をしぼっていながらも、伝統的吸血鬼映画のお約束(光を嫌う・咬まれて感染)も忘れていない。ラストシーンはいろんなとらえ方があるようにも思うが、それでも二人が幸福を感じられる未来を祈りたい。そんな気持ちにさせられて好感。

(追記)
 陰部が修正された場面があるけれど、あの修正の裏には実はストーリー上で重要な要素がある(エリの過去に関係する)。映像化にあたって配慮せねばならないだろうし、日本公開では修正せざるを得ない部分かもしれないけど、修正の向こう側に映っているものを知ると映画の見方が変わるかも・・・。興味ある方は原作に挑戦する?。無修正版を探してみる?




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1月10日(月)のつぶやき

2011-01-11 | Weblog
23:40 from web
WOWOWで放送された爆風スランプ限定復活ライブ。最初の「月光」から「大きな玉ねぎの下で」まで、もうテレビの前に立ちっぱなし!歌いっぱなし!嫁さんはそんなオレに呆れっぱなし!「無理だ」では電撃ネットワークが登場して最高のライブでした!女子大ダンパで自分が演奏したのを思い出すなぁ。
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宇宙大怪獣ドゴラ

2011-01-08 | 映画(あ行)

■「宇宙大怪獣ドゴラ/Dogora The Space Monster」(1964年・日本)

監督=本多猪四郎
主演=夏木陽介 ダン・ユマ 中村伸郎 藤山陽子 若林映子 藤田進

 東宝怪獣映画は幼い頃から(大きくなっても)いろいろ観てきたが、その中でもドゴラはたいへん地味な存在。空飛ぶでっかいイカのようなその風貌。少年誌のイラストで知られる小松崎茂が原案を「海底軍艦」同様描いている。他の東宝怪獣映画に登場することもなかったから、地味な存在でいるのは仕方ないのだろうけど。

 この宇宙生物ドゴラは炭素を食べる生き物という設定。日本や世界各地で次々に起こるダイヤモンド盗難事件が起こり、ダイヤモンド強盗団、人造ダイヤの研究をする科学者、事件を追う警察、それに謎の外国人がこの事件に関係することになる。そしてドゴラはダイヤだけでなく石炭を求めて北九州にやって来る。

 映画が製作されたのは1964年。若戸大橋完成が1962年9月、翌年が5市対等合併で北九州市が発足するので、まさに北九州がホットな話題であった頃だと思われる。石炭の積出港として代表的存在だった若松がロケ地として選ばれており、若戸大橋と洞海湾の風景はこれでもかっ!というくらいに登場する。怪獣映画のお約束として、当時のランドマークともいえる建物が壊される場面はつきもの。福岡タワーはゴジラに登場するし、現ヤフードームはガメラに破壊された。炭素を食べる以外に暴れることをしないはずのドゴラだが、若戸大橋だけは手(?)を出さずにいられなかったようで、無惨に破壊されて洞海湾に沈むことに。当時、東洋一の吊り橋だった若戸大橋は、今でも北九州を代表するランドマーク。洞海湾上空で怪現象が起こる場面では、画面の左端に上野海運ビル古河鉱業ビルがチラッと映るし、通りにかけられた「花の露」の看板、人々が逃げまどう場面でもいろんな看板がちらほら見えるので、当時を知る人にはどこか特定できるかも。湾内の船で働く人々も観ることができ、当時の様子がわかることだろう。若松出身の天本英世(「仮面ライダー」の死神博士という方がわかる?)もギャング団の一員として出演。白いスーツで変なしゃべり方、無国籍な雰囲気で実に怪しい・・・。

 それにしてもダイヤモンド強盗団の一員若林映子さんがかっこよすぎ!。クールでしたたか、銃弾に倒れる最期の横顔まで実に美しい。この後、「007は二度死ぬ」に出演することになるのだが、ボンド映画に抜擢されるのもこれを観たら納得できるはず。若林映子さんが出てくる場面では怪獣映画を観ていることを忘れてしまう。彼女は強盗団を裏切ってダイヤを独り占めしようとするのだが、思えばダイヤも石炭も同じ炭素であることに変わりはない。それをめぐってだましあったり殺し合ったりする人間たち。この映画は実はそこを皮肉に描きたかったのではなかろうか。





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1月2日(日)のつぶやき

2011-01-03 | Weblog
14:31 from Twitter for iPhone
新年最初の映画は、大分のシネマ5にて北欧映画「ぼくのエリ 200歳の少女」。ホラー映画テイストでありながら、描かれるのは切ない初恋。好き嫌いが分かれる映画だとは思うけど、けっこう好みかも。シネマ5は相変わらず素敵な映画館。帰省する度に、変わらないでいて欲しいと思う場所のひとつだ。
by t_somelikeithot on Twitter

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tak's Movie Awards 2010

2011-01-01 | tak's Movie Awards
日本アカデミー賞よりも権威はないが、同じくらいに歴史はあるわが映画賞tak's Movie Awards。 中学3年のときに、「ロードショー」や「スクリーン」の真似して始めたものが、もう30年目になっちまった。つくづく僕もバカだと思うのだが、これも映画への愛情表現。作り手がその映画に込めた愛情、観客が銀幕に向けた愛情、過去の作品へのオマージュも作り手の愛情。映画を観ることで様々なことに気づかされたり、知ったり。そして知識となったことにまた愛を感じたり。この年齢になると観る映画がかなり限定されてくるだけに、選ぶ努力をせねばならないというのも現実。 そんな中鑑賞した映画から、今年のお気に入りを発表しまする。

★対象は2010年に観賞したすべての映画(映画館・VTR・DVD・BS・地上波全て含む)。新作・旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に製作された映画を対象とする。いわゆるVシネ・OVAなどビデオリリース目的の作品は含まない。

■作品賞=「(500)日のサマー」(2009年・アメリカ)

2010年 最初に行った映画館でこの映画の予告編を観た。ビビッ!ときた。友達が恋人に発展する展開の映画は昔から大好き(例えば「恋人たちの予感」とか)だったけど、この映画には斬新なアイディアと映像があるとともに普遍的な恋愛の確信がある。「すべては偶然の産物。運命と感じるかは自分次第。」予告編でビビッときたことも、大好きなホール&オーツが銀幕から流れたことも、この映画を一緒に楽しんでくれた友達と出逢えたことも、ましてや千円で観られる映画館で上映されたこともすべては偶然。それらを嬉しく、大切に思えるのは、すべて自分自身の心の問題。二つの画面で恋愛の理想と現実を見せられた場面には、これまでの自分の心を見透かされたようで胸があつくなっちまった。「これは恋愛映画ではない」と前置きしている映画でありながら、ここまで恋愛を深く掘り下げた映画はこれまでなかった。

以前に知り合いの元校長先生に「映画をたくさん観る人は恋愛ができる人です。takさんもその一人。」と言われたことがある。(毎年のように言ってる気がするが)こういう映画を観てドキドキできる自分を発見することは、もしかしたらそんなエナジーを補給することなのかもしれないね。

ベスト10
「インセプション」 (クリストファー・ノーラン/2010年・アメリカ)
「インビクタス 負けざる者たち」 (クリント・イーストウッド/2009年・アメリカ)
「カティンの森」 (アンジェイ・ワイダ/2007年・ポーランド)
「(500)日のサマー」 (マーク・ウェブ/2009年・アメリカ)
「17歳の肖像」 (ロネ・シェルフィグ/2007年・イギリス)
「ジュリー&ジュリア」 (ノーラ・エフロン/2009年・アメリカ)
「チェンジリング」 (クリント・イーストウッド/2008年・アメリカ)
「ハートロッカー」 (キャサリン・ビグロー/2009年・アメリカ)
「抱擁のかけら」 (ペドロ・アルモドバル/2008年・スペイン)
「ロシュフォールの恋人たち」 (ジャック・ドゥミ/1966年・フランス=アメリカ)

■特別賞(アニメーション作品賞)=「涼宮ハルヒの消失」(2010年・日本)

ここ数年ほどアニメやコミックに夢中になった時期はない。 職場の何事にもお詳しい同僚やちょいヲタな若い子たちと接していた環境が理由のひとつ。中でも「涼宮ハルヒの憂鬱」にはとにかくハマった。萌え?・・・それも理由のひとつだろうけど(汗)、僕にとっては現実を超越した設定が、高校時代に夢中になった「うる星やつら ビューティフルドリーマー」を思い起こさせたことが何よりも大きい (詳しくはこちら)。ライトノベルはほぼ読破したし、「ハルヒ」と名がつけばとりあえず興味をもってしまう・・・ダメな40代男子になってしまった。いやいや、好きなことを好きと言えないことはよくないことだ !。劇場版単独で「ハルヒ」の世界を理解するのは困難だろう。ハルヒ初心者には、せめてテレビ版の七夕エピソードだけは見ておくことをおすすめするが、それでもきっと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のようなドキドキ感を得られるのではなかろうか。もちろん映画はファンの期待を裏切らず、原作の行間からにじみ出てくる感情を見事に映像化してくれている。原作の「消失編」が大好きな僕は、不覚にも3回泣いてしまった(「グリーンマイル」を観たスピルバーグのコメントみたいだ・笑)。京アニ、グッジョブ!。

■監督賞=クリント・イーストウッド
「インビクタス 負けざる者たち」(2009) 「グラン・トリノ」(2008) 「チェンジリング」(2008)


「今、最も長生きして欲しい映画人は誰?」と尋ねられたら、僕は迷わず「クリント・イーストウッド」と答える。 繰り返し書いてきたことだが、打ち上げ花火のような見世物だらけの現代ハリウッドで、きちんと人間を見つめた映画を撮ることができる監督。しかも国境や時代を超えて、世界に語るべき物語があるうちは死ねない!とばかりに次々と秀作を生み出していくその意欲。そして、僕らはイーストウッド監督のメッセージをきちんと受け継いでいける映画ファンでありたいと思っている。

今年の10人
アンジェイ・ワイダ 「カティンの森」(2007年)
神山健治 「東のエデン 劇場版」(2009年)
キャサリン・ビグロー 「ハート・ロッカー」(2009年)
クリストファー・ノーラン 「インセプション」(2010年)
クリント・イーストウッド 「インビクタス 負けざる者たち」(2009年)「グラン・トリノ」(2008年)
ジム・ジャームッシュ 「リミット・オブ・コントロール」(2009年)
ジャック・ドゥミ 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
中島哲也 「告白」(2010年)
マーク・ウェブ 「(500)日のサマー」(2009年)
ニキータ・ミハルコフ 「12人の怒れる男」(2007年)

■主演男優賞=モーガン・フリーマン「インビクタス 負けざる者たち」(2009年・アメリカ)

社会科の教科書でネルソン・マンデラ氏や南アフリカのことを知っていても、マンデラ氏がいかに祖国を愛していたか、その為に人種間の対立を深めてはいけないと考えていたことを、僕ら日本人は知らない。イーストウッド監督は、そのエピソードを単なる美談に終わらせない。人種や国境を越えた敬意を込めて人を賛美している。そんな監督の気持ちを、銀幕で表現したのはこの人の演技あってこそ。この映画を、モーガン・フリーマンが演ずるマンデラを多くの人に観て欲しい。

今年の10人
クリント・イーストウッド 「グラン・トリノ」(2008年)
ジェレミー・レナー 「ハート・ロッカー」(2009年)
ジョセフ・ゴードン・レヴィット 「(500)日のサマー」(2009年)
ジョニー・デップ 「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)
スティーブ・マックィーン 「ブリット」(1968年)
ダニエル・ディ・ルイス 「NINE」(2009年)
モーガン・フリーマン 「インビクタス 負けざる者たち」(2009年)
ラッセル・クロウ 「3時10分、決断のとき」(2007年)
リー・マーヴィン 「特攻大作戦」(1967年)
レオナルド・ディカプリオ 「インセプション」(2010年)

■主演女優賞=ペネロペ・クルス「抱擁のかけら」(2008年・スペイン)

今年の女優賞はほんっとに悩まされた。アンジェリーナ・ジョリーの絶叫"Did you kill my boy?"は今でも耳に残っているし、バーグマンが年下男性との別れに"I'm old!"と叫ぶのも涙した(NHKドラマ「セカンドバージン」にハマっていたのもその理由か?)。松たか子の淡々とした怖さ、愛を貫くマルティナ・ゲデック、ひっくり返りそうな裏声のメリル・ストリープ、ケイト・ウィンスレットの熱演・・・誰を選んでもよさそうだし。でもそこから選べといわれたらペネロペ!。「抱擁のかけら」の彼女は、ほんとうに輝いている。ファムファタル、わがまま女、恋に燃える女。ペネロペ・クルスの実力と魅力に心から浸れる映画。

今年の10人
アンジェリーナ・ジョリー 「チェンジリング」(2008年)
イングリッド・バーグマン 「さよならをもう一度」(1961年)
カトリーヌ・ドヌーブ 「インドシナ」(1992年)
キャリー・マリガン 「17歳の肖像」(2007年)
ケイト・ウィンスレット 「愛を読むひと」(2008年)
ソン・イェジン 「四月の雪」(2005年)
ペネロペ・クルス 「抱擁のかけら」(2008年)
松たか子 「告白」(2009年)
マルティナ・ゲデック 「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(2008年)
メリル・ストリープ 「ジュリー&ジュリア」(2009年)

■助演男優賞=スタンリー・トゥッチ「ジュリー&ジュリア」(2009年・アメリカ)

成功を収めた人の陰には必ずよき理解者とよき協力者がいる。料理の伝道師として成功し人気者になった主人公には、赤狩りという時代の荒波にもまれ続けた外交官の夫の支えがあった。優しく妻を見守る視線、一緒に感動を共有すること、励まし続けること。女性の成功物語である映画で夫婦のあり方を考えさせられてしまったのは、この人の好助演あってこそ。

今年の10人
アンソニー・パーキンス 「さよならをもう一度」(1961年)
稲垣吾郎 「十三人の刺客」(2010年)
ヴァンサン・ペレーズ 「インドシナ」(1992年)
ジーン・ケリー 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
ジェーソン・ロバーツ 「大
統領の陰謀」(1976年)
ジェフリー・ドノヴァン 「チェンジリング」(2008年)
ジョセフ・ゴードン・レヴィット 「インセプション」(2010年)
スタンリー・トゥッチ 「ジュリー&ジュリア」(2009年)
デヴィッド・シュリース 「縞模様のパジャマの少年」(2008年)
マット・デイモン 「インビクタス 負けざる者たち」(2009年)

■ 助演女優賞=マリオン・コティヤール「インセプション」(2009) 「NINE」(2009)
 
最近アメリカ映画での活躍がめざましいマリオン・コティヤール。 この2本の映画はどちらも主人公の妻という役どころ。片や主人公を時間の狭間という深い闇に沈み込ませる運命の女。片や女癖の悪い主人公に泣かされる耐える女。どちらでも強烈な印象を残してくれる。「NINE」のラストシーンで、それでも主人公を見守る彼女の姿は優しくそして美しい。次点の菅野美穂が演じた先輩花魁も見事だった。「エコエコアザラク」の頃からいい女優だなぁと思ってたけど、脇役でここまで神々しさを感じたのは初めてだったかも。

今年の10人
エマニュエル・ベアール 「天使とデート」(1987年)
エレン・ペイジ 「インセプション」(2010年)
菅野美穂 「さくらん」(2007年)
シャーロット・ランプリング 「ある公爵夫人の生涯」(2008年)
ジャクリーン・ビセット 「ブリット」(1968年)
ジュディ・デンチ 「NINE」(2009年)
ペネロペ・クルス 「NINE」(2009年)
マリオン・コティヤール 「インセプション」(2010年)「NINE」(2009年)
ダニエル・ダリュー 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
メラニー・ロラン 「オーケストラ!」(2009年)

■ 音楽賞=ミシェル・ルグラン「ロシュフォールの恋人たち」(1966年・フランス=アメリカ)

映画が与える夢は人を幸せな気持ちにしてくれる。「ロシュフォールの恋人たち」を観ることの幸福感は、言葉で表現することがとても難しい。オープニングから恋のゆくえにハラハラするラストまで、もうウットリしっぱなし。今年はミシェル・ルグランの楽曲がCMに使われたりもしたし、僕はルグランのベストアルバムを愛聴したし、魅力を再発見した年でもあったかな。

今年の10人
アルベルト・イグレシアス 「抱擁のかけら」(2008年)
カイル・イーストウッド&マイケル・スティーブンス 「グラン・トリノ」(2008年)
椎名林檎 「さくらん」(2007年)
ジョルジュ・オーリック 「さよならをもう一度」(1961年)
ステルヴィオ・チプリアーニ 「ラストコンサート」(1976年)
セシル・コルベル 「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)
マルコ・ベルトラミ 「3時10分、決断のとき」(2007年)
ミシェル・ルグラン 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
モーリー・イェストン&アンドレア・グエラ 「NINE」(2009年)
ラロ・シフリン 「ブリット」(1968年)

■主題歌賞=♪Cinema Italiano(Kate Hudson)「NINE」(2009年・アメリカ)

10年前、「あの頃ペニーレインと」でバックステージの女神だったケイト・ハドソンが、今度はステージの上でこの上ない輝きをみせる名場面!。ミュージカル「NINE」を代表するこの曲はとにかくかっこいいし、映画への愛情にあふれている。

今年の10曲(挿入歌含む)
♪Alice (Avrill Lavine) 「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)
♪Alietty's Song (セシル・コルベル) 「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)
♪Chanson Des Jumelles (Catherine Deneuve (dubbed by Anne Germain) and Françoise Dorléac (dubbed by Claude Parent)
「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
♪Cinema Italiano (Kate Hudson) 「NINE」(2009年)
♪futuristic imagination (school food punishment) 「東のエデン 劇場版Ⅰ」(2009年)
♪Gran Trino (Jamie Cullum & Don Runner) 「グラン・トリノ」(2008年)
♪Light Prayer (school food punishment) 「東のエデン 劇場版Ⅰ」(2009年)
♪Non, Je Ne Regrette Rien (Édith Piaf) 「インセプション」(2010年)
♪カリソメ乙女 (椎名林檎) 「さくらん」(2007年)
♪優しい忘却 (茅原実里) 「涼宮ハルヒの消失」(2010年)

▲ベスト恋愛映画=「四月の雪」(2005年・韓国)

ヨン様主演作なので顔見せ映画のように思われがちだけど、僕はフランス映画を観ているような錯覚に陥った。台詞は気が利いているし、ストーリー上で大事なところは映像だけでじっくり見せる演出は見事。僕が「スポットライト」「恋愛時代」と、今年ソン・イェジンに夢中になったのはこの映画のせいだ。ほんとうにラストシーンがいい映画は、きっと忘れられない映画になる。

▲ベストコメディ映画=「ミックマック」(2009年・フランス)

異形なる者、はぐれ者への愛情を描き続ける映画作家ジュネ。ティム・バートンも同様のテーマを追いかけている人だけど、ハリウッドのシステムに属さない分だけジュネ監督は本当に好きな題材を好きなように撮っていると感じる。武器商人をこてんぱんにやっつける痛快さと、フランス映画らしい優しさにあふれた佳作。

▲ベスト活劇=「十三人の刺客」(2010年・日本)

東映時代劇のクラシックといういい素材を、やりたいように大人が遊んで作り上げた快作。華麗な殺陣がみられる映画ではないけれど、武士としていかに生きるか、男としていかに筋を通すかを徹底したエンターテイメント作品として完成させた三池監督の職人芸に映画愛を深く感じてしまうのだ。

▲ベストミステリー/サスペンス=「インセプション」(2010年・アメリカ)

ハリウッド大作を嫌う僕だが、この映画は別モノ。ノーラン監督の個性がエンターテイメントとして見事に活かされていて、これまでにない斬新なSFサスペンスになっている。複雑な多層構造がわかりにくいという声もあるが、ノーラン監督作が 理解しやすかったらそれこそ返金ものでさぁ!。

▲ベスト人間ドラマ=「インビクタス 負けざる者たち」(2009年・アメリカ)

人が人を変える、政治を変える、国を変える・・・マンデラ氏が いなかったら南アフリカってどうなっていたのだろうか。イーストウッドはどこの国を舞台にしてもそこへの敬意を忘れない。単なる美談に終わらない。

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12月31日(金)のつぶやき

2011-01-01 | Weblog
21:03 from web
ミニシアターが次々閉館しているなんて・・なんとも悲しいですね。一過性の動員数を伸ばすことだけでなく、鑑賞者を育てることこそ映画界は取り組むべきなのだ。☆恵比寿ガーデンシネマ、休館決定!17年の歴史に幕!ラストはウディ・アレン『人生万歳!』 http://bit.ly/hKGN1I
21:50 from web
ドリフの年末特番で「とべ!孫悟空」を30年ぶりに見て大感動。うちの子たちもコントに大ウケしてる。今のお笑いってドタバタがないから新鮮なんだろう。ヒゲダンスの真似して遊び始めた子供をやっと鎮めたのは9時頃のこと。だって紅白が水樹奈々の出番だったんだもん!さあ!次はPerfumeだ!
by t_somelikeithot on Twitter
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Greatest Albums(その3)Arrival/Abba

2011-01-01 | 僕のGreatest Albums


自分の音楽的ルーツを探求するシリーズ第3弾。この辺で洋楽を取り上げよう。本格的に洋楽を聞き始めたのは小学校高学年、アバが最初だった。もちろん、多くの人々と同じように ♪ダンシング・クィーン がきっかけ。もう少し上の世代だと初洋楽はBCRになるのだろうけど、BCRへの世間の熱狂ぶりは小学校低学年のガキンチョにはわからなかった。アバに関してはとにかく夢中になった。口パクだってわかっているのに、TV出演している音楽番組をわざわざラジカセで録音しなおしていた自分が、今思うと恥ずかしい。小学校6年のとき、映画「アバ・ザ・ムービー」が公開され(同時上映はジョン・デンバーとジョージ・バーンズ共演の「オー・ゴッド!」だった)、近眼少年はワクワクしながら観に行ったもんです。今をときめくラッセ・ハルストレムが監督していたというのは、後から知ったことだけど劇場で観ておいてよかった、と心底思う。思えばポスターを部屋にはった初めての洋楽アーティストだったな。ウン。

ヒットチャートでのアバは80年代に入って急速にその影を潜めることになるのだけれど、ミュージカル「チェス」で男性陣が、女性陣がソロアルバム出したりするのはやはり注目していた。アグネッタがピーター・セテラとデュエットした曲もありましたよね。

この「アライヴァル」は♪ダンシング・クィーンはもちろん、♪ザッツ・ミー、♪ノウイング・ミー、ノウイング・ユー、さらに今やうちの6歳児までもが口ずさむ♪マネー・マネー・マネー(笑)まで収録した捨て曲なしの名作。楽曲としては、このアルバム以外にも好きなものはたくさんある。例えば ♪サマー・ナイト・シティ や ♪ダズ・ユア・マザー・ノウ あたりのノリのいい曲たちは、アバのコピーバンドやろ!と言われたらすかさず選曲会議に出すだろう。誰かコピーバンドやりません?(どこでだ)。


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