Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2024年7月のプレイリスト

2024-07-31 | 今日のBGM



◆2024年7月のプレイリスト
2024年7月に聴いていた愛すべき31曲

1 雨に泣いてる(duet with 柳ジョージ)(鈴木聖美)
九州は豪雨☔️。歌詞にある"そぼ降る雨"ではないけれど、この曲でスタート。
2 コード(SUPER BUTTER DOG)
D6 F6 D6 F6 D6 F6 C6 B♭6…って歌うイントロ。これなら🎹演奏間違えないよなw
3 HALLE(カシオペア)
重たい気分をアゲてくれる一曲⤴️
4 夏のポラロイド(崎谷健次郎)
この曲の歌詞、秋元康の傑作。
5 what's going on(中原めいこ)
大学時代、バンドの選曲会議に出したら猛反対された😝。こんなにカッコいいのに。
6 Cupid's Dead(Horn Mix)(Extream)
カッコいいとはこういうことさ👍
7 Yankee Rose(David Lee Roth)
スティーブ・ヴァイの大活躍🎸♪⚡️ サビの後のキメのフレーズが大好き。
8 Blast !(TRUE)
「響け!ユーフォニアム」劇場版主題歌。言葉の選び方が素晴らしくって🥹
9 Dream Boat Annie(アン・ルイス)
アルバム「Pink Pussy Cat」に収録されたハートのカバー。
10 I Wish It Would Rain Down(雨にお願い)(Phil Collins)
悲しみを洗い流すように雨が慰めてくれる…と歌うラブバラード。九州は再び豪雨☔️なんだけどね。

11 心よ原始に戻れ(高橋洋子)
「魂のルフラン」に劣らない魅力の一曲。カラオケで歌いたい🎤♪
12 てぃーんずぶるーす(後藤輝基)
藤井隆プロデュースによるフット後藤のカバーアルバム。原田真二とはいい選曲センス😊
13 ヨコハマ・モガ(原由子)
鮎川誠とのデュエット曲。
14 サイレントムーンにつつまれて(吉川晃司)
アルバム「LA VIE EN ROSE」収録の佳作。8分音符連打アレンジがいい雰囲気。
15 絹の靴下(畑中葉子)
裸の私に火をつけて♪ってこの人に歌われたら、たまんないよねww
16 ADRENALIZED(水樹奈々)
アニメ「HIGHSPEED Étoile」OP曲。
17 While You See A Chance(Steve Winwood)
リードシンセの音色が好き。愛機YAMAHA CS-01で弾いて歌いたい!とあの頃思っていた。いや、今もか。
18 宇宙は大ヘンだ!(松谷祐子)
アニメ「うる星やつら」ED曲。
19 I See The Light(輝く未来)(中川翔子、海宝直人)
テレビの歌番組よりラプンツェル楽曲。
20 KATOKU(レキシ)
80年代前半ぽいイントロから、最高の歌い出し"世襲制♪"何度でも聴きたい😆

21 Rock Around The Clock(Bill Haley & His Comets)
映画「暴力教室」鑑賞。
22 夜祭音頭(緑黄色社会)
今どきバンドがまさかの音頭!?遊びの効いた歌詞が楽しい😆
23 I Feel For You(Chaka Khan)
ちゃかちゃかちゃかちゃか♪
24 Exploration(The Jazz Avengers)
待望の2ndアルバムより。
25 おジャ魔女カーニバル!!/feat.百田夏菜子(森口博子)
来月リリースの森口博子アニソンカバーアルバムより。
26 真夜中のドア〜Stay with me(才恵加)
🎷吹きたい♪
27 Mon truc en plumes(羽飾りのトリック)(Zizi Jeanmaire)
パリ五輪開会式でLady Gagaがパフォーマンスした楽曲。男声スキャットが粋。
28 Say Anything(X Japan)
🎹弾き語りしたことあるのです。
29 Downtown Train(Rod Stewart)
Tom Waitsの名曲カバー。
30 Change(新しい学校のリーダーズ)
映画「もしも徳川家康が内閣総理大臣になったら」主題歌。予想外に真面目なお話。

31 California Shower(渡辺貞夫)
お子ちゃまの頃、ナベサダに全く興味なかったのに近頃このアルバムよく聴くのです。そして猛暑は続く😓☀️








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ザ・メキシカン

2024-07-28 | 映画(さ行)


◾️「ザ・メキシカン/The Mexican」(2001年・アメリカ)

監督=ゴア・ヴァービンスキー
主演=ブラット・ピット ジュリア・ロバーツ ジェームズ・ガンドルフィーニ J・K・シモンズ

ブラピとジュリアの二枚看板を掲げ、スタアで客を呼ぶハリウッドらしい娯楽作。普段なら絶対にセレクトしない類の映画なのは百も承知。監督も(苦手としている)カリブの海賊の人だし。観たくなった理由は、ジュリア・ロバーツが劇中で乗る緑色のVWニュービートル。映画で走る姿を見たくなったんでした。こんな動機で観る人いないよね。

ブラピが雇われる組織内の裏切りドラマが分かりにくいとか、立ちションしてる人にあんな角度で弾丸が当たるのかとか、手錠で繋いだJ・K・シモンズ先生のその後とか、ツッコミどころは多々ある。伝説の銃の逸話を、ギャングだけでなく、現場の警察官まで語り倒せるって、どんだけ世に知られた銃なんだよ。それでも、ブラピのメキシコパートも連れ去られたジュリアのパートも、それぞれに凝った展開が用意されていてそれなりに最後まで楽しめた。彼女役はチンピラに惚れそうな現実味のあるキャスティングの方が…と思っていたが、並行する2つのストーリーを対等にみせるにはジュリアくらいのスタアである必要があったのかも。

その功労者は殺し屋を演じたジェームズ・ガンドルフィーニの存在が大きい。結果としてジュリアを守ることになり、心が離れそうになっているジュリアに気づきを与える存在になっているのがいい。それが映画後半退場するのが残念なのだが、「友達なのに!」とまで口にするジュリアが、意外なほど気持ちを引きずらないのはちと納得がいかず。まぁこれもスタアの顔見世娯楽作だし、と割り切らないといけないのかなぁ。

必殺シリーズみたいな哀愁のトランペット、リズム重視の劇伴、いかにもメキシコ!な音楽。不細工なワンちゃん、もっと活躍が見たかった。あ、お目当てのニュービートル素敵でした。






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メグレと若い女の死

2024-07-26 | 映画(ま行)


◾️「メグレと若い女の死/Maigret」(2022年・フランス)

監督=パトリス・ルコント
主演=ジェラール・ドパルデュー ジャド・ラベスト メラニー・ベルニエ

ジョルジュ・シムノンの原作シリーズは読んだことがない。主人公のメグレ警部(本作では警視)がメガネ少年探偵に出てくる警部の元ネタという程度の知識しかなくて(恥)。ジャン・ギャバンがメグレを演じた映画は存在は知っているが観たことはない。そんな僕が「メグレと若い女の死」に挑んでみた。だって、監督がパトリス・ルコントなんだもの。

身元不明の女性の死体が発見される。所持品とは不釣り合いな高級ドレスは、ナイフでメッタ刺しで血に染まっていた。メグレはそのドレスを手がかりに被害者のパリでの生活に迫っていく。夢を追ってパリに出てきた女性たちの生活が浮かび上がってくる。

ジェラール・ドパルデューの演技は終始抑え気味で、彼の他の出演作で見られる暑苦しいまでの存在感も、真相を突きつけるポワロのようなミステリーの派手さは全くない。被害者女性の身辺を探るうちに、メグレ自身が重ねていく心情を、ボソボソした台詞と行動から味わう人間ドラマが映画の主軸になっている。ジャン・ギャバンが演ずるメグレも寡黙なキャラクターだと想像できるが、そのイメージも重なっているのかな。本作は人情話の刑事ものと理解したが、他の作品はどうなんだろ。ギャバン版を観てみたい。

全体を通して貫かれるのは暗くて淡い色彩の映像。もの寂しいムードは、パトリス・ルコントの主要作にも通じるところ。それなりに満足できたけれども、僕が物足りなさを感じているのは"男と女"の話じゃないからなのかも。



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北京原人の逆襲

2024-07-24 | 映画(は行)

◾️「北京原人の逆襲/猩猩王」(1977年・香港)

監督=ホー・メンホア
主演=ダニー・リー イブリン・クラフト クー・フェン

ジョン・ギラーミン監督の「キングコング」が大ヒットした1976年。その人気にあやかって翌年に製作された香港映画が本作「北京原人の逆襲」である。巨大な類人猿が暴れるだけでなく、半裸の金髪美女、探検隊を襲う猛獣、象の大群、そして描かれる人間のエゴ。刺激に満ちたまさに商魂の塊のような映画。初めて観たのはフジテレビ系の映画番組だった。

当時の僕は中学生。破壊される村のチープなセット、襲うどころかジャれてるとしか見えない猛獣たちに唖然としながらも、亜流の大猿映画に見入ってしまった。だって、ヒロインを演じたイブリン・クラフトのお姿がとにかくお子ちゃまには刺激的でw。わずかな布面積にドキドキ。

2024年7月にDVDで再鑑賞したのだが、特撮スタッフには「ウルトラマンエース」の関係者が参加していると知る。改めて観ると北京原人の操演はなかなか。また、主役の冒険家は「狼/男たちの挽歌 最終章」の刑事さん。あの葛藤の演技はよかったよなぁ…と周辺情報を得て、あんまりこの映画をバカにしちゃいけないのでは?と思った。だが、いかんせん本筋のストーリーは、本家の良いところにギラギラした大人の汚さが加わって、大人になった今の寛大な視線でも、キツいなぁと感じる。まぁそれも楽しめばよし。

(以下、蛇足)
ヒロインの露出が気になって仕方なかった方へ。DVDの特典映像にある予告編は、本編よりも露出過多ですよっ♡






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幸福な結婚記念日

2024-07-24 | 映画(か行)


◾️「幸福な結婚記念日/Heureux anniversaire」(1962年・フランス)

監督=ピエール・エテックス ジャン・クロード・カリエール
主演=ピエール・エテックス ジョルジュ・ロリオット

ピエール・エテックスの短編第2作。前作「破局」のコントのような一人芸とは違って、映画として映える仕掛けがいっぱい。

結婚記念日を夫婦で祝うために帰路につく夫。ところが大渋滞で車は一寸ずり(方言ですみません💧)、さらに路上駐車のトラブルに巻き込まれ、なかなか家に帰りつかない。待ちくたびれた妻は料理をつまみ食い。果たして二人は無事に記念日を祝うことができるのか?

わずか13分の短尺。次に何が起こるかワクワクさせるエピソードが詰め込まれて、楽しい楽しい。前作同様にエテックス自身は台詞も少なめで、誰にも伝わるギャグや描写を織り込んでくる。

渋滞場面ではいかにクルマが動かないのかを、車中の仕事や洗車、路上の吸い殻で表現。ジャック・タチとのつながりを念頭に観てしまう映画ファンには、「トラフィック(ぼくの伯父さんの交通大戦争)」とイメージが重なってくる。モータリゼーションの皮肉な笑い。

そして脇役まで笑わせてくれる。路上駐車から端を発して散々な目に遭う床屋の客がとにかくかわいそう🤣。そして物を言わぬラストシーン。散々な記念日ではあるのだけれど、なぜかほっこりした気持ちになる。子供に見せても、この面白さは伝わるだろな。

長編にも挑んでみよう。楽しみっ。





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キングダム 大将軍の帰還

2024-07-21 | 映画(か行)


◾️「キングダム 大将軍の帰還」(2024年・日本)

監督=佐藤信介
主演=山﨑賢人 大沢たかお 吉沢亮 清野菜名 小栗旬

第1作を観た時、妙に居心地が悪かった山﨑賢人の今どきヤンキーな口調。礼儀知らず世間知らずなのに、さすがに4作目にもなるとこれが頼もしく聞こえてくるから不思議。本作のラストでは、兵士たちに語りかけ、大将に代わって号令まで。出しゃばりにも程がある。でもその図々しさも許せてしまう頼もしさ。将軍の馬からの景色を覚えておきなさい、と言われる場面の、これまでにない真顔とまっすぐな視線。信の成長物語はまだまだ止まらない。やっぱり面白いな、このシリーズ。

「キングダム」は人の上に立つ者はどうあるべきか、というリーダー論を、主人公信と一緒に様々な登場人物から考える物語でもある。人の痛みを知るからこそ戦のない世のために中華統一を目指す秦王、第2作に登場する麃公(トヨエツ)の大局を見る戦運び、先頭に立って突っ走る縛虎申、それぞれの立場で発揮されるそれぞれのリーダーシップ。そして人柄も実力も兼ね備えた天下の大将軍王騎(大沢たかお)。それらは百人大将となった信の行動にも大きな影響を与えていく。

第4作となる「大将軍の帰還」は、事実上王騎将軍が主役だ。ここにきて王騎をめぐる過去の出来事が明らかになる。これが実にドラマティック。キングダムの映画化は、過去の出来事を描く回想シーンが異様に長い。囚われの身だった時代の秦王を描く第3作前半は、かなりの尺を費やしていた。秦王の信念を描く上では重要なエピソードで、僕もやたら感動したのだけれど、戦いの行方だけに大きな期待をした観客には多少焦ったいのかもしれない。第4作でも、秦国武将の一人摎をめぐる過去のパートが登場する。ホウ煖との因縁を語る上でも重要な部分だが、これが映画全体の話を途切れさせることもなく、むしろ王騎の人柄を印象づけることにも成功して、クライマックスに向かう観客に見届ける覚悟をさせるようにも感じられた。映画自体は確かに長尺になったけれども、無駄には感じられなかった。戦闘シーンとそれ以外のシーンのバランスがいい印象。

羌瘣が尾到の死を悼む言葉から彼女に芽生えた仲間意識が感じられる場面、王騎にかけられたひと言に摎がキュンキュンする場面、草刈正雄の昭王の言葉、王騎が馬上で語りかけるラストまで、挙げたら止まらないくらいにいい場面がある。もちろん原作の良さがあってのものだが、佐藤信介監督はどんどん登場人物が増える群像劇をうまく演出していると感じた。本作は短い場面でも心に残るのはそのせいだろう。

この先まだまだ話は続くのだが、映画化はどうなるんだろう。

小栗旬演ずる李牧のキャラがなーんか嫌い。喋りに加えて、あの南蛮渡来みたいな装束は何だよ、戦場だぞ。第4作では側近のカイネも台詞が増えてきて、二人が並ぶ場面では急に映画の重厚感が薄れる気がしてならなかった(個人の感想です)。昨年第3作を観た後、
😒「李牧でしたっけ?小栗旬が出てくると途端に空気が軽くなるから、個人的に嫌いなんですよねー」
と原作未読の僕は職場で発言した。すると上司からひと言。
😼「何言ってるんですか。李牧はこの後の超重要キャラクターなんですよ。」
ありゃ🙄そうなのか。ってことは、小栗旬のチャラさにこれから耐えなきゃいけないのか。大丈夫かオレ。でも「片腕必殺剣」みたいな要潤の華麗な剣さばきが、きっとこんな僕をこれから救ってくれるはずw

王騎ロスになりそうです。ンフフフ。





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破局

2024-07-18 | 映画(は行)


◾️「破局/Rupture」(1961年・フランス)

監督=ジャン・ピエール・カリエール ピエール・エテックス
主演=ピエール・エテックス

フランスのマルチアーティスト、ピエール・エテックス。僕はよく知らなかったが、コメディアンとしてだけでなく、グラフィックデザイナーなど様々な才能を発揮した人物。近頃、往年のフィルムが修復されて、日本でもレトロスペクティヴが催され、本邦初公開作品もあったとか。ジャック・タチともつながりがあると聞き、興味があった。「ル・アーブルの靴みがき」でお医者さん演じてた方なのか。

本作は12分の短編で一切台詞はない。別れの手紙を書くために悪戦苦闘する男の姿を追うだけの映画だ。ペン先、インク壺など文具に弄ばれているようなギャグの応酬はクスクス笑えるのだが、これが次々に繰り出されるから、ずーっと面白い。

物事がうまくいかない時って、次々に失敗をやらかす。切手のギャグなんて、実際やらかしても不思議じゃない。手紙一枚のために部屋が散らかっていく様子が面白い。「ミラクルワールド/ブッシュマン」のクライマックスで、ド緊張した動物学者の男性が告白する場面を思い出した。彼女から送られてきた、破った写真を送りつける別れの手紙。これに復讐してやろうとする動機から、女性の目線に気づかない鈍感さまで、多くの方が共感できる小市民の笑い。

車の間を縫うように歩き回るオープニングから、なんかワクワクさせられた。そしてこっちまで声をあげてしまいそうなラストシーン!🤣



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マネー・ピット

2024-07-16 | 映画(ま行)


◾️「マネー・ピット/The Money Pit」(1986年・アメリカ)

監督=リチャード・ベンジャミン
主演=トム・ハンクス シェリー・ロング アレクサンダー・ゴドノフ

この映画が公開されたのは1986年12月。いわゆる正月映画として、「ハワード・ザ・ダック 暗黒魔王の陰謀」と二本立てで上映された。正直なところ、「ハワード・ザ・ダック」のリー・トンプソンがとにかく見たかったのだ。確かに「ハワード」は面白かったのだけど、予想以上に楽しんだのはむしろ「マネーピット」だった。

トム・ハンクス演ずる主人公は若手の弁護士でヴィオラ奏者の彼女がいる。二人は故あって住まいを探すことになり、見た目立派な格安物件を購入。幸せな生活が始まるのかと思ったら、それはとんでもない欠陥住宅だった。マネーピットとは金食い虫。

とにかく家が壊れ続ける。玄関ドアは枠から倒れ、壁に埋められた電線からは火花が走り、バスタブは派手に落下する。もう笑うしかない。

多くの方の感想にもあるけれど、僕ら世代には、子供の頃土曜8時に家族で見ていた「8時だよ!全員集合」のコントを思い出さずにはいられない。セットの家が崩れる派手な仕掛けで、そこで右往左往するコントは単純におかしくて。トム・ハンクスもこの頃はコメディアンだったんだしね。

しかしお話はそれだけではなくて、元カレの指揮者(「ダイ・ハード」のテロリスト一味だったアレクサンダー・ゴドノフ)がからむ三角関係、すれ違いから起こった二人の危機がストーリーに大きく絡んでくる。恋人の関係にヒビが入る中、家もあちこち壊れ始める。階段は崩れ落ち、まるで崖のように2階床にしがみつく。製作総指揮はスピルバーグだけに、「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」のクライマックスみたいないわゆるクリフハンガー描写。それが家の中で起こり、愛の行方がからむ二重のハラハラなのだ。

80年代のハリウッドコメディは、特撮も含めてビジュアルで笑わせようとする作品が多かった。チャップリン育ちのクラシック映画好きの僕は、そうした当時の娯楽作をなんか違うと嫌っていた。そんな中で観たこの「マネーピット」は、アナログな破壊ギャグの応酬と人間模様のおかしさ、さらに恋愛模様が同居する、当時流行りの路線とは違う作品。興行的には確かに振るわなかったと聞くが、当時の僕には心に残る映画だった。シンプルなドタバタが恋しかったんだろうな。






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暴力教室

2024-07-14 | 映画(は行)


◾️「暴力教室/Blackboard Jungle」(1955年・アメリカ)

監督=リチャード・ブルックス
主演=グレン・フォード アン・フランシス シドニー・ポワチエ ビック・モロー

両親の影響でいわゆるオールディーズをあれこれ聴いていたもので、Rock Around The Clockが使われた映画として本作の存在は知っていた。


One Two Three O'clock
Four O'clock Rock♪

実際に観るのは今回が初めて。不良の巣窟のような高校で働くことになった新任教師が、学ぶ姿勢のない生徒たちにいかに接するかを悩みながらも、次第に信頼を勝ち取っていく姿を描いた作品。

音楽から知ったせいで、不良少年のロケンロール映画だと勝手な先入観を持っていた。とんでもない。扱うテーマは実に重い。映画冒頭には、現場の問題を世間に知って欲しい…めいた内容のテロップが流れる。50年代のアメリカでは社会問題となっていたことがうかがえる。

「暴力教室」とのセンセーショナルな邦題がつけられたのも理解できる。女性教師への強姦未遂から始まって、路地裏で主人公がストリートギャングに囲まれ、彼の家庭への嫌がらせ。公開当時の日本でも国会議員が内容を問題視して、上映制限や禁止を働きかける事態が起こったと聞く。当時としては衝撃的な映画だったのだろう。僕は「3年B組金八先生」第2期の"腐ったミカンの方程式"をリアルタイムで見ている80年代青春組。大人たちが騒いでたのをよーく覚えている。似たような騒ぎだったんだろう。90-00年代なら「バトル・ロワイヤル」で大人たちが騒いでた様子を思い浮かべたらいいかも。

グレン・フォード演ずる新任教師が、黙って睨みつける生徒たちの間を通って通勤する場面のうすら寒い怖さ。数学教師が嫌がらせを受ける絶望感や、夫の浮気との嘘を信じて精神を弱らせていく妻の姿は、痛々しくて辛い場面ではある。

そうした重苦しい流れを変えてくれるのは、逃げない主人公の姿。ジャックと豆の木のアニメーションを見せて、それをテーマに授業をする場面では、ジャックの貧困、大男とジャックの立場の違い、大男を殺して幸せを掴むことの賛否、と様々な意見を引き出す。ものの見方、立場や人種の違いを考えさせるきっかけにする試みだ。僕も映画をネタに世間を考える授業をやったことあるもので、この場面はグッときた。そしてそんな主人公の行動が少しずつ周囲の先生方も変えていく。

教室でナイフを抜いて暴れる生徒と向き合うクライマックス。ついに主人公はこれまでの怒りを口にする。他の生徒たちとの間に芽生えていた信頼が感じられるこの場面、なかなか感動的だ。しかしながら、この映画は生徒たちの身の上、彼らが非行に走る原因に深く立ち入らない。第二次大戦の影をチラつかせる程度だ。学校で起きている社会問題を世に示す映画ではあったが、そこはちょっと保守的な映画と受け取れなくもない。教室で暴れる生徒を抑え込んだのは星条旗だったし。それでも、黒人生徒(シドニー・ポワチエ)との交流がしんみりとした感動をくれる。

妻役のアン・フランシス。見たことあるよなー、と思ったら「禁断の惑星」のヒロインなのか。








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男性・女性

2024-07-12 | 映画(た行)


◾️「男性・女性/Musculin Feminin」(1966年・フランス)

監督=ジャン・リュック・ゴダール
主演=ジャン・ピエール・レオ シャンタル・ゴヤ 

勝手ながらアイコンに使用している画像。出典はこの映画、ジャン・リュック・ゴダール監督の「男性・女性」。ジャン・ピエール・レオのキョトンとした表情がいい。社会人になってすぐの時期にトリュフォーの「大人は判ってくれない」を観て、それ以来、ジャン・ピエール・レオが演ずるどの役にも、やり場のない日常の不満を抱え込んでるように見えて、どこかで自分を重ねていた。「男性・女性」のチラシのデザインは、円い画像を中心に単色の黄色で彩られたシンプルなデザイン。それが気に入って、以来アイコンとして勝手に使い続けている。

さて。映画「男性・女性」は、政治好きゴダールが若者へのインタビューを織り交ぜながら、当時の若者の姿と時代の空気をフィルムに閉じ込めた作品だ。ベトナム反戦や政治や広く世の中に反抗的な態度をとりながら、一方で恋と日常を楽しむ。そんな"マルクスとコカコーラの子供たち"の姿を追う。兵役帰りの主人公ポールと、新人歌手のマドレーヌの恋。

すぐに自分の哲学や信念を大声で唱え始めるポール。マドレーヌを口説く場面も自分本位で強引で観ていてイライラする。もっとイライラするのはゴダールの演出。やっぱり相性が悪いのだろうか。あまりの長回しと、街頭生録りによる環境音混じりのセリフが、なんか焦ったい。

世論調査だというインタビューも、個人的な質問から政治的な立場や考えを「知らない」「答えられない」と言われながらも、しつこく問いかけ続ける。女の子を口説く場面も似たようなやり取りが延々続く。まぁこの監督こそ観客がどう思おうと自分を貫く人だから。しかし、突然突き放すような空虚なラストシーンを押し付けてくる。会話ばかりでストーリーが進んでいなかったように感じていたから、これには驚かされる。

ヒロイン、シャンタル・ゴヤが歌うシャンソンと、ファッションがキュート。自分をほっといて友達とこそこそ話す彼女に苛立ったポール。そんな彼の頬にキス。素敵な場面だ。

政治色の強さがあって、確かにめんどくさい映画だが、そこを耐えれば(笑)ちょっとめんどくさいやつらの青春映画として観ることもできるかと。



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