Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2025年1月のプレイリスト

2025-01-31 | 今日のBGM

◆2025年1月のプレイリスト
2025年1月に聴いていた愛すべき31曲

1 The Times They Are A-Changin' (時代は変わる)(Billy Joel)
ボブ・ディランのカバー。2025年、時代はどう動くのか。
2 ワガママ MIRROR HEART(大橋彩香)
アニサマをチラ見したら流れてきた。どんなアニメの曲か知らないがいい歌詞。
3 Where Does My Heart Beat Now(哀しみのハートビート)(Celine Dion)
久々に聴いた。ホイットニーの曲とタイトルを間違える私💧
4 Both Sides Now(Joni Michell)
いろんな映画で使われているが、どれも主人公に気づきを与えるいい場面。
5 踊り子(Vaundy)
紅白で初めて聴いてサブスクで聴き直す。この時代に珍しいシンプルな8ビート。
6 High Life(Eve Hewson & Oren Kinlan)
映画「フローラとマックス」鑑賞。アイルランドの音楽映画にハズレなし。主演のイヴ・ヒューソンはボノ(U2)の娘。
7 Hold On(Wilson Phillips)
美しいハーモニーに癒される。
8 Anything For Love(Gordon Lightfoot)
デビッド・フォスター楽曲は大好き。
9 Somebody's Baby(誰かが彼女を見つめてる)(Jackson Brown)
思わずハモってしまう私♪
10 雪、無音、窓辺にて。(長門有希(CV:茅原実里))
北部九州は雪☃️

11 DOUBLE-CROSSING(井上鑑)
アルバム「預言者の夢」は、高校時代にカッコいいと思ってたサウンドの代表。
12 Au Revoir(Malice Mizer)
ふと聴きたくなりまして。歌えたらカッコいいだろうなぁ🎤♪
13 時間よ止まれ(クレイジーケンバンド)
思い出になる恋と西風が笑うけれど/この女に賭ける
14 涙のアベニュー(サザンオールスターズ)
初期のシングル曲ではお気に入りだった。中坊のオレは渋好みw
15 海を見ていた午後(荒井由美)
癒しの名曲。
16 時は流れて(萩原健一)
大学時代、先輩のセッションに呼ばれて🎹演奏。これを弾く19歳の俺って生意気w
17 Drag Him To The Roof(Toto)
この頃からルカサーバンド色が強くなる。でもどの時代にもそれぞれのよさがある。
18 The Highway Prince(Keyboard Prince)
ロックキーボードの永川敏郎とYUHKIによるユニット。プログレ好きにはたまらん♪
19 Silent Jealousy(X JAPAN)
様式美と激しさと無駄に長い間奏と、僕がロックに欲しい要素が詰まった作品。
20 アナログマガール’18(あゆみくりかまき)
簡単にデジタルでやりとりできる時代に、伝えられないのはキミガスキ♡というアナログな思い。

21 二人のバカンス(竹内まりや)
いかにも80年代!なキーボードとメロディ。清水信之と林哲司なんすね。納得😊
22 Lakai(Casiopea)
リラクゼーションにもってこいな曲よね。
23 ずっと作りかけのラブソング(秦基博)
映画「35年目のラブレター」試写会に参加。ストーリーとも重なるいい曲。
24 エイリアンズ(JUJU)
癒しのカバー。
25 星より先に見つけてあげる(森口博子)
会いたい気持ちは空を越えるのです。
26 SCOPE(Aimer)
アニメ「天久鷹央の推理カルテ」主題歌。
27 春夏秋冬(泉谷しげる)
久々に聴くと歌詞がしみる。報われない思いを抱えているのかな。
28 主人公になろう!(feat.鈴木愛理)(オーイシマサヨシ)
やっちゃった♪やっちゃった♪
29 裸足の女神(B'z)
B'z楽曲にしては歌いやすいので、一時期カラオケで歌いまくっておりました🎤♪
30 Just Another Broken Heart(涙のブロークンハート)(Sheena Easton)
初期シーナ・イーストンは時々無性に聴きたくなる。

31 この夜にさよなら(甲斐バンド)
あんたの愛を身にまとって/もうこの夜にさよなら






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わんだふるぷりきゅあ!

2025-01-30 | テレビ・アニメ


2024年の2月。きらら系のきゃわゆいアニメ好きな長男が「今期のプリキュアは面白いらしい。犬が変身するんだぞ👍」と言ってオススメしてきた。日曜の朝、その時間はボーッとして、なんとなく朝日放送つけてるし…と見始めたら、自分が家族でいちばんハマってしまった💧。全50話完走。2024年、「光る君へ」と並んでどハマりしたテレビ番組となった。いい歳したおっさんがすみません💧

ペットと飼い主、動物と人間、ひいては自然と人間がテーマ。ヒロイン、犬飼いろはは動物と友達になる夢を持つ中学生。愛犬こむぎがいろはと言葉を交わしたいと願ったことからプリキュアになり、いろはもその力を手にする。闇を抱えて我を失った動物たちを落ち着かせて、元いた場所に帰してあげるのが、今回のプリキュア。動物たちを暴走させる元凶が存在するのだが、今回は戦う女の子の話じゃなくて、共存と相互理解の物語。

思えばうちの長男が初めて真剣に見たウルトラマンシリーズはウルトラマンコスモス。本当は敵なんかいない。まずは相互理解と共存をめざす癒しのウルトラマンだった。あれを見て友達思いの男子に育った長男が、20 年経って戦わないプリキュアを親に「いいぜ👍」と勧めてくるなんて、勝手につながりを感じてしまうw。あ、親の勝手な思い込みです😆

いろんなことで分断が起きている今の世の中で、分かり合えることがどれだけ素敵(ワンダフル)なことなのかを、この作品は教えてくれる。また、これまでのシリーズになかった、男女の恋物語が織り込まれたことも特筆すべき。未就学児にこんな話を!とめくじらを立てるお母さまもいらっしゃるかもしれないが、男女間の"好き"を"特別なワンダフル"と表現したのはグッジョブ。サトル君の告白回は、クッション抱きしめてテレビの前でわーきゃー♪言ってたわたくし(恥)💦。それは相棒プリキュアで"おもしれえ女"と評された、まゆ(キュアリリアン)と似たようなリアクションww

こむぎの前の飼い主が登場したり、ペットとの死別を描いたシリアスなエピソードも含まれるシリーズの構成は見事。そんな回では、キュアフレンディの決め台詞「あなたの声を聞かせて」が強烈に涙腺を刺激しやがる🥹。種崎敦美は本作もいい仕事でした👍

えーと、推しはキュアニャミーです。




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35年目のラブレター

2025-01-28 | 映画(さ行)


◼️「35年目のラブレター」(2025年・日本)

監督=塚本連平
主演=笑福亭鶴瓶 原田知世 重岡大毅 上白石萌音

久々の試写会。いち早く観る機会を与えていただき感謝です。

幼い頃の家庭環境が原因で学校にも通えず、文字の読み書きができない保。寿司職人として働いていたが退職後、夜間学校に通う決心をする。長年連れ添った妻に感謝を伝えるために、読み書きを学んでラブレターを書く。それが彼の目的だった。しかし学習する経験がない保には多くの時間が必要だった。

夜間学校が舞台の感動作か。松竹が得意そうな題材だよね、と思っていたら東映のマークがどーーーん(波🌊)。教育映像の製作も手掛けている東映だから、もしかしたらちょっとお堅い描写が入ってきたりして。確かに識字率に関する説明過多なセリフこそあったけれど、全体としては観客の多くが期待するまっすぐな愛情物語。結末は期待を裏切らない。

でもね。だからって、予定調和とか意地悪な言葉でこの映画を評するのはやめて欲しい。この映画が素晴らしいのは、結末に至るまでに積み重ねられた小さなエピソードのひとつひとつなのだ。結婚を決断するまでの葛藤、妻から渡された手紙を読めない悔しさ、夫を支える決心。夜間学校に通う決心、今まで関わってこなかった人々との出会い、主人公がつなぐ人と人。そのひとつひとつが愛おしいと素直に思える。

それらのエピソードには、印象的で素敵な台詞がたくさん散りばめられている。特に好きなのは、「嫌いなものでも、いいところを3つ挙げると好きになる」という妻の台詞。クライマックスでも泣かせどころになる言葉だけど、これは実生活でも使えるかも!と思った。くわばたりえが回覧板持ってくる時の挨拶も好きw。

映画観ながら、自分の毎日に応用できるような何かを見つけるのって楽しい。僕らの日々の暮らしだって、この映画と同じく、ちょっと愛しい小さなエピソードの積み重ね。知らなかった何かを知ることは、いくつになっても少しだけ僕らを成長させてくれる。

九州出身の原田知世がこの映画で聞かせる関西弁は、勢いではなくて諭すような優しさがある。台詞をすんなりと受け止めることができたのは、そのせいもあるのかも。

あ、最後に意地悪な感想を言わせて。若い頃が上白石萌音、歳とってからが原田知世というキャスティング。タレ目のヒロインがどうしたらキリッと細目の原田知世になるのさ。若い頃を演じたティーンの俳優がきゃわゆいタレ目だったのに、大人になったら常盤貴子になってた東映映画の記憶があるもので💧。苦労している若い時代を上白石萌音が演ずると、朝ドラのイメージがあるから、観客は感動するだろうという計算ずくかも。




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引き裂かれた女

2025-01-25 | 映画(は行)


◼️「引き裂かれた女/La Fille coupée en deux」(2007年・フランス)

監督=クロード・シャブロル
主演=リュディヴィーヌ・サニエ ブノワ・マジメル フランソワ・ベルリアン

お天気キャスターのガブリエルは、母が経営する書店で開催されたサイン会で中年作家シャルルと出会う。シャルルに夢中になった彼女。一方で富豪の御曹司ポールがガブリエルにアプローチをかけてくる。シャルルは妻と良好な関係でありながらも、奔放なナイトライフを送っていた。この人間関係が悲劇に向かって動き出す。実際に起こった建築家殺害事件を基にしたクロード・シャブロル監督の愛憎ドラマ。

マチルダ・メイ出演作を検索していて見つけた作品。おーっ、サニエたん♡主演なら挑んでみるかと観る候補に挙げていた。

シャルルの仕事場でもあるアパルトマンをガブリエルが訪れて、今までも女性を連れ込んだんでしょ?と尋ねる。マチルダ・メイ演ずる担当編集者とも、きっといろいろあったに違いないと、観ているこっち側も勝手な想像をしてしまう。「君が最後だ」と答えるシャルル。それまでの彼、彼の人柄、目の前にいるガブリエルに彼がどんな気持ちでいるのかが、短い台詞なのにバシッと伝わる。にもかかわらず、ガブリエルを突然冷たくあしらうシャルルの仕打ちは酷いよな。

御曹司役のブノワ・マジメルは、観客を嫌な気持ちにさせる役割をうまく演じている。世間知らずのボンボンで言動にはイライラさせられる憎まれ役だが、世間ズレしていないピュアな一面をチラッと感じさせるのがいい。

人気キャスターだったヒロインが事件後に受ける仕打ちも酷い。そんな彼女に再び小さなスポットライトが当てられるラスト。映画前半との表情の変化こそが悲劇の重さ。

男と女にまつわるディープな話だが、シャブロル監督は無駄にエロスを映像に持ち込まない。美女ぞろいのキャストだけに物足りなくも思うけど、それよりもままならない人間模様こそが監督の視線の先にあるのかと。





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機動戦士Gundam GQuuuuuuX -beginning-

2025-01-23 | 映画(か行)


◼️「機動戦士Gundam GQuuuuuuX -beginning-」(2025年・日本)

監督=鶴巻和哉
声の出演=黒沢ともよ 石川由依 土屋神葉

(伏字にしてますが、観る前に情報を入れたくない方はご注意ください)

エヴァスタッフによるガンダム新作か。どんなだろ、テレビ待てばいっかぁ…と思っていた。だが、僕ら世代をくすぐる要素がある…との情報を目にして、もはやじっとしていられなくなり映画館に朝イチで参戦。

宇宙世紀から分岐された二次創作と言ってしまえばそれまでだけど、オリジナルへのリスペクトと新たな展開にもうワクワクが止まらない😆。オープニングのナレーションが流れ始める。そこから続く40分間。映画館の暗闇で小さな声をあげ続けてしまうオレ。

😏ほほーっ、そうきたか
😳ええっ!?
🤔そ、そっちに行っちゃうの!!

うわぁ××××がエヴァっぽい😓
××の艦橋にジオン兵が!
××××小隊!🤣
劇伴が♪😆
悲運のニュータイプがまさかの!
××××を落とすのが××!
(伏字だらけですみません)

消息不明になる最後の言葉が…🥹
(このひと言はマジで泣くかと思った)

この前半40分は、物語の根底にあるものを早口でまくしたてられる怒涛の展開。だけどこのIF(もしも)の前提が示されるからこそ後半(本題)が俄然面白くなる。

「スターウォーズ」がディズニー製作になった時。過去6作品への愛が足りねえと感じたオールドファンたちが、「ローグワン」には涙した感覚にちょっと近いのかも。

後半に示される新たな物語。モビルスーツ戦は、ロボットがぶつかり合う重量感が面白い前半とは対照的で、猛烈にスピーディ。キャラクターたちも今どきな若者感があって面白い。昭和と令和のロボットアニメの橋渡しが、目の前で行われているような感慨を覚える。テレビシリーズでそれぞれ分けて観ていたら、こんな気持ちにはならなかったかも。双方を1作品として観る劇場先行上映版だからこそ味わえた感覚。シリーズの全貌が気になるっ😆





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ウディ・アレンのバナナ

2025-01-21 | 映画(あ行)


◼️「ウディ・アレンのバナナ/Bananas」(1971年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン ルイーズ・ラサー カルロス・モンタルバン 

僕が初めてウディ・アレン映画を観たのは中学生の時分で、地上波で放送された「スリーパー」(1973)だった。ドタバタのギャグだけでなく、際どい性的なネタもあったから、今思うとよく親は黙認してくれたよな😓。初期コメディ路線の本作「ウディ・アレンのバナナ」は今回が初鑑賞。いやー楽しませてもらいました。

新製品のテスト係をやっている主人公。活動家の女性と付き合うようになったが、「物足りない」と捨てられてしまう。傷心の彼は、一緒に現地の記事を書こうと約束していた政情不安な軍事政権国家を訪れる。ところが反政府勢力に捕らえられ、いつしか共に行動する羽目に。そしてグループのリーダーになっていく。…という長いものに巻かれっぱなしの男の物語。

4コママンガみたいな小ネタのギャグが次々と繰り出されてくるのだが、後の作風と比べると話術で笑わせる場面は少ない。映像できちんとオチを示してくれるのが面白いのだ。ハープ奏者の場面は思わず吹き出した。あんなとこから出てくるなんて🤣。

ヘビの毒は口で吸い出さないといけない!と指導される場面。みんなが「口で吸う!」と唱和するけど、これってスネークマンショー(若い世代はわからないよね💧)の「急いで口で吸え!」の元ネタ?と勝手に想像した。そして女性がヘビに噛まれた!と走ってきたら、男が彼女に群がるのに大笑い。

エロ本を買おうとしてるのに、視線が向けられると違う態度をとる様子にケラケラ笑ってしまった。この場面の仕草を見ると、笑いのルーツはチャップリンだなーと改めて思う。警官がこっちを向くとそ知らぬ振りをするチャップリンみたいな。冒頭の身体が鍛えられるオフィスデスクは、まさに「モダンタイムス」の自動給食機を思わせるし。

革命という政権のとっかえひっかえを皮肉っていると同時に、それを他人事として茶化すばかりのマスコミをもあざ笑う。そういえば「スリーパー」も未来社会の革命に巻き込まれる話だな。70年代前半のバカやってる時代のアレン作品、あと何本か未鑑賞あるから挑んでみたい。




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燃えよデブゴン

2025-01-19 | 映画(ま行)


◼️「燃えよデブゴン/肥龍過江」(1980年・香港)

監督=サモ・ハン・キンポー
主演=サモ・ハン・キンポー ピーター・K・ヤン ロイ・チャオ

日本でサモハン・キンポーが大きく紹介された最初の作品がこれ。ジャッキー・チェン、ユン・ピョウとの共演作の人気から、「デブゴン」のタイトルを冠してサモハンの旧作、未公開作が勝手にシリーズ化されていく。セガール先生の「沈黙」シリーズのように(笑)。

徹底したブルース・リーへの愛が全編に貫かれ、カンフー映画好きにはたまらない。田舎で養豚に励んでいた主人公が、都会で飲食店をやる親族を手伝うためにやって来るというストーリー自体も、「ドラゴンへの道」に似ている。体型や顔立ちもブルースに似ても似つかないのに、成り切っちゃうのが笑える。それはもちろんサモハン・キンポーの華麗なカンフーあってこそ。ただのデブじゃない。

映画撮影の現場でブルース・リー気取りのスターをこてんぱんにやっつけたり、社長の高級車をチンピラの車だと勘違いして壊したりとトラブルしか起こさない。しかしそれはブルースへの愛と偏った正義感の空回り。

クライマックスの異種格闘技戦は、ジミー・ウォングの時代からカンフー映画の王道。それはカンフーこそ最強であるという証。タイトルバックの演武も素晴らしい。悪役には「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」にも出演したロイ・チャオ。



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フローラとマックス

2025-01-17 | 映画(は行)


◼️「フローラとマックス/Flora And Son」(2023年・アメリカ)

監督=ジョン・カーニー
主演=イヴ・ヒューソン ジョセフ・ゴードン・レヴィット ジャック・レイナー

Apple TV+が週末限定無料だったので、観たかったジョン・カーニー監督作「フローラとマックス」を鑑賞。

夫と別れて息子と二人暮らしのフローラ。経済的にも厳しいし、息子は窃盗を繰り返して手を焼いている。クラブで踊り明かして男と戯れても、憂さが晴れることもない。息子が何か夢中になれることをと考えて、粗大ゴミからギターを持ち帰ったのだが、ヒップホップ好きの彼には見向きもされず。彼女は自分が弾こうと思い立つ。他のオンライン講師とは違うものを感じて、LA在住のジェフのレッスンを受け始める。

ジョン・カーニー監督作はどれも大好きなものばかり。主人公が過ごす毎日の彩りや生き方を、音楽が少しずつ変えていく様子がたまらなく魅力的。それは本作でも期待通りで、思ってた音が自分で奏でられた瞬間、音楽を通じて人と繋がった瞬間、それが誰かに共感してもらえた瞬間のときめきが描かれる。共通の会話もなかった母と息子が音楽制作ソフトGarage Bandの画面を前にして打ち解ける場面や、好きな彼女に向けた告白ソングを作る場面、母と息子でそのミュージックビデオを撮る場面。そしてラストのステージ場面の一体感には涙出そうになる🥹。観てよかった。

音楽が心を開くきっかけになっているのも素敵な場面だ。ジェフのオリジナル曲にフローラがアドバイスすることで、心の距離が縮まる様子もいい。また、ジェフが宿題として聴くように勧めるのがジョニ・ミッチェルのBoth Sides Now。いろんな映画で使われているが、本作でもヒロインに気づきを与えるいい場面。そして、エンドクレジットが憎いんだよなぁ🥹。カーニー監督、音楽の使いどころが巧い。フローラの自作曲、ちょっと下品な言葉選びだが、それが生々しくて等身大。音楽って自己表現。そこに気取りなんて必要はない。

アラン・パーカーの「ザ・コミットメンツ」を含めて、アイルランドが舞台の音楽映画にはハズレがない!と勝手に思っている私です🎸♪。Garage Bandちゃんと使い方を覚えようかな。映画観ながら、楽器を手にしたいとウズウズしている自分がいる。




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エマニュエル

2025-01-15 | 映画(あ行)


◼️「エマニュエル/Emmanuelle」(2024年・フランス)

監督=オードレイ・ディヴァン
主演=ノエミ・メルラン ウィル・シャープ ジェイミー・キャンベル・バウアー ナオミ・ワッツ

2025年の映画館初詣。シルビア・クリステルの「エマニエル夫人」は親に隠れて観た世代なもので、同じ原作を再び映画化と聞いて、気になって映画館へ。

あの「エマニエル夫人」とは全然別な話。共通点は舞台がアジアであること、現地の男性となさるクライマックスであることくらい。性を通じてヒロインが開花するシルビア版とは違って、ノエミ・メルランは最初から仕掛けてくる。飛行機のシーンって、シルビアは何も言えずになすがままだった。この冒頭で自ら行動するヒロインであることを観客に印象づける。

大手のホテルチェーンから依頼を受けて、現場の評価をするために香港のホテルにやって来たヒロイン。ホテルに現れる様々な人々が、彼女に話す様々な性についての考え。追う者と追われる者。見られる快感。自分で自分にもたらす快感。仕事と役割に縛られていた彼女が、まだ見ぬ性の闇に一歩を踏み出す。確かにだんだんと大胆な行動にはなっていくのだけれど、それが彼女をどう変えていくのかは深くは語られず。うーん、成長物語を期待しすぎなのかな。

ノエミ・メルランもナオミ・ワッツも企業には使い捨てられる駒としか見られていない。そんな状況の中で、何を頑張って誇りに思っているのかをナオミ・ワッツが語る場面は印象に残る。それを聞いて主人公が選択する行動。そこがヒロインの変化と言えるかも。シルビア版が性に奔放な男性の手ほどきもあって心も解放されたのに対して、自ら行動を起こすところが当世風なのか。ともあれ、ノエミ・メルランの熱演は見どころ。

伝説の店だと言うから「アイズ・ワイド・シャット」の秘密クラブみたいな性の巣窟かと思ったら、ゴージャスな雀荘めいた店で肩透かしを喰らうw。最後は意中の日系人を含めて3人で…という展開に。「続エマニエル夫人」に出てくる3人で絡み合う美しい場面を期待したが、暗闇で通訳介して抱き合うだけ。そして唐突なエンディング。

僕は音楽がとても官能的に感じた。特にエンドクレジットで流れる弦楽。薄く和音が流れる中で、4分音符で一定のリズムを刻む演奏。その上に同じ4分音符のか細いメロディが喘ぐようなビブラートで重なる。重なり合った男女が刻むリズムを音楽で表現したらこうなるのかも。考えすぎかw



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陪審員2番

2025-01-13 | 映画(は行)


◼️「陪審員2番/Juror#2」(2024年・アメリカ)

監督=クリント・イーストウッド
主演=ニコラス・ホルト トニ・コレット J・K・シモンズ クリス・メッシーナ

大学4年、陪審員制度について考える刑事訴訟法ゼミに所属していた。映画「十二人の怒れる男」を題材にしているゼミ。当時の日本には、国民が司法参加する裁判員制度がまだなかった頃で、陪審制の長所と短所、導入の賛否について意見が交わされていたっけ。そんな過去があるので、法廷映画は好物の一つなのだ。とは言っても僕は決して真面目な学生ではなかった。「愛のコリーダ」で知られる阿部定事件の裁判記録を図書館でキャーキャー言いながら読んでるようなヤツ😓。そんなスチャラカ法学部生だった僕が、法廷映画で久々にアツくなった。クリント・イーストウッド監督の最新作「陪審員2番」である。

イーストウッド監督作では、しばしば正義を貫くことや人を裁くことの難しさが題材とされてきた。自身のプロダクションを設立した第1作「奴らを高く吊るせ!」から始まって、西部劇でも人間ドラマ路線でも当事者のまっすぐな気持ちと相容れない社会が描かれる。「陪審員2番」はイーストウッドが貫いてきたテーマが色濃く反映されており、この路線では集大成とも言える奥深さを感じさせる。

陪審員が選出される場面で、裁判官が陪審制の意義を説く。
「陪審制には欠点もありますが、私は信じています。正義をもたらす最良の手段だと」
この台詞にビビッときた。従来のハリウッド映画で陪審制が描かれるとき、これぞ民主主義めいた肯定的な描写になることが多かったからだ。法廷シーンが出てくる社会派映画でも裁判の裏側にある不正を告発するテーマが多く、陪審制そのものに否定的な言葉が投げかけられる作品にはなかなかお目にかかれない。もし今、あのゼミに所属していたら「先生!これを観て議論したいです!」と申し出たかも。

そして「陪審員2番」ではそこから先に続く評議の場面で、陪審員それぞれの思想、生い立ち、偏見が結果に大きな影響を及ぼしていくことが露骨に描かれる。裁判で示された事件の証拠のみに従って有罪無罪を判断するとされているが、被告人の過去の行いから証拠に目を向けない陪審員たちが頑なな態度をとるのだ。そして票は真っ二つに割れる。「十二人の怒れる男」では、ヘンリー・フォンダの熱弁から有罪と断定できない理由が次々と明らかになる推理小説のような面白さがあって、有罪無罪の票が動いていくのがスリリングだった。しかし本作にはそれがない。裁判とは別に、観客にのみ示されるもう一つの事実。それが明らかになるのかどうが、ハラハラさせるもう一つ要素として加わることで、物語の先がますます曇ってくるのだ。

真実を明らかに、とよく言われるけれど、法廷で全てが明かされるとは限らない。また、そこで示されたことを裁判に関わる人々がどう受け止めるかによって、結論が大きく揺らぐことになる。「落下の解剖学」で夫殺しを疑われた妻に、「問題は君がどう思われるかだ」と弁護士が言うように、受け取る側の心証次第。夫の転落に直接関係がない家族の裏事情でヒロインが窮地に立たされる怖さが描かれた。「陪審員2番」では、法廷に出て来ないもう一つの事実が観客に示されることで、裁判の結果で出世が決まる検察官と平穏な日々が覆る人物の行末が、裁判の流れと二重三重に絡み合うから目が離せない。社会派の目線も、エンターテイメント視点も兼ね備えている。正義って何だ。考えさせられる。

余韻の残るカッコいいラストシーン。その先にどんな会話があったのか、何のために訪れたのか。それはディスプレイのこっち側にいる僕らの受け取り方次第。こんな力作が配信のみで、多くの人に観られないのはもったいない。




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