■「ブラジルから来た少年/The Boys From Brazil」(1978年・イギリス)
監督=フランクリン・J・シャフナー
主演=グレゴリー・ペック ローレンス・オリビエ ジェームズ・メイスン
日本では劇場未公開、テレビの映画番組で初公開された秀作サスペンス「ブラジルから来た少年」。
当時テレビで初めて観て、地味な印象なれどネオナチを扱ったテーマの深刻さ、
不気味な雰囲気と引き込まれるサスペンス描写で衝撃を受けたのを覚えている。
久々に鑑賞。
南米パラグアイで、ナチ残党を追っていた青年が、
アウシュビッツの医師だったメンゲレ博士の企みの一端をつかむ。
それは世界に散らばる65歳に達した男性94人を殺害するというものだった。
彼はベテランナチハンターのリーバーマンに連絡をとるが殺害されてしまう。
リーバーマンが調査に訪れたところ、殺された人物の家庭ではどこも養子を迎えており、
黒髪で青い目の男の子がいた。
リーバーマンは養子斡旋をした人物を突き止め、その子供たちがブラジル航空の飛行機で連れてこられたと知る。
生物学の科学者に相談したリーバーマンは、
少年たちはクローン技術で生まれ、ある人物の生い立ちを再現しようとしているのだと悟る。
少年たちはアドルフ・ヒトラーのクローンなのであった。
果たしてこの陰謀を阻止することができるのか・・・。
グレゴリー・ペックが悪役というのは確かに珍しい。
異常な執着心をもつ役柄ならば「白鯨」のエイハブ船長役があるが、それ以上の狂気を感じる。
ベテラン男優揃いの中で、
後に「ポリスアカデミー」で人気者になるスティーブ・グッテンバーグが重要な役どころで好演。
撮影は「太陽がいっぱい」のアンリ・ドカエだったのか。
組織に計画中止を言い渡されたメンゲレ博士が、一人殺害計画を実行しリーバーマンと相対するクライマックス。
初めて観たとき、老人二人の取っ組み合いとは、なんて地味なんだろうと生意気にも思った。
でも飼いならされたドーベルマンの使い方といい、
学校から帰宅した少年が生まれながらの残虐性としたたかさを垣間見せるところは、結末を分かっていても戦慄を覚える。
クローン技術の説明シーンが今観るととても丁寧で、
「ジュラシック・パーク」のミスターDNAよりわかりやすいかも(笑)。
蛇足だけど、「Xファイル」の1期にもクローン人間の怖ーいエピソードがあって、
二つの現場で瓜二つの人物が出てきた時に、この「ブラジルから来た少年」を思い出さずにはいられなかったっけ。
The Boys From Brazil - Trailer
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