Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2023年11月のプレイリスト

2023-11-30 | 今日のBGM


◆2023年11月のプレイリスト
2023年11月に聴いていた愛すべき30曲

1 Citizens Of Science(HMOとかの中の人。(PAw Lab.))
初音ミクオーケストラによるYMOカバー。
2 Get Wild(TM Network)
念願のTM Networkライブ😂。福岡サンパレス哲ちゃん寄りの3列目‼️で、プレイを拝んで参りました🎹
3 ナカムラヤのテーマ/タカラヤのテーマ(澤田かおり)
ドラマ「きのう何食べた?」より。ついつい口づさんでしまう。シーズン2で閉店とは寂しい😢
4 Le Refuge(Louis-Ronan Coisy)
フランス映画「ムースの隠遁」主題歌。哀愁漂う美しいバラード。
5 Now And Then(The Beatles)
新曲がリリースされることが大事件。
6 マンダム〜男の世界〜(ブロンソンズ)
田口トモロヲとみうらじゅんのブロンソンズ。大塚周夫のナレーション入りの偏愛に満ちた作品。
7 君は千手観音(Underground Serchlie)
Come On CANNON, Come On CANNON ♪
8 Don't Look Back In Anger(吉井和哉)
Oasisの名曲を日本語詞でカバー。
9 すみっこディスコ(Perfume)
シンセベースが心地よい。
10 La Pianiste De Varsovie(ワルソーのピアニスト)(Gilbert Becaud)
ジルベール・ベコーのシャンソン名曲。中高生の頃にテレビでライブを見て感動して、ライブ盤を買って繰り返し聴いた。

11 ウィスキーが、お好きでしょ(雨宮天)
カバーアルバム第2弾より。曲のキャラに寄り添った七変化。声優の得意が生きた楽しいアルバム。
12 Heart Of The Sunrise(Yes)
映画「バッファロー’66」リバイバル上映。これが流れる場面は不思議なカッコよさ。
13 会津磐梯山(民謡クルセイダーズ)
生で聴いたら絶対盛り上がるな。
14 ムーンライト伝説(Lisa)
トリビュート盤に収録されたカバー。
15 終わりなき疾走(浜田省吾)
朝一番に聴くハマショーって、気持ちをアゲてくれる⤴️
16 スーパーヒーロー(You & Explosion Band)
ルパン楽曲はどれも素敵だ。ボーカルを務めるのはゴダイゴのトミー・スナイダー🤩
17 だいじょうぶ I'm Alright(KAN)
この曲のように、闘病から再び戻ってきてくれると信じてたのに🥺。訃報を聞いて午後から喪失感に浸る。報道ステーションが「お手本はビリー・ジョエルでした」と愛あるお節介な報じ方。KANちゃんならそれを笑ってくれると思うのだ。R.I.P.。
18 花になって(緑黄色社会)
アニメ「薬屋のひとりごと」OP曲。語尾のしゃくりまでカッコいい。
19 スピード(森口博子)
ガンダムカバー以外の森口博子が聴きたくなってベスト盤に手を出した。奥居香作のポップチューン。大好きだったんよ♡
20 Histoire D'O(O嬢の物語)(Pierre Bachelet)
初めて聴いたのは中坊の頃、ポール・モーリアによる演奏。エロエロ映画の曲とは知らなかった。

21 彼女はデリケート(沢田研二)
佐野元春が提供した楽曲。元春ver.とは違ったグルーヴがカッコいい🎸
22 勇者(YOASOBI)
アニメ「葬送のフリーレン」と どハマり中。
23 Jet(Paul McCartney & Wings)
ウイングスのベスト盤は中学時代から愛聴盤なのだ。
24 六本木純情派(荻野目洋子)
とある結婚式で、新婦のリクエストでいい歳したおっさん上司がこれを熱唱。みんな笑ってたけど、僕はその男気に感動した。
25 Dance Dance Dance(宇都宮隆)
一時期カラオケで歌ってたなぁ🎤
26 ウィッシュ〜この願い〜(生田絵梨花)
近頃のディズニー作品からは距離を置いている。でもこの楽曲のクオリティに惹かれて、ついついリピートして聴いてしまう。
27 Trouble Again(涙に染めて)(Karla Bonoff)
時々無性に聴きたくなる。
28 夜明けの流星群(SCANDAL)
ポケモン映画主題歌でお気に入りの一曲。
29 November Rain(Piano Version)(Guns 'N Roses)
ピアノだけのアレンジ。パワーバラードとはまた違った味わい。
30 私の人生、人生の夏(カヒミ・カリィ)
神様が私をお試しになる/今はたぶんそんな時でしょう
小西康陽作品らしい優しさが感じられる曲。









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フルメタル・ジャケット

2023-11-29 | 映画(は行)


◼️「フルメタル・ジャケット/Full Metal Jacket」(1987年・アメリカ)

監督=スタンリー・キューブリック
主演=マシュー・モディーン アダム・ボールドゥィン ヴィンセント・ドノフリオ リー・アーメイ

80年代後半に外国映画観ていた世代は、ベトナム戦争が描かれた映画をかなりの数観ているに違いない。アメリカンニューシネマと呼ばれた70年代の作品群にもベトナム戦争を背景にしたものはあったが、それらは作家性が強いものだったり、地味に反戦を訴えたものだったり。80年代に入るとヒット作やメジャー作品にもベトナム戦争ものが目立つようになる。そんな中で、あのスタンリー・キューブリックまでもがベトナム戦争映画を撮る!?との報が。驚き半分、期待半分で映画館へ。

いやぁ…すげぇ。期待と予想のはるか上。さすがキューブリック!

映画前半は新兵の訓練を描き、後半は戦場へと舞台を移す。圧巻なのは前半で、若者たちを兵隊へと鍛えあげる様子は、時に勇ましく時に痛々しい。訓練というよりもむしろ思想統制とも受け取れる。「時計じかけのオレンジ」後半を思わせる。教官役のリー・アーメイの口汚い台詞の数々。実際に新兵教育に携わった経験があるそうだ。

冴えない"ほほえみデブ"が次第に目の色を変えていく様子は、危機迫るものがある。厳しい指導を受けて変貌していく登場人物には、どこかのほほんとした第一印象のキャスティングがいい。「愛と青春の旅立ち」のリチャード・ギアにしても、本作のビンセント・ドノフリオにしても、軍隊じゃないけど「セッション」のマイルズ・テラーにしても、追い込まれてだんだん顔つきが変わっていくのが印象的だった。そして本作の微笑みデブは、狂気に支配されて銃口を向ける。

この前半のど迫力と、キューブリックらしい一点透視図法が冴える映像に圧倒されてしまって、この後どうなるのかと映画館の暗闇で心細くなったのを覚えている。

その後半。キューブリックは観客を兵士の一人として戦場を走らせる。主観移動のカットも使われて、その臨場感は劇場鑑賞だからこそ。飛び交う銃声で身体がこわばった。この戦場場面を超える臨場感は、「プライベート・ライアン」までなかった。

映画のクライマックスでは、主人公の小隊が見えない敵に襲われる。ベトナム戦争は、"相手の見えない戦争"だと評されることがある。何のために。本当の敵は。数々の反戦映画が観客に疑問を投げかけてきた。ベトナム戦争映画の代表作「プラトーン」は、アメリカ兵同士の仲間割れや暗闇の銃撃戦で、何と戦っているのかが見えない状況を表現した。キューブリックはクライマックスの戦闘シーンとその皮肉な結末で、戦争の虚しさを象徴的に見せつける。それは決して声高でなく、冷たい印象ですらある。そして、ミッキーマウスマーチのメロディが心に刻まれる。あのメロディ聴くと、この映画の行進場面しかイメージできない時期があったなw

初公開時、熊本市では「エルム街の悪夢3/惨劇の館」と二本立てでした💧



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グリニッチ・ビレッジの青春

2023-11-25 | 映画(か行)

◼️「グリニッチ・ビレッジの青春/Next Stop, Greenwich Village」(1976年・アメリカ)

監督=ポール・マザースキー
主演=レニー・ベイカー シェリー・ウィンタース ルー・ジャコビ クリストファー・ウォーケン

ポール・マザースキー監督作は、「ハリーとトント」しか観たことがなかった。主人公ラリーは過保護で過干渉な母親がいる家から逃れ、マンハッタンのダウンタウン、グリニッチビレッジのアパートに移り住む。当時のビレッジは芸術活動に熱心な若者であふれた街。女優を目指すサラ、インテリ詩人のロバート、ゲイの黒人バーンスタインなど、個性ある仲間たちと過ごす日々を描く。

母親が絶妙なタイミングで現れて主人公の日常を引っ掻き回す。見ようによってはコメディなんだけど、主人公にとっては本音ゲームやら別れ話の真っ最中。帰宅を促す夫をよそに干渉をやめない。シェリー・ウィンタースは、「陽のあたる場所」「アンネの日記」の若い頃から「ポセイドン・アドベンチャー」など脇役として印象的な仕事が多い人。この母親役もやり過ぎだけど憎めないキャラクター。

青春群像劇って、自分が共感できる誰かを探しながら観てしまいがち。ひと癖ある面々は確かに面白い。だけど、主人公ラリー君も物事に真剣に向き合っているのかわからない軽さが気になるし、クリストファー・ウォーケンがカッコいいロバートもなかなか素の自分を見せたりしない。自殺未遂を繰り返すアニタのエピソードにしても、その後の彼ら彼女らに何か変化をもたらすこともない。一緒にいる楽しさや居心地の良さが伝わってこなくて、青春映画としてはちょっと残念な気もする。西海岸に向かうラリーの将来に待つのは成功か、それとも。



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色即ぜねれいしょん

2023-11-23 | 映画(さ行)

◼️「色即ぜねれいしょん」(2008年・日本)

監督=田口トモロヲ
主演=渡辺大知 峯田和伸 岸田繁 堀ちえみ 臼田あさ美

みうらじゅんの原作小説は既読。痛々しくも微笑ましい童貞ボーイズの物語。映画化したらどんなキャストでどんな音楽になるのにだろうと思っていたら、個性的な面々がズラリと並ぶ。これは楽しそう♪

仏教系男子校に通う純。ボブ・ディランを聴きオリジナルの曲を誰に聴かせるあてもなく作っている日々。仲良し3人組で隠岐島への旅行に行くことになった。彼らの目的はユースホステルでの出会いとフリーセックスw。当然目的は達せられないものの、ユースホステルで出会ったヒゲゴジラ、オリーブたちとの交流を通じて一歩成長した純。クラスのヤンキーグループのサポート演奏でなく、学園祭のステージにソロで出場することを決意する。

冒頭の法然!コールからなにが起こるのかワクワク。主人公とその仲間の立ち位置がきちんと示される。トモロヲ監督、好き勝手やってるようでツカミが上手い。オリーブが電話番号を渡す場面、ヒゲゴジラとギター弾きながら歌う場面、頼りない家庭教師との会話、「これであの人と飯食ってこい。送って帰って来い」とオトンが金を渡す場面。好きな場面がたくさんある。特に学園祭のステージ場面が素敵。エロチシズム・ブル〜♪と唸る純に笑わされ、君は君で僕は僕♪と自分らしくあることを高らかに歌う。あー、この映画好きだ。男子はこういうバカをやって大人になるんよ。

臼田あさ美と石橋杏奈の名前が並ぶだけで嬉しくなる。ウッちゃんの「LIFE」毎週見てたもんな。オカン役の堀ちえみも好助演。






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ゴジラ-1.0

2023-11-21 | 映画(か行)



◼️「ゴジラ-1.0」(2023年・日本)

監督=山崎貴
主演=神木隆之介 浜辺美波 吉岡秀隆 佐々木蔵之介

これまで「ゴジラ」は新作が製作されるたびに賛否が分かれてきた。ドラマ部分が掘り下げられると「もっと暴れるところが見たかった」と言われ、怪獣を見せることに力を入れすぎると「ドラマがない。お子様向け」と言われる。どこをターゲットにするかは非常に難しい。

今回の「ー1.0」は、元来特撮屋である山崎貴監督の本領発揮。エンタメ全振りな作風とは違って、人間ドラマ部分に力が入っている。敗戦後の日本に舞台を設定して、占領しているアメリカの力が借りられず、日本人だけで立ち向かわなければならないというストーリーが基軸。嘘をついて特攻を逃れた主人公と、戦争を生き延びた人々の群像が描かれる。対抗する術が限られている中、精一杯の作戦でゴジラに立ち向かうのは、これまでになかった展開だけになかなか面白い。そこにはオキシジェンデストロイヤーもメーサー砲もないのだ。

日本人って強大な敵や権力、陰謀に、一見無力な存在が、時に束になって立ち向かう話に感動しがち。そうした作品は数々あるが、例えば「サマーウォーズ」の花札対決や「ドラゴンボール」で元気玉に思わず感激しちゃうのはその典型だろう。そこには主人公に協力する人、携わる人々の顔が見える。この「ー1.0」のクライマックスもまさにそれで、作戦を立案して現場に実行させるだけだった「シン・ゴジラ」のクライマックスとは印象が全く違う。「ー1.0」は観客の情緒に訴えかけてくるのだ。これは山崎貴監督がこれまで手がけてきた作品たちで培った作風が生きているのだろう。日本人だから響く部分かもしれない。戦争を生き延びてしまったことを後ろめたく思う当時の心持ち。海外の鑑賞者に理解してもらえるだろか。

されど、本作最大の見どころは今のVFX技術だから実現できたゴジラの描写。これまでにないド迫力だ。熱線を吐く前に背びれが光を放つデザインも好き。劇場で観る価値は十分にある。過去作へのオマージュも随所に見られる。伊福部昭のテーマ曲はもちろん、「キングコング対ゴジラ」など過去の作品の音楽のメロディが見え隠れするのが嬉しい。列車を襲う場面や実況中継する記者たちは、もちろん初代。大戦中に南の島に現れた生物というエピソードは「ゴジラVSキングギドラ」、海中から再び浮上したゴジラが白眼むいてるのは金子修介監督版のイメージなのだろう。

お涙しぼる映画ばっかり撮る人だと山崎貴監督作を避けているけれど、本気が感じられてよかった。でもなぁ。宇宙戦艦ヤマトをあんなチンケな実写版にした恨みだけは忘れてねぇからな、監督。



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孔雀夫人

2023-11-19 | 映画(か行)

◼️「孔雀夫人/Dodsworth」(1936年・アメリカ)

監督=ウィリアム・ワイラー
主演=ウォルター・ヒューストン ルース・チャタートン ポール・ルーカス メアリー・アスター

ウィリアム・ワイラー監督作は、映画に夢中になり始めた頃からけっこう意識して観ていた気がする。雑誌が名作映画として紹介する記事には「ローマの休日」を筆頭に「ベン・ハー」や「大いなる西部」など名前が挙がる。一方でサスペンスタッチの「必死の逃亡者」や、サイコスリラーの「コレクター」など異色な作品にも魅了されてきた。淀川長治センセイの著作でちょくちょく名前が挙がっていて絶賛されていたのが本作「孔雀夫人」。どんなんだろうと気になっていた。僕が20代の頃、BSで放送されて初めて観賞した。

実業家の主人公ドッズワース氏は長年経営してきた会社を人に譲り、第二の人生を探すべく、妻と世界一周旅行へ。仕事ひと筋だった彼は見るもの全てに興奮しっぱなし。一方、常に若くありたいと願う妻は孔雀のように着飾って毎夜のパーティに興じている。滞在先のパリで妻に恋人ができてしまう。妻はパリに残ると言い出し、夫婦は遂に仲違い。次第に二人の考え方の違いが明らかになっていく。次のウィーンで妻は若い男に言い寄られてのぼせ上がってしまう。妻を残して訪れたベニスで彼はある未亡人と出会う。

ラストの主人公の決断。自分にとっての幸せとは何か。妥協ではなく、幸福を追い求めることの大切さを訴える。とても引き込まれる映画だった。初見だった20代とは違って今の年齢目線だと、奔放な妻だけが悪いのではなくて、夫婦の長年のすれ違いが招いたことだと理解できる。それだけにこの映画みたいな状況ならば、それぞれが幸せになりたいと思うことに理屈なんてない。気持ちが同じベクトルに向かってる人と一緒にいるって幸せ。



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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

2023-11-17 | 映画(あ行)

◼️「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」(2023年・日本)

監督=成田洋一
主演=福原遥 水上恒司 伊藤健太郎 松坂慶子 中嶋朋子

予告編で観たときの印象。
あー、またタイムスリップものかぁ
若い子の恋愛絡めた戦時中の話だけに
ターゲット明確だよなぁ
にしてもタイトル長ぇよなぁ
松竹が若者意識してきたなぁ

その印象どおりの映画だった。

でもさ、予告編で大上段に振りかぶっておきながら期待を裏切る映画よりよっぽどいいやん。本編観て潔い予告編だったんだなと思った。朝ドラ女優とイケメン役者揃えた映画を、もっと冷めた気持ちで観てしまうと思っていたのだが、思っていたよりもきちんと観られた。予定調和だとかベタだとか言われようが、期待したものが期待値ちょい上くらいで観られたならそれでいいじゃん。

確かにベタだとは思うけど、戦争がどれだけ社会や人間を歪めてしまうものかを、若い世代に向けて、これだけソフトタッチで描けるって実は立派なことでは。「ジョジョラビット」をこれじゃない!と評した自分が言うのもなんですがw。東映、東宝がかつて夏に上映していた戦記ものもいいけれど、若い世代に戦争の歴史を語り継ぐ最初のステップという目的なら十分に役割を果たせる映画だと思った。

家庭と進路に悩む女子高生が終戦間際の日本にタイムスリップ。出撃を待つ特攻隊の若者に助けられるというお話。親ガチャにハズレたと言わんばかりに、母親にあたり散らしていた主人公。彼女が「生まれた時代が違っていたら…」と呟く飛行兵と出会う。これ以上のハズれなんてないだろう、それでも彼は懸命に今を生きている。

「あー、そうくるか。はいはい」と思った場面も正直あれこれあるけれど、クライマックスとその後のエピソードは素直に受け止めました🥲。

松坂慶子が主人公たちを見守る役柄でこれまたイメージどおりのいい仕事。水上恒司くんは朝ドラも気になる。特攻兵の一員に"若君"伊藤健太郎。いい仕事して立ち直って欲しい。そして福原遥は不安しかない状況の中で、迷いながらもまっすぐなヒロインを好演。クッキンアイドルまいんちゃんの頃からみんなが見守っている。キュアカスタードもいい仕事だったけど、今後どんな役者になっていくのか楽しみ。

試写会にて。





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バッファロー’66

2023-11-14 | 映画(は行)

◼️「バッファロー’66/Buffalo '66」(1998年・アメリカ)

監督=ヴィンセント・ギャロ
主演=ヴィンセント・ギャロ クリスティーナ・リッチ ベン・ギャザラ ミッキー・ローク

Filmarksが90年代映画をリバイバル上映する企画で、未見だった「バッファロー’66」鑑賞。

ビンセント・ギャロ演ずる主人公ビリーの小物っぷりが映画冒頭から強烈。刑務所を出た後、トイレを借りようとするが釈放後だからと断られ、街をさまよう。実家に電話して政府の仕事をしていた、妻がいると大嘘をつく。小銭を貸してくれたレイラを誘拐同然に捕まえて、妻を演じろと声を荒げる。いざ家に着くと吐き気がすると入りたがらない。立場の弱い者に威圧的だが、いざとなると弱気な小心者。関わり合いたくねぇヤツだなぁ…と嫌悪感でいっぱいになる。自宅で配信で見てたら、気分次第ではこのへんで、俺には合わねえと投げ出していたかも。

息子に無関心な両親が登場、そのクズっぷりに呆れる。子供時代の嫌だった記憶が荒い映像でインサートされ、愛されずに育った過去が示される。スクリーンのこっち側の僕らはビリーを気の毒に思い始める。そしてビリーがある人物への復讐を企てていることが明らかになる。

2人が犯罪に手を染める訳でもなく、逃避行する訳でもない。かつてのアメリカンニューシネマのような破滅的な話でもなく、ただバッファローの街をあっち行きこっち行きするだけの話。なのに、映画後半2人から目が離せない。バスルームで一緒にいたいと言うレイラを拒み、不自然な距離でベッドに横になる2人。でも距離は確実に縮んでいく。

実家の場面では、真四角のテーブルの一辺にカメラを据えて他の3人を撮る。一緒にいるのにとても距離を感じ、終いには隣に座る両親は話も聞かない。ベッドを俯瞰で撮る場面はカットが変わる度に2人の姿勢が変わっていく。映像で見せる距離感の巧さ。

音楽の使い方も素晴らしい。音数の少ない劇伴がほとんど。だが突然父親にスポットライトが当たってシナトラを熱唱するのは笑えた。そしてプログレ好きの僕には、たまらない場面が2つ。キングクリムゾンのMoonchildでクリスティーナ・リッチがタップダンスを踊る場面。クライマックス、いかがわしい店で鳴り響くイエスのHeart Of The Sunriseが最高😂

そして訪れるエンディングの多幸感。前半で感じた嫌悪感はどこへやら。映画館で観てよかった。リバイバル上映してくれたFilmarksに感謝。女の子は素敵な魔法をもたらしてくれる。それがあのお化け一家のおデコちゃんな小娘だったクリスティーナ・リッチとは。

そしてシアターを出てまっすぐにトイレを目指した。だって、一旦シアターを出てしまったら戻ってトイレを使わせてもらえないだろうしww😜




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007/オクトパシー

2023-11-13 | 映画(た行)

◼️「007/オクトパシー/Octopussy」(1983年・イギリス)

監督=ジョン・グレン
主演=ロジャー・ムーア モード・アダムス ルイ・ジュールダン クリスティーナ・ウェイボーン

ロジャー=ボンド第6作。前作のシリアスなアクション路線から、ロジャー時代らしいエンターテイメントへとシフト。特にアクションでも活躍する大勢の美女軍団を観たければ、シリーズ中唯一の該当作。謎の女性オクトパシーが率いる軍団、サーカスの美女たちが躍動するのを、鼻の下伸ばして眺めるにはもってこいの一作。ロジャー・ムーアが「ラブシーン以外はスタントマン」と揶揄されるのもわかる気はするw

しかしスパイ映画らしいギミック感は楽しいし、凝ったアクションも満載。冒頭の飛行機アクション、ボンドカーこそ出てこないが激しいカーチェイスもあり、プロペラ機にしがみつく決死のクライマックス。高所恐怖症には辛いw。爆破のタイムリミットが迫るハラハラ、美術品をめぐる事件とソビエトの関係解明もあり、全編通じて楽しめる娯楽作になっており、興行収入でも成功を収めている。

WWⅡ後の東西冷戦が雪解けに向かっている時期(1989年のマルタ会談で終結)の映画だけに、ソ連からの動きはタカ派のいち将校が企んだ陰謀とそれに協力する富豪が悪役で、国の作戦でスパイがぶつかり合うお話ではない。そこは時代を反映していると言える。好戦的なソビエトの将校をスティーブン・バーコフが怪演。イギリスの俳優さんだけど、ロシア人の悪役が多い人だよね。

ボンドガールは「黄金銃を持つ男」から2度目の出演となる北欧美人のモード・アダムス。ボンドに個人的な事情から並々ならぬ興味があり、裏社会の取引も手掛ける大人のデキる女。当時歴代最年長のボンドガールだった。先頭切って乗り込んでおきながら、アクション場面が今ひとつなのはやや残念だったが、その分補佐役の美女クリスティナ・ウェイボーンが活躍してくれる。



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キャバレー

2023-11-11 | 映画(か行)

◼️「キャバレー/Cabaret」(1973年・アメリカ)

監督=ボブ・フォッシー
主演=ライザ・ミネリ マイケル・ヨーク ヘルムート・グリーム ジョエル・グレイ

高校時代にFMの映画音楽番組でライザ・ミネリのパワフルな歌声を聴いて、数々の名作映画を紹介する書籍でボブ・フォッシー監督の凄さを教えられ、いつか観なきゃ!と思っていた「キャバレー」。2022年の「午前10時の映画祭」で上映すると聞いて行く気満々だったのにスケジュールの都合で行けなくて、生息地のレンタル店には置いてない、配信もない。宅配レンタルでやっとありつけた🥲。

1930年代のベルリンが舞台。スターを目指して夜な夜なキャバレーで歌うサリーの下宿に、イギリスから学生で作家のブライアンがやって来た。二人は意気投合し誰よりも仲良くなる。女性とうまくいかなかった過去を持つブライアンだったが、サリーとは恋人として結ばれた。二人は裕福なドイツ人男爵と知り合うが、それが2人間に亀裂が入るきっかけとなっていく。

この映画最大の魅力はキットカットクラブのステージで繰り広げられるミュージカル場面。気味の悪いメイクをしたジョエル・グレイが、踊り子たちを紹介し、自らも歌い踊る。それは下品でいかがわしいものから、芝居がかったもの、ナチスが台頭する世相を扱ったものまで幅広い。小編成バンドの軽妙な演奏と、サリーの力強いボーカルに惹きつけられる。

そうした音楽と並行して、ナチスがだんだん世間で幅を利かせていく様子が無言で描かれる。映画の前半で店を追い出された党員が、今度は仲間を引き連れて店のスタッフをボコボコにする。ユダヤ人であるナタリアに迫る危険。そして映画の最後には、クラブの壁に映る像に鉤十字の腕章をした者が増えているのが見てとれる。その不気味な雰囲気が、この物語の先にある未来が暗く厳しいものであることを、声高に示すことなしに感じさせる。

やがて、サリーとブライアンの恋物語もすれ違いの結末を迎える。再びステージに立つサリーが歌うのはタイトルソングCabaret。

人生はキャバレー、
キャバレーにおいでよ♪

それは、サリーがこれからも歌い続ける決意の歌でもあり、一方でこれから先の暗い時代を憂いて刹那な喜びでもみんなで楽しもうという歌でもある。高校時代に初めてラジオで聴いた時は、単にパワフルで楽しいミュージカルナンバー。こうして物語を経ることで、歌の裏側にある寂しさが胸にしみて、涙があふれそうになる。オリジナルの舞台の良さがあるのはもちろんだが、時代背景や悲しい人間ドラマを巧みな編集で織り上げた傑作。何度も観たい楽しいミュージカルとは違うけれど、忘れがたい映画であるのは間違いない。





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