Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

シングルマン

2017-02-08 | 映画(さ行)


■「シングルマン/A Single Man」(2009年・アメリカ)

●2009年ヴェネチア国際映画祭 男優賞
●2009年英国アカデミー賞 主演男優賞

監督=トム・フォード
主演=コリン・ファース ジュリアン・ムーア マシュー・グード ニコラス・ホルト

「ゲイ映画にハズレなし」が持論の映画友達(決してBL好きの腐女子ではない)のオススメで、
コリン・ファース主演「シングルマン」に挑んだ。

愛する男性を事故で失い、生きる意味も失くした大学教授。
彼は自殺することを決意し、着々とその準備を進めていく。

ところが、その人生最後と決めた一日は、
大学での講義はいつになく熱の入ったよいものになり、
元パートナーだった女性と楽しくお酒を飲み、
濃い顔のイケメン男性にナンパされる充実した日となった。
それでも死ぬ気満々で最後の時を酒場で過ごしてたら、
自分に好意を抱いている男子学生とバッタリ。
彼と浜辺で楽しく過ごし、そして彼は…。

デザイナーとして著名なトム・フォード監督が、ディテールまでこだわって演出した、
まさにアートな映画。
どこまでも洗練されてて、クローズアップも遠景も美しくて。
いやいや、男一人であんな整った生活できないよ…とも思うが、
インテリアや小物がオシャレで心惹かれてしまう。

でも何よりも、相手を見つめる視線が凄い。
欲望にギラギラしてるのを押し殺してるような、ニヤつきたいのを抑えてるような。
ほんとに演技なのか?マジじゃないのか?と疑いたくなるアツさ。
黙って見つめ合ってる場面の緊張感。
同性愛に寛容ではなかった60年代の空気感。
キューバ危機を前にしたアメリカ社会の先が見えない怖さ、性的マイノリティが社会に抱いている居心地の悪さ。
淡々とした展開をあるがままに受け入れて映画のムードに酔えるかが、
好き嫌いの分かれ目かも。

映画『シングルマン』予告編





コメント (2)
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神様のくれた赤ん坊

2017-02-05 | 映画(か行)

■「神様のくれた赤ん坊」(1979・日本)

監督=前田陽一
主演=渡瀬恒彦 桃井かおり

前田陽一監督の「神様のくれた赤ん坊」鑑賞。
死んだ女が遺した男の子。父親の可能性がある5人の一人とされた主人公(渡瀬恒彦)が、その子を連れて父親探しの旅へ。
同棲中の女(桃井かおり)も巻き込んで、三人の旅は、自分のルーツを探しながら、
尾道、中津、別府、熊本、天草、長崎、唐津、そして若松へ。
チラシ画像の右上が若戸大橋ですな。

コメディアンを使わない人情喜劇。
嵐寛寿郎、吉幾三、泉谷しげる、吉行和子、樹木希林、登場する誰もが印象に残るいい仕事。
特に桃井かおりが母親のルーツを知るエピソードがグッとくる。

たったひと言の台詞が、これ程涙を誘うなんて見事。
粋な脚本のロードムービー。
ちょっと子供そっちのけな気もするが、
同じ題材を今撮ると、きっと子役で泣かせるあざとい映画になるだろう。
あくまでも主眼を主人公二人の心の成長に置いてる潔さがいい。

クライマックスの若松南海岸は、
旧古河鉱業若松ビルの横を通って、ごんぞう小屋、栃木ビル等が登場。

若戸大橋に登るエレベーター、若戸大橋の歩道。
今は歩いて渡れないだけにとても貴重な場面。
エンドクレジットは空撮で真っ赤な橋が映される。



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