■「シングルマン/A Single Man」(2009年・アメリカ)
●2009年ヴェネチア国際映画祭 男優賞
●2009年英国アカデミー賞 主演男優賞
監督=トム・フォード
主演=コリン・ファース ジュリアン・ムーア マシュー・グード ニコラス・ホルト
「ゲイ映画にハズレなし」が持論の映画友達(決してBL好きの腐女子ではない)のオススメで、
コリン・ファース主演「シングルマン」に挑んだ。
愛する男性を事故で失い、生きる意味も失くした大学教授。
彼は自殺することを決意し、着々とその準備を進めていく。
ところが、その人生最後と決めた一日は、
大学での講義はいつになく熱の入ったよいものになり、
元パートナーだった女性と楽しくお酒を飲み、
濃い顔のイケメン男性にナンパされる充実した日となった。
それでも死ぬ気満々で最後の時を酒場で過ごしてたら、
自分に好意を抱いている男子学生とバッタリ。
彼と浜辺で楽しく過ごし、そして彼は…。
デザイナーとして著名なトム・フォード監督が、ディテールまでこだわって演出した、
まさにアートな映画。
どこまでも洗練されてて、クローズアップも遠景も美しくて。
いやいや、男一人であんな整った生活できないよ…とも思うが、
インテリアや小物がオシャレで心惹かれてしまう。
でも何よりも、相手を見つめる視線が凄い。
欲望にギラギラしてるのを押し殺してるような、ニヤつきたいのを抑えてるような。
ほんとに演技なのか?マジじゃないのか?と疑いたくなるアツさ。
黙って見つめ合ってる場面の緊張感。
同性愛に寛容ではなかった60年代の空気感。
キューバ危機を前にしたアメリカ社会の先が見えない怖さ、性的マイノリティが社会に抱いている居心地の悪さ。
淡々とした展開をあるがままに受け入れて映画のムードに酔えるかが、
好き嫌いの分かれ目かも。
映画『シングルマン』予告編