Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

6月のBGM

2013-06-30 | 音楽
2013年6月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■Candy Shop Sugar Me/Tommy february6
Tommy february6の新作は、期待を裏切らない作品。逆言うと驚きはないのだが。初期サウンドの特徴ともいえるストリングスのアナログシンセぽい音が聴かれなくなって、あの頃と比べると響きが硬質。それはそれで悪くはないのだけれど、レディガガあたりの今ドキなダンスチューンに近づいた印象が。Tommyのヴォーカルはやっぱり好きだなぁ。川瀬智子は、僕のロックアイドルの一人です。
TOMMY CANDY SHOP  SUGAR  ME(初回限定盤)

■その血の運命/富永TOMMY弘明
最近、長男ルーク(中3だが中2病感染者)とアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」をDVDで楽しんでいる。僕は屈強な男どもが拳を交えるコミックやアニメは苦手(つーか、女の子の登場人物が少ないせい・恥)。「ドラゴンボール」も「NARUTO」も「北斗の拳」、「ワンピース」も含めてジャンプ系がダメ。しかし「ジョジョ」は例外で、過剰なアクションと仰々しい台詞、あの暑苦しさがたまらなく面白い。どこか昭和の臭いがするこの主題歌もツボだ。
ジョジョ~その血の運命(さだめ)~ (TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」オープニングテーマ

■失恋ソングス/various
僕ら世代向けなコンピ盤。「アタック25」の問題風に言えば、難破船からリフレインが叫びだして、オリビアを聴きながら会いたいとつぶやき、そして僕は途方に暮れる・・・そんな選曲。大沢誉志幸ってあの頃あんまり好きじゃなかたけれど、改めて聴くといい曲だな。このアルバム、鈴木雅之の「ガラス越しに消えた夏」が入ってたら完璧だな。
失恋ソングス


■secret base~君がくれたもの/本間芽衣子(茅野愛衣) 安城鳴子(戸松遥) 鶴見知利子(早見沙織)
アニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」を、今になって真剣に見ている(この時点でDVD4枚目まで見終わった)。毎回うるうるしている僕に、周囲の人は「最終回見たらもっと泣く」と言う。8月公開の劇場版までに全部見るぞっ。エンディングで流れるZONEのカヴァーがまた泣かせるんだ。うん。
secret base ~君がくれたもの~ 【通常盤】

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恋愛小説家

2013-06-29 | 映画(ら行)

■「恋愛小説家/As Good As It Gets」(1997年・アメリカ)

監督=ジェームズ・L・ブルックス
主演=ジャック・ニコルソン ヘレン・ハント グレッグ・キニア

●1998年アカデミー賞 主演男優賞・主演女優賞
●1998年ゴールデングローブ賞 作品賞・主演男優賞・主演女優賞

 平気で人種差別をする、異常な潔癖性、金にものを言わせる・・・ほとほと嫌なヤツなのにどこかチャーミング!、こんなジャック・ニコルソ見たことない。この映画の魅力は彼の怪演によるものと言っていいだろう。ロマンティック・コメディ向けとはとても思えない人選だけに、それが奇妙にハマる面白さは他では見られない。そういう意味ではオスカーは当然なのかもしれないな。また相手役ヘレン・ハントがまた魅力的だ。前半のやつれた厳しい表情から、一変して恋する女となる後半の演じ分けは見事。

 そんな役者陣の好演はさておき、気になるところも。人物設定やお話自体は呆れるほどベタで(貧富の差やら同性愛者の隣人等々)、主人公とのギャップ・価値観の違いはあまりにも歴然。これほどの違いを乗り越えた恋愛成就・相互理解だからカンドー!って図式なんだろうけど、そこまで徹底した設定にしないと観客はピンとこない?とでも思っているのだろうか?。わかりやすいのは確かなんだけどね。それに演出過剰だろ?と思えるところも気になるし、ゲイの画家がヘレン・ハントの裸を見て意欲を取り戻すあたりもどうも都合がよすぎる。

 そう思いながらも、アート・ガーファンクルの主題歌が流れるエンド・クレジットを眺めながら僕は思った。あー、恋がしたい!恋がしたい!(笑)。恋する幸せな気分があふれるこの映画の術中に、僕もまたはまってしまったようだ。それは「君に言われてからいい人になろうと思った」といった素直な一言や、画家と友達としてキスする彼女を見て子供のようにスネたり、ドライブにCD編集して持参する主人公の素直な行動に共感できるからだろう。

(2004年筆)




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ふがいない僕は空を見た

2013-06-28 | 映画(は行)

■「ふがいない僕は空を見た」(2012年・日本)

●2012年毎日映画コンクール 女優主演賞
●2012年キネマ旬報ベストテン 日本映画第7位・新人男優賞
●2012年ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞

監督=タナダユキ
主演=永山絢斗 田畑智子 窪田正孝 小篠恵奈 三浦貴大

 誰もが人生うまくいってるわけじゃない。それでも、他の人と比べて自分はうまくいってないと思いがちだ。僕らは自己啓発本で高らかに自身の成功を語る器用に生きてきた人とは違う。人生投げてる訳でもないし、一生懸命にやってない訳じゃない。でも今の状況からなかなか脱出することは難しいんだ。どこかに不安を抱えながら僕らは日々を生きている。映画「ふがいない僕は空を見た」には、そんな僕らと同じように不器用な人たちだらけだ。子供を欲しがる姑と冷め切った夫に悩みながら、アニメのコスプレで現実逃避する里美(田畑智子)。そんな人妻とコスプレ情事にふける男子高校生卓巳(永山絢斗)。卓巳の友人で、痴呆症の祖母を母親に押しつけられた良太(窪田正孝)。医者の子供であることの重圧からか奔放な生活を送る良文(三浦貴大)。学校の先生や里美の夫も含めて、ほんとうに自分をふがいなく思っている人ばかり。

 銀幕に向かうのが辛い映画だった。孫が欲しい姑からのあまりにも激しい要求、里美を縛り付けるその仕打ち。里美との情事が町中に知れわたってしまった卓巳と里美が受ける中傷、嫌がらせ。それに耐える家族たち。安産ばかりではない助産院の現実。わずかな食費を良太から奪い取る母親。団地住まいを見下すバイト先の店長。どうしようもなく厳しい場面の連続。逃げ出したい厳しい現実と、逃げ出せない自分という現実。

 この映画で描かれるこうした現実をリアルに描ききることができたのは、役者たちの熱演あってこそだし、ちょっとした台詞やディティールが、映画に現実味をもたせてくれている。例えば空腹に耐えられなくなった良太がバイト先でチロルチョコや廃棄する弁当を手にする場面。セックスの最中に助産婦の母から教わった知識をつい口にする卓巳。特に里美がコスプレで現実を忘れようとする様子は、胸に突き刺さる場面ばかりだ。田畑智子は難役を実に自然に演じている。鏡にむかって魔女っ子ヒロインの変身ポーズを繰り返す場面は泣けた。変わりたい自分と今の状況。でも変わらない自分と現実。このあたりは、卓巳の視点と里美の視点から、時系列をバラした演出と編集が使われている。試みとしては面白いのだが、やや場面の順番がわかりづらかった。映画全体としては良太の場面もある訳で、ここだけ少し浮いた感じがしたのは否めない。

 重苦しい雰囲気が続いた映画だが、厳しい現実を長尺で見せた後、少しだけ成長物語としての光明が差す。現実を変えようと勉強に打ち込み始める良太。夢中になった人妻との別れから現実と向かい合う勇気を持ち始める卓巳。里美も殻に閉じこもることを辞めて現実を受け入れる。世の中との接し方を人は傷つきながら学んでいく。この映画はその過程を刻んだ物語。多分、二度は観ない映画だろう。だけど心にひっかかり続ける映画であることは間違いないだろう。

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ブリジット・ジョーンズの日記

2013-06-27 | 映画(は行)

■「ブリジット・ジョーンズの日記/Bridget Jones's Diary」(2001年・アメリカ=イギリス)

監督=シャロン・マグワイア
主演=レニー・ゼルウィガー ヒュー・グラント コリン・ファース

 やっと観たぁ!。「アバウト・ア・ボーイ」の英国ワーキング・タイトル製作のヒット作。原作は多くの女性から支持されているヘレンフィールディングのベストセラーだけに、イメージを崩すまいとレニー・ゼルウィガーは体重を増やして大熱演。この映画でしか見られないぽっちゃりレニーがなんともかわいい。とにかく彼女の魅力満載。さらに選曲のセンスがいいし、内容とリンクしているから主人公の心情を印象づけることに成功している。タイトルにかぶさる ♪All By Myself は特に印象的。ガブリエルの ♪Out Of Reach (名曲!)が使われるところもなかなか切なくていい場面だ。でもこの映画に本当に共感できるのはヒロインと同世代の女性たちなんだろうな。

 一方、男どももなかなか好演。ワーキング・タイトル映画には、お約束?のヒュー・グラント。今回は主人公に言い寄るプレイボーイ上司に扮する。結論から言っちゃうとサイテーな男なんだけど、エンドクレジットでみせる男の情けなさがいいね。対してエリート弁護士に扮したコリン・ファースは本当に真面目で優しい男。父親役のジム・ブロードベンドも含めて、他の脇役たちも個性が強いから観ていて飽きることがない。

 それにしても三十路の独身女性って、あんなに結婚を急かされ、セクハラされ続け、上司に言い寄られて、恋にしくじっても、それでも健気に頑張ってるんだなぁ。改めてそう思いました。かつて大黒摩季が ♪夏が来る でそんなオンナの心情を歌っていたけれど、あれを聴いて何言ってんだいと思っていたオトコどもは、この映画観て反省すべし。僕も以後発言に注意致します! m(_ _)m (笑)。それにしてもこの映画で最も印象に残るのは、他でもないレニーのお尻だね。

(2003年筆)

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噂の二人

2013-06-25 | 映画(あ行)



■「噂の二人/The Children's Hour」(1961年・アメリカ)

監督=ウィリアム・ワイラー
主演=オードリー・ヘップバーン シャーリー・マクレーン ジェームズ・ガーナー

 ウィリアム・ワイラー監督作といえば「ローマの休日」だの「ベン・ハー」だのメジャーな名作が知られている。一方で、地味なんだけど忘れがたい作品もある。例えばボギーが悪役を演じた「必死の逃亡者」や、ストーカー犯罪を描いた先見的傑作スリラー「コレクター」。僕は前者の作品も好きだが、後者の作品にも惹かれずにはいられない。「噂の二人」もそのヘビーな題材、作風から後者のものである。この主演女優の顔ぶれ、これで監督がビリー・ワイルダーなら間違いなくコメディなんだろうけど。

 「噂の二人」は同性愛者と疑われた二人の女性を主人公。リリアン・ヘルマン(「ジュリア」ではジェーン・フォンダが彼女を演じた)原作の舞台劇「子供たちの時間」二度目の映画化である。今でも同性愛というと偏見めいた視線がむけられる。この物語はイギリスかどこかで実際に起こった出来事を元にしているとか。噂とは恐ろしい。そしてそれを鵜呑みにしてしまう、世間という名の集団の恐ろしさ。「過去はついてまわるのよ」とはオードリーの台詞だが、”人の噂も七十五日”なんて大嘘なのかもしれない。

 その騒ぎの中で、次第にシャーリー・マクレーン扮するマーサは、オードリーへの思いが実は恋心であると自覚していく。そして彼女は・・・。このあたりのシャーリー・マクレーンの演技は真に迫る。シリアスな役柄をこなすオードリーも見事だ。同じ年に「ティファニーで朝食を」と撮影していると思うと、その演技の幅広さに感心する。ラストシーンで胸を張って皆の前を去る姿は強く印象に残る。ワイラーの演出も見事。特に首を吊ったシャーリー・マクレーンを直接見せることなしに、観客を納得させる見事なショット!倒れた椅子、足先の陰、戸口でそれを見て嗚咽するオードリー・・・これがひとつの絵だから恐れ入る。たまにこういう映画観ると、今の映画が、いかに作りが荒いかよくわかる。

(2003年筆)



コメント (2)
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ウルトラマンコスモス 3部作

2013-06-24 | 映画(あ行)

■「劇場版ウルトラマンコスモス The First Contact」(2001年・日本)

監督=飯島敏広
出演=赤井英和 東海孝之助 藤村俊二 中山エミリ

 2002年の最初の鑑賞作がこれ!とは。もしかして今年の僕は”自宅の人”となる?のだろうか・・・・。でも観たかったんだよね、実は。TVシリーズも 子供と毎週見てるし。ウルトラマンコスモスのいいところは、怪獣たちが常に悪だとは限らないことだ。主人公が所属するチーム・アイズ(TVシリーズ)も怪獣の捕獲・保護を目的としており、平和的・人道的解決が最優先である。力だけが平和を守る手段ではないというポリシーが一貫している。ルナモード(青)のコスモスは慈悲の心を持つウルトラマン。コロナモード(赤)は力で対抗せねばならない相手のときに出てくるのだ。

 この劇場版はTVシリーズの前日談にあたるエピソード。少年時代のムサシ隊員がコスモスと初めて出会う話になっている。敵はおなじみバルタン星人で、地球への移住を要求してくるのだが最終的に全面対決となる。バルタンの子供たちは地球の子供たちと共に平和的解決を望むのだが・・・・。子守歌でバルタン星人を眠らせたり、舞の海が"raiden"の名前で登場したりと笑っちゃうところもあるけれど、全編に貫かれたテーマがしっかりと残る良質のお子さまエンターテイメントだ。大人に是非チェックして欲しいのは、初代ウルトラマンの面々がチョイ役で出演していること。それにコスモスのアクション!。カンフー?合気道?。

(2002年筆)




■「劇場版ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET」(2002年・日本)

監督=北浦嗣巳
主演=杉浦太陽 斉藤麻衣 西村美保 風見しんご

 昨年劇場公開時に惜しくも見逃していたが、やっと観られた。何せ杉浦太陽クンの冤罪事件騒ぎで公開すら危ぶまれていた映画、おまけに北九州市ロケだけに、観たくて仕方なかったんだけどね。それで実際に観た印象は、思った以上に大人の鑑賞に堪える映画だということ。それは怪獣とのファイトシーン以外のドラマの作りがきちんとしているからだろう。

 惑星の環境を破壊して支配する邪悪な宇宙怪獣サンドロスと、その配下のスコービスによる地球侵略が大きな意味での物語の中心。従来のウルトラマンシリーズならば勧善懲悪に徹して終わるところだが、ここに怪獣に故郷を滅ぼされた異星人とのコミュニケーションが加わり、物語をスリリングにする。「コスモス」シリーズの、怪獣退治よりも保護、敵と見なされる相手であろうともまずは共存をめざす、という路線は今回は異星人に向けられている。この異星人たちが地球の海底に住んでいるという設定は、「ウルトラセブン」のノルマントを思い出させるじゃない。大人の心をくすぐるよね。異星人シャウ役、斉藤麻衣チャンは上手。「千年の恋」の紫の上役(少女時代)の娘だけど、きっと将来活躍するだろうな。今後の成長が楽しみ。

 住んでいる者からすると北九州ロケは”よくやるなぁ・・・”と、やや気恥ずかしささえ感ずる。何せ日本列島の上に張られるバリヤーの発射基地が北九州空港!。スコービスが小倉の市街地を襲うシーンでは、小倉駅(「銀河鉄道999」のメガロポリスステーションにそっくり!)は壊される、メディアドーム(多額の費用をかけた競輪場!)は吹っ飛ぶ、小倉城は砂になる。とどめは「ムサシ!今すぐスペースワールドに来て!」だもんね。北九州宣伝映画としては屈指の傑作。北九州市役所横を逃げる人々をバックに少年が「ウルトラマンコスモス、きてくれるんやろう?」と九州弁丸出しなのが、なんかいいよね。

(2003年筆)




■「ウルトラマンコスモス vs ウルトラマンジャスティス The Final Battle」(2003年・日本)

監督=北浦嗣巳
主演=杉浦太陽 吹石一恵 市瀬秀和 鈴木繭菓

 劇場版「コスモス」第3弾。地球の全生命をリセットするという”宇宙正義”の決定に、我らがコスモスと春野ムサシが地球を守るために戦う。劇場版の前2作をきちんと観ていないと話についていけない、まさに「コスモス」ファンの為の御礼映画。TVシリーズでお馴染みの面々も、劇場版前2作の登場人物たちも登場する。今回は”宇宙正義”側のウルトラマンジャスティスとコスモスが戦うショッキングな展開から始まる。だがジャスティスは、少女とのふれあいや怪獣たちが脅威に立ち向かう姿を目にして、心が揺らぎ始める。このあたりはなかなかいい場面で、特にリドリアス、ボルギルス、ゴルメデそれにドンロンの4怪獣が、グローカーに立ち向かう姿にはこっちまでグッときてしまう。

 だが、この映画の主たる客層である未就学児童にはチと辛いお話だろう。ジャスティスの葛藤をちゃんと理解できるかはやや疑問だし、全体的に漂う悲壮感が子供には嫌なムードではなかろうか。話のスケールも大きいし。その点では環境問題を根底に置きながら勧善懲悪に徹した前作の方が僕は好きだな。「スターウォーズ」や「マトリックス」、「インデペンデンス・デイ」を思わせる描写はなかなか楽しめたけど。このシリーズが投げかけたメッセージは、今までのウルトラシリーズの中でも異色だ。本当は敵なんかいない。力でねじ伏せるのが正義ではなく、共存の道を探ることが大事。イラク戦争という現実社会を考えると、この3年間に「コスモス」が訴えてきたことは強く心に響くではないか。

(2004年筆)



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海猿

2013-06-23 | 映画(あ行)

■「海猿」(2004年・日本)

監督=羽住英一郎
主演=伊藤英明 加藤あい 藤竜也

 思っていたよりも面白かった。しっかしクサいね。涙と感動を強引にさらっていくようなこの作風!。つーか僕が日頃こういうTVドラマの延長みたいな日本映画を見ていないからなのかな。ジャーニーを、しかも Open Arms を主題歌にしたせいで、それがますますクサくなる(決して Open Arms が悪いのではありませんよ)。また、この手の青春映画にありがちな”成長物語”という要素があまり強くないのが、今ひとつ盛り上がらない、スカッとしない理由でもある。主人公はダイビングの資格を持っている設定だから最初から”できるヤツ”。成長物語的要素がバディを失ってからの精神面のみに集中される。”成長物語”としての爽快感がこの映画には欠けているのだ。

 されどこの映画決して飽きさせない。それは訓練場面への観る側の興味もあるだろうし、海上保安庁の協力で撮られた迫力ある映像があるから。伊藤英明クンは役者としてはちょっと・・・でもかっこいいから許される。加藤あいチャンの可憐さと藤竜也の助演が素晴らしいのもこの映画が引き締まって見える理由だな。

 話は違うが、先日僕はお仕事で検察庁に出かけた。そこでとある検事さんのお話を聞くことが出来た。公務員として働くとはどんなことなのか・・・いろいろと語っておられた。どんなに頑張っても弁護士とは違うから金にはならない。しかしその分だけ損得勘定抜きで仕事に立ち向かえるんだ、とおっしゃった。でも最前線は決して面白いものではない。ドロドロした人間関係を見ることもある現場だ。はっきりはおっしゃらなかったが、事件の裏にある人間の心に触れることが自分にとてもプラスになっているのだと思う。それ故に検事さんの人を見る目は厳しいけれど優しい。人が好きだから、金で左右される弁護士ではなく検事の道を選んだのだろう。僕にはそう思えた。「海猿」でも公務員として働くことの意味・厳しさが少しだが見え隠れする。「お前らは奉仕者なのに民間人と喧嘩するのか!」と罵られる場面、「訓練生は潜水士ではない」と規則に縛られる場面。同じ潜る仕事をするだけならば友人が誘うようにダイビングのインストラクターにもなれる、金にもなる。しかし主人公は海上保安官として潜ることを決意する。それは人を失いたくないという気持ちから。ここにも人が好きな公務員がいた。それが少し嬉しかった。

(2005年筆)



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ローマでアモーレ

2013-06-22 | 映画(ら行)

■「ローマでアモーレ/To Rome With Love」(2012年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン アレック・ボールドウィン ロベルト・ベニーニ ペネロペ・クルス ジェシー・アイゼンバーグ

 ヨーロッパが舞台のアレン先生の作品はおとなしい印象がある。確かに過去にもイングマル・ベルイマン監督みたいな静かで物憂げな作品群(例えば「私の中のもう一人の私」や「セプテンバー」)もあった。でも最近のヨーロッパで撮られた作品はそれまでになかった落ち着きと品が感じられた。「マッチポイント」のエロティックな視線とサスペンス描写、「それでも恋するバルセロナ」の達観したような恋愛観、古きよき時代を回顧する「ミッドナイト・イン・パリ」。これまで、ウディ・アレン(時には別の男優)が口にする世間に対する皮肉や風刺は、僕らを笑わせながらも刺激してくれた。また、70年代に撮ってたお下劣なセックスコメディ(例えば「SEXのすべて」「スリーパー」)も今ではストレートには撮りにくい題材になっている。そうした部分は最近控えめになっていた。

 しかし。イタリアの陽光を浴びたウディ・アレン先生は違った。新作「ローマでアモーレ」には、毒とキレのある台詞、昔の作品を思わせる下品な部分が見え隠れする。ウディ・アレン映画らしいエッセンスが盛り込まれた逸品である。ここ最近のアレン先生の作品には「クスッ」とさせるものはあっても、声出して笑わせてくれるようなバカバカしさはなかった。そういう意味では「ローマでアモーレ」は、最近の作風の洗練された印象は受けない。好きなテーマを、好きな台詞で彩っている。開き直ったようなアレン先生が見られる楽しい映画。シャワーを浴びると緊張が解けて美声で歌える男性を自分のオペラに出演させるエピソードは、たまらない面白さ。ローマに出てきた田舎ものカップルに訪れたトラブルは、イタリアという舞台だからこそハジケちゃったアレン先生らしいセックスコメディの真骨頂。イタリア語の響きが「SEXのすべて」の不感症エピソードを思い出させる。その騒動を乗り越えた二人は、最初よりも少しだけ自信に満ちた顔をする。経験は人を成長させる。突然パパラッチのターゲットになる一般人ロベルト・ベニーニの騒動も楽しい。
「なんでオレが有名なんだ?」「有名なことで有名なんです」
もう理屈抜きの巻き込まれコメディに、僕らは心のどっかでかわいそうと思ってももう笑うしかない。

そしてアレン先生の映画、最大のお楽しみは男と女の恋模様。複数の物語が同時進行する群像劇はそれぞれに違う味わいだけど、それぞれに笑わせた後で男女の関係をちょっぴり考えさせてくれる。建築家を志す青年ジェシー・アイゼンバーグが、彼女の友達エレン・ペイジに夢中になっていくエピソードでは、アレック・ボールドウィンが恋の指南役・解説者(?)として唐突に登場する。これってアレン先生の主演作「ボギー!俺も男だ」で、ハンフリー・ボガードが突然現れて人生のアドバイスをする話を思わせる。恋することは自然なこと。それは成就するかどうかにかかわらず人を成長させてくれる。

アレン映画は豪華なキャストも魅力。真っ赤なミニドレスで登場するペネロペ・クルスはとっても魅力的。スペイン映画やイタリア映画で観る彼女は、ハリウッド製の映画でみる彼女とは全然違う。「それでも恋するバルセロナ」で演じた感情で生きてるような元妻役もすごかったが、今回は売れっ子コールガールを楽しそうに演じている。僕は、エレン・ペイジをアレン先生好みだろうと以前から思っていた。彼女も友達の彼氏を翻弄する小悪魔を好演。この知的な会話をひたすらしゃべり倒す女性は、アレン作品ではいけ好かない存在として出てくることもあるけれど、エレン・ペイジが顔近づけてあの視線でしゃべられたら誰でもクラクラする。とにかくしゃべりが上手いキャストでないとアレン作品は務まらない。今回も達者なメンバーで楽しい映画に仕上がっている。

それにしてもローマ・・・やっぱりいいなぁ。僕は20年前にトレビの泉にコインを1個投げ入れている。だから、いつかきっとまた行けるさ。うん。きっと。

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ボウリング・フォー・コロンバイン

2013-06-19 | 映画(は行)

■「ボウリング・フォー・コロンバイン/Bowling For Columbine」(2002年・カナダ)

●2003年アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞
●2002年カンヌ映画祭 55年記念特別賞
●2002年ナショナル・ボード・オブ・レビュー 長編ドキュメンタリー賞

監督=マイケル・ムーア
主演=マイケル・ムーア マリリン・マンソン チャールトン・ヘストン

 アポなし突撃取材がモットーのマイケル・ムーア監督が、コロンバイン高校の惨劇からアメリカの銃をめぐる現状を鋭くえぐるドキュメンタリー映画の傑作。オスカー授賞式の「ブッシュ恥を知れ!」発言は忘れられないよなぁ。何がすごいかって、お堅いドキュメンタリー番組とは違って、結果として徹底したエンターテイメントに仕上がっていることだ。アメリカでは銃で殺された人数が桁外れに多い。この現状を、世間は政治やバイオレンス映画、ゲームやサブカルチャー、血塗られた歴史のせいにする。でも劇中マリリン・マンソンも言うように、そうしたもののせいにする方が楽だからだ。それでは何も解決しない。ムーア監督はこの映画の中で、銃犯罪が多い原因を”恐怖”と結論づける。

 事件を表面的にしか追いかけないマスコミのあり方もムーアは批判し、コロンバイン事件の周辺まで丹念に追いかけていく。一歩間違うと、銃規制を声高に訴える怒りに満ちた映画になりそうな題材だけど、ムーア監督は感情的にならずにひたすら「なぜ?」を突きつけ続ける。本当は怒りに満ちているのにね。それを独特のユーモアで描いていく。でも決してこの問題をムーアはブラックユーモアで笑い飛ばそうとはしていない。その姿勢が重要だ。チャールトン・ヘストンがムーアの質問に逃げ出してしまうラストは、見ていてすごく悲しく空しい場面だ。銃を手にすることを叫ぶ人が銃を手にする理由を答えられない。しかもそれがかつてモーゼを演じた俳優ってのが泣かせるじゃないか。それが現実なのだ。

 この映画を観て知る現実。確かに誇張してはいるだろうから鵜呑みにはできないけどね。でもこの映画観ることで、銃の問題をみんなが考えるきっかけになるならそれは重要なことだ。驚くべき現実は次々と映し出されていく。ロッキード社の方の発言も印象的だ。「ミサイルは人を殺す道具ではない。我々を守るためにある。」矛盾を感じないのだろうか。それとも観ている僕が、徴兵制度がない奇跡的な国、ニッポン人だからそう思うのだろうか。マリリン・マンソンが”恐怖をあおる社会”について語る場面には正直驚いた。怖いこと歌っているだけじゃないのね。マンソンを見直したよ、ホント。ところでルイ・アームストロングの What A Wonderful World をバックに人類の血塗られた歴史が映し出される場面に、僕は涙した。10数年前に「グッドモーニング、ベトナム」で同じ曲が使われた。ベトナムの村が爆弾で焼き尽くされる場面のバックに流されたのだ。あの時も僕は泣いた。本当に”素晴らしい世界”が来ることを銀幕を見つめながら心から祈ったもんだ。でもまだ人類は何にも変わっちゃいないのだ。

(2004年筆)

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読了。

2013-06-18 | 読書

有川浩「図書館危機」読了。テレビシリーズの原作はこの巻まで。
過去の2冊よりも表現の自由を守ろうとする強い意志が感じられる力作。読んでいて力がこもる。

茨城県展のストーリーはアニメ版で大きな改変があるんだね。
エピソードをより増幅させて、女子寮の嫌がらせや堂上教官との恋愛ムードが高まったアニメ版とは違い、スッキリ楽しめる。
そっか、コインランドリーのシーンは手を握るだけなんだw。

巻末の児玉清と有川浩の対談がどれも素敵だ。言葉を大切にするってこういうことだよな、と思う。
児玉清は映画「図書館戦争」に亡き図書館長役で特別出演している。この原作シリーズへの愛を感じずにはいられない。

 ★

「図書館戦争」3作目の次に何を読もう?と考える。
そうだ、宮崎駿監督の新作を観る前に、堀辰雄の世界をきちんと読んでおこう!と「風立ちぬ」を読もうと決めた。

配偶者アミダラM「風立ちぬ、映画は観たことないの?山口百恵の・・・」
アナキン「オレを何歳だと思ってるのさ。」
アミダラ「それにしても、どうしてその文庫本なのよ。」
アナキン「え?」
アミダラ「フツーに岩波文庫とか新潮文庫でいいじゃない。どうしてアイドルがカバー写真に載ってるのを選ぶのよ。」

風立ちぬ (ぶんか社文庫)

僕が選んだのは、AKB48の面々がカバー写真になっているぶんか社文庫版。表紙は既に卒業している小野恵令奈ちゃん。

アナキン「音楽だって、ジャケ買いするじゃん!」
アミダラはあきれた顔をして、松田聖子の風立ちぬを口ずさんだ。

明日から読みまーす。

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