Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2023年1月のプレイリスト

2023-01-31 | 今日のBGM


◆2023年1月のプレイリスト◆

1月に聴いていた愛すべき31曲


1 違う、そうじゃない(鈴木雅之)

今ごろこの曲を紅白で聴けるとは思わなかったなw

2 ルナルナ(スピッツ)

羊の夜をビールで洗う♪

歌詞は不滅の正宗ワールドだw

3 Sentimental Street(Night Ranger)

3rdアルバムからのファーストシングルだった曲。美しいコーラスが好き。

4 Dreams of a Samurai(Red Hot Cili Peppers)

ピアノから始まりミステリアスな変拍子。

5 VOYAGER〜日付のない墓標〜(松任谷由実)

劇場版エヴァで使用されたユーミン楽曲。

6 TVのシンガー(The Yellow Monkey)

スターがまとう虚像を皮肉まじりに歌う。

7 Zanzibar(Billy Joel)

昔はあんまりハートに響かなかったトランペット🎺ソロがやたらカッコよく聴こえる。

8 人生の扉(竹内まりや)

年齢重ねるとこの曲が胸に沁みるのよね。

9 MAD冬景色(ココナツ・バンク)

ポップな曲が多い伊藤銀次楽曲の中でも硬派な作品。

叫びてぇんだぁ、Love Me Tender ♪

10 On The Road(浜田省吾)

あの頃そんなに聴いてたつもりはないのに、不思議と浜省楽曲はよく覚えてるんよね。きっとカラオケでも歌える🎤


11 また逢いましょう(CRAZY KEN BAND)

アナログシンセの使われ方が印象的な、クラシックロックぽい楽曲。カッコいい。

12 People Get Ready(with Rod Stewart)(Jeff Beck)

R.I.P. Jeff。

13 エジソン(水曜日のカンパネラ)

クセになる😆

14  Super Driver(平野綾)

朝イチに聴くには最高のアニソン。元気をくれるのはハルヒのイメージ。

15 元気ならうれしいね(高橋幸宏)

音楽、映画、ファッション。憧れの大人がまた一人逝去😭

16 Boys & Girls(サディスティック・ミカ・バンド)

アルバム「天晴」は愛聴盤なのだ。

17 Watermelon(高橋幸宏&東京スカパラダイスオーケストラ)

喪失感を引きずりながら、お気に入りの一曲を聴く。

18 リンダ(アン・ルイス)

にっかつロマンポルノで使われていた。このイメージが焼き付けられそう😩

19 Distortion!!(結束バンド)

最近長女が風呂で熱唱しているのを父は知っているw

20 Endless Love(蒼井翔太)

「ポプテピピック」2期の最終回、ハチャメチぶりに唖然…😧


21 Someday I'll Be Saturday Night(Bon Jovi)

これ歌いたいよなぁー🎸

22 Shake It Off(小林香織)

これ吹きたい!🎷さかなクンのバリトンサックスとの共演作。

23 a walk in the park(安室奈美恵)

久々に聴いたけど、この曲のアレンジやっぱり好みだ。

24 C調言葉にご用心(サザンオールスターズ)

10代の頃聴いてたサザン楽曲は時々無性に聴きたくなる。

25 孤独のRunaway(B'z)

稲葉さんの歌詞って耳に残る。部屋に残されていたサボテンが街を笑うってすごいイメージ。

26 Eat The Rich(Aerosmith)

このかっちょいいイントロと一緒に歌いたいサビのフレーズは、一日中頭の中で響き続けるのだ🎸

27 Good Times(Chic)

ダンスチューンが増えてきたらストレスが溜まってきた証拠である。

28 On The Radio(Donna Summer)

ダンスチューンが続く…😥

29 胸いっぱいの愛2008(甲斐バンド)

はりさけんばかりの声にもなりゃしない

胸いっぱいの愛でお前と♪

30 Here Comes The Feeling(ときめきの面影)(Asia)

「関ジャム」で、K-POPのある曲のサビ前でテンポダウンするアレンジの妙について解説されていたが、これもよい先例。


31 YOU MAY DREAM(シーナ&ロケッツ)

辛い訃報が続くね、今年😔











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荒野の七人

2023-01-31 | 映画(か行)

◼️「荒野の七人/The Magnificent Seven」(1960年・アメリカ)

監督=ジョン・スタージェス
主演=ユル・ブリンナー スティーブ・マックイーン ジェームズ・コバーン イーライ・ウォラック

初めて観たのは中学生の頃。家にこれまでより少し画面の大きなテレビがやって来た日だった。と言っても、今の50型ワイドの大画面とは違う。その半分くらいのサイズのブラウン管テレビだ。でも画面大きいなと感じるのは最初の数分だけ。すぐに慣れてしまって大きさの恩恵などどこへやら。それでも軽快なエルマー・バーンステインの主題曲が流れるオープニングはしっかりと記憶に焼きついた。

黒澤明の「七人の侍」を西部劇に翻案した作品であることは、いまさら申し上げることではない。ただドンパチを楽しく観ていた中坊の頃とは違って、そうした知識も主演俳優の他の作品も知っているし、自分自身も年齢を重ねているから、今観ると響くところが違う。

「戦わないお父さんたちは卑怯者だ」
と言う子供にチャールズ・ブロンソンが、お父さんは立派だと諭す場面。
「俺にはロバと畑に向き合って家族を守る勇気なんてない。親父さんは立派な人だ」
すごい人だと慕う村人たちに、ユル・ブリンナーが言い放つひと言。
「俺は銃の撃ち方を知っているだけだ」
アウトローの生き様がちょっとした台詞でじーんとしみる。そんな寂しさを引きずった後で、あのラストの台詞。
「勝ったのは農民だ。俺たちはいつも敗北者だ」
オリジナルあってのことではあるけれど、いい台詞がいっぱい。大人になるといっそう胸に響く気がする。名言集のような映画。

先日、職場の頼れる大先輩にいろいろ指南してもらっている時に、その方がボソッと言った。
「この業務を長くやってたというだけですから」
謙虚なひと言だけど、かっけー…🥹
経験値が吐かせるそのひと言に「荒野の七人」のユル・ブリンナーが重なった私(どんな脳内変換をしているのだろうかw)。

七人全員がヒーローじゃなくて、それぞれに弱さも抱えているキャラクターづくりが効いている。村人たちが何が最善かで迷う様子も印象的だ。正義って曖昧なもので、それぞれの正義があることを大人になるにつれて僕らは実感してきたからかもな。クラシック映画に触れると、大切なことを学びなおしているような気持ちになる。







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17歳

2023-01-30 | 映画(さ行)

◼️「17歳/Jeune et Jolie」(2013年・フランス)

監督=フランソワ・オゾン
主演=マリーヌ・ヴァクト ジェラルディン・ペラス フレデリック・ピエロ

澤井信一郎監督は、原田知世主演作「早春物語」のパンフで「17歳が嫌いだ。だから17歳を痛めつけてやろうと思ってこの映画を撮った。」との文章を寄せている。確かに17歳って扱いにくいお年頃。世の中が分かってるでもなく、大人の想像を超えた行動をし、辛辣な言葉も平気で口にする。それは世の東西が変わっても同じ。

フランソワ・オゾン監督の「17歳」は、大人と子供の狭間にいるヒロイン、イザベルがSNSを使って売春を始めるお話だ。親世代や名門校にいる状況への反抗でもなく、差し迫った金銭の必要もない。彼女にとっては"経験"でしかない。何のためにそんなことを。大人目線だと観ていて苦しくなってしまう。ことが発覚してから、周囲の大人たちがどう扱っていいか戸惑う様子がよくわかる。大人の男性と二人にしないように扱われて、「信用してないのね」と言う彼女だが、そりゃお母ちゃんたちも気が気じゃないだろう。そう、イザベルは17歳というモンスター。

原題は「若さと美しさ」。17歳には17歳でしか持ちえない若さと美しさがある。それは代え難いものだとは思うが、ヒロインはそれを利用したのでもあるし、浪費したのでもある。でもそこは彼女にとって自分を自分として、値踏みされるにしても価値を認められる場でもあったのかも。親に従うだけの付き合いとは違う。そして自分は若くて綺麗だからという気持ちが少なくともあったはず。

そんな17歳だから持ち合わせている変な自信。それはクライマックスで打ち砕かれる。ここで登場するシャーロット・ランプリングは、イザベルを許すでも憎むでもない。売春したことを責めることもない。ただ亡くなった夫について述べるだけなのに、ほかの大人とは全然違う力強さを感じさせるのだ。その程度の経験で、男を、そして女であることを知ったつもりになるんじゃないぞ、とでも言ってるような圧力がある。ラストシーンのイザベルは何を思ったのか。明確に示さない余韻がいい。

フランソワ・オゾンがこの映画を撮りたいと思ったのは、17歳の女性にある複雑な気持ちに惹かれたからに違いない。澤井信一郎監督も冒頭に述べた文章の最後で「でも今は17歳に夢中だ」と結んでいる。それはやっぱり男性の目線。このフランス映画の「17歳」は、ゲイであるオゾンの目線で「女の子って難しいよね」と言ってるような気もするのだ。






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イニシェリン島の精霊

2023-01-28 | 映画(あ行)

◼️「イニシェリン島の精霊/The Banshees Of Inisherin」(2022年・アイルランド=イギリス=アメリカ)

監督=マーティン・マクドナー
主演=コリン・ファレル ブレンダン・グリーソン ケリー・コンドン バリー・コーガン

「お前が嫌いになった。話しかけるな。」
「お前が退屈だからだ。くだらない話に費やす時間はない。」

そんなことを親友と思っていた人から突然言われたらどんな気持ちになるだろう。主人公パードリックの身になってこの映画を考えると辛さしかない。パブで呑んで語るくらいしか娯楽のない島の生活、人の噂ばかりがニュース。そんな中でコルムは数少ない友人だ。突然の絶交宣言に戸惑ってしまうし、「話しかけたら指を一本ずつ切り落とす」とまで凄まれる。自分ならどうするだろう。

人と人が関わる中で、家族以外の人間関係は昔考えていたよりも大切だと感じる。家族だから言えないことって結構ある。だからつまらないことでも相談できる、遠慮なくものが言える相手がいるって幸せだと思うのだ。そんな関係を失いたくないと思える相手が僕にもいる。親しい友人がいない状況を「フレンドシップ・リセッション」と呼び、解決を考えることも話題になっている昨今。この映画を観ても、パードリックの辛さをまず考えてしまう。

しかし。友人関係を整理したい、こんな話題の飲み会早く終わっちまえばいいのに、この時間人生の無駄遣いだよな、と思った瞬間はこれまでに何度もある。だからコルムが自分がやりたいことの為に無駄と思える関係を断ち切りたいと考えることは、決して間違いじゃない。いい歳こいた大人になると、人脈を開拓しようなんて気力も必要もだんだんなくなってくる。ましてやコルムのように、好きな音楽で自分がいた証を遺したいと言う気持ちも理解できる。だからと言って、相手に凄んでまで、自傷行為までしてやり遂げなければならないことなのか。一人でやりたいことがあるからしばらくパブ通いはやめるよ、と優しく伝えることはできなかったんだろうか。こうした不器用さは年齢ゆえの焦りなんだろうか。

二人のすれ違いがどんどんエスカレートして、周囲の人間関係までもが崩れていく様子は痛々しい。だけどそこから目を離さずにはいられない自分もいる。賛否がわかれる映画だ。こんな胸が苦しくなるような思いを、なんで映画館で金払ってまでしなきゃならないのかという感想もあると思う。正直繰り返し観たくはない。

彼らが住む島から見える本土では、同じ国民がある日突然殺し合うアイルランド内戦がまさに起きている。二人の諍いは内戦と重ねられている。戦争の理由も一方的で互いが理解し合えないものだ。監督がここに込めた反戦への気持ちを思うと、これを多くの人に理解して欲しいと思える。そしてそんな二人の気持ちを少しでも汲み取ろうと真剣になれるなら、この映画は単に後味の悪い映画じゃなく、その人には秀作だと映るに違いない。二度と観たくないけど秀作。この映画はまさにそれなんだろう。

僕らは登場人物の誰にもなり得るのかも。映画の観客としての僕らは、ゴシップ好きで悪意をもった島の住民の一人になって、二人のイザコザを眺めているのかもしれない。いやもしかしたら、起きる悲劇を傍観してニヤついている精霊こそ、観客の目線なのかな。対岸の戦争を遠巻きに見ているみたいに。




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ミクロの決死圏

2023-01-26 | 映画(ま行)

◼️「ミクロの決死圏/Fantastic Voyage」(1966年・アメリカ)

監督=リチャード・フライシャー
主演=スティーブン・ボイド ラクウェル・ウェルチ ドナルド・プレゼンス アーサー・ケネディ

少年だった頃、児童書でこの映画が紹介されているのを見た。多分小学館の「なぜなに学習図鑑」じゃないかと思う。潜水艇で人体に入っていくお話がカラー写真付きで紹介されていて、すげえ映画に違いないと心に焼き付けられた。中学生の時分に伯父の家を訪れたら、書斎の本棚にハヤカワ文庫、名だたるSF小説がずらりと並んでいて歓喜。何冊か持って行けと言うので、迷わず選んだのはアイザック・アシモフによる小説版「ミクロの決死圏」だった。映画を初めて観たのもその頃だったかな。

新たに開発された物質をミクロ化する技術。これをさらに発展させる方法を知る科学者を東側から迎えた。ところが到着後襲撃に遭い、脳内に怪我をしてしまう。潜水艇をミクロ化して血管から患部に近づき、レーザーで治療する作戦を実行することになる。ところが5人の乗組員の中にスパイが?

困難な任務というスリルに疑心暗鬼を誘うスリルの相乗効果。危機また危機。そして何よりも誰もが見たことのないミクロサイズから見る人体。SFX技術やCGのない時代に工夫を凝らした映像が面白い。リチャード・フライシャー監督は、常に挑戦的で誰も手がけないような題材にも挑んできた人。

現代医学なら血管内視鏡の技術である程度やれちゃうのでは?と考えてしまう自分がいる。その考え傍に置いとけw。






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恋に落ちたら…

2023-01-24 | 映画(か行)

◼️「恋に落ちたら…/Mad Dog and Glory」(1993年・アメリカ)

監督=ジョン・マクノートン
主演=ロバート・デ・ニーロ ユマ・サーマン ビル・マーレイ デヴィッド・カルーソー

"mad dog"と署内で呼ばれる中年刑事ウェイン。ちょっと臆病者で独り身。彼は強盗に人質に取られていた男フランクを助けたが、フランクは表向きはスタンダップコメディアン、裏はギャングのボスだった。すると、命の恩人であるウェインを1週間世話をするようにとフランクに命じられた美女グローリーがやって来る。ギャングから刑事への便宜を受け入れてよいのか、一方でグローリーへの愛情を感じ始め、映画は終盤に向けて男の葛藤のドラマになっていく。

"mad dog"は狂犬の意味だが、"勇敢な"と言う使い方もあるとか。冴えない刑事である主人公が、自分はどう行動すべきか思い悩み、"もっと勇敢だったら"とそんな自分を思い浮かべるシーンも出てくるから、ここでは後者の意味なんだろう。警察という厳しい職場で、臆病な刑事が同僚に"勇敢"と呼ばれるってイジメじゃないのか。それとも彼を鼓舞してるのか。少なくとも狂犬の意味でそう呼ばれてるとは思えない。加納錠治(「ドーベルマン刑事」)じゃないんだからな。

しかしながら、シリアスな作風でもなく、恋愛劇でもなく、友情になり得なかった男のドラマでもなく、かと言ってコメディ色が強くもなく、全体として振り切れてないからどこを着地点にして納得していいのか観ていて迷ってしまう。ビル・マーレイは憎まれ役なのかもしれないけど憎みきれないし。

一方、素敵なシーンがあれこれある。長身のビル・マーレイとデ・ニーロが机を挟んでのメンズトーク、長めのベッドシーンのほてった表情、同僚がウェインのためにボコボコになるのも厭わない兄弟仁義。趣味の写真を認めてもらった嬉しさとか。

自分がもっと勇敢なら…と自分に自信を持てない中年男が、映画の最後に拳で立ち向かう。そこまでの葛藤のドラマは同世代になっちまった今の自分には、すごくわかるところもある。窓辺でグローリーを抱きしめる場面や、Just A Gigoloを歌いながら現場検証をする場面(なんて不真面目な…)なんて、痛々しくも見えるけれど、あの年齢で恋心に火がついたら狂うよなぁ…と妙な納得をしてしまう自分がいる。物足りない映画かもしれないけど、今の年齢だから響く部分はとても好き。







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猫のように

2023-01-21 | 映画(な行)

◼️「猫のように」(1988年・日本)

監督=中原俊
主演=吉宮君子 橘ゆかり 森川正太

「櫻の園」(1990)を観て、女子と女子との距離感や相手への気持ちをうまく表現する映画だなと思った。男の自分でも切なさにジーンと来てしまって、繰り返し観てしまった。中原俊監督が特別に女心がわかる奴とは思わないけれど、そんな世界を描けることをなんか羨ましく思った。そんなことを考える僕も若かったのだろうな。

そんな中原俊監督のにっかつ時代の作品「猫のように」を観た。シスターコンプレックスな感情を抱えた姉妹が主人公。姉の男性関係に対する苛立ちから、妹は姉を監禁しようと考える。普通の関係でもなく、禁じられた恋愛感情でもなく、でもどこか異常な気持ち。好きだけじゃ言い表せない感覚。それをネチっこいエロティシズムでフィルムに収めている。

「櫻の園」を先に観たせいか、男には計り知れない心のつながりを別な形で見せつけられた気がして、ロマンポルノじゃなくてもいい題材だよなー、と思ったのを覚えている。

主演の橘ゆかりが素晴らしかった。強い眼差しと美しい肢体が忘れられない。橘ゆかりは「櫻の園」で演劇部OB役で出演している。わずかな出番だったけど、高校時代の揺れる気持ちを通り過ぎた人なんだと思うと、素敵な場面に感じられたっけ。

ともあれ「猫のように」もっかい観たいんですよねー🥺




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ウエスト・エンド殺人事件

2023-01-19 | 映画(あ行)

◼️「ウエスト・エンド殺人事件/See How They Run」(2022年・アメリカ)

監督=トム・ジョージ
主演=サム・ロックウェル シアーシャ・ローナン エイドリアン・ブロディ ルース・ウィルソン

アガサ・クリスティによる「ねずみとり」の舞台は、コロナで記録が途絶えたものの、世界最長連続上演の記録を持っている。映画「ウエストエンド殺人事件」は1950年代のロンドンを舞台に、その「ねずみとり」が上演されている劇場で起きた殺人事件をめぐるミステリーコメディ。殺されたのは「ねずみとり」映画化を依頼された映画監督。"ただのフーダニットだろ?"とミステリーの醍醐味を認めず、派手な映画に仕上げようと主張するので脚本家と対立していた。他にも動機が疑われる人物がちらほら。事件を担当するのはのらりくらりとした仕事ぶりのストッパード警部と、メモ魔で早とちりのストーカー巡査の二人。二人は事件の真相を解き明かすことができるのか。

クリスティぽさを感じるシチュエーションや台詞をチラつかせることで、ミステリー好きを楽しませようとする映画の狙いはわかる。
「フランス人なの?」「ベルギーです」
ってポアロではお馴染みの会話。上演が終わったら映画化するとの契約条件が出てくるのも、現実世界では上演が終わらない「ねずみとり」だけに、イギリス人は「いや、映画化絶対できねぇじゃん」とニタニタすることだろう。クライマックスにはクリスティも登場して、迫った危機に鼠駆除剤を手にする。

サム・ロックウェル警部とシアーシャ・ローナン巡査の凸凹コンビのやりとりは、テンポもよく面白い。特に思い込みの激しい巡査は、目の前にチラついた新事実にすぐ飛びついて結論を出そうとする。金田一耕助映画の加藤武ですら、ちょっとは考えて「よし!わかった!」と言ったぞw。そんな彼女に警部は「結論を急ぐな」と諭す。しかしその警部まで容疑者になる大混乱w。ミステリーは読者観客をミスリードさせることで面白くするものだが、スクリーンの向こうでどんどんミスリードしていく。それは確かに面白いし、その度ごとにシアーシャが見せる凹んだ表情やケロッと立ち直った笑顔は楽しい。

でも、アガサ・クリスティをここまで軽く扱った映画は見たことない。ネタ元として使い倒しているのはわかるけど、クライマックスに出てくる本人役の扱いは、どうも敬意を感じられない。シンメトリーぽい構図と真っ正面向いた役者たち。そしてカメラは横移動…って、ウェス・アンダーソン監督の演出の真似じゃん。ミステリー仕立てなのに、映画全体がミステリーを茶化してるような印象が残った。こんな展開やラストの方がちゃんとしたミステリーよりも面白いでしょ?と言われてるみたいな。うーん。違うと思うぞ。まあ、クリスティはここまでやらないぞというユーモアと思えばいいかも。英国人はきっとそう受け止めてくれるさ。





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ダークシティ

2023-01-17 | 映画(た行)

◼️「ダークシティ/Dark City」(1998年・アメリカ)

監督=アレックス・プロヤス
主演=ルーファス・シーウェル ジェニファー・コネリー キーファー・サザーランド ウィリアム・ハート

アレックス・プロヤス監督作って、ブランドン・リーが主演した「クロウ」くらいしか観たことがない。後に放ったヒット作からもイメージされるのは凝ったビジュアルを多用したSFファンタジーの作風、しかもかなり暗めの題材だ。

脚本、製作も兼ねた本作。自分がクリエイトした世界観を、タイトルどおりのダークな風景で実写化した作品だ。確かに独創的だし、他の映画ではお目にかかれない光景が続く。建造物がニョキニョキ生えてきて街が形を変えていく特撮は、まだCGも一般的でなかった90年代によく映像化したと思えた。

心を捨てた異邦人(ストレンジャー)が、心を取り戻そうと人類を実験材料にするお話。記憶が精神の安定につながるという設定は、ちょっと「ブレードランナー」を思わせる。物語のクライマックスでは、記憶をコントロールされた主人公がシェル・ビーチという思い出の場所に辿り着けないというエピソード。奇しくも同じ年に製作された「トゥルーマン・ショー」が重なって見える。

オールド」のお父ちゃんルーファス・シーウェルって、この頃はこんな主役やってたのか。知らなかった。事件を追いながら世界の違和感に気づき始める刑事にウィリアム・ハート。表情を変えないクールさがこの役に似合ってる。すべての謎を知る博士はキーファー・サザーランド。

そしてわれらがジェニファー・コネリーは、主人公の妻(とされる女性)を演ずる。ダークシティの歌姫役で、ステージ場面でのドレス姿が美しい。90年代になって色っぽさに磨きがかかったジェニファーはそっち系需要の役がある一方で、80年代のイメージから続く冒険物語のお姫様的役柄も目立つ。本作や「ロケッティア」はまさにお姫様の方。ラストシーンの横顔がいいね。







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おしゃれスパイ危機連発

2023-01-14 | 映画(あ行)

◼️「おしゃれスパイ危機連発/Caprice」(1967年・アメリカ)

監督=フランク・タシュリン
主演=ドリス・デイ リチャード・ハリス レイ・ウォルストン リリア・スカラ

1940年代から歌手女優として活躍してきたドリス・デイ。歌手としては、もはやスタンダードでもあるSentimental Journeyや主演映画の主題歌だったTea For Twoが有名。でもなんてったってヒッチコックの「知りすぎていた男」とQue Sera, Seraですよね。本作はそんなドリス・デイが主演したコメディ作品。

化粧品メーカーの産業スパイ、パトリシアはライバル社にデオドラント製品の機密を売ろうとして失敗。そのライバル社がアメリカで彼女を雇うと提案し、彼女は工業デザイナーの肩書きで雇われるが、実態は双方の会社を行き来する産業スパイ。パトリシアの行動につきまとう男性クリストファー。協力者だが時にパトリシアを見張り、信用できる男かわからない。パトリシアは髪を防水できるスプレーの開発をめぐって、社内で開発を担当する科学者に近づく。一方、彼女は独自に父親の死をめぐる真相を探っていた。

映画は「女王陛下の007」を思わせるスキーアクションから始まる。続いてパリ市街を派手なファッションで颯爽と歩くヒロイン。小洒落たオープニングタイトル。ヒロインの置かれた立場を示す最初のエピソード、なかなか巧みなツカミで引き込んでくれる。防水された髪のサンプルを手に入れようと四苦八苦する場面はちょっと痛々しい。ヒッチ映画の気丈なヒロインが、ここまでズタボロになるコメディ演技するなんて…😰ちょっとびっくり。盗聴器を撹乱する場面が面白い🤣

後半は話がだんだんとシリアスな要素が強く複雑な内容に。二転三転する展開にボーっとしていられなくなる。クリストファーを演じる若きリチャード・ハリスが、軽妙でしかも決める時は決めるスマートなカッコよさで好印象。
「ローレンス・オリビエとビートルズのおかげで、イギリス人というだけでモテるんだ」
なるほど。60年代後半のアメリカでの、ブリティッシュインベーション(英国の侵略)などと言われる空気感がわかるひと言だ。

確かにもうちょっと若いコケティッシュな女優が主役だったら、別なオシャレ映画になっていたかもしれない。でも当時40代半ばのドリス・デイだからこそ、このヒロインの執念としたたかさが表現できた気もする。スイスで化粧品店を営むマダム・ピアスコを演じたリリア・スカラは、晩年「フラッシュダンス」で主人公アレックスを励ますおばあちゃんを演じている。




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