Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2023年8月のプレイリスト

2023-08-31 | 今日のBGM

◆2023年8月のプレイリスト
2023年8月に聴いていた愛すべき31曲

1 Nite Crawler 2010(Larry Carlton & Tak Matsumoto)
グラミー受賞作から。
2 If It Makes You Happy(Sheryl Crow)
これ歌いたくてギター練習しました🎸
3 潮騒の時(The Sound Of Waves)(崎谷健次郎)
夏に欠かせない大好きな曲。
4 Crazy Gonna Crazy(trf)
買い物中店内で流れる90-00年代の曲たちを、ついつい口ずさむ。trfはあの頃敬遠してたはずなのにフルで歌えた💧
5 光の天使(高橋洋子)
ローズマリー・バトラーが歌った名曲をカバー。アコースティックな楽器と厚いコーラスがオリジナルとは違う感動をくれる。
6 Theme From Paradise(Pheobe Cates)
あのフィービー・ケイツがもう還暦だってばよ👙
7 IMAGE DOWN(PUFFY)
アルバム「THE HIT PARADE」に収められたボウイのカバー。脱力感がカッコいい。
8 薄ら氷心中(林原めぐみ)
アニメ「昭和元禄落語心中」OP曲。話すでもなく歌うでもなく、呟くように歌う。めぐみ姐の凄みを椎名林檎楽曲が引き出す名演。
9 Jumpin' Jack Boy(WANDS)
B'zをサブスクで聴きまくっていたら、オススメにWANDSが表示され始めた。わかってるねぇ、Apple Music。
10 アンサンブル(TRUE)
歌姫TRUEによる「響け!ユーフォニアム」特別編主題歌。音楽へのまっすぐな気持ちが込められた歌詞が今回も素晴らしい。

11 脱・借りてきた猫症候群(Uru)
しっとりバラードのイメージを覆す。それでいて彼女の人柄が伝わるような作品😊
12 The Rainbow Song〜虹の女神〜(種ともこ)
大好きな曲なのだが、この曲が使われた映画は未見。どんなんだろ。
13トロピカル源氏〜レキシ変〜 (レキシ)
夏に聴きたいレキシ先生楽曲は源氏物語ネタ。ジャケ写は羽織袴で暑苦しいが💧
14 I Can't Hold Back(Survivor)
アルバム「Vital Signs」は学生時代の愛聴盤。
15 すみれコード(上坂すみれ)
あなたは45回転/あたし33回転/めぐりあえぬ運命だったとしても/レコード止めないで
16 Whenever You Want(Pyramid)
ピアノのリフにメロディアスなギター。今まであんまり聴いてなかったけど、Pyramidは好みのフュージョンかも。
17 We Live For Love(Pat Benatar)
重めのロックなのに、サビのファルセットが聖歌のように響く。
18 happily ever after(中川翔子)
幸せはいつだって失って初めて/幸せと気づく小さな不幸
19 野いちご(野本かりあ)
ピチカートファィブのトリビュート盤より。
20 横浜Lady Blues(原由子)
アルバムMiss Yokohamadultはお気に入りなのだ。

21 G.T.(坂本龍一)
Madia Bahn Liveを聴く。音質がクリアで素晴らしい。
22 さすらい(スピッツ)
奥田民生のヒット曲をスピッツらしいアレンジでカバー。
23 Mighty Long Call(ONE OK ROCK)
あーカラオケ行きたい🎤
24 Unsteady Love(中森明菜)
アルバムに収録された角松敏生楽曲。ベースが二拍目と四拍目しか鳴らないから、演奏は難しかった。
25 微かなカオリ(Perfume)
優しい君の本当の気持ち知りたいんだけど怖いから/いつもと変わらないことだけしか話せないんだよ/恋の微かなカオリ
26 I Lose Myself(Shakatak)
昔はドライブミュージック。今は家事のBGM(笑)
27 Birthday(The Beatles)
放送大学の「ビートルズde英文法」第1回より。講師「それではギターに合わせてシャウトしてみましょう♪」真面目にシャウトする父親は、長女に鼻で笑われる💧
28 ミ・アモーレ(BANDA GRANDE version)(松岡直也)
分厚いホーンセクションのアレンジがかっちょいい🎺🎷
29 Stand By Me(Maurice White)
EW&Fのモーリス・ホワイトのソロ作より、ベン・E・キングの名曲カバー。
30 背徳の瞳〜Eyes of Venus(V2)
小室哲哉×YOSHIKIのユニット。2曲しか残さなかったが、二人のライブビデオは圧巻で繰り返し見た。

31 暑さのせい(大滝詠一)
CM曲や未発表バージョンを収めた6曲入りがリリース。そして、まだまだ暑い日は続くのです。







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犬神家の一族(2023年・ドラマ版)

2023-08-30 | テレビ・アニメ


2023年に放送されたNHKドラマ。

幾度も映画化、ドラマ化されている横溝正史作品。今回の「犬神家の一族」は、吉岡秀隆の金田一耕助。
「家賃も溜めてるんだから行っておいで」
と家主に促されて依頼先へと向かう金田一は、カラカラと笑う飄々としたキャラクター。困った顔しかしない石坂浩二、険しい表情の古谷一行とは違う。クールな長谷川博己とも、チャラい加藤シゲアキとも違うw。見る人それぞれの金田一耕助像があるから、それぞれの違和感があるだろう。でもストーリーが進んで深刻な表情で頭を掻く吉岡秀隆は、個人的には好印象。

繰り返し映像化されるため、キャスティングばかりが注目を浴びがち。今回も有名どころを揃えているが、松子を演ずる大竹しのぶの凄みに圧倒される。松子役は高峰三枝子も富司純子も素晴らしい。けれど淡々と推理を聞き、真実を知っても落ち着いていた二人と違って、本作の大竹しのぶは佐清に向かって絶叫する。父佐兵衛に向けられた怨念の深さを視聴者は思い知らされる。凄い。

だが今回のNHK版の見どころは、なかなか挑戦的な改変部分だ。事件は解決するが、ふと思い立った金田一耕助は再び関係者への面会を求める。なんとも陰鬱として歯切れの悪い結末。灰色のラストシーンが残すなんとも言えない余韻は、横溝正史ものを見慣れた僕らに「そう考えたことはなかったな」と思わせる。
「金田一さん、あなた病気です」
刺さるひと言と突き放される結末にゾクっとする。面白い。凝ったビジュアルも含めて、見応えのある前後編。
犬神家の一族

犬神家の一族

映画テイストあふれる映像で話題を呼んできたNHK版「金田一シリーズ」。「獄門島」(2016)・「悪魔が来りて笛を吹く」(2018)・「八つ墓村」(2019)に続き、満を持し...

犬神家の一族 - NHK

 



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犬神家の一族

2023-08-28 | 映画(あ行)

◼️「犬神家の一族」(1976年・日本)

監督=市川崑
主演=石坂浩二 高峰美恵子 島田陽子 あおい輝彦 加藤武

言わずと知れた大傑作。角川映画初の作品となる本作が1976年に公開されて以来、メディアミックスによる大規模な宣伝が主流となり、まだお子ちゃまだった僕もここから始まる一連の角川映画には思い入れがある作品が多い。中でも「犬神家の一族」は、高校時代にテレビで観て以来繰り返し観ている、フェバリット中のフェバリット。

日本映画も数あれど、金田一耕助シリーズ程リメイクやドラマ版を毎回追いかけている作品は他にない。時代とともに改変が加えられても、ジャニーズ枠があるドラマ版にイライラしても、好みでない役者の金田一耕助でも、とりあえず観てしまう。もちろんそれぞれに文句はあるのだが、こんな行動をとるのは、市川崑監督による76年版「犬神家」の強烈なインパクトがあってこそだ。それは犬神佐兵衛が登場人物にもたらした呪縛にも似ている(笑)。そして「犬神家」は76年版をスタンダードにして比較しながら観てしまうのだ。

繰り返し観るもんだから、台詞もところどころ覚えてしまって(恥)。同じ脚本を使った市川崑監督による2006年のリメイクは映画館で観た。佐清の奉納手形があるのを思い出したのは誰かと尋ねる神主とのやりとり場面。大滝秀治の演技の間が我慢できなかった僕は声を出してしまった🤣
「珠世さんです。」
急に台詞が前後から聞こえたせいで、前の席のオッさんがキョロキョロ。ごめんなさい!ww

ビジュアルのイメージに惹きつけられる。これはこの映画の大きな魅力だ。水面から伸びる足、ネガポジ反転する殺人シーン、金田一耕助のキャラクターを印象づけるディティールの細かさ。そしてデーンと明朝体の文字が並ぶタイトルバック。これに「エヴァンゲリオン」が影響を受けたのは有名な話。全編に漂う怪奇ムード、哀愁漂う大野雄二の音楽。その魅力は今さら語ることもない。でも年齢を重ねて観ると、親の情が心に刺さる。クライマックスの謎解きの緊張感は何度観てもたまらない。因縁、血縁の避けられない業の深さに心が震える。

先日久々に観た「社葬」。取締役の一人を演ずるのは、「犬神家」の警部役である加藤武。「社葬」の中で、金田一シリーズの名文句と同じ「よし!わかった!」って台詞があって、思わず吹き出した🤣。絶対金田一シリーズ意識しとるやろw





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SAND LAND

2023-08-25 | 映画(さ行)

◼️「SAND LAND」(2023年・日本)

監督=横嶋俊久
声の出演=田村睦心 山路和弘 チョー 鶴岡聡

映画が終わってシアターを出たら、中学生男子たち数人が興奮気味に感想を話していた。

😺ドラゴンボール以外の鳥山明初めてだ!
😹すっげえよかった!ラオさん最高。
😼原作読んでみたくねぇ?きっといいぞ。

ドクタースランプ世代の僕は、そのやりとりを微笑ましく眺めていた。うんうん。鳥山明作品にちゃんと触れる(ここ大事ね)少年は、目上の人に敬意を払える人に育って欲しい、と僕は勝手に願っている。だって「ドラゴンボール」にしても本作にしても、カッコいい年寄りや達人、人生の先輩たちが活躍するんだもの。

水不足が深刻になった世界。伝説の泉を探し当てようと保安官ラオが、魔物に協力を求める。魔物の王子様ベルゼブブとお目付役シーフはラオと行動を共にする。国王軍を敵にまわす戦車シーンがたまらなくアツい。高い位置に陣取った理由、敵兵を傷つけずに戦闘不能にする凄さ。金属センサーを撹乱して、銃口を突きつける場面。かっけーっ!😆

ラオの経歴が明らかになり、一方で魔物二人の人間を超越する能力も明らかになる。それが見事なコンビネーションを見せる。それがストーリー上の活躍につながるだけでなく、お互いが信頼し合える存在だと認識していく様がいい。
「偏見は正しい判断を曇らせる」
真実を知って復讐に燃えるだけなら、そんじょそこらの拳が飛び交う少年漫画と変わらない。ラオは真実を知ってかつての自分の行動に苦悩し、その先で行動をシフトしていく。派手なアクションやおチャラけたキャラも出てくるからか、お子ちゃま向け映画との感想も見かける。けれど、この心境の変化と行動の底にあるものは、実に丁寧に描かれていて、大人こそ心揺さぶられる部分でもある。

田村睦心の少年役はさすがに上手い。予告編でも印象に残る「かなりのワルだろう?」が今マイブームw。ラオ役の山路和弘もヘンダーソン先生の様に「エレガント!」と讃えたいし、シーフ役のチョーさんも「いないいないばぁ!」のワンワン並みの熱演。声優陣はプロのいい仕事が堪能できる。

偏見のない大人になるのだぞ。
映画館を後にする中学生男子たちを見送る、ドクタースランプ世代のおっさんである。この映画は冒険少年への誘いである。





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サイコ3/怨霊の囁き

2023-08-24 | 映画(さ行)

◼️「サイコ3/怨霊の囁き/Psycho Ⅲ」(1986年・アメリカ)

監督=アンソニー・パーキンス
主演=アンソニー・パーキンス ダイアナ・スカーウッド ジェフ・フェイヒー

ヒッチコックの名作にして怪作「サイコ」には続編が製作されている。第2作が83年に製作されたのにも当時なんで?と驚いたけど、あれはまぁそれなりにオリジナルへの敬意も感じられて、思った程悪いとは思わなかった。ヒッチコック好きの妹たちとキャアキャア言いながらテレビで観たっけ。

しかしながら。それに続く第3作「サイコ3怨霊の囁き」以降は、申し訳ないけど魅力的なものとは思えなかった。第3作はなんと、アンソニー・パーキンスが監督兼主演!。かつては王子様みたいな好青年、線の細い繊細な役柄を演じていたのが、「サイコ」の当たり役でダークなイメージが定着してしまった人でもある。70年代末期には男性化粧品のCM(「僕のお父さんはお母さん以外の女性を知りません。立派だと思います。」というナレーションが、子供心に強烈に焼きついた。何が言いたい?なぜその文句?😐)に出演して、にこやかな笑顔をお茶の間に届けていたのに。

そのCMがこれね。


その数年後に「サイコ2」だ。かつてのパブリックイメージをひっくり返したノーマン・ベイツの呪縛なんだろうか。

「サイコ3」も本人が嬉々として演じている。あのベイツモーテルに、第1作のジャネット・リーを思わせる女がやって来た。そして再び惨劇が起こるというお話。監督としては、まずまずツボは押さえている印象だが、残念ながら登場人物それぞれのキャラクター描写が薄くって。殺されに出て来てまーす、ってそれ以上のものが感じられなかった。

「ダーティハリー」のブルース・サーティーズが手がけた撮影が好印象。ミステリーやホラーにありがちな主観移動もスリリングで、当時流行りの血しぶき描写ばかりでない、思ったより上品なスリラーに仕上げている。





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奴らを高く吊るせ!

2023-08-23 | 映画(や行)


◾️「奴らを高く吊るせ!/Hang'em High」(1968年・アメリカ)


監督=テッド・ポスト

主演=クリント・イーストウッド インガー・スティーブンス エド・ベグリー ジェームズ・マッカーサー


マカロニウエスタンで有名になったイーストウッドが、アメリカに戻って撮ったウエスタン。ハリウッド西部劇というと勧善懲悪が基本の娯楽作のイメージが強い。そんな中で注目すべきは、「奴らを高く吊るせ!」が正義というものの脆さを描いている点。それは西部劇の世界で元来最も揺らいではいけないもの。


1880年代のアメリカ、オクラホマ。牛泥棒の濡れ衣を着せられて、縛り首の私刑(リンチ)に遭ったジェド。助けられた彼は判事フェントンに保安官として手伝わないかと提案される。広大な州の犯罪を裁くのに、たったひとつの裁判所とひとりの判事しかいない。合法的な復讐になるとジェドは保安官バッヂを手にする。彼を枝から吊るしたグループを一人一人捕らえていく。しかし犯人の改心など受け付けず、事実だけを理由に法で裁くことに、人情派のジェドは疑問を感じずにはいられなかった。一方、ジェドを吊るした仲間たちは彼を襲撃することを企てる。

死刑判決を受けた犯人たちが町の広場で公開処刑される場面。まるで芝居でも見物するかのように群がる人々。その傍らでは酒が売られ、人の死が見世物になっている。見ていて辛い場面だ。事情や懺悔の言葉も聞かずに吊すだけなら、法の掲げる正義って一体何なのか。そして映画のラストに、判事とジェドはお互いの考えと思いをぶつけ合う。


派手な銃撃戦でスカッとさせる映画ではない。音楽や映像のつくりは、イーストウッドの出世作であるマカロニウエスタンを思わせるが、訴えるものは全く違う。法による秩序の下で、復讐という自力救済が禁じられる世の中になっていく時代を描きながら、正義を貫くことの難しさ、人それぞれの正義について考えさせられる作品。当時の評価は低かったかもしれないが、後のイーストウッド監督作品にも通ずるテーマだけに、今観るとその片鱗を感じることができる。イーストウッドが設立したマルパソプロダクションの第1回作品。






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キングダム 運命の炎

2023-08-20 | 映画(か行)

◼️「キングダム 運命の炎」(2023年・日本)

監督=佐藤信介
主演=山崎賢人 吉沢亮 大沢たかお 清野菜奈 橋本環奈

原作が長いだけに、この実写映画化も長いシリーズになっちゃうのだろうか。でも山崎賢人がおっさんになる前に撮らないと話が進まないぞ。大沢たかおも毎回体型を整えるの大変だろうしw。それはさておいても、次も映画館で観たい!と思わせる日本映画のシリーズものって今どき珍しい。

お話が面白いのはもちろんだけど、この映画化が成功しているのは、他の映画とは没入感が全然違うのだ。戦況を一緒に見守っているような気持ちにさせる。今回は前作以上に戦況の説明が(くどいくらいに)分かりやすい。両国の総大将が見る戦況だけでなく、軍師見習いの二人が事細かに解説する。悪い例えで恐縮だが、実況中継に加えて、両軍の監督が作戦を視聴者に解説している野球みたいなもの。

百人将となった信の活躍が描かれるが、前作でお馴染みの面々が彼を盛り立ててくれるのが楽しい。清野菜奈演ずる羌瘣と、最前線で見せるコンビネーションは見事。これまた例えが悪いが、「日本侠客伝 花と龍」の高倉健と藤純子が黒田節を歌いながら戦うクライマックスみたいに、緊張感と華麗さが同居する場面だ。

新キャラも続々登場する。メフィラス星人…じゃなくて山本耕史演ずる不敵な軍師、焦らしに焦らして姿を現す吉川晃司は、次回どれだけ引っ掻きまわすか楽しみな存在。紫夏を演ずる杏が熱演する前半の回想シーンもドラマティック。それにしても、小栗旬が演ずる役って、どうして出てくるだけで場の空気をチャラけさせてくれるのかな💢。

ともあれ続編を待つ。
やっぱり王騎将軍、最高ですっ😆


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現金(げんなま)に手を出すな

2023-08-18 | 映画(か行)

◼️「現金に手を出すな/Touchez pas au Grisbi」(1954年・フランス=イタリア)

監督=ジャック・ベッケル
主演=ジャン・ギャバン ルネ・ダリー ジャンヌ・モロー リノ・ヴァンチェラ

フレンチノワールの先駆けとも言える「現金(げんなま)に手を出すな」は今回初めて観た。

主人公の初老ギャング、マックスを演ずるジャン・ギャバン。「地下室のメロディー」や「シシリアン」で演じた暗黒街の大物と同じく貫禄ある役柄だ。映画好きの親父殿は、暗黒街ものが放送されると録画してよく観ていた。おかげでジャン・ギャバンと言えばこういう役か、トラックの運転手(「ヘッドライト」)のイメージしかない。そもそも初めて観た「望郷」(これも親父殿のオススメ)もモロッコに逃げた犯罪者役だったし。

マックスは引退をしようと考えている。年齢を意識した台詞があちこちに出てくる。若くないと何度も言うし、慕ってくれる女性にもどこか距離を置く。なじみの店に入れば顔見知りが声をかけてくれるし、キツい仕事を頼める若い知り合い、自分に何かあった時のことを頼める店主、裏方稼業のコネクションと信頼関係。一方でいざと言うときはタフな立ち回り。チンピラ野郎を縛り上げ。口答えする踊り子(なんとジャンヌ・モロー姐!)には有無を言わさぬ平手打ち。そして容赦なく機関銃をぶっ放す。結果としてヘマをやった長年の相棒には友情も忘れない。心優しきタフガイだ。

撮影当時ジャン・ギャバン50歳😳。…いやー、わたくし、その年齢は既に超えちゃったけど、こんな貫禄も人脈も落ち着きもありゃせんですわー💧。

敵役アンジェロを演ずるのは、本作がデビューとなるリノ・ヴァンチェラ。独特な面構えが印象に残る人だが、決して短い出番ではなく、最後まで話を引っ掻きまわすキーパーソンだ。「死刑台のエレベーター」で最後に登場する刑事も、「モンパルナスの灯」の画商も、短い出番に強烈な印象を残すが、それ以前にこんな大役をやっていたとは。「こいつは元レスラーなんぞ。そげな顔しちょんやろが」と、リノ・ヴァンチェラを見る度に親父殿に説明された記憶がある。好きなんだろな。

虚しさの残るラスト。何事もなかったように振る舞わねばならないマックスだが、表情の翳りは隠せない。無言のジャン・ギャバンが何とも言えない余韻を残す。渋いっ。



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キートンの大列車追跡

2023-08-16 | 映画(か行)

◼️「キートンの大列車追跡/The General」(1926年・アメリカ)

監督=バスター・キートン
主演=バスター・キートン マリアン・マック グレン・キャベンダー

トム・クルーズが年齢と戦うかの如くアクションに挑んだ姿も、ジャッキー・チェンが様々なアイディアのアクションに誰よりも先に挑んだ姿も、映画ファンの心に深く刻まれている。そのさきがけでもあるバスター・キートンの偉大さは、もっともっと世に知られて欲しい。

世間からも高い評価を受けているこの「大列車追跡」は、映画と相性のいい鉄道アクションの先駆的題材。何よりもすごいと思うのは、これが徹頭徹尾コメディだということ。しかも演じてる当人はニコリともしない。ドリフターズ育ちの僕ら世代は、舞台装置のドタバタコントには親しんでいるけれど、さすがに鉄橋から本物の機関車を落とさない。それをやってのけて笑いに変えた例って他に何があるだろう。

追跡劇は一方通行の追いかけっこだ。映画の撮り方次第では単調なものになりがち。そこに複数のハラハラさせるものが加わってこそ面白みが増幅していく。本作では本筋の追跡劇に、敵の襲撃を阻止できるか、主人公が周囲に認められる人物になれるか、そして恋人奪還が絡みつく。戦争映画であり、成長物語であり、ドタバタコメディでありラブコメ。いくつもの要素がひとつの線路に乗っかっている。サイレント時代の1926年に、75分の尺でこれをやってのける大傑作。

キートン、もっと観てみたい。






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DEATH NOTE デスノート the last name

2023-08-14 | 映画(た行)

◼️「DEATH NOTE デスノート the last name」(2006年・日本)

監督=金子修介
主演=藤原竜也 松山ケンイチ 戸田恵梨香 鹿賀丈史 

DEATH NOTEのストーリーが僕らに投げかけるのは、世間が正義とされるものが抱える矛盾から始まって、人間の抱える危うさに及ぶ。絶対的に優位に立てる力を手にした時に人はどう壊れていくのか。そして、社会不安が防げるのなら歪んだ正義をも受け入れてしまう人間の弱さも描かれる。原作未読の僕が言うのはなんだけど、この実写映画化の前後編はそうした怖さをメッセージとして伝えることには成功しているように思える。

死神の眼を持つ第二のキラの出現で、物語がどう動くのかに興味があった。派手な殺戮場面や死神との対話もある一方で、基本は夜神月とLの頭脳戦、心理戦というのがスリリング。前編と違って、Lの施設内でのやり取りが大部分を占めるので、映画の絵面としては変化が乏しいが、その分緊張感が一気に増す。ひと言ひと言が聞き逃せない。

弥海砂を監禁する場面。ここまでやるんだ金子修介監督…と思った戸田恵梨香ファンいらっしゃるだろう。でも、金子修介監督はにっかつロマンポルノ時代に、裸のヒロインを十字架にはりつけにした人だぜ!これくらいはまだまだ!(作品名がわかる素敵な大人はコメントくださいませw😝)。そんなどーでもいいことを思い出す(笑)。

ところどころ疑問に思ったところもあるけれど、なかなか楽しめた前後編だった。長男にアニメも見るべしと言われたが、どーしよーかなぁー。人の死をたくさん見る作品は苦手なんだよなぁー。松山ケンイチ苦手だったけど、こういう振り切った役柄はほんとに上手い。






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