Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

5月のBGM

2013-05-31 | 音楽
2013年5月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■Magic of Love/Perfume
Magic of Loveはメロディもなかなか好みだ。恋の魔法が使えたら・・・なんて、進まぬ恋に悩める乙女心。中田ヤスタカ先生、どうしてこんな詞がかけるのだっ?それにしても、最近のカップリング曲は中毒性のある曲が多いな。今回のHandy Manの ♪なんだか なんだかな ってフレーズは癖になりそう。
Magic of Love【シングル&DVD連動プレゼントキャンペーン応募券封入】 (通常盤)

■Preserved Roses/T.M.Revolution×水樹奈々
サンライズの新作アニメ「革命機ヴァルブレイブ」。ダブルオーみたいだったり、SEEDみたいだったり、そこかしこにガンダムの陰がチラつく。その主題歌は西川貴教と水樹奈々の豪華なデュエット。浅倉大ちゃんサウンド炸裂。配偶者アミダラMに「これ、カラオケで歌おう!」と言ったら「アニソン?無理。」と一言。つれないなぁ(泣)。誰か一緒に歌ってー!
Preserved Roses

■Honeymoon In Vegas/Original Soundtrack
ニコラス・ケイジ主演作のサントラ盤。映画は観る機会がないのだが、このサントラはずっと欲しかった。だって、ビリー・ジョエル、ウィリー・ネルソン、ライ・クーダー、ボノ、ジェフ・ベックという豪華な布陣で、全曲エルビス・プレスリーのカヴァーなんだもん。これは他では聴けない曲ばかり。イオンの催し物だった中古CDセールで発見。ずっと欲しかった1枚。
Honeymoon in Vegas

■The Best Of Sade/Sade
学生時代からおしゃれでかっちょいい音楽の代表みたいに思っていたシャーデー(時として落ち込んだ日のBGMでもあったが)。あの頃は単にそう思えただけだったが、大人になった今は何よりもそのグルーブに身をゆだねたくなる。Never As Good As The First Time、Paradise、Nothing Can Come Between Usが最近のお気に入り。
Best of Sade

■The Vagabond Heart/Rod Stewart
小学生の時にDo You Think I'm Sexy?を聴いて以来(マセガキ)、ロッド・スチュワートは好きな男性ヴォーカルのひとり。トム・ウェイツのカヴァーDowntown Trainを含むこのアルバムは、トレヴァー・ホーンがプロデュースしたヒット作。バラードやミディアムの比重が大きいけれど、その分だけ胸に染みいるロッドの声。
Vagabond Heart

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8人の女たち

2013-05-28 | 映画(は行)

■「8人の女たち/8 Femmes」(2002年・フランス)

●2002年ベルリン映画祭 銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)

監督=フランソワ・オゾン
主演=ダニエル・ダリュー カトリーヌ・ドヌーブ ファニー・アルダン

 8人のフランス女優が共演するというだけでも贅沢なのに、それがクリスティやヒッチコックばりのミステリー、そして8人がそれぞれの心情を既成の曲に託して歌うミュージカルシーンまであるなんて!。この映画は、古き良きシャンソンを聴きながら、おもちゃ箱いやいや綺麗なドールハウスでお人形遊びをしているような映画。実に楽しい、しかも贅沢な楽しさだ。次に何が起こるのか、どんな新事実が出てくるのか全く見当がつかない。でもそこには女性が生きる上での様々な思いが織り交ぜられている。楽しいだけではなく、フランス映画らしい人間を見つめる視線もきちんとそこにはあるのだ。

 古きよきものを大事にし継承していくことはよいことだ。「アメリ」を始め、今年観たフランス映画たちにはそのスピリットが感じられるものがあった。この「8人の女たち」は8人の新旧フランス女優共演ということだけでも、既に往年の映画への愛情が感じられる。2002年の新作にダニエル・ダリュー!と聞くだけでも驚きだ。しかし、実際に観てみるとこの映画に注がれた映画愛はただものではない。8人の登場人物はそれぞれ過去の映画の中にモデルにあたる人物がいる。わかりやすいところでは、ヴィルジニー・ルドワイヤン扮するスゾンは「麗しのサブリナ」のオードリー・ヘップバーン、フィルミーヌ・リシャール扮する家政婦は「風と共に去りぬ」のハッティ・マクダニエルがイメージされているそうだ。そして、エマニュエル・ベアール扮するメイド、ルイーズが憧れていたという元主人の写真はロミー・シュナイダーではないか!。

 クエンティン・タランティーノが世に出てきて以来、映画を撮る人々がビデオで映画を観てきた世代(僕らがそうなのだけど)になってきている。例えば「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」のウェス・アンダーソン監督もそう。演出する中でかつての名作たちへオマージュを捧げたり、アイディア自体をそこから得たりしている。このフランソワ・オゾン監督も同じ世代。彼も狂おしいまでに映画を愛してやまない人なのだ。

(2002年筆)



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さよならジョージア - 80's Movie Hits ! -

2013-05-27 | 80's Movie Hits !
- 80's Movie Hits! - 目次はこちら
 
■I Need You Strong For Me(涙を抱きしめて)/Kristy McNichol
from「さよならジョージア/The Night The Lights Went Out In Georgia」(1981年・アメリカ)
 
監督=ロナルド・F・マックスウェル
主演=クリスティ・マクニコル デニス・クエイド マーク・ハミル
 
80年代初め、テイタム・オニールと人気を二分したハリウッド若手女優と言えば、クリスティ・マクニコル。「リトル・ダーリング」(僕の出身地、大分市では何故か「スタートレック」と併映)で、テイタムと共演。ロスト・バージンを競うライバル役だった。お嬢様役のテイタムに対して、ちょっとツッパリ(死語?)のクリスティ。テイタムはアーマンド・アサンテを、クリスティはこちらもデビュー間もないマット・ディロンを相手に、いざひと夏の経験。この映画ですっかりテイタムを食ってしまったクリスティは、その後出演作が次々公開されることとなり、一方テイタムはリチャード・バートン共演作ですらお蔵入り、となってしまう。
 
82年の春に劇場公開された青春映画「さよならジョージア」は、カントリー歌手を目指すダメ兄貴トラビスを支えるしっかり者の妹アマンダが、ライブ、恋、挫折を経験しながら成長していく物語。兄貴役はデニス・クエイド。クエイド自身の歌もたっぷり流れる(妹に捧げたAmandaがよかった)が、クリスティも劇中歌っている。クリスティ自身、実の兄ジミーと78年に歌手デビュー済みなので別に映画のために初めて歌ったというわけではない。彼女が劇中歌うのは、デニス・クエイドとのデュエットナンバーHangin' Up The Gunと、日本ではサントラからシングルカットされたI Need You Strong For Me(涙を抱きしめて) だ。後者はメロディの美しいバラードで、兄貴が酔いつぶれてすっぽかしたステージを埋めるために歌う場面で流れる。ここで兄は妹の歌の才能を認めるのだった。
 
そんな女のコと大人の境目であるティーンエイジャー、アマンダが恋をする。お相手はルーク・スカイウォーカー、もといマーク・ハミル扮する警察官コンラッド。映画のラスト、ダメ兄貴は手を出した女をめぐる恋敵(TV「ミセス・コロンボ」のレギュラーだった甥っ子役ドン・ストラウド)に撃たれて死んでしまう。コンラッドは警察官を辞め、アマンダと共にナッシュビルをめざす・・・。いやぁ高校生だったけど夢中になりました、この映画。同じクラスにクリスティファンの男のコがいて、彼からサントラも借りた。他にはタニア・タッカーのタイトルソングと語りかけるようなバラードRodeo Girl、グレン・キャンベル(I Love My Truck)らの曲が収められている。
 
さて、その後のクリスティはニール・サイモンの人情ドラマ「泣かないで」(名作!)でゴールデングローブ賞助演賞にノミネート。興行的に失敗した「パイレーツ・ムービー」や、「白いロマンス」(何故か「2010年」と併映)などがある。しばらくして「ナイン・ハーフ」のスタッフが撮ったセクシー・ムービー「トゥー・ムーン」にちらっと顔を見せたのは実に嬉しかった。

The Night the Lights Went Out in Georgia (1981) - Trailer
 

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はじめての文学 村上春樹

2013-05-26 | 読書
はじめての文学 村上春樹はじめての文学 村上春樹
村上 春樹

文藝春秋 2006-12-06
売り上げランキング : 45085

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「はじめての文学」題された年少者向けのハードカバーを見つけた。宮本輝、山田詠美、林真理子、浅田次郎などなど。僕は子供に読ませようと、村上春樹を買った。その前に自分が読んでみる。

「カンガルー日和」の短編を中心にセレクトされている。軽くて楽しい作品もあるし、 「踊る小人」や「鏡」「緑色の獣」など、ちょっと怖いものも選ばれている。グロテスクな描写も随所に出てくる。子供が読むと驚くだろうな。ナンセンスな味わいのショートショートは、子供たちはどう感じるのだろう。

でも「沈黙」に代表される、本質に鋭く切り込んだ作品もある。いじめの本質に迫ったこの作品は、学校の集団読書の教材にもなっているそうで、教材用に小冊子版も出ている。これは、今の子供達にこそ読ませるべき作品だ。本当に怖いのは何なのか。この作品で主人公がギリギリの精神状態を耐えていく描写は、最新作の「多崎つくる・・・」にも通ずる。通勤中に読んだの失敗だった。泣きそうになった。

若い頃にこうした作品に触れるのはいいことだと思う。来週からの長男の朝読書はこれを持たせます、ゼッタイ。

カンガルー日和 (講談社文庫)

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ピアニスト

2013-05-25 | 映画(は行)

■「ピアニスト/La Pianiste」(2001年・フランス=オーストリア)

●2001年カンヌ映画祭 グランプリ・男優賞・女優賞
●2002年セザール賞 助演女優賞
●2001年ヨーロッパ映画賞 主演女優賞

監督=ミヒャエル・ハネケ
主演=イザベル・ユペール ブノワ・マジメル アニー・ジラルド

 カンヌ映画祭での受賞でいろいろと箔のついた映画である。雑誌のレビューをいろいろ見たけど、「痛い」映画という表現が目に付いた。これは巧い表現である。偏執的な母親(アニー・ジラルド)と同居するピアノ教師エリカ(イザベル・ユペール)は、知的でお堅いイメージの人。クラシック音楽界の古風で堅い規律、母親の干渉から、恋愛経験はもちろん性体験もない。性的に抑圧された生活からか、彼女は人とは違った性的欲望を持っていた。そこへブノワ・マジメル扮する青年からの求愛。彼女は彼に自分の性の秘密を手紙で打ち明けるのだが・・・というお話。

 性癖がいいとか悪いとか言うつもりはない。この映画は寂しい独身女性を描いてはいる。だが、日頃皆と同じノーマルな仮面をつけて生活を送る現代人のコミュニケーション下手とかその裏側の孤独感という視点は、男性にも大いに通ずる話だと思うのだ。これは女性の話だからまだこんな映画にもできるし、観客も来る訳で、これが中年男性のSM趣味だの女装だの幼児プレイだのを扱った映画ならコメディにしかならない。これは人間関係に問題を抱えた現代人を描く「痛い」映画なのだ。エリカを通じて自分を見つめる、そんな映画だ。人間を見つめるリアルな視点は、フランス映画でしかなし得ない。エリカの家に深夜訪れた青年が暴行・性行為に及ぶあまりにも長まわしの場面。気づいたら僕は、視線こそスクリーンに向いていたが、顔はやや正面を避けていた。見つめる「痛み」故なのだけど。

 イザベル・ユペールの力のこもった演技は確かにすごい。ブノア・マジメルは他の出演作を観ていないので何とも言えないが、フランス映画界にとっては期待があるのだろう。それにジュリエット・ビノシュとの間に子供がいるってんだから驚き。大人の女を惹きつける何かがあるのだな。

(2002年筆)



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超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか - 80's Movie Hits ! -

2013-05-24 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■愛・おぼえていますか/飯島真理
from「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」(1984年・日本)

監督=石黒昇・河森正治
声の出演=飯島真理 長谷有洋 土井美加 羽佐間道夫

 今さらながら。「マクロス」はリアルタイム世代なんだが、この劇場版を初めて観たのは恥ずかしながら30代になってから。思えばこの「マクロス」シリーズを僕は冷ややかにみていた。この作品以来、"メカメカしい"とかいうアニメ用語(?)を使い、アニメのヒロインに恋する男子が出現し、一部のファンにしか受け入れられないようなアニメ作品がこの世に次々と現れたような気がするのだ。それがこのシリーズに対する僕のイメージ。そんな冷めた視線でこの劇場版を観はじめた僕だったが、映画が終わる頃には、あれーっ、思いがけず感動させられてしまったのだ(恥)。

 80年代半ば、女性の社会進出がすすんだことは、男と女の巨人が戦うこの物語の背景となっているのかな。スクリーンのこっち側では、女とムキになって張り合う男子がいたり、意地張って頑張る女子がいたり、会社もうまくサバききれなかったり・・・。そんな世情に、肩肘張らずに男と女からやり直しましょう、とその関係修復を叫んでいるようにも感じられた。リン・ミンメイが歌うラブソング(もちろん 名曲 愛・おぼえていますか)をバックにしたクライマックスの戦闘場面。当たり前のラブソングが、忘れていたものを思い起こしてくれる・・・いい話じゃあないですか。しかし、前半は全くもってミンメイのアイドル映画だね。

 そんな僕、実は飯島真理ファン。でも「マクロス」のリン・ミンメイからファンになったのとは違うのだ。純粋に楽曲から入った。きっかけはもちろんこの 愛・おぼえていますか の大ヒット。これが収録されたアルバム「バリエ」を友達に借りたのがそもそもの始まりだった。真理たんの歌が流れるアニメで見ていたのは、「マクロス」ではなく、NHK教育の「スプーンおばさん」の方だったなぁ(笑)。こっちもいい曲でしたよね。

 当時の真理たんの一般的イメージは”歌えて曲もかける声優”というだったと思う。でも本来のシンガーソングライターであることは、なかなか定着しなかった。「私はミンメイじゃありません」発言も、そんな時期の出来事だった。おまけに「マクロス」は一部マニア向けアニメーションの先駆け。だから真理たんのファンである僕を、おそらく周囲の人々は、声優さんのコンサートに行く人々と同列に見ていたと思うのね。2010年代の今だからこそ、声優さんが歌うことは市民権を得たし、紅白歌合戦にも1席設けられる時代だが。

 さて、気を取り直して。劇場版で流れるミンメイのナンバーは数々あるけれど、代表作とも言える 小白竜(シャオパイロン) は映画の最初ステージシーンで流れる。中国風のイントロから始まる元気のいいこの曲はミンメイのどの持ち歌よりも印象的だ。私の彼はパイロット もミンメイの代表曲。♪キューン キューン という出だしがなーんともアイドルポップスなんだけど、マクロス20周年を記念して2002年にリリ-スされた「MARI IIJIMA sings LYNN MINMAY」では、大人っぽいダンスチューンに衣替えされている。こっちもなかなかかっこいい。同作で同じくダンサブルにリメイクされた 0-GLove も途中で流れる。 ヒカルとミサがマクロスに帰還した後、街角で流れるのは シルバームーン・レッドムーン。自作の シンデレラ はヒカルとミサの絆が深まる切ない場面で流れる。そして何と言ってもクライマックス、当たり前のラブソングが愛を目覚めさせ悪を浄化する感動的な場面で流れるのが、愛・おぼえていますか だ。戦闘シーンのバックにラブソングが流れる、普通なら考えられない取り合わせだが、それが違和感なく受け入れられるのはこの物語の力。清水信之氏のアレンジは素晴らしく、感動を高めてくれる。エンドクレジットは真理たん作の名曲 天使の絵の具。見終わったらあなたもきっとミンメイの虜、いやいや真理たんの虜(アイドル視してるって?・笑)。

リン・ミンメイ/飯島真理 マクロス劇場版 愛・おぼえていますか ~


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ミスター・アーサー

2013-05-23 | 映画(ま行)

■「ミスター・アーサー/Arthur」(1981年・アメリカ)

●1982年アカデミー賞 助演男優賞・主題歌賞
●1982年ゴールデングローブ賞 ミュージカル/コメディ部門作品賞・主演男優賞
助演男優賞・主題歌賞
●1981年LA批評家協会賞 助演男優賞
●1981年NY批評家協会賞 助演男優賞

監督=スティーブ・ゴードン
主演=ダドリー・ムーア ライザ・ミネリ ジョン・ギールガット

 政略結婚を控えた大富豪のわがまま青年(ダドリー・ムーア)と、失業中の父親と暮らす女優志願の女性(ライザ・ミネリ)の身分違いの恋を描いたヒット作。実は今回初めて観た。主題歌 Arthur's Theme (Best That You Can Do) の印象が強い映画。なにせオスカーも受賞しているし。邦題がニューヨークシティ・セレナーデとあるくらいだから、さぞかし甘ぁいロマンティック・コメディだろう、と僕は想像していた訳よ。

 ところがどっこい。タイトルロールたる主人公は、冒頭から一人で笑いっぱなしで飲んだくれの勘に障るボンボン。正直嫌悪感が先にたったね。金持ちだから真実の愛が得られない。だから人間としては不幸である・・・とかいうお話だけれども、主人公に同情の余地を僕はほとんど感じなかった。ライザ・ミネリとの2度目のデートあたりで、”実は面白いだけでなく、いいヤツなんだ”と彼女が惹かれる必然性は感じられなかったし、ダドリー・ムーア側にしてもいままで会ったこともない女というだけで、あそこまでライザ・ミネリにお熱になる必然性はどうも薄い。このあたりは心理描写が欠落しているようにも思えるのだが。

 おまけにラストは、真実の愛も巨額の富も手にしてしまうんだから。レーガン政権下、”双子の赤字”にキャーキャー言い出す前の、まだ怖い者知らずの強さをアメリカ経済が誇っていた時代の映画だからねぇ・・・・金持ちが勝つんだよ最後は。だからこの映画を”フランク・キャプラの人情劇に通ずる”と評する人々の気が知れない。キャプラ映画は”棺桶にお金は持っていけない”ものだと説いている訳で、全く違うのね。まぁラストでライザ・ミネリに「遺産なんかより、あなたがいればいいわ!」とでも言わせていたら、僕も納得するのだが。蛇足ながら、彼女が住んでいる街がクィーンズという設定なのだが、このへんは高所得者が多くない地区だという予備知識がないとチと厳しいかもね(幸いエディ・マーフィーの「星の王子ニューヨークへ行く」を観ている80年代組は大丈夫であろう)。それにしてもジョン・ギールガットの”育ての親”振りは名演。心に残る。そしてバート・バカラックの音楽はさすがに素敵。

(2003年筆)

Arthur: The AlbumArthur: The Album
Original Soundtrack Burt Bacharach Christopher Cross

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ムーラン

2013-05-22 | 映画(ま行)

■「ムーラン/Mulan」(1998年・アメリカ)

監督=トニー・バンクロフト&バリー・クック
声の出演=ミンナ・ウェイ エディ・マーフィー

 中国を題材として選んでいること、英雄的活躍をするヒロインであること、戦争を題材としていること。どれをとっても今までのディズニー映画に例がない。特に魅力的なのは主人公ムーラン。彼女は父親を守るために息子だと偽って戦場へ赴く。それは一方で、立派な女性として周囲に認められてはいない自分に、何かできることがあるかもしれない、という一途な気持ちからでもあった。軍隊では女性であるだけで相手にされなくなるのだが、彼女の努力は周囲にも影響を与えていく。そして国家を救う大手柄となるのだ。

 彼女がただヒロイックな活躍をするだけなら、格闘ゲームの強き中国女性と変わらないのだが、ムーランは悩める”ごく普通の女のコ”である。ここは今までのディズニー映画のヒロインとは異なる。そんな彼女が自分にできることを懸命に模索する中で成功する、そこに観客は自分を重ねることができる。主人公だけでなく、ムーランを手助けするドラゴンにしても、従来のディズニー映画での万能の助っ人(「アラジン」のジーニーなど)とは全く異なる。万能どころか有能だと認められてもいない。こおろぎは「ピノキオ」のジミニー・クリケットのような保護者的存在ではなく、ばあさんに勝手に幸運のお守りにされただけなのだ。そんなどこか頼りないキャラクターたちの活躍に勇気づけられるこの物語は、世の儚(はかな)き者たちの応援歌なのである。その感動は、前に書いた「tokyo. sora」で健気に生きてる女のコたちの姿からもらった感動に似ていたりもする。

 中国に題材を求めたことは世相の影響があるようだ。当時アメリカは中国に対する関心が高まっていた頃で、事実この映画もクリントンの訪中に合わせて公開された。またジェンダーについてもかなり意識している印象を受けた。エンドクレジットで流れるスケールの大きなバラード Reflection はクリスティーナ・アギレラ。これも感動を盛り上げるいい曲だ。挿入されるミュージカルナンバーもなかなかよい。できればカンフーアクションをもっと見たかった。

(2002年筆)

ムーラン スペシャル・エディション [DVD]ムーラン スペシャル・エディション [DVD]
ミン・ナ マシュー・ワイルダー

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エンドレス・ラブ - 80's Movie Hits ! -

2013-05-21 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■Endless Love/Diana Ross & Lionel Richie
from「エンドレス・ラブ/Endless Love」(1981年・アメリカ)

監督=フランコ・ゼフィレッリ
主演=ブルック・シールズ マーティン・ヒューイット 

 ブルック・シールズ主演で、フランコ・ゼフィレッリ監督作。「ロミオとジュリエット」の現代版という触れ込みで宣伝されていたのを思い出すなぁ。恋に身をゆだねる若い二人。暖炉の前でのラブシーンは印象的だった。ところが二人が裸でいるところを彼女の親が見つけ、男の子は父親の怒りを買うことに。また夜ごとの逢い引きで睡眠不足の彼女が父親の書斎から睡眠薬を持ち出そうとして見つかり、結局交際を禁じられてしまう。彼女の家の火事を見つけたことで信頼を回復しようとする彼だったが、彼がつけた火はまたたく間に燃え広がって彼女の家は全焼。放火の現行犯として逮捕されてしまう。彼女はそれでも彼を愛し続けるのだが・・・。今観るときっと親世代に感情移入してしまうのだろうか。

オーディションでブルッキーの相手に選ばれたのは、マーティン・ヒューイット。この映画だけで記憶されたような人だけど、88年の「トゥー・ムーン」で久々に姿を見た。バチェラー・パーティで鼻の下のばした新郎役。この頃の相手役の男優は、みんな今どうしているのだろう?。一方で後に活躍することとなる男優たちの姿も。ブルッキーの兄貴役はジェームズ・スペイダー(パンフのクレジットはジミー・スペイダー)だし、脇役にトム・クルーズ(これがデビュー作)はいるし今観ると違った楽しみがあるかもね。映画自体はヒットしたけれど、81年のラジー賞で主要部門を含む5部門でノミネートされた。

 主題歌 Endless Love はダイアナ・ロスとライオネル・リッチーのデュエット曲。11週に渡って全米No.1を記録する大ヒットとなり、アカデミー賞主題歌賞にもノミネートされている。80年代にはこの曲を始めとして、映画主題歌にデュエット曲が使われることが多かった。それはこの曲のヒットがきっかけなのだ。当時ライオネル・リッチーはコモドアーズ在籍中で、ソロ活動を始めたばかり。この大物との共演は彼の知名度をあげるのに大きく貢献したのは間違いない。コモドアーズのバラード曲は彼の手によるもので、この頃ケニー・ロジャースの Lady をプロデュースしてヒットを記録している。Endless Love は、94年にはルーサー・ヴァンドロスとマライア・キャリーがカヴァーしているが、そっちはお世辞にもいい出来とは言えなかったなぁ。サントラには、もう1曲ダイアナ・ロスとライオネル・リッチーのデュエット Dreaming Of You も収録されている。またクリフ・リチャード(Dreamin')、ブロンディー(Heart Of Glass)それにキッス(I Was Made For Loving You Baby)が使用されていた。

エンドレス・ラブ - ダイアナ・ロス&ライオネル・リッチー Endless Love


※Diana Ross の曲が聴ける80年代の主な映画
1975年・「マホガニー物語」 = Theme from Mahogany (Do You Know Where You're Going To)
1978年・「ウィズ」 = Ease On Down The Road (Diana Ross and Michael Jackson)
1981年・「エンドレス・ラブ」 = Endless Love Dreaming Of You (Diana Ross and Lionel Richie)
1982年・「フライング・ハイ2 危険がいっぱい月への旅」 = Baby Love (Diana Ross & The Supremes)
1986年・「栄光のエンブレム」 = Get Ready (Diana Ross & The Supremes)
1988年・「この命尽きるまで」 = Chain Reaction
1988年・「リトルフットの大冒険 謎の恐竜大陸」 = If We Hold On Together
1988年・「運転免許証」 = Make Some Noise (Diana Ross & The Supremes)



コメント (3)
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ブレード 刀

2013-05-20 | 映画(は行)

■「ブレード 刀/刀 (The Blade)」(1995年・香港)

監督=ツイ・ハーク
主演=ウィン・ツァオ ソニー・スー ション・シンシン

 孤児として刀鍛冶の元で育ったテンゴンは、ある日父親を殺した”空飛ぶ刺青の男”の話を耳にする。しかし彼は盗賊との戦いで右腕を失うことに。失意の日々を送る中、ふとしたことから剣術書を見つけた彼は父の遺品である折れた刀で猛特訓。ついに誰にも真似できない技を身につける。そして刀鍛冶の危機に駆けつけたテンゴンの前に父の仇が現れた・・・。香港アクション映画の常道たる復讐劇に激しい剣劇を取り入れたこの映画、タランティーノ監督もお気に入りのようで彼が主催するフィルム・フェスで紹介されたこともある作品である。勝新の「座頭市」以後製作された、ハンディキャップを持つ者が活躍するアクション映画。その一本であるジミー・ウォング主演「獨臂刀(どくひとう)」(67)のリメイクが本作だ。

 アクションが凄い。というか”すさまじい”という方が似合う。観ているこっちまで”痛っ!””熱っ!”と声上げそうなくらいに過剰。獣を狩る罠がそこらじゅうに置かれていたり、主人公が折れた刀に鎖を付けて飛び道具として使ったり、仇役の刀は3つに割れたりするアイディアが楽しいが、その刀をブンブン振り回すクライマックスは思わず画面から離れてしまう危なさ。これ程釘付けになるアクション場面は近頃ないゾ。白塗りの盗賊団とテンゴンの対決シーンも、逆光のカメラが美しく印象に残る場面。アクション以外の人間関係や物語を進めていく場面は最小限で、とにかく全編戦っている。それこそがこの映画の存在意義。力ずくで我々を結末まで放さない映画だ。刀鍛冶の頭領の娘が語り部となるのだが、このナレーションが妙にミスマッチなのもいい。この映画のアクションを文章で表すのは困難。興味を持ったら自分の目で確かめてくれっ!。



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