Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2024年11月のプレイリスト

2024-11-30 | 今日のBGM


◆2024年11月のプレイリスト
2024年11月に聴いていた愛すべき30曲

1 Cosmic Treat(Perfume)
前後編のコンセプトアルバムとは!やるな、中田ヤスタカ👍
2 Laetitia(Alain Delon)
映画「冒険者たち」を北九州国際映画祭で鑑賞。メロディーがしみるのよ。
3 夏草に君を想う(Aimer)
そばにいると笑ってたけど/夏草は涙の色をまとった/そんな瞬間を抱きしめたはずと思い出す青い鼓動
4 Ai No Corrida(Quincy Jones)
R.I.P. Quincy😭。「Thriller」「Bad」はリアルタイムなので喪失感がズシリ⤵️。大好きな「愛のコリーダ」で追悼します。
5 I'll Fly For You(Spandau Ballet)
アルバム「Parade」収録曲ではいちばん好き。ただでさえ切ないメロディなのに、🎷が入るとたまらん🥲
6 別れの朝(世良公則)
ペドロ&カプリシャスの名曲をロックにカバー。化粧品のCMで使われた。
7 夜明けのマイウェイ(黒木華)
映画「アイミタガイ」より。中坊の頃に見てたドラマ主題歌で大好きだった曲。他にお客さんいなかったから映画館で歌ってしまったよ。
8 COMMUNICATION(八神純子)
ソウルぽい歌い回しとデジタルビートが好き。歌詞を英語にして日本語では歌いにくい色っぽいテーマを含めるのがナイス👍
9 マシマロ(奥田民生)
ないないづくしの歌詞とストレートでシンプルなロック。他に何がいるのさ🎸♪
10 Moonlight Magic(花澤香菜)
君は私とどうなりたい?♡

11 スイートメモリー(Eve)
アニメ「小市民」シリーズ1期OP曲。この爽やかさとは違って悶々とさせる本編🤨
12 Morning Island(渡辺貞夫)
子供の頃、ナベサダってリゾート音楽のイメージがあった。きっとこの曲のせい。
13 愛餓を(ピチカートファイブ)
ボサノバに五十音。あいうえお♪
14 Depend On You(sho-ta with Tenpack riverside rock'n roll band)
浜崎あゆみのカバー。田村直美が歌うと引っ張ってくれるような前向きな曲になる。
15 Twilight(才恵加)
最近お気に入りのテナーサックス🎷
16 Hydra(Toto)
35周年のポーランドライブ音源を聴く。
17 NIGHT FLOWER(NANIWA EXPRESS)
高校時代に友達がお気に入りだったバンド。今なら良さがわかる気がする。
18 Evil Woman(Duran Duran)
ハンドクラップとエイトビートにHa ! Ha ! って合いの手。70年代ディスコだ♪
19 Train Of Thought(a-ha)
ライブ音源を聴く。異様に長いイントロが妙にカッコいい。
20 ボイスグライダー(TRUE)
パワフルな歌声は元気の素になる。

21 Goodbye(Night Ranger)
こういう泣かせバラード曲をハードロックバンド🎸⚡️がやるのが80年代。
22 Reach for the Star(小野大輔)
すげえメンバーが歴代歌ってきたヤマト主題歌を小野Dが歌うのかよ😳
23 It Will Be Alright(Airplay)
デビッド・フォスター作品やっぱり好き。
24 ひと夏の経験(PUFFY)
山口百恵のカバー。
25 いつか観た映画みたいに(忌野清志郎& 2.3'S)
もう泣かないで今夜はきっと/いつか観た映画みたいに/愛がポロポロこぼれる物語さ♪
26 METANOIA(水樹奈々)
この手の激しい路線が多くなった印象。何でも歌いこなせるからすごいのだけど。
27 スタートレイン(50TA)
ちゃうちゃう、それはちゃう♪
28 サメと人魚(岡村和義 岡村靖幸&斉藤和義)
悪い男と悪い女になりきれたらいいのに♪切なさとくすぶる気持ち。この二人が歌うとますます刺さる。
29 嵐の中で輝いて(米倉千尋)
「ガンダム08小隊」配信で再鑑賞。やっぱり名曲。キャラもメカもかなり好み。
30 夜を駆け抜けて(伊藤銀次)
銀ちゃんを真剣に聴いたのは高校時代。85年のこの曲は、僕が洋楽かぶれの時期でスルーしていたようだ。エイトビートの疾走感、佐野元春とのかけ合いも楽しい。







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グラディエーター

2024-11-28 | 映画(か行)


◼️「グラディエーター/Gladiator」(2000年・アメリカ)

監督=リドリー・スコット
主演=ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス コニー・ニールセン オリバー・リード リチャード・ハリス

2000年の公開当時、歴史大作映画が現代ハリウッドで製作されたこと自体を何よりも凄い!と思った。甲冑やら鎧を着た人々がズラリと並ぶ光景。宇宙服でも軍服でもない。大群衆のエキストラの衣装から背景まで金と手間がかかっていることは、CG慣れした世代でもなんかすげぇぞと思ってくれるに違いない。続編公開に合わせて配信で再鑑賞。

クライマックスの舞台となるコロッセオの巨大さ。「これは人間が作ったのもなのか」と台詞が添えられるだけで、巨大な建物が人の死を見世物にすることもあるクレイジーな建造物であることが伝わってくる。そこで繰り広げられる生死をかけた激しい戦い。剣と拳が振り下ろされ、血しぶきと首が飛ぶ圧倒的な迫力。苦手は人はキツい場面だが、それに熱狂する群衆に主人公は叫ぶ「もっと死が見たいのか!」。それは悲痛な響きがある。

歴史大作だけに予備知識がいるとか人間関係が複雑だとか、身構えてしまう方もあろうが、本作は意外と受け入れやすい構成になっている。それは対比される構図がきちんとしているからだ。皇帝に信頼された者、されなかった者。愛された者、愛されなかった者。正気を失う者、信念を取り戻す者。奴隷まで身を堕としてしまった主人公の復活劇だけに、最後まで目が離せない。名作「ベン・ハー」も似た構成ではあるが、史劇として様々な要素(疫病やキリストなどのエピソード)が盛り込まれているだけに、さらなる風格を感じる。長尺版(未見)ではそうした要素も含まれると聞くが、主人公の復活劇に絞り込んところがいいとも思える。

オスカー主演賞を受賞したラッセル・クロウのタフガイぶりが素晴らしい。敵役となる皇帝の息子を演じたのはホアキン・フェニックス。この人は他の作品でもそうだが、精神的に壊れていく役を演じさせたら本当に上手い。本作と同年製作の「クイルズ」の神父役も見事だった。後継者として信頼されない妬み、自分以外にも愛情を見せる父親への怒り、姉への偏った執着。自分の子を産めと迫る狂気の表情。本作でも見事な演技をみせる。

奴隷商人を演じたオリバー・リード、賢帝マルクス・アルレリウスを演じたリチャード・ハリスも素晴らしい。世界史の資料集を片手に観る方は、ローマの五賢帝時代を復習してねw



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グラディエーターⅡ英雄を呼ぶ声

2024-11-26 | 映画(か行)


◼️「グラディエーターⅡ英雄を呼ぶ声/Gladiator Ⅱ」(2024年・イギリス=アメリカ)

監督=リドリー・スコット
主演=ポール・メスカル ペドロ・パスカル デンゼル・ワシントン コニー・ニールセン

前作「グラディエーター」から四半世紀近く経って続編が製作されるという驚き。しかもこれまで「エイリアン」「ブレードランナー」など自作の続編企画になかなか携わらなかったリドリー・スコットが、本作では自らメガホンをとる。そしてハリウッドがCG駆使してアメコミばっかり撮ってるこの時代にローマ史劇だ。リドリー翁がこの時代に撮ったことにきっと意義がある。何か伝えたいことがあるのではないだろうか。

いきなりタイトルバックに前作の名場面を散りばめて、正統な続編であることを強く示す。ラッセル・クロウの勇姿も前作の映像で何度も映し出される。それは登場人物の関係と、前作の同様に奴隷からの復活劇が再び展開され、因縁めいた物語として印象づけたい狙いがあるのだろう。

コロッセオでの闘いは前作以上に激しさを増す。いきなり凶暴なヒヒとの闘い、サイに乗って突進してくる剣闘士。闘技場に水を張って海戦を再現するシーンも登場し、船から落ちればさらなる脅威が。前作でもコロッセオは死をエンターテイメントとするクレイジーな場として描かれるが、双子皇帝の悪政下となってさらにエスカレートしている。確かに暴力的なシーンではあるが、前作と同様にここで主人公の才覚が示される。そして民衆の心と映画を観ている僕ら観客の心も掴むのだ。

ところが前作と大きく印象が異なる点がある。それは人間関係の複雑さだ。前作は信頼されず愛されなかった者と信頼され愛された者の対比が貫かれた。単純な図式にすれば善と悪だった。狂ったホアキンをどう止めるというお話だった。だが、本作では主人公が仇とするローマの将軍は、皇帝に対するクーデターを企てている張本人でそれを助ける存在が前作にも登場する皇帝アウレリウスの娘。さらに2人の皇帝の力関係や、奴隷商人も前作とは違った立ち位置で描かれる。単純に勢力を二分して登場人物を対比させる構図になってはいないのだ。かと言って小難しい話にはなっていないのは監督の手腕なんだろう。

それぞれが胸に抱く信念がある。それは彼等にとってみれば彼等の正義で、人の数だけ正義がある。それをまとめ導くのが理想とされたローマの政治なのだろうが、共和政から帝政へと変わってきたローマでそれはうまくはいかなかった。前作でアウレリウス帝が説いた"ローマの夢"。その理想は、この続編では夢物語だ、ローマは滅びゆくのみと語られる。一方でそれでも"ローマの夢"を信じる人々がいる。

対比されるはずの陣営の中に組織でまとめきれない様々な意見があり、対立関係と見られる陣営の中にも様々な思惑がある。そんな2020年代の各国の政治状況や世界情勢に、映画はどこか通じるように感じる。大きな選挙の直後だからなおさら。映画の裏側に政治的なメッセージを感じるかどうかは受け止め方次第だが、少なくとも映画はそれでも理想を信じたいと締めくくる。

ポール・メスカルの熱演。他の出演作何を観たっけ?と思ったら、「異人たち」でドアの影に吸血鬼はいないよー♪と言って迫ってきた彼氏か。印象がずいぶん違うので見違えた。前作とつなぐ存在であるコニー・ニールセン、24年前の前作と変わらず美しい。カラカラ帝が出てくるんだから、浴場のエピソードが欲しかったかも。まぁ、それを入れると映画の尺が無駄に長くなっちゃうw





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霧の旗

2024-11-24 | 映画(ま行)


▪️「霧の旗」(1965年・日本)

監督=山田洋次
主演=倍賞千恵子 滝沢修 露口茂 新珠三千代

清張の「霧の旗」は幾度も映像化されているが、山口百恵主演の77年版しか観たことがなかった。以前から興味があった山田洋次監督×橋本忍脚本による65年版。北九州市立中央図書館で催される松本清張映画会で上映されると聞いて、参加してきた。古い日本映画は台詞が聞き取れずに悩まされることが多いし、今回は図書館の多目的ホールが会場だから聞き取れる音響なのかを心配していた。だが参加者のマナーと集中力が優れているのか、上映中は物音ひとつせず。没頭して観ることができた。感謝。

無実の罪で死刑を宣告された兄を救おうと上京した妹霧子は、有名な大塚弁護士に助けを求める。しかし高額な弁護料を支払えないからと依頼を拒否されてしまう。兄は獄中で病死。その報を聞いた大塚弁護士は、個人的に事件を調べ始める。その頃、再び上京して夜の街で働き始める霧子。彼女の復讐が始まる。

理不尽な状況に追い詰められた人を描く橋本忍と、そうした状況におかれた人間のドロドロした感情や行動を表現し続ける松本清張。その相性の良さが発揮された映画だと確信。

兄に無実の罪を着せたのは警察の誤った捜査のせいで、大塚弁護士に罪があるわけではない。言ってしまえば見当違いの逆恨み。だが社会的な地位や富ある者と経済的社会的弱者の優劣がひっくり返される展開は、強烈な結末を突きつける。何もそこまで…と思ってしまうけれど、これは憤りが行動の原動力になった行末。そこに許す気持ちやあきらめが入り込む余地はなかった。

倍賞千恵子の熱演がとにかく光る。ラストシーンのなんとも言えない表情が心に残っている。成し遂げた復讐、彼女の心に何が残ったのか。そこに至る気持ちは海に投げ捨てたもののように、沈んでいってくれるのだろうか。

ストーリーの面白さはもちろんなのだが、演出も凝っている。大塚弁護士に断られた後、東京の街を歩くヒロインが映される場面では、絶え間なく行き交う車が映されるのに、画面から聞こえる音は霧子の足音だけ。台詞や役者の表情に頼らずに、ヒロインが置かれた孤独と 絶望感、願いが届かない寂しさが無言で示される。

そこで思い出したのは、先日観た橋本忍監督の「幻の湖」に出てきた、東京の街をヒロインが一人歩くシーン。愛犬を殺した仇である音楽家を尋ねて東京に出てきた主人公が、門前払いされて苛立つ姿が描かれる。「東京中がアイツの味方をしている」と彼女の心情を表すひと言が添えられる。橋本忍の頭に「霧の旗」のあのシーンが念頭にあったのかは知らないが、共通点のようで面白い。

人情映画のイメージがある山田洋次監督。本作は唯一のサスペンス映画でもある。ヒロイン霧子と兄がどれだけ仲良しでお互いを思っていた兄妹なのかを語る近所のおばちゃんが出てくるが、演じているのが「男はつらいよ」のおばちゃん三崎千恵子。こういうキャスティングに、勝手につながりを感じる映画ファンいるだろな。おかげでその場面から後、倍賞千恵子が「兄は…」と口にするたびに、違うお兄ちゃんの顔が一瞬浮かんだりしてw

ともかく、清張作品の面白さを堪能できる秀作。ほかの映像化作品と比べるのも楽しいかも。




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ゴースト/ニューヨークの幻

2024-11-21 | 映画(か行)


◼️「ゴースト/ニューヨークの幻/Ghost」(1990年・アメリカ)

監督=ジェリー・ザッカー
主演=パトリック・スウェィジ デミ・ムーア ウーピー・ゴールドバーグ トニー・ゴールドウィン

1990年に大ヒットを記録した、ジェリー・ズッカー監督のファンタジー。80年代までは「裸の銃を持つ男」とか「フライングハイ」とか、おバカ映画撮ってた人がどうしちゃったの?。でも世間があんまり騒ぐから、ハリウッド大作を避けていた僕も映画館に足を運んだ。映画館には放課後の女子高生がいっぱい。オレ場違い?と勝手に思ってしまうくらい。早く暗くなって上映始まらないかなー。

同棲中のカップル(デミ・ムーアとパトリック・スウェィジ)のイチャイチャをまずこれでもかと見せつける。多くの映画に真似されている名場面の一つだ。「愛してるわ」と相手への気持ちを常に示す彼女に対して、彼は「同じく」と答える。日本語で言えば「同上」「〃」にあたる表現なんだろう、彼女は「愛してる」を聞けなくて不満で仕方ない。そんな矢先に暴漢に襲われて彼は死んでしまう。自分にすがって泣く彼女の姿を見て、自分が死んだことに気づく。

成仏しきれない彼は、自分が死んだ本当の事情を知ってしまう。どうすることもできないと苦しむ中、偽霊媒師オダメイ(ウーピー・ゴールドバーグ)に出会うが、なかなか理解してもらえない。しかし地下鉄に住むゴーストたちから、ものを動かす方法を教えられた彼は復讐を考え、そして彼女と再び触れ合いたいと思うようになる。果たしてその行方は。

特撮は「スターウォーズ」のリチャード・エドランド。特撮ばかりが売りの映画がたくさんあった80年代を経て、コテコテの恋愛映画なのに特撮がすごいというのは画期的。それはストーリーがその映像技術を駆使できるだけの内容だし、どうなる?とハラハラさせる複数の要素がある面白さを備えているからだ。

白人の美男美女と協力する黒人女性という、いかにも伝統的なハリウッド映画の体裁。しかもウーピー・ゴールドバーグは、この映画のコメディリリーフでもある。今の感覚なら、そのキャスティングだけで嫌う人もいるかもしれない。しかしこの映画のウーピー・ゴールドバーグの芸達者ぶりがなければ、この映画はこんなにヒットしなかっただろう。主役二人の役名は映画館を出る頃には忘れていた。だけど何故かオダメイは記憶に強烈に焼きついたんだもの。

伝えたくても伝えられない苦しさ。この映画の特殊な状況とは違うけれど、それは恋愛において経験する葛藤。それが叶った瞬間の感激。それを当時最先端の映像技術と、ライチャスブラザーズのUnchained Melodyの美しいメロディで彩った素敵な映画。パトリック・スウェィジのひたむきさとデミ・ムーアの大粒の涙。そして言葉を大切にした脚本のうまさがラストに光る。

コインが壁を伝って上って行く場面で、涙をこらえられなかったよー🥹




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なまいきシャルロット

2024-11-19 | 映画(な行)


◼️「なまいきシャルロット/L'Effrontée」(1985年・フランス)

監督=クロード・ミレール
主演=シャルロット・ゲンスブール ジャン・クロード・ブリアリ ベルナデット・ラフォン

少女の揺れる心情と憧れ、夢と現実を優しいタッチでフィルムに焼きつけた青春映画の秀作。日本で公開されたのは1989年。同じミレール監督の「小さな泥棒」が公開される時期で、この2作で主演となるシャルロット・ゲンスブールが日本では大きくクローズアップされた。僕はちょうどその頃にセルジュ・ゲンスブールにどハマりしていた時期。娘シャルロットのファンになるには時間がかからなかった。この頃出版された写真集も持っている。端正な顔立ちとあどけなさの中に、ドキッとするオンナの顔が垣間見える。フランス女優(フレンチロリータに?)ほんと弱いな、オレ。

主人公は心のブスな13歳。周りの大人や家庭が面白くなくて仕方ない。八つ当たりをしては、いつかこんな町出て行ってやると考えている。そんな矢先。彼女と同い年の少女ピアニスト、クララが公演で町にやって来る。彼女と彼女の生活に憧れたシャルロットは、「付き人が欲しい」というクララの言葉を信じきって町を出て行こうと企む。

若い男性に自分の年齢を偽って色目を使ったり、隣の家の幼い娘に「あんたとなんか付き合えない」と見下したり、大人ぶってみるものの、やっぱり13歳の弱い自分に戻るしかない。クララが町を去った後、彼女は自分を見つめ直す、ほんの少しの成長物語。思春期の苛立ちと置き場のない気持ちと反抗心は、誰にでもある。「小さな泥棒」もロマーヌ・ボーランジェの「伴奏者」も、クロード・ミレール監督は少女の表情で心情を無言で伝えるのが巧いから、大人になった鑑賞者にも納得させる力がある。あとは「死への逃避行」しか観たことがないので、他の監督作が観てみたい。

映像ソフトのジャケットにも使われている、フレンチボーダーのシャツ姿のシャルロット。ポスター貼って眺めていたいきゃわゆさ。


そしてこの映画で気に入ったもう一つは主題歌。イタリアンポップスのリッキー・エ・ポーヴェリが歌うSarà perché ti amoの軽快なリズムと爽やかな歌声が流れるオープニングで、ガッチリ心が掴まれた。音楽配信サービスを使い始めた頃、真っ先に検索。見つけた時は嬉しかったな。



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リリィ

2024-11-18 | 映画(ら行)


◼️「リリィ/Le Petiti Lili」(2003年・フランス)

監督=クロード・ミレール
主演=リュディヴィーヌ・サニエ ニコール・ガルシア ベルナール・ジロドー

クロード・ミレール監督と聞くと、「小さな泥棒」「なまいきシャルロット」「伴奏者」あたりを思い浮かべる世代には、若手女優を主役に据えて揺れる心境を撮る人めいたイメージがあると思う。フィルモグラフィーを見れば遺作のヒロインはオドレイ・トトゥだったし、80年代にはイザベル・アジャーニ主演作もあるし。

本作「リリィ」は日本ではDVDスルーとなった作品。ヒロインはリュディビーヌ・サニエ。フランソワ・オゾン監督作で気に入って、彼女目当てでセレクト。えーと、フレンチロリータに弱くてすみませんw

チェーホフの「かもめ」を現代フランスを舞台に翻案した作品。そう聞くと敷居の高さを感じてしまうが、それほど小難しい映画ではない。女優の息子ジュリアンは映画監督を目指していて、恋人リリィを主役に作品を撮った。伯父サイモンの家で家族にお披露目をする。母に酷評されて落ち込むジュリアン。母の出演作を撮っている監督ブリスはリリィに可能性を見出し、彼女を連れてパリへ。ジュリアンを慕っていたジャン・マリーの支えもあって、ジュリアンは数年後に監督デビューを飾ることになる。作品は伯父の家で起こった家族の出来事で、母やブリスが本人役でキャスティングされるが、リリィを演じるのは誰かが決まっていなかった。

うーむ。最初に挙げたミレール監督の代表作と比べると、どうも居心地の悪さを感じる。それは、映画の話自体がタイトルロールであるリリィの視点を貫いていないからだろう。映画前半、庭園に集っていたみんなをリリィが魅了したのは間違いないのだけれど、その後でリリィへの思いをジュリアンが募らせるでもなく、芸能界を駆け上がるリリィが描かれる訳でもなく。ストーリーの真ん中からリリィがどっかに行ってしまうのだ。

中盤は悩み苦しむジュリアンを中心に、伯父サイモンと母マドの意見対立、ジャン・マリーの恋心と村の医者をめぐる女たちの様子が描かれて、群像劇の様相になる。それはそれで悪くないのだが、リリィがいなくても成り立つエピソードが続き、後半売れっ子になったリリィが「私に自分の役を演じさせて」と懇願するのが唐突に思えてしまう。ジュリアンを挫折させた庭園での出来事に、リリィがどれくらいの思い入れがあるのか。その後も実はジュリアンを思い続けていたとか、映画中盤不在だったリリィが何を思っていたのかがわからないだけに、観ていて悶々としてしまう。

その空気を救うのが初監督作の撮影現場を舞台にしたクライマックス。招かれたジュリアンの家族たちが、撮影を見守る様子が微笑ましい。特に伯父サイモンが自分役の名優ミシェル・ピコリに挨拶して、映画の話に花が咲くのが楽しい。監督役のベルナール・ジロドー、ジャン・ピエール・マリエール、ジュリー・ドパルデューら役者陣が魅力的。リリィ不在のどこに辿り着くのかわからない中盤の人間ドラマが悪くないのは役者の力。

えー、お目当てのサニエたん。冒頭の眩しいヌードから始まって、田舎娘から脱皮した後半の表情まで素敵。あんまり聡明な役柄ではないけれど、もっと出番が欲しかった。あのタレ目が好きなんだろって?図星♡





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ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス

2024-11-16 | 映画(ら行)


◼️「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」(1995年・日本)

監督=白土武
声の出演=栗田貫一 小林清志 井上真樹夫 増山江威子 安達祐実

劇場版第5作(「風魔一族の陰謀」を4作目としたカウント)の本作は、栗田貫一がルパンを演じた最初の作品。公開前は山田康雄でキャストが発表されていたが、復帰に至らず帰らぬ人となってしまった。ものまね芸人だった栗田貫一がその後継者となった重要作。

ノストラダムスの予言書を信じるカルト宗教団体と、アメリカ大統領選挙に立候補しようとしている大富豪ダグラスが予言書をめぐって対立する。ダグラスの娘ジュリアが、ルパンが盗んだダイヤ入りぬいぐるみを持ち去る。ジュリアの教育係として雇われていた峰不二子。ジュリアを教団が誘拐したことで、ルパンら面々も事件に巻き込まれてしまう。

製作当時はノストラダムスが世界破滅を予言した1999年を目前にした時期。しかもオウム真理教による地下鉄サリン事件がまさに1995年という偶然も重なり、今観ると湾岸戦争後の不穏な空気を思い出させる。さらに地元にタワーと呼ばれる巨大建造物を所有している大富豪が大統領選挙に出馬するのは、今観るとどうしてもドナルド・トランプを想像してしまう。決してそこを狙って製作した作品ではないのに。

結果的にルパン一味が人助けする展開ではあるのだが、全体的なストーリーは決して軽いものではない。富豪一家のドラマ、一時的に記憶を失った不二子、老金庫破りの末路とけっこうハードなエピソードが用意されている。1996年に金曜ロードショーで放送された録画を初めて観た頃は、当時人気子役だった安達祐実のキャスティングと人助けするお話に「こんなんルパンじゃない」と冷めた見方をしていた。2024年8月に配信で再鑑賞。今観ると、「あぶ刑事」の柏原寛治と伊藤俊也監督の脚本は練られたものとの印象を受けた。

当時も思ったけれど、ダグラス財団タワーの金庫階から地上に落とされる場面、高所恐怖症の僕にはキツい😖。テレビでよかったかも…w。本作のキャラデザはかなり好み😋PART2世代だもん、やっぱりルパンは赤ジャケットが好き。エンドクレジットにはスタジオジブリ、京都アニメの名前も並んでいる。





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アイミタガイ

2024-11-10 | 映画(あ行)


◼️「アイミタガイ」(2024年・日本)

監督=草野翔吾
主演=黒木華 中村蒼 藤間爽子 西田尚美 田口トモロヲ

ー相身互い
今どきはなかなか耳にしなくなった言葉だ。同じ境遇にあるなら支え合うとか、お互い様とかそんな意味合い。自分がかけた優しさは巡り巡っていつか自分に返ってくる。

親友の叶海を突然の事故で失った主人公梓。叶海の両親。梓の恋人で間が悪くてどこか頼りない澄人。梓の祖母、ヘルパーの叔母、叔母が担当する高齢女性。叶海が生前にした行動がそれぞれの人を繋いでいく。伊坂幸太郎の「フィッシュストーリー」や「ラブ・アクチュアリー」みたいな、縁が縁を紡ぐような群像劇が好きな人には向いてる映画だと思う。

話題になる邦画は扱うテーマが重たい作品が多くて、正直なところ映画館に行くのをためらってしまうことが多かった。現実で起きてる問題から目を背ける気はないけど、映画館で辛い思いをしたくなくて。

この「アイミタガイ」について、善人しか出てこないとか、現実味がないとか言う感想を見かける。確かにそうかも。でも、劇中図書館に勤める叶海の父(田口トモロヲ)が「今はそういう話を信じたい」をポツリと(イケボで)言うように、僕もそんな気持ちだった。毎日のヘヴィなニュースや日常にちょっと疲れているんだろう。

だからパズルのピースが次々にはまっていくように、それまでに登場した場面が関連づけられていく様子がとにかく心地良くって。そこで祖母が言う「相身互い」という言葉の意味を噛み締めているヒロイン梓の表情がとてもいいのだ。「世間は狭いよね」で片付けちゃダメ。誰かの行いがあるから、その縁につながっているんだもの。

御年90オーバーの草笛光子が演ずる女性のピアノをめぐるエピソードが素敵だ。梓と叶海の過去につながるだけでなく、時報で流れる「新世界より」の影に隠れて、老婆が弾くピアノに込められた鎮魂の気持ち。この映画の草笛光子も忘れがたい存在になりそう。

エンドロールで黒木華が歌うとは聞いていたけど、予告編を見ていなかったから何を歌うのか知らなかった。そしたら「夜明けのマイウェイ」だったのだ。え?😳荒木一郎作のあの曲!?桃井かおり主演のドラマ「ちょっとマイウェイ」(79)の主題歌で、当時マセた中坊の僕は大好きな曲だったのだ。

悲しみをいくつか乗り越えてきました♪
だからもう私は大丈夫です♪

まさにこの映画のヒロインがいろんな人の思いに背中を押され、そして背中を支えてくれる信頼できる相手がいることを感じたラストに、この歌詞がジワーッとしみてくる。

エンドロールが流れる中で、他のお客さんが出ていって場内には僕だけになった。
だからもう私は大丈夫です♪
もう一緒に歌っちゃったよ😆♪
こんな晴れやかな気持ちでシアターを出られるとは思わなかった。



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ときめきサイエンス

2024-11-09 | 映画(た行)


◼️「ときめきサイエンス(エレクトリック・ビーナス)/Weird Science」(1986年・アメリカ)

監督=ジョン・ヒューズ
主演=アンソニー・マイケル・ホール イラン・ミッチェル・スミス レナード・ルブロック

80年代の青春映画は大人になってから観たものがちらほら。リアルタイムだった大学生の頃はクラシックとミニシアター系映画に狂ってたから、お気楽なハリウッド映画からは距離を置いていた。たまに観ても「こんなんが観たいんじゃない」と一蹴(生意気なw)。トム・クルーズがええカッコしいするだけの青春ものなんてもう目の敵(笑)。特に親の留守中にお綺麗なコールガール呼んでよろしくやっちゃうイケメンボンボンの話(「卒業白書」のことね)なんてその筆頭だった。

一方で80年代の洋楽コンピ系サントラ盤が大好きなので、本作はちょっと気になっていた。ダニー・エルフマンが当時在籍したバンド、オインゴボインゴが主題歌を担当している。サントラ未収録だがヴァン・ヘイレンやOMD、ラット、マイク・オールドフィールドがどんな使われ方をしてるのか。本編のあらすじもよく知らず今回挑んでみた。

さて本編。冴えない15歳男子2人が「フランケンシュタイン」の映画を観て、モテないなら自分で理想の女性を作ればいい!と思いつく。コンピューターに理想像を読み込ませ、バービー人形をプラグでつなぐ。すると嵐が巻き起こり、目の前にセクシーな女性が現れた。リサと名付けられた彼女が。創造主たる冴えない少年たちを自信ある男にするために大暴走するお話。

…😟うわっ。
「卒業白書」と同じく、親のいぬ間に大人の女性とあんなことやこんなことするヤンキーボーイの話じゃねえか!確かに性にまつわる乱れたお話ではあるのだが、不思議と「卒業白書」で(あの頃)感じた嫌悪感とは全く違った。いやむしろ好印象。

他のジョン・ヒューズ監督作と同じく、たった1日(又はわずか数日)の出来事が主人公を一歩成長させるお話。さらに親のいない一夜の話だから、「ホームアローン」に代表される90年代の作風にもつながる。確かに軽くって、話も浅くって、親世代の言い分なんかどうでもよくって、都合もよくって。大学生当時の硬派な映画ファンを気取っていた僕なら、この映画を毛嫌いするに違いない。でも、あれこれ観てきた今だとむしろ痛快に感じる要素が見えてきた。

いわゆるオタク集団がモテ男や優等生に逆襲する映画の系譜。本作の2人はコンピューターに詳しくて性への関心が人一倍強い。PLAYBOY誌やお気に入りの雑誌たちがトランクに入れて保管されてるのが妙に微笑ましくって😆。そんなオタクな2人が、一夜のハチャメチャなパーティを通じて少しだけ自分に自信を持つようになる。ダメ男が頑張る話が好きな今の自分にとっては、問答無用のお気楽さは抜きにして、まぁ悪くない印象が残った。2人がそれぞれのハッピーを手にするラストはいいじゃん♡

リサが駆使する魔法のような能力。どピンクのオープンカーやポルシェ928、フェラーリのガブリオレを出現させ、意地悪をする兄貴(若きビル・パクストン!)をジャバ・ザ・ハットみたいなクリーチャーに変える。ラストには一夜の大騒ぎを何事もなかったようにしてしまう。理屈なんてどーでもいい。都合がいいにも程があるww。まぁ、そこはお気楽な80年代ハリウッドの産物と言うことで。

2人をいじめるモテ男の片方は、ロバート・ダウニーJr.。そして主人公2人が創造した理想の美女リサは、本作の前年「ウーマン・イン・レッド」でタイトルの赤いドレスの女を演じたケリー・ルブロック。



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