Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

年間ベスト選出映画で振り返る、平成と自分(3)

2019-04-30 | その他のつぶやき
年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その5。
 
2009「パイレーツ・ロック」
2010「(500)日のサマー」
2011「英国王のスピーチ」
2012「ミッドナイト・イン・パリ」
2013「タイピスト!」
 
2010年、僕は2度目の転職をする。家族や周囲の人の多くは賛成してくれた。一方で
「その年齢で転職しなくてもいいでしょ」
とか、それまでの仕事に関係する業界だったから
「裏切り者」
めいた声も聞こえた。そうした声に
「まだアガリを決めた大人になるには早いんじゃないかって、思うんだ」
と答えた。思わず口から出たこのひと言は、アニメ「東のエデン」の台詞でもある。そうそう、再びアニメ熱が高まるのもこの時期。19歳、20歳くらいの学生と長いこと接してきた影響かもね。
 
この時期、忘れることができないのは2011年の震災。自分に今何ができるのか、何もできないのか。テレビからCMが姿を消す中で、それを誰もが日々考えていた。「英国王のスピーチ」でジェフリー・ラッシュが演じたライオネルが吃音の国王を生涯支え続けた姿は、復興に必要なのは"支え続けること"だと教えてくれた気がする。
 
「(500)日のサマー」の主人公が恋愛の理想と現実の狭間でもがく姿は、自分を見られてるみたいな気がした。「パイレーツ・ロック」と「タイピスト!」は、まさに自分が好きなテイストがあふれた映画だった。
 
自分に何ができる?
自分の好きなことって?
とわが身を改めて振り返っていた時期なのかもしれない。そして、いろんな意味で自分の身の程がわかってきた時期なのかもしれない。
 
遅えかww
 
 
年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その6。
 
2014 「きっと、うまくいく」
2015 「セッション」
2016 「ブルックリン」
2017 「ブレードランナー2049
2018 「ボヘミアン・ラプソディ」
 
そして現在。2度の転職を経て、自分が社会人経験を積んで思い知らされたのは、人間関係を維持することの難しさ、仕事は年齢なんて考慮してくれないこと、経験値とキャリアがなんだかんだで役に立つこと。身の程を思い知った今だからこそ、昔と違って感じることがたくさんある。
 
映画生活もそう。世間で賛否両論だった「セッション」を多面的に観ることができたのも、インド映画にこれまでにない感激を味わったのも、これまでの知識や蓄積、経験で知ることがあってこそ。
 
昔観た映画も今では違う感慨を抱く。若い頃はサスペンスにハラハラしたはずの「死刑台のエレベーター」は愛の映画だと思うし、バイオレンスで有名なスティーブ・マックイーンの「ゲッタウェイ」で夫婦について考えさせられたり。80年代の青春映画も、今観るときっと親に感情移入するだろな。
 
生きることも何かを楽しむことも、積み重ねで得るものがある。
 
小学校教員やってる友人に
「ホームルームでお前のことをときどき話すんだ。」
と言われたことがある。
「高校時代にやったどのバカを笑いのネタにしてんの?やめてくれ。」
と言うと、彼は
「"継続は力なり"って話をする時にネタにさせてもらってる。しなきゃいけないことと自分が好きなことを両立して長年貫いてることはすごいと思うんだ。」
と言う。いやいや、別にそれで世間に認められてる訳でもないのにと言うと、彼は続けた。
「有名人を例に挙げるより、身近にこんな人がいるって話の方が勇気づけられるんよ。だからお前は今のままでいい。」
 
2016年の「ブルックリン」はアイルランドからアメリカに渡ってきたヒロインの社会人デビュー物語。社会人なりたての不安とか迷いとか、それは男だって同じ。観て数年経つのに今でも感想を書けずにいる映画のひとつ。だって、「魔女の宅急便」で泣いた社会人1年目の自分(その1参照)を思い出させてしまうんだもの。
 
平成の終わりにあたって、社会人になってからの30年を振り返ってみた。映画観てたことで救われたことが何度もある。単に楽しいだけじゃなくて、日々の癒しでもあり、異国の現実を知る機会でもあるし、年の離れた人と打ち解ける話題の一つにもなるし、時々自分を振り返らせてくれる2時間でもある。「ブレードランナー2049」も「ボヘミアン・ラプソディ」も、80年代を振り返らせてくれた。だからって、クィーンやガンダムを若い世代に「昔はよかった」って語るような迷惑な親父にはなってません、念のためww
 
ともあれ、平成の時代に支えてくださった皆さまに心から感謝します。ありがとうございました。
令和になってもオレはオレです。
これからも、どうぞよろしく。
 
長文を最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
コメント (4)
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年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分(2)

2019-04-30 | その他のつぶやき
 
年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その3。
 
1999「フル・モンティ」
2000「マルコビッチの穴」
2000「ブリキの太鼓」
(ミレニアム記念で旧作からも選出)
2001「あの頃、ペニーレインと」
2002「アメリ」
2003「キル・ビル」
 
ノストラダムスが人類滅亡と予言したとされる1999年、僕は父親になる。分娩室で出産に立ち合って、「女ってすげえ!男は敵わねぇ!」と思い知らされた。
 
そんな気持ちを励ますように、映画の神様は「フル・モンティ」を僕に遣わした。男ってバカな生き物だ。でも素晴らしい、男でよかった!と涙目でエンドクレジットを観たのを今でも思い出す。2001年に二人目が産まれた日、分娩室に流れていたのは、クィーンのWe Will Rock Youだったな(笑)。
 
この時期、お気に入りだった映画館は、川沿いのホテル地下にあったミニシアター。「あの頃、ペニーレインと」「ヴァージン・スーサイズ」「テルミン」などなど素敵な映画との出会いがあった。一方でシネコンの波は地方にも押し寄せ、多くの映画館がなくなった時期でもある。「アメリ」を観た映画館もお気に入りの地下映画館もなくなった。
 
同時多発テロやイラク戦争、北朝鮮問題など、他者に不寛容で不穏な空気が漂う時期でもあった。米国万歳なお気楽ハリウッド大作を、これまで以上に避けるようになったのもこの頃。
 
そして僕は、98年から2010年まで"センセイ"と呼ばれるお仕事をすることになる。今につながる出会いに感謝。「スターウォーズ 」や「マトリックス」「少林サッカー」(ついでに「機動戦士ガンダム」)がいかにすごいのかを、放課後解説させられたww。でもそんな他愛のない会話が、学生たちとの繋がりを強くしてくれたのもまた事実。その数年後、まさか映画をネタにした授業をやることになるとは思っていなかったけどね。
 
長期の休みの後、出勤して授業やって帰ってくると僕はなーんか日頃よりニコニコしてた、と配偶者アミダラMは言う。「実は天職なんじゃない?」この頃はそう言われたっけ。
 
年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その4。
 
2004「グッバイ、レーニン!」
2005「エターナル・サンシャイン」
2005「スターウォーズEP3 シスの復讐」
2006「硫黄島からの手紙」
2007「善き人のためのソナタ」
2008「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
 
"センセイ"と呼ばれるお仕事で、自分が部門の責任者(的)立場となった時期。自分たち中心に物事を進められる楽しさはある一方で、次第に不満も蓄積していった時期でもある。僕ら部門の成果を上層部はなかなか評価してくれなかった、いや、まともに理解も示さなかった。だけど、僕らや広報部門の努力もあって、世間がしっかりと認めてくれているのは実感できた。悔しかったけど、嬉しかった。また、個人的な人間関係でも衝突やトラブルがしばしばあった時期。そういう意味では日々戦っていたのかも。
 
映画生活にもちょっと変化が。ミニシアター系を好む為にこれまで映画館は主に一人で行くものだったが、同じベクトルで楽しめる人と観ることが増えてきた。何かと戦っていた時期だから、せめて好きなことに関してだけは同士や理解者が欲しかったのかもしれない。きっかけは「Zガンダム」劇場版三部作をみんなで観る!なのだけど(恥)。
 
そもそも映画ファンになったきっかけは「スターウォーズ」だっただけに、2005年のEP3は特別なものだった。ダース・ベイダーの呼吸音が鳴り響いた瞬間。この結末を見届ける為に、オレは映画を見続けていたんだ、と感慨深くなり放心状態に。それからしばらくの間、何も映画を観られなくなった。そこから再び映画生活が活発になるのは、一緒に楽しんでくれる友達、ネット見知りの映画仲間のお陰。
 
わかってくれない奴らと、わかってくれる誰か。その間で泣いたり笑ったりの日々。そう振り返るとベストに選んだ映画には、どれも人に知られることのない強い思いがある。そこに共感したのかもしれない。
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年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分(1)

2019-04-30 | その他のつぶやき
年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その1
 
1989「レインマン」
1990「セックスと嘘とビデオテープ」
1991「シラノ・ド・ベルジュラック」
1992「愛と死の間で」
1993「クライングゲーム」
 
平成元年は社会人になった年。前年、映画業界就職を企てて失敗したものの、逆に好きなことを好きに貫けばいいじゃん!と気づいた。いわゆるミニシアター系映画にどっぷり浸かっていた時代。お気に入りの映画館で上映するなら、ジャンル構わず観ていた。
 
自分が思っていた社会人の理想と現実の間で、もがいてた時期でもあった。世は「24時間戦えますかっ♪」とカラオケにまで仕事を持ち込まれるバブル期。「魔女の宅急便」を観て、飛ぶことしかできない魔女のキキに不器用な自分を重ねて、映画館でわんわん泣いた。
 
一方、打ち込みで音楽やってて、職場の打ち上げでTM Networkを演奏する余興要員(今思うと恥ずかしい💧)。社員旅行先で現地のカラオケ大会に飛び入り参加して優勝。大した仕事はできなかったのにさ。
 
「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」や「ニュー・シネマ・パラダイス」など、その後も愛してやまない映画もこの時期。そして93年に独身生活は終了となる。
 
年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その2。
 
1994「シンドラーのリスト」
1995「フランケンシュタイン」
1996「オルランド」
1997「ユージュアル・サスペクツ」
1998「世界中がアイ・ラヴ・ユー」
 
映画生活はBS依存の時代。クラシックやヨーロッパ映画を腰を据えて観た時期でもある。ベストに選出こそしてないが、かなりフランス映画かぶれだった。
 
94年は、FM局主催のコンピュータミュージックのコンテストに、プログレッシブロック風のオリジナル曲を応募して3位入賞。仕事を抜け出して、公開の最終選考と表彰式に出たが、ローカルニュースで映ってバレてしまうww
 
個人的には資格試験に挑んでた時期でもある。いくつかの資格を履歴書に書けるようになったのが、今にしてみれば長く勤めることになる次の転職につながったのかも。バブル経済の崩壊。最初に就職した住宅業界を辞めたのは、思えばそのタイミングだった。
 
98年の春。僕はSFホラー「光る眼」を家で観ていた。村中の女性が一斉に妊娠し、異星人の子供が産まれるというお話。
「あなた!私、妊娠したみたいなの!」
「おお、それは素晴らしい!」
抱き合う主人公二人。
あー、それ異星人の子供なんよね。
今から大変なことになるんだよね。
 
そう思いながら、クッション抱きしめてテレビを見ていた。すると、わが家のトイレから声がした。
「あ、妊娠検査薬が陽性だわ」
 
そして、わがDINKS生活にピリオドが打たれることが決定する。
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オースティン・パワーズ

2019-04-15 | 映画(あ行)

◾️「オースティン・パワーズ/Austin Powers : International Man of Mystery」(1997年・アメリカ)

監督=ジェイ・ローチ

主演=マイク・マイヤーズ エリザベス・ハーレイ ロバート・ワグナー マイケル・ヨーク

 

親父が「007」シリーズが好きだったもので、小学生の頃からジェームズ・ボンド映画を観て、理想のヒーロー像、男性像として刷り込まれてきた。だからスパイ映画はどうしても比較してしまうし、ましてや本家「007」のパロディにも厳しい見方をしてしまう。だからこの「オースティン・パワーズ」はずっと敬遠してきた。似たような理由で「チャーリーズ・エンジェル」も未だに観ていない、偏屈な映画ファンなのである。

1960年代のイギリスで活躍していたスパイオースティンは、宿敵ドクターイーブルが人工冬眠したことから、自身も未来で目覚めることを選ぶ。1990年代にイーブルが復活、核弾頭を奪い、世界征服を企んでいた。オースティンも冬眠から目覚めるのだが、これが下半身で生きているような、お下品でお気楽な男。助手となったバネッサは、彼を遠ざけようとするのだが、60年代のオースティンを知る母親から彼の魅力を聞くうちに、次第に彼を理解していく。そして二人は悪の結社に立ち向かう。いやはやここまで徹底した本歌取りパロディとは思ってなかった。「ドクターノオ」の放射能防護服、「ゴールドフィンガー」のよろず屋、悪役イーブルの造形は「007は二度死ぬ」のブロフェルド、黒メガネはマイケル・ケインのハリー・パーマーか?などなど、本家やスパイ映画を知るからこそ笑えるディテール満載。ん?楽しんでんじゃん、オレ

(^^;)

Soul Bossa Novaをバックに踊るオシャレで楽しいオープニングで映画のツカミはオッケー。そこから畳み掛ける過剰な熱量のギャグと下ネタ。映画後半はちょっと下ネタは食傷気味になるが、ブラックな笑いがさらに追い打ちをかけてくる。もぉー、下品だなーと冷静に観ていたはずが、ベッドサイドでのギリギリのエロギャグには吹き出した。ん?楽しんでんじゃん、オレ。

(^^;)>

あー、でもリピートしたくなる人の気持ちわかるかもです。ロブ・ロウ、キャリー・フィッシャー、クリスチャン・スレーターも出てくる。探してみてね。

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