Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2022年11月のプレイリスト

2022-11-30 | 今日のBGM

◆2022年11月のプレイリスト◆

11月に聴いていた愛すべき30曲


1 Convergency (Candy Dulfer feat. Nile Rodgers)

アルバムは歌ものが多いから、こんなインストが嬉しい。しかもナイル・ロジャースのギターだなんて🤩

2 Got To Get You Into My Life (Second Version) (The Beatles)

デラックス盤に収録されたホーンセクションなしver.。ブラスロックのイメージ強いからなんか新鮮。

3 Emotions (Mariah Carey)

何度聴いてもハイトーンのスキャットで感動する。

4 POPPY PAPPY DAY(ポプ子(CV:牧野由依)、ピピ美(CV:渡部優衣))

「ポプテピピック」どハマり中🤣

5 Guaranteed(Level42)

Level42で踊れてた時代のディスコに帰りたい。こんなことを考え始めたら、煮詰まってきた証拠💦

6 君よ気高くあれ(シユイ)

「水星の魔女」ED曲。

7 Unchained (Van Halen)

時々無性に聴きたくなる。

8 The Greatest Gift(Henri Mancini & His Orchestra)

映画「ピンクパンサー」のおシャレな劇伴。NHK FMで80年代に放送してた映画音楽番組がテーマ曲にしていたな。

9 Original Sin(Taylor Dayne)

ミートローフもカバーしたジム・スタインマン楽曲。

10 逢いたくてしかたない(郷ひろみ)

カラオケ行きたい🎤


11 お後がよろしくって…よ!(極♨️落女会(山本希望、佐倉綾音、南條愛乃、小岩井ことり、後藤沙緒里))

アニメ「じょしらく」OP曲。

12 ニッポン笑顔百景(桃黒亭一門)

アニメ「じょしらく」ED曲。笑う門には福来る♪ヒャダインの89秒の構成力。お見事。

13 天使(エンジェル)(甲斐バンド)

小学校高学年以来、甲斐よしひろは尊敬するアーティスト。

14 カレーライス(KAN)

♪一度さめて温めてそれでいい

KANのラブソングがたどり着いた男女の機微。

15 Tiny Dancer(Elton John)

車の中で聴きたくなるのは、大好きなあの映画のせい。

16 Isolation(Toto)

このアルバム、ついついリピートするお気に入り。ロック色が他のアルバムより強いせいかな。

17 ウォンテッド(指名手配)(吉井和哉)

ピンクレディーのカバー。このアレンジ、やたらカッコいい。

18 In Your Eyes(Peter Gabriel)

映画「セイ・エニシング」で印象的な使われ方してました。

19 ねじれたハートで(桃井かおり/来生たかお)

若い頃、来生たかおは低くて歌えなかったけど、これだけは好きで歌ってたな。

20 All Time High(Rita Coolidge)

「007/オクトパシー」主題歌。


21 Behind The Mask(Michael Jackson)

Thriller40周年盤に収められたYMOのカバー。クラプトンver.とはひと味違う。

22 Never Say Never Again(Lani Hall)

007番外編の主題歌はミシェル・ルグラン作曲。プロデュースとトランペットはハーブ・アルパート🎺。

23 Better To Have Lost In Love(Eurythmics)

名盤「Be Yourself Tonight」のラストを飾る隠れた名曲。

24 BABY BLUE(伊藤銀次)

高校時代に伊藤銀次を聴いてから、音楽の聴き方とか自作曲の作風とか、すっごく影響を受けた。

25 Vogue(Madonna)

カッコいいダンスチューンのお手本。

26 招き猫(水曜日のカンパネラ)

北九州市若松区を舞台にしたPVが素晴らしい♡

27 WHITE BREATH(Claris)

カバーを含む冬の歌を集めた作品をリリース。SPEEDのホワイトラブもいいけど、やっぱりこっちが好き。

28 Astrogation(水樹奈々)

この時期の奈々さま楽曲はお気に入りが多い。

29 I am(TM Network)

30 Always Be There(TM Network)

来月の上映イベントに向けてTM復習中😊












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セイ・エニシング

2022-11-28 | 映画(さ行)

◼️「セイ・エニシング/Say Anything」(1989年・アメリカ)

監督=キャメロン・クロウ
主演=ジョン・キューザック アイオン・スカイ ジョン・マホーニー リリ・テイラー

80年代青春映画といえばジョン・ヒューズ監督だった。好きな作品はいくつもある。あの人の映画は、人生のわずか数日、いや数時間が、登場人物たちにとって大きな成長をもたらす瞬間を切り取ってきた。青春時代にそういう尊いモーメントは確かにあるし、大事なことだ。だけど避けては通れないのはその先。将来のことや人間関係、諦められない気持ちがどうなるんだろうと思いながら、映画を観ていたのも正直なところ。89年にキャメロン・クロウ監督が発表した「セイ・エニシング」は、そんな青春モーメントのその先に一歩踏み出した映画だ。

高校卒業のタイミングで、あまり目立たなかった男子ロイドが優等生の女子ダイアンに告白。優しくて気遣いができる彼の人柄に好意を抱く彼女。付き合うのも初めてづくしだし、留学でイギリスに旅立つ日は迫っている。不器用な二人は一緒にいたい気持ちと焦りで関係がギクシャク。娘離れできない父親、身分違いの恋というハードルもあって、心穏やかではない日々。そこに彼女の父親の脱税疑惑が。

この映画にも貴重な青春モーメントはたくさん描かれる。初対面の父親に潔い挨拶をする場面、バックシートで抱き合いながら「幸福すぎて」と震えが止まらない場面、その翌日詳細に父親に報告する娘と表情が固まる父親。この映画が誠実なのは、二人がこれからを考える様子が幾度も出てくること。恋をして浮き足立つ映画は散々観てきたけど、ロイドは会う大人それぞれから進路について尋ねられたり、ダイアンは父親の罪はどうなるのかで気が気じゃない。紆余曲折を乗り越えて旅立つ二人が爽やかな感動をくれる、ちゃんと地に足がついた映画だ。だけど、スクリーンの恋愛模様で夢見させてくれる映画とは違うから、好き嫌いは分かれるかも。今の自分の年齢で観たせいで、好意的に思えるのかな。ハッピーエンドなのに、ちょっとだけビターな味がする。

ダイアンとうまくいかない悩みから、コンビニでたむろする男子たちと会話する場面が印象的だ。女の扱いは心得てるみたいに言う彼らに、「じゃあ何故お前らはここにいる?」と辛辣な質問をするのは笑った。他の女で解決しようとする男子たちの情けなさ。彼らを前に「ダイアンがいいんだよ!」と叫ぶロイド。いいぞ、そうだ。それでいい。ロイドの相談相手である異性の友人コリーの存在も好き。彼女が元カレの悪口を歌にする場面、ナイス。

サントラはキャメロン作品らしいかなり渋めの選曲。特にピーター・ガブリエルのIn Your Eyesの使われ方がいい。ロイドとダイアンの大切な青春モーメントに流れてた曲。彼女の家の前でラジカセ抱えて、この曲を流して聴かせようとする場面にちょっとウルっ🥲。





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アラベスク

2022-11-20 | 映画(あ行)

◼️「アラベスク/Arabesque」(1966年・アメリカ)

監督=スタンリー・ドーネン
主演=グレゴリー・ペック ソフィア・ローレン アラン・バデル キーロン・ムーア

雨に唄えば」「パリの恋人」「シャレード」などスタンリー・ドーネン監督作がけっこう好き。これまでなかなか観る機会がなかった「アラベスク」をBSプレミアムで鑑賞。007映画でお馴染みモーリス・ビンダーが手がけたタイトルバックと、ヘンリー・マンシーニの音楽。「シャレード」同様にオシャレな印象。

エジプト象形文字研究をする大学教授デビッドは、国家を揺るがす陰謀にからむ暗号解読を中東某国の首相に依頼される。さらに首相は海運王ベシュラムから同じ依頼をされたら内情を探って欲しいと言う。ベシュラムの屋敷で愛人ヤスミンに身の危険があることを告げられ、彼女の手引きで屋敷を逃げ出すが、複数の追手が彼に迫る。ヤスミンは信頼できるのか、デビッドの運命は。

製作された60年代はスパイ映画も人気だった時期。しかしハードな話は控えめにして、昔から華やかな映像で観客を楽しませてきたスタンリー・ドーネン監督らしく、グレゴリー・ペックの余裕すら感じる気の利いた台詞、ソフィア・ローレンの美しい衣装の数々、鏡やガラスを使った撮影のアイディアが楽しい。複数の勢力が入り乱れる話なので、ストーリーは単純明快ではない。

しかし個々のシーンでは、凝った映像を交えながらも、何が起こっているのかがきちんと伝わる編集がいい。水族館で追われる場面、アスコット競馬場の群衆で起きる殺人、解体工事現場でクレーン車に襲われる場面、そしてクライマックスのヘリコプターに追われる場面は、こうした編集が光る。逆に、替え玉を見破る場面や、ヤスミンが正体を明かす場面は唖然とするほどお気楽。でもこの軽さが娯楽優先のドーネン監督らしさなんだろう。





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野性の夜に

2022-11-18 | 映画(や行)

◼️「野性の夜に/Les Nuits Fauves」(1992年・フランス)

監督=シリル・コラール
主演=シリル・コラール ロマーヌ・ボーランジェ カルロス・ロペス コリーヌ・ブルー

1990年代、エイズで亡くなった人々の訃報を何度も聞いた。中でも日本に紹介されて間もないタイミングで亡くなってしまったシリル・コラールは印象に残っている。フランスの歌手で、小説や脚本と多彩な才能を発揮し始めたところだった。モーリス・ピアラ監督作品では助監督を務め、本作は監督、主演、脚本を担当し主題歌も歌う。

遺作「野性の夜に」で彼が演じるのはエイズキャリアの青年ジャン。自分自身を投影した主人公が、エイズ感染から迫る死という現実を受け入れて、少しずつ行動を変えていく物語。自分が感染者だと告げずにローラと関係を持ってしまうジャンに、苛立ちを感じずにはいられない。さらに映画後半には男性の恋人も現れて、ローラは精神が不安定になってしまう。申し訳ないが、主人公に身勝手な男という印象が強く残って仕方ない。それでも一人旅立つラストは爽やかな印象。日々に流されて生きているスクリーンのこっち側の僕らも、一日一日を大事にしないといけないという気持ちにさせられる。

映画自体は唐突な印象を受ける編集やコラール自作曲が、ワンマン映画だけにちょっとナルシスティックに感じられる。それも彼の映画に対する真面目な向き合い方や思い入れの強さだと理解できる。

ただ、避妊具も使わずにローラと関係をもつ場面や、愛してるから病気までも受け止めたいと言わんばかりのヒロインの過剰な言動は、決して褒められるものではない。南野陽子主演作「私を抱いて、そしてキスして」みたいに多少説教くさい映画になる恐れはあるが、正しい知識が伝わるような描写は入れるべきだったんじゃないのか。コラール自身が実際にエイズキャリアだったのに。そう思えるのは、コロナ禍の今だからなのかな。

ロマーヌ・ボーランジェが演ずるローラがとにかく痛々しくって。でも僕はどうもフレンチロリータに弱いもので、この作品後の主演作でお気に入りの一人になるのでした。




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小説吉田学校

2022-11-15 | 映画(さ行)

◼️「小説吉田学校」(1983年・日本)

監督=森谷司郎
主演=森繁久彌 芦田伸介 若山富三郎 高橋悦史 夏目雅子

教科書で教わる歴史も大切だけど、僕らは現代史をもっと学ばなければいけない。映画をあれこれ観続けていると、心底そう思う瞬間がある。日本の歴史についても然りだ。

DVDを所持していたが未見だった「小説吉田学校」。やっと腰を据えて観た。前年製作の「海峡」で信念ある男を描いた森谷司郎監督。東宝と角川が組んでオールスターキャストで撮った力作。DVDには現在につながる人物相関図、公開当時の凝ったパンフレットのデータ、細川隆一郎氏の解説動画も収録。すっごく勉強になった。

これはやっぱり今観るべき映画かも。脚色や美化、オーバーな演出はあることは大前提としても、吉田茂がなにを成した人物か、どんな面で敵を作ったのか、退陣するまでの政治状況がスリリングに描かれて、そこは少なくとも理解できることだろう。モノクロームで撮られた前半で描かれるのは、吉田茂が成し遂げた講和と独立。対立政党にも頭を下げて条約締結に動き、政敵もその功績は認める。外務省の限られたメンバーで大綱を作成し、池田勇人を動かして講和への道を開こうとする場面。軍備をめぐるアメリカの要求に断固再軍備を受け入れないと突っぱねる。

GHQから排除された鳩山の代わりに吉田が首相になった。その際に交わされた約束は、鳩山が政治活動を許されるようになったら、速やかに政権を渡すこと。しかし、日本の再軍備に徹底的に反対する吉田茂に対して、鳩山、三木、河野ら政敵は改憲、再軍備を望む一派。現在につながる改憲、再軍備をめぐる議論の大元は、ここから始まっているのがよくわかる。

カラーになった映画後半は、国内の政争が描かれて、政権を譲らない吉田と政敵三木武吉がいかに争ったかがテンポ良く克明に描かれる。絵面が変わらないから、何が起こっているのか見えにくい政治映画だが、それぞれの陣営の抗争劇がまるでヤクザ映画のような緊張感で示される。娘である麻生和子に「今のお父様は嫌いです」と言われる辛さ。政治の難しさ、厳しさ、外圧、そして人を狂わせる権力。様々な要素が丁寧に織り込まれた脚本がいい。

この映画の魅力は、なんだかんだ言ってもキャストだと思う。森繁久彌の迫力ある吉田茂は名演。途中から「社長シリーズ」のイメージは完全に吹き飛んだ。政敵に芦田伸介、若山富三郎、梅宮辰夫。吉田目線なら憎まれ役だが、このキャストは完全にヤクザ映画の趣w。西郷輝彦の田中角栄、高橋悦史の池田勇人、竹脇無我の佐藤栄作。麻生和子は夏目雅子。脇の脇まで顔が知られたメンバーなのがいい。

実名の政治ドラマはなかなか実現しないと聞く。確かに実際政治家の伝記映画やドラマって、渡辺謙の吉田茂こそ近頃あったけど、戦後の政治家が取り上げられることは少ない。日本にはオリバー・ストーンみたいな監督はいないのか。誰か角栄を撮れるヤツはいないのか。





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愛は霧のかなたに

2022-11-13 | 映画(あ行)

◼️「愛は霧のかなたに/Gorillas In The Mist」(1988年・アメリカ)

監督=マイケル・アプテッド
主演=シガニー・ウィーバー ブライアン・ブラウン ジョン・オミラ・ミルウィ ジュリー・ハリス

何事においても物事の先駆者は変人扱いされ、普通でないだとか世間から言われるものである。ビートルズの名曲Fool On The Hillは、天動説が通説だった時代に動いているのは地球だと唱えて異端審問されたガリレオ・ガリレイの物語をベースにポールが作った曲だ。丘の上の愚か者と呼ばれながらも、世界が回るのを見ていたのだ。

「愛は霧のかなたに」の主人公ダイアン・フォッシーもそうした人物の一人。絶滅寸前だったマウンテンゴリラの保護に立ち上がった、単に動物好きな学者である。売り物としての動物、それを商売にする密猟者、国とのしがらみ、アフリカで白人に向けられる冷たい視線。様々な壁がある中で、動物保護の経験もなく現地入りした彼女が奮闘する姿が心に残る。

現地人からは魔女と呼ばれ、研修にやってきた若者からは独裁者と呼ばれ、彼女の元から次々と人が去っていく。しかし、彼女が貫いた"守る"という思いとそれを実行する信念には感動させられる。そしてゴリラは増え続けている。こうした先駆者があって、今がある。これもFool On The Hillの物語。

シガニー・ウィーバーは、やっぱり力強いヒロインが似合う。同じ年に出演したのが「ワーキングガール」。オフィスに大きなゴリラのぬいぐるみが飾られているのに、映画ファンは思わずニヤリ😏







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フェーム

2022-11-08 | 映画(は行)
◼️「フェーム/Fame」(1980年・アメリカ)

監督=アラン・パーカー
主演=アイリーン・キャラ バリー・ミラー ローラ・ディーン ポール・マクレーン

アラン・パーカー監督の音楽ものは大好物なのにこれまで何故か観ていなかったのが「フェーム」。実は何度か挑んだのだけど途中で放棄していた。映画館で集中できていたらこんなことはなかっただろう。BSPの録画でやっと全編通しで観ることができた。
音楽、ダンス、演劇を学ぶ芸術専門学校を舞台にした青春群像劇。入学してからの4年間、登場人物それぞれのエピソードを断片的に繋いだ130分。確たるストーリーがあるわけでもないのだが、それらは確実に彼ら彼女らの成長を刻み込んでいる。スクリーンのこちらから僕らはそれを見守る役割だ。

今まで途中で投げ出していたのは、4つの各パートに収められたミュージカルシーンが圧巻で、そこでお腹いっぱいになってしまったからだ。中でも最高なのは、1年生パートに登場するHot Lunch。学食には昼休みも楽器を手にする音楽科の学生たち、身体を動かし続けるダンス科の学生たち、演じることをあれこれ考え続ける演劇科の学生たちで大混雑。ドラムの学生がテーブルで刻みはじめたリズムに演奏がどんどん重なり、みんなが踊り出す。ダンス科在籍の女子(のちに「フラッシュダンス」が大ヒットするアイリーン・キャラ)がボーカルに加わり、即興で学食のおばちゃんのことを歌う。サイコーの場面。この一体感がたまらなくカッコよくて、ここばっかりYou Tubeで何度も観てしまう。1984年頃にオンエアされてたコカコーラのCMに、学食で演奏が重なっていくゴキゲンな(死語)作品があるけれど、「フェーム」のこの場面がルーツにあるんじゃないだろか。

2年生パートでは、この年のアカデミー賞を受賞した主題歌Fameが流れて、学校前の道路を塞ぐ大群衆の乱舞が展開される。シンセサイザー弾き男子が、ダンス科のアイリーンと作ったディスコチューン。「息子が作った曲だ!」とイエローキャブの屋根に付けたスピーカーから大音量で流す親バカっぷりが、今の年齢で観るとクスッと笑える。当時解散前だったピンクレディーが日本語カバーした曲でもあるな。

入学試験の導入部で各キャラクターを印象づけるのも面白い。人種も、生まれも、育ちも、性的嗜好も、家庭状況も様々な学生たち。映画製作に人種的な配慮が必要とされる現在でも十分に通用するストーリー。テレビシリーズ、2000年代にはリメイク映画も製作されている。子離れしない母親の鬱陶しさ、字が読めないことを隠す黒人男子、ゲイ男子をめぐる三角関係、それぞれが抱える悩み。チャンスをモノにできなかった先輩、ショービズに憧れる彼らに投げかけられる甘い言葉と厳しい現実。

途中で観るのを投げ出した時は散漫に感じたエピソードの断片。これが年次が進むうちに絡み合って新たな物語へと向かうのが心地よい。これは短いカットで過剰な演技をさせまいとしたアラン・パーカー監督のやり方なんだろう。巧みな編集で繋がれて一つの成長物語へとなっていく。それらは学校だからつながる人間関係。自分はそんな時代に繋がった関係を大事にできてるんだろうか。おっさんはついそんなことを考えてしまうな。

そんな彼ら彼女らが迎える卒業式。全員で演奏して歌うI Sing The Body Electricが感動的。♪We will all be stars と結ばれる歌詞は、後に「フットルース」でも場面とリンクする歌詞を手がけたディーン・ピッチフォードの手による。彼ら彼女らの全員が将来スターと呼ばれるわけではない。でもそこを目指して頑張ってきたみんなを今は讃えたい。前途はわからない。だからこそ胸にくる。



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紳士泥棒 大ゴールデン作戦

2022-11-05 | 映画(さ行)

◼️「紳士泥棒 大ゴールデン作戦/After The Fox」(1966年・イギリス=イタリア)

監督=ヴィットリオ・デ・シーカ
主演=ピーター・セラーズ ヴィクター・マチュア ブリット・エクランド

映画に夢中になり始めた中坊の頃。土曜日の真っ昼間に「ピンクパンサー」シリーズのピーター・セラーズ主演作が放送されると新聞の番組表で見かけた僕は、その時間にテレビの前に陣取った。

服役中の怪盗"キツネ"が、シャバにいる母と妹の様子を聞いて心配になり脱獄。家族の生活を立て直す為に、他の泥棒の片棒を担いで一儲けしようと企む。何これ、面白い😆。オープニングクレジットは「ピンクパンサー」みたいにキツネが警察に追い回されるアニメーション。おしゃれな音楽。映画監督に扮して村人を騙す主人公の面白さ。巻き込まれて騙されるハリウッドスター。

子供心に強く印象に残ったけれど、タイトルはすぐに忘れてしまった。その時の印象が忘れられなくて、学生時代にキネマ旬報の日本公開映画の記録が載った本やら、ガイド本「世界映画名作全史」(現代教養文庫)巻末についてる公開年と外国映画のリストやらを見たけれど、この映画だという確証が持てないまま大人になった。

2000年前後に再びこの映画にめぐり会う。WOWOWでビットリオ・デ・シーカ監督の特集かなんかが組まれたんだと思う。多分。へぇー「ひまわり」しか観たことないよなーと思って番組表を見ていたら発見…!😳これや!原題After The Fox。間違いない。監督はデ・シーカ、脚本は大好きなニール・サイモン、音楽はバート・バカラックやん!えっ!?キャストも親父世代の大スタービクター・マチュア、後にボンドガールとなるブリット・エクランド。こんな布陣だったのか。迷わず録画して安心してしまったのか、いざと観ようと思ったら今度はそのテープが見つからない。最近になっていろいろ詰め込んでいた段ボール箱の隅っこから録画してたテープを発見。やたー!😆2022年9月、やっと再会(泣)。

改めて観ると、犯罪映画としては手際が悪くてカッコよくないし、キツネを追う警察もただ追いかけるばかり。映画撮影用トラックに装備された霧発生装置で煙幕を張って逃げるクライマックスの追いかけっこも、何が起こってるのか分かりづらいし、ビクター・マチュアも老いをネタにされてばかりで痛々しい。対して、当時セラーズの妻だったブリット・エクランドが女優に憧れるお気楽な妹をノリノリで演じているし、セラーズの変装七変化(バレバレなのが笑える)も見ていて楽しい。そして何よりも映画撮影をカモフラージュにして白昼堂々金塊を運ぼうという計画がいい。撮影機材をキツネ一味が盗む場面には、ビットリオ・デ・シーカ監督も登場。ロケ地に選ばれた寒村がお祭り気分で盛り上がる様子は、今も昔もエンターテイメントが庶民に愛されていることが嬉しくなる。

同じイタリア映画の「黄金の七人」の痛快さと比べたら、傑作と呼ぶには程遠いコメディ。だけど、騙し騙される展開や話術の面白さ、くどいギャグ、台詞に頼らない表現、前半と後半の呼応などなど、自分が映画を面白いと感じる要素がところどころに見られる。自分の映画ファンとしてのルーツに触れた気がした。羽佐間道夫の吹替じゃなかったのは残念だけど。



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熱いトタン屋根の猫

2022-11-03 | 映画(あ行)

◼️「熱いトタン屋根の猫/Cat On A Hot Tin Roof」(1958年・アメリカ)

監督=リチャード・ブルックス
主演=ポール・ニューマン エリザベス・テイラー バール・アイブス ジャック・カーソン

牧場を営むビッグダディの誕生日に息子夫婦がやってくる。長男夫妻には多くの子供たち。即席楽団が退院してくるビッグダディを迎えようと待ち構える。足を骨折してアルコールに溺れる次男ブリックは、美しい妻マギーと関係が冷え切っている。原因は親友スキッパーの自殺、その親友と妻の浮気を疑っているから。ビッグダディの主治医は、息子夫婦にだけ父親の病状について真実を打ち明ける。
ビッグダディは財産目当てに取り入ろうとする長男夫婦を嫌っている。次男に譲りたい気持ちはあるのだが、アル中でクサっている息子は誕生パーティに顔を見せようともしない。

冒頭から短時間で、登場人物の置かれた状況と人間関係を観客に納得させる語り口が丁寧なのに長すぎない。そして、そこから続くのは、登場人物それぞれが抱く自分の考えや感情。妻マギーは愛情を示してくれない夫ブリックに。夫は許せない気持ちを。ビッグダディは次男を立ち直らせたい気持ちを。ビッグママは退院を祝って夫と場を盛り上げようとする。次男夫妻を口汚くて罵る長男の妻。

相続ってもめると本当に面倒。譲れない気持ちも、託したい気持ちも、投げ出したい気持ちもそれぞれだ。ブリックと語り合いたいというビッグダディの執拗さ。ブリックはついに黙っていた病状について口にしてしまう。

ブリックと親友スキッパーの間に同性愛的な感情がある、と匂わせる演出。映画が製作された当時は、性の多様性に寛容な時代でもない。マギーにキスされた口を拭く細かな演技でそれを示す。一挙一動から目が離せないし、台詞一つ一つを聞き逃せない。観ていて気持ちのいい家族関係ではないけれど、観客の集中力を途切れさせない。

エンドクレジットを迎えて思った。この映画に散りばめられた言葉が、どこまでが真実でどこまでが嘘なのか。医師がついた嘘からラストシーンで口にされる嘘まで、それぞれに思いがある。それは相手を信じさせるためのものであったり、相手の気持ちに沿うためのものであったり。嘘まみれの話の間に、本当の気持ちが示される。相手の気持ちを理解することの大切さが、この映画のメッセージなのかな。

なぜビッグダディは次男夫婦を可愛がるのか。「ビッグママと結婚した時、長男がお腹にいた」とのひと言の後、長男が相続について力説する場面で、実は長男は父親が違うのでは?と疑いながら観ていた。それは僕の考えすぎなんだろう。それぞれ思いのベクトルが食い違うけれど、そんな複層的な人間模様に引き込まれる。若い頃観てたらこの修羅場を見ていられなかったかも。

ビッグダディを演ずるのは、「大いなる西部」が素晴らしかったバール・アイブス。そしてビッグママは「レベッカ」のダンヴァース夫人(怖っ😱)役ジュディス・アンダーソン。







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アムステルダム

2022-11-01 | 映画(あ行)

◼️「アムステルダム/Amsterdam」(2022年・アメリカ)

監督=デビッド・O・ラッセル
主演=クリスチャン・ベール マーゴット・ロビー ジョン・デヴィッド・ワシントン

ラッセル監督作はなんか中途半端なイメージがある。シリアスに受け止めていいのか、それともクスッと笑わせたいのか、何が見せたいのか見えてこない(個人の感想です)。じれったい思いをしている間に終わってしまった「アメリカン・ハッスル」にしても、唐突なハッピーエンドに怒りを覚えた長い邦題のヤツ(大嫌い)にしてもそう。久々の監督作である本作、予告編を見た限りではちょっと明るいノリで楽しめそうかなと思ったら、これがまたどっちにも振り切れてない、やっぱり中途半端な仕上がり。キャストが豪華なだけにちょっと期待したんだけどなぁ。

1930年代の史実を基にしたストーリー。主人公バートとハロルド二人が戦地で出会うパート、病院でバレリーと出会い、アムステルダムで絆を深めていく前半はテンポも良く、それぞれのキャラクターが際立っていてなかなか楽しい。自由な気風のアムステルダムは3人にとっての大事な場所で思い出の地となる。アメリカに戻ったバートとハロルドは、軍隊時代の上官の死をめぐって事件に巻き込まれ、殺人犯と疑われることに。謎を追っていく中でバレリーと再会した2人。3人が巻き込まれた事件の裏には大きな陰謀があった。

それなりに緊迫感はあるのだけれど、ことの重大さを観客が認識するのは、後半ロバート・デ・ニーロが出てきてから。そこまでは取っ替え引っ替え知った顔のキャストが登場して、話があっち行きこっち行きで整理がつかないまま迎えるクライマックス。

それにアムステルダムへの3人の思い入れが最後の最後までピンとこなかった。人種偏見や差別、その後のヨーロッパで起こったユダヤ人の迫害などを思うと、自由な気風がある場所が失われつつある生きにくい時代がやって来ることを伝えたかったんだろう。3人が、いや世界の人々が生きやすい世界はまだ遠い…と考える。でもエンドクレジットを眺めながらそこまで考えないと、彼らにとってのアムステルダムが自由の象徴めいた存在である単なる郷愁めいたものとは違うと感じられない伝わりにくさが、なんか歯がゆい。クリスチャン・ベールの役作りの凄さがあるだけに、なんか歯がゆい。

ラッセル監督作とはどうも相性がよくない気がする。それでも「アメリカン・ハッスル」が楽しかったのは、きっと音楽の力だったのかも。豪華な顔ぶれを楽しみたいなら「アムステルダム」は楽しいかも。でもそれって顔見世興行ってことでしょ。昔のハリウッド映画にあったスターの輝きとは違う。

(ついでに言わせて)
あと、どっかに買収されFOXの文字がなくってから、映画会社の公式サイトも作品の扱いがものすごく雑。鑑賞の手引きになるような情報もなく、作品の魅力がまったく伝わらない。これだけのキャストを集めた映画なのに、公式がテキストで名前並べるだけなんてやる気がないにも程がある。作品への愛がないんよ。


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