Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2023年12月のプレイリスト

2023-12-31 | 今日のBGM

◆2023年12月のプレイリスト
2023年12月に聴いていた愛すべき31曲

今年もお世話になりました。

1 ディスカバリー(FLYING KIDS)
僕にとっては冬の定番曲。
2 港亭(柳ジョージ&レイニーウッド)
これを「いい曲だ」と言っていた中学生のオレ。どんだけマセガキだったのだろ。
3 療養所(さだまさし)
初期のさだ先生楽曲にはマジ泣きした曲が多いのよ。これもその一つ。
4 Mountain Dance(Dave Grusin)
「恋におちて」観たくなってきた。クリスマスシーズンだから?
5 テルマエ・ロマン(チャットモンチー)
いつもよりゆっくりお風呂に入ろう/お疲れ様は疲れてるんだ♪
6 Into The Groove(Madonna)
映画「マドンナのスーザンを探して」鑑賞。80年代のダンスフロアが恋しくなったらストレスが溜まったサイン🕺。
7 The Girl Is Mine(feat. Paul McCartney)(Michael Jackson)
最後の台詞の掛け合いを友達と真似してた高校時代。ポールのI Don't Believe It ♪を何故か奪い合うw。
8 白色蜻蛉(Aimer)
あっ、これカラオケで歌いたい!何の曲?と思ったら配偶者が夢中で見てるあのドラマなんやね💧
9 思秋期(宇都宮隆)
岩崎宏美の名曲をロックなカバーで。
10 Top Me Up ! (The Jazz Avengers)
7拍子の心地よいグルーヴがたまんない🎷

11 Eyes Of The Dragon(安藤正容)
演奏したことがある7拍子の曲。
12 青春と青春と青春(あいみょん)
腰を丸めて文庫本を読む姿がほんと神秘的で♪そんな場面の切り取りが恋なんだよな
13 Taxman(The Beatles)
2023年今年の漢字は「税」なんですと。
14 69/99(TMN)
アルバム「Rhythem Red」大好きなのだ。
15 50/50(小室哲哉)
中山美穂に提供した楽曲のセルフカバー。
16 Stand By Me(Ben E. King)
北九州国際映画祭で「スタンド・バイ・ミー」鑑賞(懐)。30〜59歳の投票した"青春の一本"で最多得票だったんですと。
17 サインはB(B小町)
「推しの子」楽曲。合いの手が気になってメロディが頭に入らない🤣
18 Christmas Song(Gilbert O'sullivan)
買い物中にBGMで流れていて、小声で歌ってしまう私♪
19 No End Summer(角松敏生)
12月にも聴ける夏の歌。
20 神無月にかこまれて(香坂みゆき)
ハードなアレンジがカッコいい、井上陽水のカバー。香坂みゆきのボーカル、好みなんです。

21 Escape(Journey)
通勤中に思わずヘドバンしてしまう私💧
22 今だから(松任谷由実、小田和正&財津和夫)
ユーミンの新譜に収められた80年代のコラボ曲。ハイトーンになる部分を小田和正に振り分けているのがナイス。
23 Goin' Home(Alan Parsons)
下校のBGMだったドヴォルザーク「新世界より」。スケールの大きなバラードアレンジによるカヴァー。休日出勤の日に聴いたもんだから、帰りたくなったよ😅
24 SOUL SOUP(official髭男dism)
SPY×FAMILY劇場版鑑賞。ホーンセクション🎺🎷のアレンジがカッコいい♪
25 ジョイフル・ジョイフル(小林香織)
「天使にラブソングを2」でもおなじみの楽曲を🎷インストカバー。よき🎄クリスマス🎄でありますことを。
26 Deep Deep Ocean(Belinda Carlisle)
ベリンダのアルバム「Runaway Horses」は名盤だと思うのだ。
27 You've Got A Friend(平原綾香)
気心の知れたメンバーで忘年会🍺。
28 真っ赤なスカーフ(ささきいさお)
「宇宙戦艦ヤマト劇場版 4Kリマスター」鑑賞。最終日最終回に滑りこみっ。
29 今夜だけきっと(スターダスト☆レビュー)
あー、カラオケ行きたい🎤
30 愛の花(あいみょん)
朝ドラ「らんまん」総集編を見る。いい台詞がいっぱい。

31 うちで踊ろう(大晦日)(星野源)
30日の深夜、体調不良となった長女を救急外来に連れて行く。本日療養中。おかげで睡眠不足の大晦日。紅白途中で寝落ちしないか心配💧。

みなさま、良いお年をお迎えくださいませ。







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帰れない山

2023-12-26 | 映画(か行)

◼️「帰れない山/Le Otto Montagne」(2022年・イタリア=ベルギー=フランス)

監督=フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、 シャルロッテ・ファンデルメールシュ
主演=ルカ・マリネッリ アレッサンドロ・ボルギ フィリッポ・ティーミ エレナ・リエッティ エリザベッタ・マッズッロ

両親に連れられて、イタリア北部のモンテローザの村に夏を過ごしに来たピエトロ。彼は牛飼いの少年ブルーノと出会い、仲良くなる。都会育ちのピエトロと、学校にも通えていないブルーノ。興味や知識、体力や山で暮らす知恵など様々な差があったが、一緒に過ごす中でお互い大事な存在になっていた。しかし思春期になり、親と関わらなくなったピエトロは、山からも距離を置くようになる。父親が亡くなったことから、再び村を訪れたピエトロはブルーノと再会。ブルーノはピエトロの父親と生前にある約束をしていたと明かす。

慣れ親しんだ土地に根をはって生きるブルーノと世界をめぐるピエトロ。生き方が違う二人だが、決してそれが原因で対立することはない。それはお互いの生き方やこだわりに一目置いているし、認めあっているからだろう。劇中、取り囲む8つの山をめぐる生き方と、真ん中の高い山に居続ける生き方で、どちらがより得るものがあるかという例え話が出てくる。なにが幸せなのか、どう生きるのが自分がらしいことなのか。文字通り山に"還った"結末が印象深かった。

ピエトロが親と離れてから、ブルーノと父が親しく関わっていたことを知るピエトロ。大切な時間を親と過ごさなかったことを省みる気持ちはあっただろうが、だからといって親と親しくしてくれたブルーノを妬む気持ちはない。

長いこと人間やってると、どうしても僕らは人と自分を比べてしまう。そしてどこかで優劣をつけたがり、自分を肯定しようとしがちだ。おまけに男って見栄をはったり強がったりしたがる生き物だからなおさらタチが悪い。この映画の2人の関係を見ると、そんな自分が戒められているような気持ちになる。

美しい風景を映画館で観たかったな。高所恐怖症の僕には氷河を登るシーンがちょっと怖かった😰。






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劇場版SPY×FAMILY CODE:White

2023-12-24 | 映画(さ行)

◼️「劇場版SPY×FAMILY CODE:White」(2023年・日本)

監督=片桐崇
声の出演=江口拓也 種崎敦美 早見沙織

テレビシリーズを長女と毎回キャアキャア言いながら楽しんでいる「SPY×FAMILY」。アニメの劇場版は所詮ファンサービスなのだから、楽しんだが勝ちだ😆。とは言え、テレビ見てないのに子供や孫に映画館に連れて来られる大人たちも確実にいる。オープニングで疑似家族フォージャー家の面々の素性を、きちんと説明してくれるので、初めての大人もおそらく大丈夫。

調理実習でお菓子を作ることになったアーニャ。1等になると星(ステラ)がもらえるらしい。審査員となる校長が好きなお菓子を作ることに決めた一家は、校長の出身地にお菓子メレメレを食べる為に家族旅行に行くことになる。一方で緊急の重大ミッションが発生。ロイドを従来の任務から外して、その任務に就かせる話も持ちあがる。そのミッションに関わる悪事にアーニャが巻き込まれてしまう。疑似家族の運命は?東西対立の行方は?…と凝ったストーリー。

複数のハラハラ要素が併存する脚本は確かに面白い。これでもロイドがスパイだってバレない荒唐無稽なクライマックスは笑うしかないが、それがこのシリーズの魅力でしょ😂。堅いこと言わずに楽しむべし。

スパイ、殺し屋、超能力者それぞれの得意が発揮される場面を用意するのはなかなかの難題。テレビシリーズでは、それぞれが活躍する回はあっても、今回のように3人と1匹の活躍が凝縮される舞台が用意されているのは素敵なことだ。まぁ多少の無理矢理感はあるけれど。特にいつもはコメディリリーフになりがちなヨルさんが、サイボーグ兵士を相手に華麗なバトルを展開するクライマックスは最高🤩。惚れ直します♡。そして疑似家族の関係をそれぞれが大事に思う、いつもの展開にもほっこり。

それにしても今年は種崎敦美大活躍の年だったな。「青ブタ」双葉理央の頼りになる落ち着いた喋り、「フリーレン」の淡々と聞こえるのに力強くてお茶目な役柄。この劇場版のアーニャでは×××を連呼する!NOT エレガントォォォ!でもお子ちゃま大喜びだろうな💧。千葉繁大先輩の神様、素晴らしい🤣。






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1640日の家族

2023-12-21 | 映画(さ行)

◼️「1640日の家族/La vraie famille」(2021年・フランス)

監督=ファビアン・ゴルジュアール
主演=メラニー・ティエリー リエ・サレム フェリックス・モアティ ガブリエル・パビ

アンナとドリスの夫婦は里親として、生後18ヶ月だったシモンを4年半育ててきた。自分の子供たちとも良好な関係で、幸せな日々を過ごしていた。ソーシャルワーカーからシモンの実父が子供と暮らすことを希望しているとの連絡が入り、まずは週末だけ実父と過ごすことになった。それはアンナを"ママ"と慕うシモンだけでなく、アンナと家族の気持ちを揺るがすことになっていく。

育てる子供を愛すること、
その一方で愛しすぎてはいけない。

規則だからとドライに割り切ることも難しい。幸福そうな家族の様子から始まる映画は、だんだん葛藤のドラマに変わっていく。クリスマスは実父の元で過ごさなければならないが、父親は仕事で忙しそうだ。シモン自身は、雪山に行くアンナ一家について行きたい。アンナはソーシャルワーカーに相談せずに、山に連れて行くことを選ぶ。里子の先々の自立や親子関係と、子供自身の気持ち。そしてシモンを離したくないアンナの気持ちが交錯して、観ていて切なくなる。

フランス語の原題はLa vraie famille(本当の家族)、英題はThe Family。どちらもタイトルから"家族"の姿について考えさせる意図が感じられる。血のつながり、育ての親という関係だけでなく、愛し愛されて共に暮らすことが"家族"のカタチだと伝えたかったと思うのだ。

ところが邦題は「1640日の家族」。本編では一緒に暮らす4年半という期間を殊更に強調してはいなかったのに、無駄に情報量を増やした、言わばお節介な邦題だ。観客の受け止め方は様々だと思うけれど、1640日とわざわざ"終わり"を示すことでシモンとアンナ一家が期間限定の疑似家族でした、という残念な印象につながってしまう。愛し愛されてる関係は変わらないのに、タイトルで感じた先入観が鑑賞の邪魔になってしまう。

実の父親であるエディが、妻の死から立ち直って息子と暮らしたいと前向きな意思を示しているのに、映画での印象は身勝手な人物とも受け取れる。里親が主人公だから致し方ないのかもしれないけれど、エディのシモンに対する気持ちや、彼の願う"家族"をもっと知りたかった。また、アンナがシモンに対する正直な気持ちを示すことで、プロの里親(フランスでは里親は国家資格で、報酬も日本の倍だとか。)として不適格と扱われる様子は観ていて辛い。人を思う気持ちに嘘はないのに。

シモンを演じた子役ガブリエル・パヴィ君、大人たちの間に挟まれた難しい役柄を見事にこなす。いつか成長した姿をアンナ一家に見せられる、再会の日が訪れますように。





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スタンド・バイ・ミー

2023-12-18 | 映画(さ行)

◼️「スタンド・バイ・ミー/Stand By Me」(1987年・アメリカ)

監督=ロブ・ライナー
主演=ウィル・ウィートン リバー・フェニックス コリー・フェルドマン ジェリー・オコンネル

2023年12月13-17日に開催された北九州国際映画祭。「あなたの青春の一本」とのアンケートに、多くの人が答えた作品も上映された。30-59歳の層でNo.1だったのが「スタンド・バイ・ミー」とのこと。僕も大学時代に観たっきりだ。久々に観たくなって北九州芸術劇場にて再鑑賞。

この映画を公開当時に観た頃、街の映画館では子供を主人公に据えた映画あれこれ上映されていた印象がある。ウディ・アレンは「ラジオ・デイズ」、スピルバーグ は「太陽の帝国」、おどろおどろしい作品のイメージがあるジョン・ブアマン監督までもが「戦場の小さな天使たち」、みんな子供の話。どれも世間の評価も高い映画だったけれど、どの作品よりも僕らの心に強く心に残ったのは、間違いなく「スタンド・バイ・ミー」だった。

登場する4人の少年たちに共感できるポイントが観る人それぞれにある。亡くなった兄への劣等感、家庭環境のせいで不良扱い、憧れである父親から受ける虐待、臆病な自分への苛立ち。自分を肯定できない気持ちを抱える4人は、この短い旅の中で新たな面を発揮したり、本音を口にしたり、感情を露わにしたり。それは小さいけれど確かな成長につながっていく。

ゴーディとクリス、その後も信頼関係が続いたと語られるラスト。大学時代に観た時は、そういう友達との関係を今でも自分は大事にできているだろうか、と半ば反省するような気持ちになったっけ。今回改めて観ると、作家になったゴーディが訃報を知って過去を振り返る様子が胸にしみる。それをリチャード・ドレイファスが演じているのもいいキャスティング。ゴーディの亡くなった兄はジョン・キューザックだったのか😳。フットボールでの活躍を鼻にかけることなく、弟に優しく接してくれるいい兄貴。今観ると、これもいいキャスティングだな。

そしてベン・E・キング御大のStand By Meが心に沁みる。単純だけど印象深いベースライン、シンプルな循環コードだけで、こんなに世代を超えて愛されている名曲。ジョン・レノンやモーリス・ホワイトのカバーも素敵だけれど、キング御大の"そばにいてよ"と繰り返されるフレーズを聴くと、僕ら世代はどうしてもこの映画の場面とシンクロさせてしまう。あの頃そばにいてくれた誰か。自分を励まして理解してくれる誰か。みんなわかってくれる誰かにそばにいて欲しいんだ。87年にはリバイバルヒットしたんだよな。映画祭の上映では、地元高校放送部による前説があり、このエピソードをちゃんと紹介してくれたのは嬉しかった。古い歌だけど、この映画のおかげで僕ら世代にとっては、忘れられない一曲でもあるのだから。






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ゼロの焦点

2023-12-16 | 映画(さ行)


◼️「ゼロの焦点」(1961年・日本)

監督=野村芳太郎
主演=久我美子 高千穂ひづる 有馬稲子 南原宏治 西村晃

2023年12月13〜17日の北九州国際映画祭で上映された旧作。
https://kitakyushu-kiff.jp/

映画祭では北九州出身の松本清張原作の映画が3本上映。セレクトしたのは、清張フリークでもあるみうらじゅん。そのうち1本がこの「ゼロの焦点」(1963)である。クライマックスで能登半島の断崖が登場し、緊張感ある謎解き場面となっている。現在の2時間枠サスペンスドラマの原型という意味でも観て損はない。みうらじゅんはこの作品で崖好きになって、グッとくるグッドクリフを探して(みうらじゅん「いい崖出してるツアー」歌詞より♪)、あちこち旅をすることになる。そんなきっかけとなった作品。

謎解き場面の回想を除いて、失踪した夫を探す新妻の姿を、カメラはとにかく捉え続ける。彼女と共に能登半島の寒空を歩いているような没入感。95分の尺で余計な情報がない映画だから、なおさら集中できる。モノクロの映像が日本海の曇った空や荒れる波をさらに冷たく感じさせ、クライマックスの崖で気持ちが高まってしまう。

物語に描かれた頃はお見合い結婚が主流だったし、駐留していた米国兵の相手を生業としていた女性たちがいた時代。過去や素性を深く知らずに結婚することはよくあることだったに違いない。ヒロインは夫の謎を追うことになるけれど、物語は女性たちの過去も紐解いていくことになる。

ラストに漂う悲壮感。やっぱり清張ものは面白い。





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007/美しき獲物たち

2023-12-13 | 映画(た行)


◼️「007/美しき獲物たち/A View To A Kill」(1985年・イギリス)

監督=ジョン・グレン
主演=ロジャー・ムーア クリストファー・ウォーケン タニア・ロバーツ グレイス・ジョーンズ

リアルタイム世代としてはいろいろ思い入れのある映画。個人的な好みとして喜ばしいポイントがいくつもあった。まずは悪役がクリストファー・ウォーケンであること😆。「ディア・ハンター」に感激した者としても嬉しかった。また、オスカー受賞歴がある華のある俳優の出演は、渋いキャスティングが多かったこれまでとは違う。一方でグレイス・ジョーンズをキャスティングしたのは、時代を焼き付ける上でも重要な要素。

そして主題歌がデュランデュラン!😆😆。実力派が並ぶ歴代歌手は素晴らしいが、やっぱり英国産が欲しい。そこに純英国産、流行りのニューロマンティック路線。ボンド映画ぽさと当時の電子音が融合する大好きな主題歌だ。ベースのジョン・テイラーが映画好きだったから実現したと聞くとますます嬉しい。そもそもバンド名は「バーバレラ」由来、ヒッチコック映画由来の楽曲もあるくらいだし。

しかしながら。正直なところ、作品自体は歴代ボンド映画の中でもあまり好みではない。理由はいろいろある。ベッドシーン以外はスタントマンと揶揄されたロジャー・ムーアは相変わらずだったし、タニヤ・ロバーツは「ポパイ」のオリーブ級に悲鳴あげてるだけの存在にしか見えなくて。それでもエッフェル塔での立ち回りも、サンフランシスコの派手なカーチェイスも、ラストのゴールデンゲートブリッジの格闘場面も、娯楽映画としては一級品。今回改めて観ても手に汗握る。え?今は更年期だから?るせー💢

どちらかというとハード路線の007が好き。冒頭のビーチボーイズが流れるアクション場面は楽しいけれど、そこで笑いは欲しくない。でも、この冒頭の軽いツカミがロジャー時代らしさでもある。プレタイトルの場面はストーリーの導入に使われることが多いけれど、本筋が始まる前に派手に見せつけるこの演出は、後の多くのエンターテイメント作品や、現在の「ミッション:インポッシブル」にも受け継がれているとも言えはしないか。ロジャー=ボンド時代は、後の娯楽映画のフォーマットを形造る役割を果たしていたのかもしれない。

公開当時、ロジャー・ムーアはもうボンド役者としては年齢が高すぎる、若いおねいちゃんたちがなびく役は観客が納得できない、めいた意見もあった。あの頃は僕もそう思っていた一人でもある。

しかしだ。撮影当時のロジャー・ムーアの年齢を知って考えを改めた。だってもうすぐその年齢に自分がなっちゃうんだもの!😨。ハードなアクションに挑むトム・クルーズは活動写真屋(古い言い方ですみません)として尊敬するが、いやいや、本作のロジャー・ムーアだって(背景が合成だと分かっていても)できる限りのことをやっているじゃない!少なくとも、ボンド役者が観客の夢を壊さないように頑張ってるじゃない!そう思うと「美しき獲物たち」がちょっと愛しくなってきたのでしたw。

最後にひと言。脇役にドルフ・ラングレン発見!(嬉)




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ナポレオン

2023-12-11 | 映画(な行)

◼️「ナポレオン/Napoleon」(2023年・アメリカ)

監督=リドリー・スコット
主演=ホアキン・フェニックス ヴァネッサ・カービー タハール・ラヒム ルパート・エヴァレット

世界史の授業でナポレオンについて先生が話す時、サラッと出来事だけを話す方もいれば、偉人として業績の話を並べる人もいれば、独裁者としての一面を語る人もいる。フランス革命の後、政治体制が混沌としていたフランスをまとめあげた人物ではある。一方で王政からの解放と称して各国に攻め入った侵略者でもあり、最後は皇帝(王の中の王)を名乗った独裁者でもある。ナポレオンを語る上ではいろんな側面があるだけに、単純に話すのは難しい。たった一人のフランス人がヨーロッパ全土を引っ掻き回した数年間が年表に刻まれている。それはすごいことだし、恐ろしいことでもある。世界史の先生のひと言が生徒に歴史観を植え付けることにもなる。歴史ものの映画も同じだ。

それでは、我らがリドリー・スコット先生は、僕らにナポレオンをどう語ってくれるんだろう。これまでも十字軍、出エジプト、古代ローマ帝国、コロンブスなどなど、スコット先生は歴史ものを手掛けてきた。ナポレオンは語るべきエピソードが多いだけにたいへん難しい題材。頭角を現す若い頃や、特定の戦いに絞った映画化はこれまでもあった。スコット先生はジョセフィーヌとの出会いから失脚まで、かなり長い期間を160分弱に収めた。

ジョセフィーヌとのつながりが彼の精神的な面での支えになっていたことが描かれる。子供を授からないことから夫婦関係を解消した後も、ジョセフィーヌに手紙を書き、彼女の元を訪れることを欠かさない。戦術に長けた優れた軍師としての一面や、その圧倒的な戦果をバックにした強気の外交が描かれる一方で、決してタフではない面にも踏み込み、人間くさいナポレオン像に仕上げている。

ホアキン・フェニックスは、何かに取り憑かれたり、染まっていく変化ある役柄を演じさせたら確かに上手い。(大嫌いな)「ジョーカー」はもちろん、権威に執着するローマ皇帝(「グラディエーター」)、完全犯罪でアタマがいっぱいの大学教授(「教授のおかしな妄想殺人」)、精神を病んでいく聖職者(「クイルズ」)など名演が思い出される。本作でも権力を手中にして変わっていく姿が印象的だ。

しかしながら、語るべき多くのエピソードを尺に収めるために、描ききれない部分も多々ある。ナポレオンの何がフランスの民衆に支持されたのか。ナポレオン戦争はヨーロッパをどう変えたのか。また、前半ジョセフィーヌを絡めてナポレオンの人柄にあれだけ迫っていたのに、後半は手紙ににじむ孤独感こそあれ、急に客観的な目線になっているようにも思えた。いずれにせよ、スコット先生の語るナポレオンは、偉業たる光よりは年表に載らない影に、興味が向けられている。

それでも、これだけの大人数を使った合戦シーンを生々しく撮れるのは、監督の手腕あってこそ。砲弾が近くで炸裂して兵士が倒れる映画はこれまでもたくさんあったが、人だけでなく軍馬にも銃弾が当たる血生臭い戦場を映像化しているのはなかなか観られない。アウステルリッツの戦いでは凍った池に砲弾が撃ち込まれ、落ちた人々で水が血の色に染まる。その様子を水中からのアングルで捉える。悲惨なのにどこか美学さえ感じる印象的な場面だった。光と影、グロと美は、スコット監督の巧さ。

エンドクレジット前に、戦死者の数が示される。たった一人のフランス軍人がヨーロッパを引っ掻きまわした結果だ。それは功なのか罪なのか。フランスにもたらした光なのか、影なのか。日本でのキャッチコピーは「英雄か、悪魔か」。冒頭に述べたナポレオンの様々な側面あっての言葉選びなのだろうが、この映画で"悪魔"とは受け取れなかったのだが。




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なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?(2022年・ドラマ)

2023-12-10 | テレビ・アニメ



アガサ・クリスティ原作のドラマ「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」一気見。近頃ミステリーに飢えていたから、NHKBSがいいタイミングで放送してくれた。感謝。
アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

いざ、楽しく危険な謎解きの冒険へ!吹き替え版日本初放送!ミステリーの女王アガサ・クリスティーによるノンシリーズの名作をイギリスの俳優ヒュー・ローリー脚本、演出...

アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? - NHK

 
ゴルフ場の崖から転落した男が最期に口にした言葉。
「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」
その謎を、海軍を辞めて職探し中のボビーと伯爵令嬢フランキーの幼なじみコンビが解き明かすミステリー。3話構成のドラマは前半はテンポよく、複雑な人間関係にも着いていけるのだが、2話の後半くらいから詰め込み気味になってきて、最後は「え?」「え?」とちょっと混乱。

それでも、ウェールズのホッとする風景と伏線回収の面白さ、そして主役2人の活躍が楽しくて3時間一気に観られた。次々に登場する謎多き人々と秘密の関わり。途中、立ち入りすぎたことでミスリードを誘う流れ。さすがはクリスティ!🤩

「ミッドサマー」のウィル・ポールターと「ボヘミアン・ラプソディ」のルーシー・ボーイントンのキャスティングが素晴らしい。2人のやり取りが、ただの幼なじみから、信頼できる友人、それぞれの得意と度胸が頼りになる間柄にだんだんと変わっていくのが面白い。そして事件を通じて最高のバディになっていく。会話の端々にお互いの身を案ずる気持ちや、嫉妬、イライラが織り込まれて、ハッピーエンドに結びつく。クリスティ作品のラストはモヤっとして終わることが圧倒的に多いけれど、爽やかな幕切れが晴れやか。3話の謎解きは、ちょっと駆け足でモヤっとではあるのだが。

ルーシー・ボーイントンのファッションとお高くとまらないお嬢さま感がとにかくカッコいい。彼女ファンなら観て損はない。



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ノートルダムの鐘

2023-12-09 | 映画(な行)

◼️「ノートルダムの鐘/The Hunchback Of Notre Dame」(1996年・アメリカ)

監督=ゲイリー・トルースデール カーク・ワイス
声の出演=トム・ハルス デミ・ムーア トニー・ジェイ ケビン・クライン

ディズニー映画をいちばん観ていたのは1990年代。「リトル・マーメイド」から始まる、いわゆる"ディズニー・ルネサンス"と呼ばれる時代だ。配偶者がディズニー好きでレーザーディスク(笑)で映像ソフトを集めてた。僕は「アラジン」のA Whole New Worldのピーボ・ブライスンのパートを練習してカラオケでも十八番だ。90年代ディズニー作品で観ていなかった作品の一つが「ノートルダムの鐘」。当時の僕は最初の転職をする頃だから、ディズニーどころじゃなかったんだろう。

冒頭から、語り部となる道化の歌と怒涛のミュージカルシーン。その華やかさの一方で、語られる物語は暗く重たい。ジプシー狩りをする判事フロローが女性を殺害し、彼女が抱いていた醜い赤ん坊を井戸に捨てようとする。ノートルダム寺院の司祭に咎められ、その子を育てることを約束させられる。カジモドと名付けられた子供は成長し、ノートルダム寺院の鐘撞きになった。しかしフロローによって、外に出ることを禁じられていた。祭りの日に言いつけに背いて街に出たカジモドは騒ぎに巻き込まれてしまう。

この頃のディズニー作品は大人向けな題材が多いが、本作にはディズニーお得意の魔法は出てこない。喋る石像たちが出てくるが、彼らにしてもカジモドのイマジナリーフレンドのような存在だ。また、冒頭の殺人から始まって、醜い人を見世物にする祭りの一幕、一転して異形の者を忌み嫌う世間の視線、カジモドに向けられる仕打ち、偏見に満ちたジプシーへの弾圧など、人間の汚い面が描かれる。

しかし、ジプシー娘のエスメラルダ、護衛隊のフィーバス隊長との出会いで、カジモドの未来が大きく動き出す重厚な物語は目を離せなくなる。聖地だから手を出せないはずの大聖堂に兵隊が迫るクライマックスを経て、カジモドが外の世界に受け入れられるラストは感動的だ。本作も「美女と野獣」などと同じく、舞台のミュージカル作品として語り継がれている。この時代のディズニー作品のクオリティの高さを改めて感じた。



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