◾️「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛/Tulip Fever」(2017年・アメ リカ)
監督=ジャスティン・チャドウィック
主演=アリシア・ヴィギャンデル デイン・デハーン ジュディ・デンチ クリストフ・ヴァルツ
17世紀のオランダは貿易で富を得て空前の好景気。中でも絵画とチューリップの球根は投機的な取引が盛んに行われており、一夜にして大金持ちにもなれる世界最初のバブル景気"チューリップ熱"の時代であった。孤児院で育った主人公ソフィアは、香辛料貿易で富を得た老商人コルネリスに後妻として迎えられた。しかし子供はなかなか授からず、時間だけが過ぎていった。夫婦の肖像画を遺したいと言い出したコルネリスは、貧しいが才能ある若い画家ヤンを雇う。キャンバスを挟んで向かい合うヤンとソフィア。いつしか二人の胸中にはお互いを求める気持ちが高まっていく。隠れた逢瀬を重ねる二人の関係は、使用人マリアに知られることになる。イケメン魚売りと恋仲だったマリアは彼の子を身ごもるが、彼は行方不明に。マリアを屋敷から追い出さない代わりに、ソフィアが妊娠していると偽装してマリアを出産させ、一緒に家で育てようと提案する・・・。
監督は「ブーリン家の姉妹」のジャスティン・チャドウィック。思えばどちらも妊娠偽装の話なのだが、一国の王女でも商人の妻でも女性の置かれた立場にはなんの変わりもない。ヤンへの激しい恋心でソフィアは、妊娠偽装だけでなくさらなる大胆な行動で、夫コルネリスとの生活から逃れようとする。しかしその気持ちは熱に浮かされたようなもの。時を同じくて経済の熱にも翳りが訪れるクライマックス。起伏のある劇的なストーリーなのだが、どうも小綺麗にまとめた印象なのはなんでだろ。「ブーリン家の姉妹」みたいな王宮絵巻じゃないから?後半やや展開が唐突に感じられたから?でも庶民までもがチューリップの球根取引に手を染める熱気あふれる場面はリアルだし、監督が力を注いだフェルメール絵画のような映像美は見どころでした。アメリカで予告編が放送禁止になったと話題のラブシーン。アリシアたんの美しさには見惚れますぞ。ジュディ・デンチが修道院長を演ず じたりすると、「キャンディキャンディ」のシスターグレーとイメージが重なってしまう。僕だけだろうかww