Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2月のBGM

2008-02-29 | 音楽
2008年2月に出勤中などに聴いた音楽たち。

①the brilliant green complete single collection 97-08/the brilliant green
結成10周年を迎えて復活したブリリアントグリーンのベストアルバム。PVまでコンプリートだからファンには嬉しいね。call my nameは恥ずかしながらシングルのヴァージョン初めて聴いた。tommyのヴォーカル、やっぱり好み。
the brilliant green complete singls collection’97-’08(初回生産限定盤)(DVD付)

②Hits And Rarities/Sheryl Crow
オリジナルアルバム未収録曲とシングルを収めたベストアルバム。90年代以降の洋楽できちんと買ってるのはシェリル・クロウぐらいかなぁ。ずっと探してたガンズ・アンド・ローゼズのカヴァー収録!。
Hits and Rarities

③The Best Of Sade/Sade
家で夜中に聴ける音楽となるとどうしても限られてくる。それで引っ張り出して聴いてるのがこれ。あの頃わからなかったよさがわかる気がする。Love Is Stronger Than Pride や The Sweetest Taboo がかっこいい。でも繰り返し聴いてしまうのは、Smooth Operaterかな。
ザ・ベスト・オヴ・シャーデー

④The Journey Continues.../Journey
ジャーニーの初心者向けな選曲のベスト盤。「フロンティアーズ」のA面が全部収められているのはやりすぎかなぁ・・・とも思う。Still They Ride や Stone In Loveが欲しいところだ。でもついつい聴いちゃうんだよね。
ザ・ジャーニー・コンティニュー

・・・と。ベストアルバム三昧の2月でした。
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ガンプラ買って

2008-02-27 | Weblog
うちのルーク・スカイウォーカー(9歳児)が近頃くちずさむ歌がある。
♪ケぇロネコ、ケロネコ ケロネコのタンゴぉ~
「ケロロ軍曹」のエンディングテーマ「ケロネコのタンゴ」である。
ケロ猫のタンゴケロ猫のタンゴ
皆川おさむとひばり児童合唱団 ケロロ小隊 相田毅

JVCエンタテインメント 2008-01-23
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僕は「クロネコのタンゴ」をまさに歌っていた子供だった。
皆川おさむがこの「ケロネコ~」を歌っている。
つくり手が同世代なんだろうなぁ。

ルーク「ちち(注・ちちと呼ばれている)、お願いがあるの。」
アナキンtak「何?」
ルーク「あのさ、ガンプラが欲しいの。」
アナキン「ガンプラ!?」ルーク「ちち、作ったことある?」
アナキン「ない。」
ルーク「えー、あんなにガンダム好きなのに。」

ケロロがガンプラ作る場面がいっぱい出てくるからなぁ。この間はムサイ作ってたし。
1/400 ムサイ
以前に学校のバザーで見つけたSDガンダムフォースの小さいプラモで最近よく遊んでいる。ケロロみたいに棚に並ぶ日が来るのだろうか。それを考えるとゾッとしたので…
アナキン「じゃ、ちちがもってる食玩のソフビあげよう(持ってることがおかしい?)。何が欲しい?」
ルーク「ザク!」
渋っ。
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帽子 de 出勤

2008-02-22 | その他のつぶやき
えー、本日は
同僚みやもさんと勝手にやってるカジュアルフライデーでございます。
みーんなお堅くスーツでお仕事している中、
気分を変えてちょっと”おシャレ”してしまうのでございます。

僕は、お気に入り黒ベロアのジャケットで出勤。
ここんとこのウップン晴らしもあるもんで、
フェルトのソフト帽までコーディネート♪。

出勤中、どうも目立つ?
いいの、いいの。
好きな服を着てるだけ、悪い事してないよ(歌の文句か)。
帽子かぶって出勤、癖になりそう。

帽子をかぶって仕事に行くって、昔の大人たちは当たり前だったがする。
「パンダコパンダ」でもミミちゃんが言うよね。
「パパは帽子をかぶってお仕事に行くものでしょ。」


僕は、なーんとなく憧れがあるんだよね。
それは「カサブランカ」のハンフリー・ボガードや


「セント・エルモス・ファイヤー」のアンドリュー・マッカーシーの


帽子姿が気に入っていたから。


帽子かぶって仕事に行くなんて・・・
配偶者アミダラM「磯野波平か!」
(゜o゜)\(-_-)
・・・と突っ込まれるtakでした。

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取扱説明書

2008-02-15 | その他のつぶやき
年度末が近づいて、ほんっとに職場ではストレスが溜まることの連続。

・人事に関することが原因で次年度の準備が進まないこと
・うちの部署が「すごい」「PRして欲しい」と思っている現実を
 外部にPRすべき部署が「すごい」と感じてくれないこと
・相変わらず人を信用しないのか連絡不行き届きな人々
・温厚な人のはずなのにけんかっ早い人のように言われること

あーーーーーーっ!
「シャイニング」のジャック・ニコルソンのように
”僕はもうすぐ気が狂う”
とだけ書いたブログ記事にならないことを祈っててくだされ。
あーーーーーーーっ!(にしおかすみこではありません)

ちょっと壊れ気味なtakですが、取扱説明書メーカーなるものをやってみました。
結果はこちら

takさんをご使用する際には以下のことに気を付けて下さい。
老人を近づけてはいけません。
男性を近づけてはいけません。
ごくまれに、音声が乱れますが、仕様です。

ふはははは。「音声が乱れる」がいいね。もともとハスキーなんで乱れっぱなしなもので。
>「男性を近づけてはいけません。」
・・・なぜ?

takさんが故障かな?と思われる場合は以下のことを試してみて下さい。
疲れている可能性がありますので、休ませてあげましょう。

そ、そうかも。

それでもtakさんが正常に動作しない場合は。
製品裏側に記載の電話番号におかけ下さい。

たすけて、オビワン・ケノービ。あなただけが頼りです。
ガガガガッ・・・・(映像が乱れる)。
明日も頑張りマース。
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訃報・市川崑

2008-02-14 | 映画・ビデオ
市川崑監督が亡くなった。

最近は「ユメ十夜」というオムニバスにも参加していたが、
金田一耕助ものを愛する僕としては、
長編の遺作となったのがあの「犬神家の一族」をリメイクだったことが
何やら総決算をしたような気がして、何とも意味深く思える。
90歳で撮りあげた作品だとは思えぬほど挑戦的だった。

ご冥福をお祈りします。
92歳市川崑監督死去、最後まで創作意欲(日刊スポーツ) - goo ニュース

監督作で好きだったのは・・・
★「犬神家の一族」(1976)
犬神家の一族(1976) 廉価(期間限定)
やっぱりこれかな。
最初から最後まで気が抜けない傑作ミステリー。高峰三枝子は貫禄でした。
リメイクも母親の哀しみがさらに色濃く出てよかった。
「獄門島」も「悪魔の手毬歌」も大好きな映画。

★「黒い十人の女」(1961)
黒い十人の女
「誰にでも優しいってことは、誰にも優しくないってことなのよ。」
山本富士子の台詞が耳に残る。
船越英二扮する女ったらしのテレビプロデューサーが、逆に女性達に復讐される傑作サスペンス。
岸恵子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子・・・豪華な女優陣。

★「太平洋ひとりぼっち」(1963)
ヨットでの太平洋横断を成し遂げた堀江謙一の冒険を映画化。
石原裕次郎の一人芝居をじっと観る映画だが、まったく飽きさせない。

★「細雪」(1983)
細雪
谷崎潤一郎原作の映画化は数あれど、僕にとってはリアルタイムで観たのはこれ。
四人の女性それぞれの心情が丁寧に描かれた。
この映画の古手川祐子が特に好き。

やっぱり「ビルマの竪琴」を観ていないのが悔やまれる。
同時代的に観ているのは「鹿鳴館」「映画女優」「竹取物語」「天河伝説殺人事件」・・・。
山口百恵の「古都」の淡い映像の雰囲気も覚えてる。また観たいなぁ。

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エド・ウッド

2008-02-10 | 映画(あ行)
1994年・アメリカ Ed Wood
監督=ティム・バートン
主演=ジョニー・デップ マーチン・ランドー サラ・ジェシカ・ハーパー ビル・マーレイ

 ティム・バートン監督はいじめられっ子のイメージがある。怪獣映画を観て、退治される側の怪獣をかわいそうに思ったとかつてインタビューで答えていた。陽の当たらない場所にいるものに対する愛が、彼の監督作の随所に感じられる。それはこの映画もしかり。エド・ウッドは、ハリウッドでサイテー監督として名高い実在の人物。華やかな聖林(ハリウッド)の日陰に生きた彼に、ティムは自分を重ね合わせて、B級映画への愛情を込めて描ききった。これは彼のフィルモグラフィーの中でも秀作だし異色作。

 エド・ウッドの監督作「プラン9・フロム・アウタースペ-ス」は、一部だが友達(こういうのが大好きな奴・・・やっぱ同類?)に録画を見せてもらったことがある。確かに奇っ怪な映画だし褒められた出来ではない。しかし、それを撮りあげる”映画バカ”たちの情熱を僕は確かに感じた。

 この映画で最も感動させられるのは、エドの映画に対する愛情・熱意と、それを支える人々だ。登場人物はエドを始め、みんなハリウッドの明るさとは違うところにいる人々。忘れ去られた怪奇映画俳優ベラ・ルゴシにしても、ビル・マーレイ扮するオカマさんたちにしても。動くしかけもない大ダコを相手に戦う場面を、ベラが老体にむち打ちながら撮影する場面には感動した。もちろんコメディーとして撮られている場面もたくさんある訳だが、それもおかしさを通り越して納得すらさせられる。例えば撮影資金の為に洗礼をうける場面は実におかしいけど、考えてみれば撮影資金のために新薬の実験に協力するロバート・ロドリゲスだって同じ。信条にかかわることまでやってしまうところ、やっぱり凄い。

 映画のクライマックスでエドが尊敬するオーソン・ウェルズ(ビンセント・ドノフリオが上手に演じている)と会う場面がある。
「他人の夢を撮ってどうする?自分の夢のために戦え」
と励まされる場面は、こっちまで涙出そうになった。僕自身も仕事上思うようにいかないことにイライラしていたこともあり、この言葉は胸に響いた。何て勇気をくれる映画なんだろう。エド、ベラ、ありがとう。よしっ!オレも戦うぞぉ!。

エド・ウッドエド・ウッド
ティム・バートン スコット・アレクサンダー ラリー・カラツェウスキー

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人間万葉歌

2008-02-09 | 音楽
東京から戻る飛行機の機内放送で、
阿久悠が作詞を手がけた曲の特集番組をやっていた。
昨年の紅白歌合戦、最後4曲は阿久悠作品だったよね。
思えば僕が流行歌に対して敏感になった頃から、阿久悠作品に慣れ親しんできた。
改めて曲を聴くと心に染みる詞のなんと多いことか。

人間万葉歌~阿久悠作詩集人間万葉歌~阿久悠作詩集
オムニバス 森進一 藤圭子

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沢田研二「勝手にしやがれ」・・・
男の美学を僕は沢田研二の曲で学んだ気がする。
♪別にふざけて困らせた訳じゃない/愛というのに照れてただけだよ
♪夜というのに派手なレコードかけて/朝までふざけようワンマンショーで
子供の頃、何だかわからなかったことがわかる年齢になってきた。
あの時代の歌はよかった。今の歌で、こんなに詞が心に染みることってないよな。

石野真子「狼なんかこわくない」・・・
「スタ誕」(若い子は知らないよね)組で、僕が圧倒的に好きだったのは真子様(!)。
改めてこの詞を聴くとこんなところが。
♪鼻がじゃまだと誰かが言ってたわ/古い映画の台詞だったかしら
初めてのくちづけを夢みる乙女が鏡の前であれこれ考える部分だ。
今だから、これってイングリッド・バーグマンの台詞(「誰が為に鐘は鳴る」)だとわかる。
じゃ、二番に出てくるこれは?
♪熱が出るわと誰かが言ってたわ/ヒットソングの言葉だったかしら
これって元ネタは何?
こういう話題は、ポップンポールさんなら答えてくれるかなぁ?

河島英五「時代おくれ」・・・
でもいちばんグッときてしまったのは、これ。
うちの親父がカラオケでよく歌うもんで、敬遠してきたのだけど、
自分も40才過ぎて改めて聴くと・・・よさがわかる。

♪妻には涙をみせないで子供に愚痴をきかせずに/男の嘆きはほろ酔いで酒場の隅に置いてゆく
♪目立たぬようにはしゃがぬように/似合わぬことは無理をせず
♪人の心を見つめつづける時代おくれの男になりたい

うわー、これがいちばんできていないんだ、オレ。
いつまで若ぶっていられるんだろう・・・。
近頃そう思うことも多くなっただけに、詞が胸に迫ってきた。

このCD欲しくなってきた。
ピンクレディーと沢田研二ばっかり聴く気もするが。
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東京にいまぁす

2008-02-08 | Weblog
東京出張中でございます。北九州より日の出が早いなぁ…と感じてしまいます。
何度行っても慣れないおのぼりさんでございます。あまり意義が感じられない研修…と思って参加しましたが、逆に自分が試みていることって間違いじゃないな、と勇気づけられたりしてしまいました。でもなんか疲れがたまっているようで、研修終わって部屋に戻ったら、そのままベッドから動けず…。こっちの友人たちと遊びたかったなあ。

帰りの飛行機を遅めに設定してるので、東京だから今観られるような映画に、時間が許せばいっちゃおうと思っていまーす。

さっ、この後研修です。頑張ろう。
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Once ダブリンの街角で

2008-02-06 | 映画(わ行)

■「Once ダブリンの街角で/Once」(2006年・アイルランド)

監督=ジョン・カーニー
主演=グレン・ハンサード マルケタ・イルグロヴァ ビル・ホドネット

懐かしい友達に会えた気がする。彼の名はグレン・ハンザード。十数年前、僕はアイルランドを舞台にしたある音楽映画に夢中になった。その映画は、アラン・パーカー監督の「ザ・コミットメンツ」。ソウルバンドを組んだダブリンの若者を描いた青春群像劇だった。そのバンドでギターを弾いていたのがグレン。映画の最後でバンドは解散してしまい、「アメリカン・グラフィティ」の最後のようにみんなのその後が語られる。脇役だったグレンは友人と再びストリートで演奏するようになったのだった。その彼が今やアイルランドのバンドのフロントマンとして活躍し、この映画に主演。しかも、まるで「コミットメンツ」の続きのように、ストリートで歌っているのだ。映画の冒頭、僕は銀幕に向かって心の中であいさつした。「やぁ、久しぶり。」

街角で歌うシンガーソングライター志望の彼は、ある花売りの彼女に出会う。二人は音楽を通じて意気投合。チェコ移民である彼女はいろんな悩みを抱えている。やがて曲をひっさげてロンドンに行く彼が、レコーディングしたいと言い出し、彼女と街角で演奏するミュージシャンたちが協力する。恋愛映画なんだけど、大きな事件も起らないし、想いが成就することもない。でもそこに行き着くまでの触れそうで触れない二人の気持ちを思うととても切なくなってくる。
「ロマンティックな詞は書けない。詞を書いてみるかい?」「いいわ。」
彼は別れた前の恋人を思いながら曲を書く。昔の映像を見ながら曲を作る場面が何とも切ない。彼女は母親と子供を抱える苦しい生活。貯金箱から小銭をとって電池を買いに行き、店から戻るとき彼女は歌う。
「私が欲しいなら私を満たして。」
彼女も深い悩みを抱えている。一夜のレコーディング場面、ピアノを前に苦しい心情を露わにする彼女。彼は肩を貸してやることしかできない。なんて切ない場面だろう。
「朝食を一緒にどうだい?。うちにおいでよ。」「帰るわ。間違いが起りそうだもの。」
僕はこの台詞で胸が締め付けられた。音楽で結ばれた人と人の絆は深い。僕はそう信じている。だから、成就し得ない二人の思いが余計に切ない。挙げたりないくらい、いい場面がいっぱいある映画だ。前向きに歩き出すラストシーンは、切ないけど爽やかでもある。

このサントラは全米でヒットしたそうだ。手持ちカメラの地味なアイルランド映画が、アメリカでウケたのには驚いた。でもここに収められた楽曲は、彼と彼女の少ない台詞の行間を埋めるために存在している。僕らはその曲に涙する。ソウルバンドで目立たないギター弾いてたグレンは、僕らの心を揺さぶる曲を歌っていた。この映画に出会えてよかった。

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エンジェル

2008-02-03 | 映画(あ行)

■「エンジェル/Angel」(2007年・イギリス=フランス=ベルギー)

監督=フランソワ・オゾン
主演=ロモーラ・ガライ サム・ニール シャーロット・ランプリング

 僕と同世代であるオゾン監督を、僕はどうしてもひいき目に見てしまう。それは、この人が本当に”映画バカ”だと感じられるからでもある。自分が観まくって楽しんできた過去の映画たちにしっかりと敬意を払い、それらを自分らしさとして消化できる監督だからだ。「まぼろし」は70年代のクロード・ソーテ監督作を思わせたし、「8人の女たち」では数々の映画へのオマージュが捧げられ、「スイミング・プール」に僕は「悪魔のような女」を思い出させた。そして、待っていた新作がやっと僕の住む街にやってきた。

 ところが、全編英語の台詞だし、主演女優もこれまでのミステリアスな雰囲気が感じられない。ストーリーもきちんと追っていて「まぼろし」のような雰囲気でみせる映画ではなく、わかりやすい・・・これがオゾン?。正直なところ僕は”らしさ”を探そうとしていた。映画ファンを長くやっていると、自分の鑑賞歴であるフィルモグラフィーが、勝手な先入観になってしまい、素直に映画を楽しめないことがある。自意識過剰で奔放なヒロイン、エンジャルが作家としての成功を収めたあたりで、僕は期待を裏切られてしまうのではないか・・・と思っていた。

 エンドロールが流れ始め、僕はずっとそれを眺めて余韻に浸っていた。動けなかった。正直、こんなに満足できると思っていなかった。オゾン監督は女性の生涯をドラマティックに描ききるために、往年のハリウッド映画を徹底的に真似たのだ。お屋敷を写すカメラのクレーンショット、華麗な音楽、衣装、その人を見ただけで性格や人柄を覗わせるキャスティングのわかりやすさ・・・それらは舞台装置として僕らをすんなりと銀幕へ集中させてくれる。そして、そこで描かれるのは、切ない切ない人間模様。それは登場する人物ひとりひとりが実に丁寧に描かれる、伝統的なフランス映画だった。さすがはオゾン。

 パラダイス屋敷とそこで暮らす上流階級に憧れ、想像を膨らませてヒロインであるエンジェルが書いた小説。あらゆる成功を手にする主人公だが、たった一つ手に入れることができなかったのが、家庭という幸せ。夫を思いながらも遂げられない切なさ。エンジェルの世話を焼いてくれるノラは、同性としてエンジェルを愛している。出版社のサム・ニールもエンジェルの奔放さに惹かれた一人。それを妻(シャーロット・ランプリング)に見透かされてしまう。そして最後に夫が愛していた別の女性とは・・・。人生の皮肉。この”すれ違いの人間関係”が見事に構成されている。ちょっとした短い台詞がその人の人生を言い当てているような深さ。
「まだ彼女に恋を?」
「パラダイス屋敷から、君に。」
「あなたは私を愛してくれたただ一人の人よ。」
「どの人生について書くの?彼女の生きた人生?彼女の望んだ人生?」
あぁ、人生はかくもままならぬもの。切ない。

エンジェルエンジェル
フランソワ・オゾン

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