Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2023年4月のプレイリスト

2023-04-30 | 今日のBGM


 ◆2023年4月のプレイリスト

2023年4月に聴いていた愛すべき30曲


1 Magical Mystery Tour(Chicago)

ビートルズのカバー。意外なほどオリジナルに忠実。

2 美貌の青空(坂本龍一)

R.I.P. 教授。

3 Beautiful World(玉置浩二feat.絢香)

映画「天間荘の三姉妹」予告編で初めて聴いた。サビのハモりに感激。

4 禁じられた色彩(David Sylvian & 坂本龍一)

戦メリの歌入りver.。これはこれで雰囲気があって好き。

5 I Hate Myself For Loving You(Joan Jett & The Blackhearts)

あんたに夢中な自分にヘドが出るわ♪

6 Diamonds and Pearls(Prince & The New Power Generation)

メロウな雰囲気が好き。

7 When I Think Of You(T-Square)

これ吹けたらカッコいいよなぁ🎷

8 Love Brick(水樹奈々)

ライブの無料配信で勝手に盛り上がる私。これ、シングルのカップリング曲で好きだったんよー😭

9 Duty Friends(NIKIIE)

アニソンデイズ!で奥井雅美がカバー。なんてカッコいい🤩

10 レッツゴー!!ライダーキック!(藤浩一)

「シン・仮面ライダー」鑑賞。菊池俊輔楽曲のホーンアレンジとオルガンの音色が番組の雰囲気をつくってると再認識。


11 サッちゃん(矢野顕子)

清水ミチコがライブのアンコールでこれを歌った時、不思議と涙が出た。

12 ワンダフルデイズ(ONE⭐︎DRUFT)

アニメ「銀魂」楽曲は好きな曲が多いのだ。

13 Unite(Jazz Avengers)

4本サックスの華やかで厚みがあるサウンドがたまんなくカッコいい🤩

14 Endless(Toto)

ファーギー・フレデリクセンがボーカルを務めたアルバムIsolationで最も好きな曲。

15 Truth(Ice)

配偶者がとても好きなユニット。こういうのが歌いたかったらしい。

16 No Son of Mine(Genesis)

アルバムWe Can't Danceけっこう好き。選ぶ音色でリスナーを納得させるのはトニー先生らしいと思うのです。

17 さらばミシシッピー(柳ジョージ)

他の誰もこのカッコよさで歌えない。

18 心は言葉につつまれて(FLYING KIDS)

言葉で伝えたいのに 君に伝えたいのに♪

19 I WANT YOU(She's So Heavy)(高中正義)

ビートルズのカバー。

20 悲しみよこんにちは(森口博子)

アニメ「めぞん一刻」主題歌だった斉藤由貴の名曲をカバー。


21 底無しビューティー(斉藤和義)

カッコいい女性への憧れ。

22 I've Got A Feeling(Nora Jones)

ビートルズのカバーを歌ったライブ音源を聴く。

23 Foot Of The Mountain(a-ha)

a-haのドキュメンタリー映画鑑賞。この曲の裏にこんな葛藤があったんなんて🥲

24 トウキョウ・シャンディ・ランデヴ(MAISONdes)

じょーだんじゃないないわ♪ リメイク版「うる星」ED曲。

25 Tainted Love(汚れなき愛)(Soft Cell)

80年代シンセポップユニット。a-haが影響を受けたアーティストの一つとのこと。

26 Cannonball(Supertramp)

単調なリフのはずなのに、ノセられてしまう心地よさ♪

27 道導(鈴木雅之)

YOASOBIのAyase作、オシャレでエッチなラブソング。カッコいい。

28 Catch You Catch Me(中川翔子)

祝・しょこたん御結婚🎉

29 HELLO GOODBYE(The Square)

地元ラジオの音楽番組がテーマ曲にしてたな(懐)

30 E-DAY PROJECT(坂本龍一&渡辺香津美)

いかにも80年代なキーボードリフが心地よいインストロメンタルナンバー。アルバム「東京ジョー」も今月よく聴いた。








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嵐が丘

2023-04-28 | 映画(あ行)

◼️「嵐が丘/Wuthering Heights」(1992年・イギリス)

監督=ピーター・コズミンスキー
主演=レイフ・ファインズ ジュリエット・ビノシュ ジャネット・マクティア

エミリー・ブロンテの原作は何度も読んだし、ケイト・ブッシュが歌ったWuthering Heightsは大好きな曲。ヒースクリフとキャシーをめぐるある種異常な愛憎劇に、一時期ハマってしまったことがある。愛し合うが故に憎み合う。幸福になれると思えないけれど愛さずにいられない。もはや執着とも呼べるようなドロドロした人間ドラマは、他では味わえない。

映画化作品はあれこれあるけれど、代表的なウィリアム・ワイラー監督による1939年版はどうも好きになれない。話半分で終わるし、強引なハッピーエンドに持っていったように思えて仕方なかった。吉田喜重監督による日本を舞台にした翻案は、ドロドロした人間関係と全体の雰囲気がかなり好き。

ピーター・コズミンスキー監督によるこの1992年版は、個人的にはとても好感。原作にある程度忠実。しかしあの内容をじっくり描くには上映時間が短すぎるのが残念。されどキャスティングと作り込まれたムードがとても好きなのだ。特にヒースクリフの荒々しさと冷酷さ、内なる一途さを表現するのには、無表情なレイフ・ファインズは適役だと思う。ジュリエット・ビノシュのキャシーも、激しい感情を溜め込んでる感じが表情ひとつで感じられた。キャスティングで納得させられたし、原作の冷たい空気感が伝わる映画化だった。

憎しみを糧にして生きるのは難しいし、苦しい。ヒースクリフはその憎しみの陰にキャシーへの変わらぬ愛情があったからこそ魅力的なキャラクターなのだと思う。

坂本龍一の音楽が素晴らしい。





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シン・レッド・ライン

2023-04-26 | 映画(さ行)

◼️「シン・レッド・ライン/Thin Red Line」(1998年・アメリカ)

監督=テレンス・マリック
主演=ショーン・ペン ジム・カヴィーゼル エイドリアン・ブロディ ベン・チャップリン

復活を遂げたテレンス・マリック監督が20年ぶりに撮った新作。同じ戦争映画として「プライベート・ライアン」と比較することが許されるならば、すべてがドラマティックなスピルバーグに対して、本作はとにかく静かに映像で語りかける詩だと思う。

ガダルカナルの豊かな自然を冒頭で印象づけた後、戦線を離脱していた主人公が紹介され、日本軍が占拠する丘の上の陣地を攻撃するエピソードへと進んでいく。ここからの攻略シーンが圧巻。兵士一人一人の恐怖感、上官との対立、死と隣り合わせの状況が語られる。

 しかしそれでも「プライベート・ライアン」よりも"静"のイメージがつきまとうのは、自然のままの風景があるからだ。丘の攻略シーンも、敵兵の姿やトーチカなどは最後の最後に見えるのみで、草の生い茂る緑の丘を兵士たちが苦しみながら登る様子だけが続く。戦争という愚かな行為をガダルカナルの自然があざ笑っているかのように感じられた。本作は反戦を声高に訴えるのではなく、その虚しさを映像で綴った見事な詩なのだ。




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a-ha THE MOVIE

2023-04-24 | 映画(あ行)

◼️「a-ha THE MOVIE/a-ha:The Movie」(2021年・ノルウェー=ドイツ)

監督=トマス・ロブサーム アスラーグ・ホルム
出演=モートン・ハルケット ポール・ワークター・サヴォイ マグネ・フルホルメン

コロナ禍のせいで参戦予定だったいくつかのライブに行けなかった。その一つが2020年3月のa-ha来日公演。名盤「Hunting High And Low」の完全再現を含むライブとのことですっごく期待していたのだが、延期に延期を重ねて結局参戦できず、泣く泣く払い戻し。残念だったな。

そのa-haの軌跡を追ったドキュメンタリー映画である。冒頭から3人のレコーディングに向かう気持ちがすれ違う。自分から湧き出るアイディアを試したいギターのポール、意見が合わず最後は殴り合いになるからスタジオに入りたくないと拒むキーボードのマグネ。こんな確執を抱えていたのかと驚かされる。

作曲者とは誰なのか。著作権者を示すクレジットがどうなっているかは、ミュージシャンにとって大きな問題。ビートルズの"レノン=マッカートニー"って表記の裏にもいろんな事情があるし、クィーンはそれまでメンバー個人の表記だったのが80年代半ばに"(QUEEN)"名義になってくる。大ヒット曲Take On Meのイントロのキーボードのリフは、14、5歳の頃から弾いていたとマグネは言うが曲の名義はポール。リスナーとしてa-ha楽曲を聴いてきたけれど、バンド内での方向性や力関係は初めて知ることばかりだった。ノルウェーの音楽シーン、007映画主題歌の裏側、その後の方向性の模索。アンプラグドでのアレンジをめぐって「自分だけが目立つ」とモートンが主張する場面など、興味深いエピソードが並ぶ。

1stアルバム「Hunting High And Low」は確かに名盤。個人的には2nd「Scoundrel Days」の暗さが好きだったりする。I've Been Losing Youの激しさや凝った構成のManhattan Skyline。2000年代に放ったヒット曲Foot of the Mountainの舞台裏に、こんなギリギリの駆け引きがあったとは。80年代のエレポップグループとは違うライブバンドとしての一面も知ることができた。

最新作の「True North」はしっとりしたムードがけっこう好きなのです。





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トゥルーマン・ショー

2023-04-22 | 映画(た行)

◼️「トゥルーマン・ショー/The Trueman Show」(1998年・アメリカ)

監督=ピーター・ウィアー
主演=ジム・キャリー エド・ハリス ローラ・リニー ノア・エメリッヒ

ピーター・ウィアー監督は、異文化や異なる価値観が出会うことをテーマにしている方だと思う。少数民族だったり、異国人だったり、独特な先生だったり。そこで生まれるミラクルがこれまでも様々な感動を生んできた。じゃあ、「トゥルーマン・ショー」はどうなのか。

主人公トゥルーマンは、出生から成長、大人になった日々の生活を毎日ライブで放送され続けている人物だ。その型破りな番組企画は、視聴者の覗き見趣味をかき立てたのか全世界で日々視聴、いやモニターされている。本人はその事実を知らない。見世物になっているだけなのだ。プライバシーがないだけではなく、人生に勝手に干渉されて舞台となる島から出ることもできない。感動的な出来事が演出されたり、恋だってお膳立ての出会い。

何だこりゃ。番組製作者は何様だと思ってやがる。胸くそ悪い話だなと思い始めたら、トゥルーマンの日々に"共演"した一人の女性が真実を告げようとする。しかし制作陣に阻止されてしまう。トゥルーマンがイレギュラーな行動をした際にだんだんと見える世界のほころび。外の世界には人権という感覚すらないのか。番組プロデューサーは神にでもなったつもりなのか。そもそも視聴者はどんな気持ちでトゥルーマンの日々を見つめているのだろう。

そして事態が動く。結末は僕の予想を超えた。それは視聴者の反応だ。製作者が創り出した"世界"から外への出口に立ったトゥルーマン。彼が出ていけば、製作者は世界的人気者と番組を失うことになる。そこで主人公が最高のユーモアを交えたいつもの挨拶で答えるラスト。感動的だ。そう、誰がどう思おうと、これは彼の1日でしかないのだから。

そして視聴者が岐路に立つトゥルーマンの選択を喜び讃える。それは決して製作者側に乗せられているからじゃない。年配の視聴者は彼が生まれてから成長を見守ってきたし、世代が違ってもいろんな思いを抱えて過ごす毎日を共有してきた。トゥルーマンはもはや全世界の人々にとって"家族"だったのかもしれない。その後、この番組に依存してきた世界がどう変わったかは分からないし、トゥルーマンがこの先どうなったのかはわからない。でも一人の男性が一歩を踏み出して、世界が声援を送ったのは確かなことだ。

マスコミの思い上がりや、放送をただ鵜呑みにしてしまう視聴者を皮肉るテーマだとは思う。だけどウィアー監督が貫いている(と僕が勝手に思っている)"異なる価値観"という目線で考えるなら、この映画では、作り物の世界と遭遇する主人公がそうだし、作り手と受け手の違いなのかもしれないな、と考えた。多少強引かもしんないけどw。

ただ、この映画の公開当時よりも今は状況が変わっている。番組が作り手から受け手への一方通行ではなくて、いち個人が自ら動画配信して交流すら生まれている時代だ。また、現実はこの映画と同じように(防犯)カメラだらけの街に既になっている。小規模ならこの映画のようなこと出来そうな気すらする。怖いことだ。でも、変わって欲しくないのは視聴者の受け止め方。多くの人に親しまれた人気番組が終わるたびに"××ロス"なんて言葉が飛び交う。それはただ番組を受動してるじゃなくて、共感できる存在を僕らはモニターの中に探していることでもある。その気持ちだけはせめて変わらずに。






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飛ぶ夢をしばらく見ない

2023-04-21 | 読書


細川俊之と石田えり主演で製作された映画を観たのは20代の頃。石田えり目当てで観たくせに、少女を見送るラストの悲しさが忘れられなくて。今の年齢でもう一度観たい映画の一つ。でも今の目線だと児童ポルノだと騒がれそうな場面もあるからテレビ放送は難しいし、映像ソフトは高額になっている。

そこで原作に挑んでみた。山田太一作品というとドラマばかりが思い浮かぶ世代だけに、本で読むのはこれが初めてかも。

虚しい日々を送っていた50歳手前の主人公田浦が、会うたびに若返っていく女性睦子と出会う、大人のファンタジー。映画では口数の少ない男でしかなかった主人公。小説で読むと、彼がどれだけ生きることに投げやりになっていたのかがすごく伝わってくる。彼の年齢よりも上になってしまった今の自分だからだろう。

睦子に心惹かれて、幾度かの濃密な逢瀬にのめり込んでいく様子は、映画だとアダルトなお伽話に見えたのが、ものすごく切なく感じる。「歳とって女にのぼせると狂うぞ」とむかし身近なある人が言っていた。その頃はふーんと受け流していた。だが、大人になって谷崎潤一郎作品あたりに触れると頭のどこかでまた声がするのだ。「わかっただろ。狂うぞ」と。「飛ぶ夢をしばらく見ない」の主人公の不思議な体験は、ファンタジックではあるものの、女性に溺れていく過程が生々しくて、彼女以外何も見えなくなる主人公の心情が刺さってくる。逢瀬の場面はほぼ会話劇。ドラマを見ているような錯覚に陥いる。こんなに刺さるのは、この年齢で読んだせいかもしれない。

睦子が若返るのは一方で死に近づいていくことでもある。その怖さと焦りが映画よりも強く感じられる。それだけに主人公に向けられる台詞の一つ一つが重くて激しい。映画ではこんなこと言ってたっけ?。きっと脚本で引用されなかった場面なんだろう。辛い心情と別れを少女が口にするラストがたまらなく悲しい。映像ソフトで映画を振り返られないのが残念だけど、細川俊之が少女の背中を見送ってへたり込むラストシーンが、鮮明によみがえってきた。





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イタリア式離婚狂想曲

2023-04-20 | 映画(あ行)

◼️「イタリア式離婚狂想曲/Divorzio all'italiana」(1961年・イタリア)

監督=ピエトロ・ジェルミ
主演=マルチェロ・マストロヤンニ ダニエラ・ロッカ ステファニア・サンドレッリ

映画好きの親父殿が
「ピエトロ・ジェルミって人の映画ええぞ」
としきりに言っていた。自宅に「鉄道員」や「刑事」の主題曲レコードもあったくらいだから、かなりお気に入りだったんだろう。
あもーれ、あもーれ、あもーれぇ
あもれみぃぃおぉぉ♪
…と「刑事」の主題歌を口ずさむのだ。父に勧められて初めて観たのが「鉄道員」だったから、ジェルミってなんか深刻な話を撮る人なんだろなと思っていた。

ところがである。映画の知識がだんだんついてくる中で、僕はジェルミ氏はいわゆる艶笑コメディを撮っていると知る。そしてたどり着いたのがこの「イタリア式離婚協奏曲」。

没落貴族の主人公は、従妹と密かに愛し合うようになった。長年連れ添った妻が邪魔で仕方ない。当時のイタリアには姦通の罪が定められていて、姦通した妻を殺した夫は短期の懲役刑しか科されなかった。主人公は、妻が浮気できるように仕向けるが、そこに司教の息子である画家が現れる。天井画の手直しを彼に依頼して、妻と二人きりにすることにした…。

なんだこりゃ。
まさにあもーれ、あもーれ♡じゃねぇか。

若い頃。映画に出てくるイタリア男って、好色で陽気で何を考えてるかわからない輩が多いと、僕は勝手に思っていた。女にしつこく執着する男は決まってイタリアだ。未練が服着て歩いてるような「終着駅」のモンゴメリー・クリフト、アメリカ女につきまとう「旅情」のロッサノ・ブラッツィ、われらがダイアンをナンパする「リトル・ロマンス」のテロニウス・ベルナール少年。もちろん偏見だと百も承知。だけど、マルチェロ・マストロヤンニが演ずるこの映画の主人公フェフェはまさにその輩の一人だった。

やがて駆け落ちした妻と画家。世間から寝取られ男と噂されるが、実は楽しくてしかたない。ついに彼は二人を追いつめようとする。唖然とする結末と、クスクス笑える皮肉なラストシーンが控えている。艶笑コメディはお子ちゃまにはわからない大人の笑い。

「40過ぎたらおねーちゃんなんてどうでもよくなるんですよ」
と先輩がおっしゃっていて、僕もそうなるのかなと思っていた(ちっともそうならなかったけれどw)。だけどその年齢を超えた今思うと、この映画で
「人生は40からさ!」
と言うマルチェロの言葉もどこか素敵な響きに聞こえる。もちろん、法律を逆手にとった殺人はダメ、ゼッタイ。劇中、マストロヤンニ主演の「甘い生活」が引用されるのも映画ファンには楽しい仕掛け。





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セント・エルモス・ファイアー

2023-04-18 | 映画(さ行)


◼️「セント・エルモス・ファイアー/St.Elmo's Fire」(1986年・アメリカ)

監督=ジョエル・シュマッカー
主演=エミリオ・エステバス ロブ・ロウ アリー・シーディ デミ・ムーア

それぞれの世代の心に響く青春映画がある。元号が平成になってから社会人になった世代なら「リアリティ・バイツ」、今退職を迎えてる世代なら「さらば青春の光」とか。いやもっと他にもあるだろうけど。じゃあ、自分にとって心の青春映画が何かと言われたら、ジョン・ヒューズ監督作よりもまず名前を挙げてしまうのは「セント・エルモス・ファイアー」。80年代の群像劇ぽいトレンディードラマ(死語)の原点ともなった、YAスター(またはブラッドパック、これも死語)7人の青春映画である。

大学を卒業してそれぞれの道を歩む男女が、恋愛、挫折、友情を通して成長していく物語。映画を思い出すだけで、甘酸っぱい気持ちになるし、あの頃の自分や考えていたことを振り返ってしまう。"聖エルモの灯"とは、嵐に遭った船乗りたちがマストのてっぺんに青白い光を見る現象のことで、その後で嵐が静まる。船を導く灯火のようで、迷った時の心の支え、道標のような意味で用いられる。

年上の女医(アンディ・マクダウェルが綺麗♡)に恋をするエミリオ・エステベスは、特に印象的な役柄だった。アウトローを演ずる他の映画とイメージが重なって、背伸びしている感じがよかった。友達の彼女に恋をしたり、音楽家志望を貫いて苦労したり。派手な生活と強気な態度の裏で弱い心を抱えていたり。そんな迷う彼ら彼女らにとって、友の存在が聖エルモの灯なのだ。

公開当時、僕は新作よりもクラシック映画に走っていて、同時代的に観る映画をあれこれスルーしてきた。この映画を初めて観たのは社会人になった頃。そのタイミングで観たせいか、映画の中の迷える男女が「今のままでいいんだろか?」と日々考えていた自分に重なって見えた。特に文筆業に憧れるアンドリュー・マッカーシーに、僕は感情移入していた。彼が書いた記事のように、自己表現が誰かの役に立つことをカッコいいと思っていた。帽子がトレードマークだったアンドリューの役柄に影響受けたのか、今でも帽子被るのが好きだったりする。配偶者には「アタシの方が似合う」と言ってけなされるけどさw。

デビッド・フォスターの音楽は公開当時から大好きだった。ストリングスとピアノが印象的な「愛のテーマ」は結婚披露宴で流したっけ。あー、恥ずかしい🫣。ともあれ、僕にとっては大事な心の青春映画。最近ブルーレイを買ったけれど、観るといろいろと恥ずかしい気持ちになりそうで、まだ再生していない。でもそのディスクが棚にあるだけでどこか安心するのは、自分にとって聖エルモの灯のように思ってるからかもしれない。






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メイド・イン・ヘブン

2023-04-16 | 映画(ま行)

◼️「メイド・イン・ヘブン/Made In Heaven」(1987年・アメリカ)

監督=アラン・ルドルフ
主演=ティモシー・ハットン ケリー・マクギリス モーリン・ステープルトン

もう一度観たい!と切に望んでいるのだが、この映画DVD化されていない。アラン・ルドルフ監督が手がけたファンタジー映画、「メイド・イン・ヘブン」である。

天国で出会った男女。二人は一緒にいることを望むのだが、女性はベビーとして生まれ変わることに。男性は自分も生まれ変わることを願い出る。30年以内に彼女とめぐり逢うことを条件に彼もベビーとして再び生まれた。二人は再び地上で会えるのか。

課せられた条件というお膳立てが、ハラハラ、ワクワクさせる。音楽ファンにはニール・ヤングやトム・ペティが出演しているのも見どころ。「トップガン」翌年のケリー・マグギリスと誠実そうなイメージ通りのティモシー・ハットン共演。

レンタルビデオで観たのが最後。今観る手段ないのかなぁー。


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ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

2023-04-13 | 映画(は行)

◾️「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書/The Post」(2017年・アメリカ)

監督=スティーブン・スピルバーグ

主演=メリル・ストリープ トム・ハンクス アリソン・ブリー サラ・ポールソン

ベトナム戦争への反戦世論が高まる1971年のアメリカ。「勝ち目がない」と戦況を分析する調査がありながら、始めた以上負けを認められない政府が、泥沼化した戦争を続けた。そして若者の命が失われていたのだ。本作はその調査をしたマクナマラ文書について報道しようとするワシントンポスト紙を描いた映画である。

フェイクニュースというレッテルが日々流れる報道に向けられ、政治とマスコミの関係があれこれ言われる今のアメリカだからこそ、スピルバーグ監督はこれを撮るべき脚本として選んだ。しかもSFX大作「レディ・プレイヤー1」と並行して準備を進めたという熱の入れようだから、編集者のトム・ハンクスが合衆国憲法修正第1条「報道の自由」を掲げてさぞ声高に訴える映画になっているのだろう、と想像していた。しかし、意外にも重要な役割を果たすのは、親や夫の跡を継いでワシントンポストの社主となったメリル・ストリープの方だった。会社として屈しないことだけでなく、女性がビジネスの世界で全うに扱われなかった時代の戦いのドラマとしても、この映画には力強いメッセージが込められている。

ニューヨークタイムス紙が差し止めを喰らって報道できない中で、ポスト紙がマクナマラ文書を報道すべきかの葛藤が描かれる。だが、報道するかしないかという一面的な危機を描くだけでは並の映画だ。この映画では、法廷侮辱罪、会社の存続、世論、さらに社主キャサリンが親交のあったマクナマラに批判的な記事を報道できるのかという人間ドラマも織り込んでまったく飽きさせることはない。さすがだ。

ひとつひとつの台詞も心に響く。「報道の自由を守るには報道すること」「報道機関が仕えるべきは統治者ではなく、国民だ」最終的に新聞各紙がマクナマラ文書を報道して足並みが揃った場面は感動的だ。

まともな答弁もしない政治家が、「××新聞に書いているから読め。」と言い放つような今の日本で、こんなことができるのだろうか。折しも2019年の日本では、勤労統計調査の不正が明らかとなり大きな問題となっている。前年の外国人労働者受け入れ拡大においても必要性の根拠となる調査に疑問が示されたし、さらに実質賃金の動向をめぐる統計についても、都合よく調査対象を変えられているとか、何を信じたらいいのか。どうなっとんじゃいと思う日々。何にしても、不確かな根拠であろうと、この映画のように確かな根拠を隠されていようと、政府が決めた方針に振り回されるのは国民。そう考えたら、笑って観ていられない映画でもある。



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