Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2023年6月のプレイリスト

2023-06-30 | 今日のBGM

◆2023年6月のプレイリスト
2023年6月に聴いていた愛すべき30曲

1 フェイシア(Fence of Defence)
90年代のデジタル+ロックな楽曲で好みだったフェンス。
2 真夏のセツナ(XX:me)
アニメ「ダリフラ」ED曲。今どきアイドルグループな楽曲。
3 Blue Jean(David Bowie)
カッコいいとはこういうことさ。
4 明日への手紙(手嶌葵)
語りかける歌詞が手嶌葵の歌声で余計に胸にしみる。
5 混ぜるな危険(筋肉少女帯)
危険な二人が出会う奇跡を"混ぜるな危険"と表現する見事さ。ケンちゃんの言語センス抜群👍
6 Night Crusing Love(宇宙ネコ子)
シンプルだけどカッコいい。車で聴きたいお気に入り😎
7 Roxanne(Police)
昔カラオケでアン・ルイス歌ってたら、「その声、Roxanne歌うと似合うかも」と言われた私w
8 Can't Help Fall In Love(Rick Astley)
プレスリーのカバー。太い声のリック・アストレーには、この曲は似合うと思う。
9 アイドル(YOASOBI)
アニメ「推しの子」OP曲。本編に沿った歌詞、ハイテクな歌唱、凝ったアレンジ。完成度すごっ。
10 Sincerly(TRUE)
夕飯の支度しながら大サビ前を熱唱してたら、長女に「隣の部屋まで聴こえるぞ」と厳重注意された💧

11 はいからさんが通る(Claris)
南野陽子のヒット曲をカバー。Clarisのカバー選曲は80-90年代育ちをくすぐる。
12 Every Turn Of The World(Christpher Cross)
85年発表のアルバムからタイトルチューン。カッコいい演奏とコーラスワーク。
13 ヨッテタカッテ(Rockon Social Club)
芸能界を騒がず出来事が続く今だけに、ゴシップに群がる人々を皮肉る詩が響く。
14 LOVE SONG(森口博子)
種ともこが歌ったアニメ主題歌をカバー。こぶしが効いた歌唱でよりエキゾチックに。
15 Vitual Insanity(Jamiroquai)
やばい。通勤中だというのに心地よいビートに反応して身体が動く💧
16 ぼくはくま(宇多田ヒカル)
長女が白くまのぬいぐるみを抱いて(毎日)歌う。20歳超えてますが何か💧。
17 Dreamtime(Daryl Hall)
ソロアルバムから。
18 Paradox(浜田麻里)
昔はカラオケでよく歌ってたんだけど、もうこんなハイトーン出ないかな🎤
19 ノーザンクロス(シェリル・ノーム Starring May'n)
「マクロスフロンティア」は名曲ぞろい。
20 We Can Work It Out(The Beatles)
いかん。通勤中に聴いてるとハモりたくなる💦

21 Twilight In Upper West(The Square)
吹けたらカッコいいよなぁ🎷
22 Haus Der Drei Sonnen(NENA)
暗いメロディなのにどこか惹かれる。
23 Too Shy(Kaja Goo Goo)
ベースのカッコよさに聴き惚れる🎸
24 Bodeline(Madonna)
初めて好きになったマドンナ楽曲。
25 21st Century Schizoid Man(Ozzy Osbourne)
キングクリムゾン名曲のハードなカバー。朝から聴くにはちとヘヴィ💧
26 Carry On Wayward Son(Anthrax)
カンサスの名曲「伝承」カバー。プログレ好きの心がうずく😋
27 Addicted To That Rush(Mr.Big)
イントロからベース速弾き、ギターとのユニゾンが圧倒的🎸⚡️
28 Sir(Jabberloop)
新作はこれまで以上にキーボードのプレイが光る。かっちょいい。
29 Love Will Keep Us Alive(Eagles)
ミディアムテンポのリズムを刻むアルペジオに癒される。
30 Copacabana(T-Square)
もうすぐこの曲が似合う季節が本格的にやってくる。







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青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない

2023-06-28 | 映画(さ行)

◼️「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」(2023年・日本)

監督=増井壮一
声の出演=石川界人 瀬戸麻沙美 久保ユリカ 内田真礼

テレビシリーズにどハマりして、2019年の劇場版第1作にも涙した。その続きの劇場版ということで、毎週キャーキャー言いながら一緒に見ていた長女と新作「おでかけシスター」に行く。父はメインヒロインの桜島麻衣が推しだが、長女は一貫した妹キャラ好きなので推しキャラは花楓なのだ。

テレビシリーズのクライマックス。主人公咲太の妹花楓の意識が戻るエピソードは素晴らしかった。記憶を失ってから家から出ることができなくなってしまった彼女は、咲太の妹になろう、学校に行けるようになろうと努力し続けてきた。そんな健気な「かえで」が「花楓」として戻ってきたその後の物語。

「お兄ちゃんと同じ高校に行きたい」
進路相談で花楓が言い出した。スクールカウンセラーは、これまでの通学状況や学力的に難しいので、通信制高校も視野に入れるべきと言う。それでも受験頑張ると言う花楓の意思に協力する。その努力の裏側で花楓が考えていたこと、その理由とは。

テレビシリーズの「かえで」回は、ひらがなの「かえで」との別れとなり、涙なくして見られない。二役を演ずる久保ユリカの演じ分けの見事なこと。今回の劇場版では「花楓」の葛藤が話の主軸だけに、さらに難しい役柄。人から見られることが苦痛につながる花楓がそれでも頑張ろうとする理由。胸に迫る。誰しも人と比べられる(と感じる)ことや、誰かの思いが重圧になることがある。それが"もう一人の自分"だなんて。

その気持ちを知った上で咲太が示す進路の提案。スイートバレットのメンバーも絡んで面白いのではあるが、話の受け取り方によっては通信制高校の広報アニメのようにも感じられる。進路や就職、将来に悩む世代が観ると共感できるポイントがいくつもあるだろう。隣で長女がウルウルきてる中、僕は映画後半ちょっと冷静になっていた。

私ごとだが、うちの子も不登校になったことがあった。その時期、僕は通信制や単位制の学校の話を聞き、映画で語られるようにメリットも十分理解している。進路のことであれこれ手伝ってきた。立ち直る花楓ちゃんに涙するよりも、咲太が目の前の出来事に対応する地道で誠実な姿に感動する。でもよく考えると、これまで思春期症候群の謎に立ち向かってきた彼だからこそできたこと。咲太の成長物語でもある。スイートバレットメンバーのお母さんにも、ちょっと感情移入w。

一方で咲太と麻衣のイチャイチャもしっかり出てくる。二人の微妙な距離感と駆け引きみたいな会話が相変わらず楽しい。ポスターなどのビジュアルで、電車に乗る「花楓」が描かれているバージョンがある。これが窓に映る姿が「かえで」になっている。もうそれだけで涙腺を刺激される気がしていた私。このシリーズはラブコメと切なさのバランスが好き。高校説明会のくだり以外はキュンとしました。
「パンダ好きなのか。」
あー、もうそのひと言。おじさん泣いちゃうじゃん😭。エンディングで流れる不可思議のカルテは、「かえで」と「花楓」のデュエットver.。

続きが待ち遠しいです。




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肉体の悪魔

2023-06-27 | 映画(な行)

◼️「肉体の悪魔/Diavolo In Corpo」(1986年・イタリア=フランス)

監督=マルコ・ベロッキオ
主演=マルシューカ・デートメルス フェデリコ・ピッツァリス アニータ・ラウレンツィ

この映画を20歳の頃に映画館で観ている。ソフィー・マルソーの「狂気の愛」と二本立てだった。ソフィー初ヌードの話題作とインパクトのある本作。映画館を出る僕は眼が血走ってたんではなかろうか(恥)。正直、こっちの方が「狂気の愛」より面白かったので、また観たいなと思ってたところ、近所のTSUTAYAに置いてると近頃気づいた。2023年6月にDVDで再鑑賞。

1920年代に書かれたレディゲの原作は未読。夫が出征中の人妻に恋した少年のお話だが、本作は現代に舞台を変えて拘留中の婚約者がいる女性ジュリアに高校生アンドレアが恋するお話。70年代に政治的に不安定な時期があったイタリア。製作当時の80年代はその後だけに拘留中とした設定は現実的だし、ヒロインのパートナーを目に見える存在として登場させることも緊張感を高めて、ヒロインの葛藤をより深くする改変だ。ベロッキオ監督は後に政治的な内容を含む作風になった人と聞く。なるほど。

さらにジュリアは精神科医(アンドレアの父)の元患者という設定、ジュリアに監視の目を注ぐ婚約者の母親も大きなハードルとなる。イカれた女と付き合うなとの忠告に従わないアンドレア。時に不安定になるジュリアの言動に振り回されるところだが、恋にまっしぐらなイタリア男子は周囲の心配など関係なく、勢いは止まらない。

初めて観た時も長回しが多い映画だと思ったが、今回観なおしてこんなに長かったっけと改めて思う。特にベッドで抱き合う場面のカットがとにかく長い。相米慎二監督の「魚影の群れ」のベッドシーン程ではないにせよ、いつまで見せつけるのさ?。しかもアンドレア君の下腹部をジュリアがまさぐる場面は、えー?演技とはいえ、ここまでさせるの!?と驚愕😳。こんな場面はあったっけ?。初めて観た公開当時は、おそらくボカシが今よりも広かったから何だか分からなかったんだろうなw。

年上女性が恋の暴走にブレーキをかけるところが、奔放な彼女も二人の世界に夢中になっていく。男と女が惹かれあった時の、どうしようもない止められない気持ち。法廷で檻に入れられた被告人たちのうち、ひと組の男女がもぞもぞと抱き合い始める場面も印象的だった。止めようとする廷吏に向かって、ジュリアは「最後までやらせてあげて!」と叫ぶ。アンドレアとの出会いにもつながるこの場面は、ヒロインのキャラクターを短い時間に掴ませる。エロ描写たっぷりの映画だけど、観終わった時にしっかりアート作品を観た満足感がある。ラストのヒロインの涙の意味、その後の二人の関係を考えてしまう。

マルシューカ・デートメルスはこれしか観たことがない。デビュー作のゴダール監督作をずーっと敬遠してきたけれど、そろそろ挑んでみたい。




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静かな生活

2023-06-26 | 映画(さ行)

◼️「静かな生活」(1995年・日本)

監督=伊丹十三
主演=佐伯日菜子 渡部篤郎 山崎努 柴田美保子 今井雅之 宮本信子

伊丹十三監督作で唯一観ていなかった「静かな生活」鑑賞。これにて伊丹十三監督作完走。

公開された95年の9月。東宝系映画館があったアーケード街では、印象的な緑色の看板や宣材がたくさん掲げられていたのを思い出す。他の監督作とは違って原作ものだったこと、障害者と家族の生活が描かれると聞いてこれまでのような伊丹十三の毒気が感じられないのではないかと思ったことが理由で、観ることをなんとなくスルーしていたのだ。

それはとんでもない思い違いだった。伊丹十三監督作は、映画のテーマにまつわる実情を巧みに脚本に取り入れるから、絵空事でない面白さがある。本作でもそれは然り。毒気とほっこりが同居する不思議な感覚がある。さらに予想外にエグい描写まで含まれる。

障害のあるイーヨーと妹マーちゃんの関係は、ほのぼのしたエピソードもあって観ていてほっこりする。イーヨー独特の言語センスが面白くて、周囲の人々がいろいろ気付かされる様子が楽しい。両親の留守中に二人の保護者代わりを務める音楽家夫婦とのやりとりは、ここばっかり観たいと思える。絶対音感とセンスを持つイーヨーが作曲した曲のネーミングをめぐるエピソードが楽しくって。

しかし。二人をめぐる周囲の人々や挿入されるエピソードのどす黒さは他の伊丹作品の比ではない。障害者であるだけで不審者扱いされたり、満員電車で倒れて女子中学生に罵られたり。イーヨーが好きなテレビのお天気お姉さんからは「あなたは素晴らしいけれど、私はどうしてもボランティアになっちゃう」と言われる切なさ。それは日常的な厳しさでもある。山崎努演ずる作家の父親も、障害者の犯罪を扱った新聞記事を読んで「イーヨーにも発散する場を設けないと」とか言い出す。正論かもしれないけど、息子をどう見てるのかと思うとイラッとする。そして子供たちを置いて外国暮らしを始める始末。

イーヨーが水泳を再び習い始めることになり、コーチを引き受けてくれた人物。これがかつてある事件をめぐって容疑者と疑われた人物で、作家である父とトラブルがあったらしい。そして映画後半、イーヨーとマーちゃんに危機が迫る。

伊丹十三作品にエロはつきものだが、今回は不快な描写が多い。「タンポポ」や「お葬式」のようにユーモアを感じるものではない。嫌がる幼女にしがみつく不審者、小説に登場する性暴力シーン。そのエグさは観ていてけっこうキツい。さらに後半、今井雅之の登場でサイコホラーにも似た展開になっていく。

総じて観ればハートウォームなところが残るし、そこに障害者をめぐる現状を観客に認識させる仕掛けもある。「イーヨーが健常だったら」と言うひと言に、「私たち家族はそんなふうに考えません」と自然に言い返すマーちゃん。誰もがこんなふうに思うことができたら素敵なのに。いろいろあった両親不在の生活を絵日記にしたマーちゃんは、タイトル何がいい?と尋ねる。イーヨーの答えは「静かな生活」。それは、望んだけど得られなかった生活なのか、いろいろありすぎた日々を皮肉るものなのか。この程度のことじゃ動じないという強さなのかもしれない。

最後にひと言。お天気お姉さん役、緒川たまきサイコー♡。






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マルサの女

2023-06-24 | 映画(ま行)

◼️「マルサの女」(1987年・日本)

監督=伊丹十三
主演=宮本信子 山崎努 津川雅彦 大地康雄 桜金造

伊丹十三監督の新作が毎年楽しみだった。それだけに亡くなった時はショックだった。監督第1作の「お葬式」観たのが高校卒業式の数日後。リアルタイムで観ている邦画の映画監督はたくさんいるけれど、こんなにハマった人はいない。「静かな生活」以外は全部観ている。「マルサの女」は大学時代。同時上映は吉永小百合主演「映画女優」。市川崑と伊丹十三の新作二本立てって、今思うとすごいな。

脱税を扱う映画なんて他に聞いたことないし、公開当時は自分がまだ納税者でもなかったから、本編に登場する脱税の手口、独特な登場人物たち、それに対抗する税務署の面々、そして大人の世界がただただ面白くって。税務署のお仕事映画としても、犯罪映画としても面白い。テレビで放送されるから、親に「これ面白いでぇ!」と伝えたら、ファーストシーンでいきなり老人がおっぱい吸ってるから、ドン引きされたっけ😅。

それからウン十年経って、ええ歳した社会人の目線でこの映画観ると、あの頃とは気になるポイントが違う。登場人物を深掘りしてしまうのだ。男性中心のあの時代にシングルマザーでハードワークをこなす板倉亮子。私生活は描かれないが物語の裏で辛いことあるんだろうな、と想像してしまう。それだけに権藤の息子太郎が叱られて家を飛び出す場面でのやり取りで感じる温かさは、公開当時の自分には十分に分からなかっただろな。架空名義の口座はないと言い張る銀行は悪として描かれるけれど、個人情報など難しいことが言われなかった時代のユルさ。「泣いて百万でも二百万でも助かるんならいくらでも泣いてやる」と伊東四朗が電柱に抱きついて泣く場面は、あの頃はただ笑ってたけれど、今ならその気持ちも分からんではないw。

そしてラストシーン。初めて観た時は、権藤が単に観念したんだと思っていた。けれど今観ると税をめぐっては対立する関係でありながらも、お互いを認め合っていることが無言でも感じられるのがいい。酒場に亮子が忘れていったハンカチを権藤が持っていて、それに血文字で番号を記して亮子に返す。あんたに一目置いている、息子のことで感謝している、でも自分を追い詰めた相手、暗証番号は教えるのは観念してるのだけど、些細な抵抗と別れのサイン。改めて台詞の少ないこのラストにシビれた。

本多俊之の有名なテーマ曲。5拍子に艶のあるソプラノサックス。





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プレデターズ

2023-06-22 | 映画(は行)

◼️「プレデターズ/Predators」(2010年・アメリカ)

監督=ニムロット・アーントル
主演=エイドリアン・ブロディ トファー・グレイス アリシー・ブラガ ウォルトン・ゴギンズ

ロバート・ロドリゲス製作の「プレデターズ」。複数形になったってことは、いっぱい出てきて襲ってくるのか…と「エイリアン2」と同じ覚悟で再生ボタンを押したら、次々と登場人物が降ってくる冒頭になんか心を掴まれてしまった。ふーん、面白いやん。

目覚めたら空を落下してきた彼らに共通するのは、殺しのプロフェッショナルであること。誰もこの密林に連れてこられた理由がわからない。そこが地球ではないことに気づいた彼らを、獰猛な動物そして透明な姿の敵が襲い始める。一人一人殺されていく中、奴らを倒すことができるのか。

途中一人加わったりしながらも、人数のカウントダウンがなされていく展開。なーるほど。これはロドリゲス流の「そして誰もいなくなった」なんだ。プレデターたちがこの惑星に彼らを呼んだ目的が次第に明らかになっていく面白さと、それぞれがどんな最期を迎えるのかが相乗効果でラストに向かって観客を引っ張っていく。日本のヤクザが突然サムライ魂に目覚めるのは笑ってしまったが、見事に敵を撃破するのは素晴らしい。世間の評価はイマイチだけど、意外とよくできている。

第1作へのリスペクトが随所に見られるのもいい。アクション映画向きとはちっとも思えないエイドリアン・ブロディだが、クライマックスの死闘はなかなかの迫力。




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プレデター2

2023-06-21 | 映画(は行)

◼️「プレデター2/Predator 2」(1990年・アメリカ)

監督=スティーブン・ホプキンス
主演=ダニー・グローヴァー ゲイリー・ビジー ルーベン・ブラデス マリア・コンチータ・アロンゾ

いきなり危機に陥り、得体の知れない生命体がどこから来たものか語られず、とにかく問答無用の第1作。数年後に製作された続編は、舞台を密林から大都会へ移す。残虐さが増している印象。わが家のプレデター祭り第2夜。なんじゃこりゃと観入っている長男と、顔をしかめたバイオレンス嫌いの父親がテレビの前で凍りつく。

特殊部隊の精鋭がズタボロにやられた第1作だっただけに、刑事が拳銃握ったくらいじゃ無理やろ。観ているこっちまでオロオロしながら見守るしかない。プレデター側の兵器は確実にパワーアップしてるみたいだし。

第2作の見どころは、謎でしかなかったプレデター側の素性が語られること。やつらの宇宙船が登場するクライマックスの死闘。これまで幾度も地球に飛来していることも明らかになる。中でも映画ファンをクスッとさせるのが、仕留めた相手の頭蓋骨を愛でるプレデターたちが、その成果を壁に飾ってる様子。ひときわ大きな頭の骨格、それってアレじゃん!これが後の「VS」として引き継がれることになるのかな。

製作されたのが「リーサル・ウェポン」の後の時期なので、ダニー・グローヴァーのとにかくしつこい刑事役はなんか安心できる。オレしか真相を知らないぜってラストが粋。





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大列車作戦

2023-06-19 | 映画(た行)

◼️「大列車作戦/The Train」(1964年・アメリカ)

監督=ジョン・フランケンハイマー
主演=バート・ランカスター ポール・スコフィールド ジャンヌ・モロー ミシェル・シモン

邦題で敬遠していた。「バルジ大作戦」や「特攻大作戦」みたいな男臭い軍人が活躍する映画だと思っていたからだ。

連合軍が迫り解放目前のパリから名画の数々がドイツに持ち去られようとしていた。プレタイトルで一人のドイツ将校がその絵画に執着しているのが示され、絵画を荷造りする様子、木箱に記される有名画家の名前が映される。絵を持ち去られないように列車を遅延させられないか、絵を守ることはできないかと訴えられた主人公とレジスタンス活動をする仲間たち。フランスの人々の命を守るために戦ってきて、多くの犠牲者を出してきた。絵のために命をかけられるか。主人公ラビッシュの本音はそこにある。しかし芸術品である名画の数々はフランスの誇りだからと言う仲間と共に危険を冒すことになる。

戦争の虚しさや人を狂気に陥らせる怖さを多くの映画で味わってきた。この映画で描かれる戦いは、決して無益なものではないだろう。しかしその為に払われる犠牲の大きさを前にして、僕らは言葉を失う。しかも列車に積まれた絵画の価値を知るドイツ将校に対して、立ち向かうフランスの人々はその絵の価値は知る由もなく、見たことすらない。自分たちが守ろうとしているものは、本当に命を賭けるべきものなのか。主人公ラビッシュは葛藤を抱えながら、計画を実行するのだ。その矛盾を突きつけられるクライマックス。失われた命の為に主人公は引き金を引く。無言のラストシーンが強烈に胸に迫る、すげえ映画だ。

列車が衝突シーンもトリックなしの本物で撮影されているから迫力が違う。埃や土砂が舞い上がって被写体を遮りそうだが、これだけの映像を収めることができたのは監督初めスタッフの執念。ドイツ軍を欺く鉄道職員の連携プレイはハラハラするが、見ていて痛快。しかしエンターテイメントに徹してはおらず、次々と犠牲が増えていく様子は、戦争の醜さを真正面から捉えている。

何のために戦うのか。執念の物語。
「英雄ぶって死ぬだけの男はバカだ」
ジャンヌ・モローの言葉が心に残る。フランケンハイマー監督はとにかくハードな男のドラマというイメージ。「大列車作戦」は、そこに反戦の強いメッセージが添えられた名作だ。





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逃げきれた夢

2023-06-17 | 映画(な行)

◼️「逃げきれた夢」(2023年・日本)

監督=二ノ宮隆太郎
主演=光石研 吉本実憂 工藤遥 松重豊

この映画のラストシーン。スクリーンの向こうから次の言葉が発せられるのを注目しながら待つ、無言の時間がある。劇伴なし、流れるのは日常音だけ。画面には主演の二人に向けられたカメラが真っ直ぐに表情を捉える。気の短い観客なら「なんか言わんかい」と口にしたくなる長さ。でも言葉を発する前のふっと変わる表情一つ一つにも気持ちが込もってる。このシーンを演技の"間"だと言うのならそうだろう。実生活でも口ごもる相手を前にして気まずくなる瞬間ってたまにあるけれど、それをスクリーンを通して感じるなんて。こんな緊張を味わう映画、他に何かあっただろうか。

現実からしばし逃避しようと映画館に行ったのに、この映画には自分と地続きの現実がたくさん散りばめられている。ちっとも逃避できなかった。それはロケ地の風景を見慣れているのはもちろんだ(背景が気になって時々映画に集中できなくなるw)が、それだけではなかった。光石研演ずる主人公を、俺とは違うと思いながら観ていたはずなのに、どうも"自分"がチラついてしまうのだ。主人公の様に忘れてしまう病気でも今のところないし、家族ともそれなりの関係は維持してる。だけど、この冴えない主人公のダサさに共感できる何かがある。

妻と子供に「ご苦労様くらい言えんか?」と悪態をつく場面。ダッセェなぁ、んなこと言わなきゃいいのに…と思う。けれども、その後すぐに卑屈になるのを見て、結局誰かに自分を認めて欲しいんだろうな、なんかわかるな…とおっさんの悲哀を感じてしまう。松重豊演ずる幼馴染と呑む場面でも、なかなか本当に言いたいことが言えない。カッコつける必要もないのに…と思いながらも、自分が抱えている不安な気持ちを打ち明けられない。それを見透かされて自分勝手と言われてムキになる。ダサい。でも、なんかわかるのだ。

"自分"がチラつくのは、僕がセンセイと名がつくお仕事やってた時期があるのも理由。主人公末永の職業は定時制高校の教頭。学校で日々接していた生徒たちの方が、家族よりも自分を理解してくれるのでは、という淡い思いがあるのだろう。それなりに生徒思いでいい事も言う。吉本実憂演ずる卒業生の平賀からも
「"そのままでいい"って、あの時言ってくれて、救われました。」
って言われるんだもの。でも生徒が自分の理解者かというとそれは別な問題で、本当に淡い期待でしかない。映画のクライマックスではキツい言い方もされる始末。例えが悪いかもしれないけど、「バトル・ロワイヤル」のラスト、北野武先生が抱いていた偏った気持ちにどっか通じる気がする。寂しいけど、それは現実。

主人公がこれまで自分がまとってきたいろんなものから、少しずつ自由になっていくんだろう。職業柄、相手を励ます言葉を口にしてきただろうけど、一方で相手を肯定する言い方しかできず、本音を口にすることはできなかったのかもしれない。「海外で暮らしたい」と言う平賀の言葉をきっちり否定するラストシーン。不器用な先生が口にできた精一杯かも。でもそそれまでの自分からは発し得なかったひと言なのではなかろうか。

気にしちゃいけないんだけど、見慣れた背景がある映画は地理情報がどうしても気になって仕方ない(笑)。
黒崎を歩く→
戸畑のお店でコーヒー→
喫茶店を出たら若松!😆
でもいい場所を選んでるからいい雰囲気なのだ。この映画のロケ地選び、北九州のランドマークを外して、様々な日常的風景をにしているところも面白い。松重豊とのコテコテの会話。「病院跡地のホールが…」「しゃーしぃー」こんなローカルな会話の映画がカンヌ映画祭で上映されたのかと思うと、ちょっと面白い🤣。





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竹取物語

2023-06-16 | 映画(た行)

◼️「竹取物語」(1987年・日本)

監督=市川崑
主演=沢口靖子 三船敏郎 若尾文子 中井貴一

市川崑監督というと、80年代育ちの僕は横溝正史ものか文芸ものを連想してしまう。でもそれらはテレビで観たものばかりで、初めて映画館で観た市川作品はこの「竹取物語」だった。かぐや姫の物語がどのように映像化されるのか楽しみで、アーケード街にある映画館に向かった。

当時の僕は、市川崑映画の光の使い方、陰影の感じがすごく気になっていたようで、当時の鑑賞メモに、偉そうにそんなことが書いてある。なんかの映画評論読んで感化されたんだろう。また監督作である「細雪」のイメージから、谷崎潤一郎作品と言えば「陰翳礼讃」、市川映画の光と陰って発想だったのかも。映画前半は三船敏郎演ずる翁の家に差し込む逆光の感じが印象深い。対して後半は、日本映画にしては派手めの特撮に目を奪われてしまった。

映画のクライマックスに現れるのは、「未知との遭遇」を思わせる巨大なマザーシップ。これまでの東宝特撮映画にはなかった、日本風なデザインの宇宙船だった。一方で、竜の首の玉を取りに向かった貴族が遭遇する、巨大な竜は、キングギドラかマンダを思わせた。この特撮の派手さが、竹取物語の本筋である出会いと別れのドラマを曇らせていたようにも思う。

三船敏郎、若尾文子の大御所が竹取の翁とその妻。かぐや姫は東宝シンデレラ、沢口靖子。どこか目の前の物事を達観してるような眼差しが、この世の人でない雰囲気を感じさせる。また、どこか周囲に溶け込まないヒロイン像(ディスってませんよ。「科捜研」でも沢口靖子ってそういう感じじゃん😜)は、映画後半の姫の戸惑いにマッチしていた気もする。帝役は石坂浩二、他にもコント山口君と竹田君、春風亭小朝、伊東四郎など芸達者も多数出演。また、平成ゴジラの超能力少女、小高恵美は本作がデビュー。オリジナルのキャラクターを演じている。

ほぼ「E.T.」やん!と言いたくなるラストに多少興ざめするが、それを補ってくれるのがピーター・セテラが歌う主題歌Stay With Me。洋楽好きはこのバラード曲でなんか許せた気持ちになってしまう。日本古来の情緒ある物語には、いろいろミスマッチなものが散りばめられているが、それも80年代らしいのかも。




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