Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

1月のBGM

2010-01-31 | 音楽
2010年1月に聴いていた愛すべき音楽たち。

①The Fall/Norah Jones
ノラちゃん、殻を破りたかったのかなぁ。ブルーノートレーベルから、ポップスアルバムを出すなんて。デビューした頃の突き抜けたカッコよさはないけど、リラックスして聴ける大人のポップスに仕上がっている。進みそうで進まないお仕事やら何やら、通勤中に聴くノラの歌声で癒されてたりする。ある日帰りに聴いたら・・・おっと、癒されすぎて降りるバス停乗り過ごしちゃった。
ザ・フォール

②Merry Christmas, Melody/飯島真理
飯島真理がオリジナルとスタンダードのクリスマスソングを歌ったミニアルバム。昨年のクリスマスシーズンにiTunesのベスト10にランクイン!。これにはびっくりして思わずダウンロードしました。ポール・マッカートニーのWonderful ChristmasやビーチボーイズのLittle Saint Nickのカヴァーも収められております。季節外れとわかっていながらも年明けも聴き続けておりました(恥)。真理たんのヴォーカルやっぱり好き。


③深愛/水樹奈々
年末年始にアニソン番組をあれやこれや興味本位で見た。楽曲が使われたアニメを全く知らないのだが、近頃こういう人々がアニメ主題歌歌ってるんだなぁ・・・と向学心(?)。紅白のせいもあるのだが・・・ヤバい。今年は水樹奈々にハマりそうな予感がする。「深愛」を近頃ずーっとリピートしている。いや、何度聴いても飽きない。妙に歌謡曲ぽい雰囲気、サビ前の強引な転調、起伏のあるメロディーライン、そしてヴォーカル上手い!。久々に聴き惚れてしまった。血迷ってカラオケで歌ったらゴメン。え?ルックスが好みなんだろって?。
深愛

=おまけ=
アニソン番組を見ていて。
配偶者M「ねぇねぇ。」
tak「何だよ。」
配偶者M「職場でカラオケ行ったとき用に、新しいネタが欲しいのよね。」
tak「何でも歌えばいいじゃん。」
配偶者M「さっきから流れてる「創聖のアクエリオン」ってさ、なんか私に合いそうな気がするのよね。」
tak「えらい自信だな。これ難しいだろ。」
配偶者M「携帯で聴けるようにしといてよ。」
tak「へ?」
配偶者M「それとさ。」
tak「何?」
配偶者M「絢香のWINDING ROADをハモれるようにしといて。」
tak「俺が?」

④ayaka's history 2006-2009/絢香
年末の紅白見ててウルウルきてしまったのは、なんと言っても絢香。熱唱とはこういうことを言うのです。デビュー曲のI believe(カラオケよく歌います)からお気に入りではあっただけに、活動休止は実に残念。お若いのにソングライティングもヴォーカルも僕ら世代をも唸らせる実力。そこらへんんとポッと出のシンガーとは比べもんになりまへん。
ayaka's History 2006-2009

ブログランキング・にほんブログ村へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

虎の牙

2010-01-24 | 読書
うちのルーク・スカイウォーカー(11歳)は読書好きな子供だが、読むスピードがハンパじゃない。
アナキンtak「早く読み過ぎて内容はよくわかってないんじゃない?」
ルーク「そんなことないよ。」
確かに後で内容について質問してもちゃんとわかっている。おまけに大人が読むような文庫本も抵抗なく読んでいたりする。文学少年なんだろか。
ルーク「ちち(注・ちちと呼ばれている)「バッテリー」の続き借りるよ。」
アナキンtak「え?あ、ああ(・・・もう読んだの?)」
「涼宮ハルヒの憂鬱」(原作)も読破した。高校生が読むようなライトノベルも平気なようだ。気づくとハルヒの続編は僕の部屋から消えていた。ついでに「火の鳥」「三つ目がとおる」「パタリロ西遊記」もなくなっている・・・。おい。

そんなルークが図書館から借りてきた本。久々のモーリス・ルブラン。
虎の牙    怪盗ルパン 文庫版第12巻虎の牙 怪盗ルパン 文庫版第12巻
Maurice Leblanc

ポプラ社 2005-02
売り上げランキング : 320138

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 アルセーヌ・ルパンのシリーズ中でも長編だそうだが、南洋一郎氏の文章は子供向きになおされている。遺産相続をめぐる連続殺人事件の謎をルパンが追うミステリー。ルパン本人も最後の相続順位の人物となっており、容疑もかかる中、彼は大活躍をみせる。容疑者が次々と謎の死を遂げていき、ルパンは別の真犯人が人を操っているものだと考えるようになる。第一次世界大戦中にルパンが何をしていたのか、国家とルパンの関係が物語のスケールを大きくしている。子供向け冒険小説版とはいえ、ぐいぐい読者を引き込むが魅力ある。解説によると、1920年代に映画化されているだけでなく、多くの作家にも影響を与えているんだとか。横溝正史の「本陣殺人事件」はこれをベースに書かれており、エラリー・クイーン「Yの悲劇」などでも「虎の牙」のエピソードが使われているそうな。

ルークは以前にも怪盗ルパンものを借りてきていた時期がある(こちら)。今回のこれもきっと満足するに違いない。・・・って、ルークが寝てる間に拝借して読んでたから、親の僕が先に読み終わってるんですが。はい。

ブログランキング・にほんブログ村へ
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

2010-01-23 | 映画(ま行)

■「マイケル・ジャクソン THIS IS IT/This Is It」(2009年・アメリカ)
監督=ケニー・オルテガ
出演=マイケル・ジャクソン

 2009年6月に急死したマイケル・ジャクソン(僕の追悼記事はこちら)。彼の音楽的な冒険心は人種を越えて世界中の人々から支持された。僕ら世代はそれをリアルタイムで見てきた。Beat ItやThrillerのPVは何度目にしたかわからないし、世間でこれを聴いたことのない人なんていないだろ?と思えるくらいに巷で流れ続けていた。目が覚めるようなキレのあるダンス、黒人音楽なのにファンクぽくもリズムがハネてもいないアレンジは万人に受け入れられた部分なのだろうと思うのだ。

 死の直前、ロンドン公演が予定されていた。このドキュメンタリー映画はそのリハーサルをマイケルが私的にフィルムに残していたもの。ステージやPVではわからないマイケルの音楽に対する姿勢が伝わってくる。コンサートのリハーサルというとどうしてもぶつかり合いがあるものだ。コーラスでもバンドでも音楽やったことのある人なら経験があるはず。「あいつが音を外すから悪い。いい加減にしろ。」「オレはこう演奏したいんだよ。」「それ違うだろ、どうしてわからないんだよ。」そんな会話は幾度となく飛び交う。ところが、マイケルのリハーサルにはそれがない。演奏は熱が入っているし、ダンサーとの掛け合いも多い。あれだけのショウを作っていくならぶつかり合いもありそうなのに、それがない。
「僕はショウをよくしたいだけなんだ。これは怒ってるんじゃない。愛だよ、愛。L・O・V・Eだよ。」
マイケルはこう言う。そして必ずミュージシャンやダンサーの労をねぎらうし、彼らに感謝や祝福をする。威張ってるビッグスタアではない。もちろん要求されることはレベルが高い。オリジナルを再現できるように演奏することが最低限の基準で、そこからライブ用に手を加えていく。そんな要求に応えるミュージシャンもダンサーは、マイケルを心からリスペクトしている。彼だから故だ。これを人徳と言わずして、何と言おう。ネットでも話題になっている女性ギタリスト(カッコいい!)のソロでは駆け寄って、「君が輝く時だ!」と激励。I Just Can't Stop Loving Youでデュエットする女性シンガーにも見せ場を用意してあげる。周りを動かしたかったら周りを気持ちよくすることだ。ビジネスシーンでもそれは常々思うことだが、これはそれをうまくやっている実例だろう。近頃の職場でのお悩みがあるからなおさらそう感じるのかもしれないが・・・(あ、仕事の話はこのくらいに・汗)。

 そして環境問題についてマイケルが心を痛めていたことが、この映画ではとても強調されている。それは彼が伝えたかったメッセージだ。エンドクレジットで流れるHeal The Worldには泣きそうになった。思わず僕は一緒に歌っていた。ゴシップばかりが先行する報道が、特に日本では食わず嫌いを増やしていたのではないか。音楽をきちんと評価されるべき。この映画のヒットで、多くの食わず嫌いがマイケルをきちんと理解することになったはずだ。改めて、偉大な人を亡くしたことを僕らは思う。

マイケル・ジャクソン THIS IS IT(特製ブックレット付き) [Blu-ray]マイケル・ジャクソン THIS IS IT(特製ブックレット付き) [Blu-ray]

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2010-01-27
売り上げランキング : 2

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ブログランキング・にほんブログ村へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

追悼 エリック・ロメール

2010-01-21 | 映画・ビデオ
1月11日にフランスの映画監督エリック・ロメールが亡くなった。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0112/TKY201001120083.html

そういえば、この監督の映画ってあんまり観たことがない。
記憶しているのは2本だけ。

初めて観たのは「緑の光線」。
エリック・ロメール コレクション 緑の光線 [DVD]

陽が沈むときに一瞬見えるという緑色の光。これを愛する人と見たいという願いを持った女性の物語。ヴァカンスを一人で過ごす孤独。ラストシーンだけはよーく覚えています。緑色の光、よくわからなかった(泣)。

もう1本は大分のシネマ5で観た「獅子座」。
獅子座 [DVD]
1959年の作品。「緑の光線」と同様にヴァカンスを一人で過ごすことになった、こちらは男が主人公。金もなく家にも戻れなくて、パリをひたすらさまよい歩く映画。これは淡々と流れる時間の中にユーモアがあって、面白い映画だった。

興味はあったんだけど、なかなか観る機会がなくて。
「海辺のポーリーヌ」あたりから観てみようかな。
お勧めがあったら誰か教えてくらはい。


ブログランキング・にほんブログ村へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最初に観た映画はなぁに?

2010-01-20 | 映画・ビデオ
ネット仲良しの乙さんのブログで「最初に観た映画はなぁに?」という記事が。
面白そうなので僕も思い出してみた。

■最初に劇場で観た映画って何?
「劇場」の定義が僕の場合ちと微妙なのですが、

大スクリーンで観たということならば多分・・・
「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」
ガメラ対宇宙怪獣バイラス [DVD]
大分文化会館で行われた子供向けのイベントか何かで観た記憶がある。

映画館ということになると・・・うっすらとした記憶だけど
初代「仮面ライダー」の劇場版
仮面ライダー VOL.1 [DVD]
大分市の若草公園付近に当時あった映画館で
「東映まんがまつり」を観たような記憶があるけれど・・・間違いかも。

まんがを除いて映画館で観たことをきちんと記憶しているのは
「モスラ」「緯度0作戦」「長嶋茂雄栄光の背番号3」の3本立て。
モスラ [DVD]緯度0大作戦 [DVD]

初めて一人で映画館に行ったのは・・・
「キングコング対ゴジラ」
キングコング対ゴジラ [DVD]
・・・ここまで書いてきて、僕って特撮映画で大きくなったのだと再認識。

■初めて友達と映画館で観た映画は・・・
「サーキットの狼」の実写版
サーキットの狼 [DVD]
スーパーカー見たさに映画館へ。正直なところたいして面白くもなかった。
子門真人の主題歌が忘れられないなぁ。
同時上映の「トラック野郎 度胸一番星」の方が断然面白かった。
トラック野郎 度胸一番星 [DVD]
片平なぎさの水着姿にクラクラしました(汗)。

その後くらいだったか。母親と映画館に行ったことがある。
チャップリンのリバイバル 「黄金狂時代」と「モダンタイムス」の2本立て。
黄金狂時代 コレクターズ・エディション [DVD]

そしてこの後が「スターウォーズ」かな。
スター・ウォーズ 新たなる希望(エピソードIV) (リミテッド・エディション2枚組) [DVD]
ここからが僕の映画ファン歴のルーツ・・・結局特撮じゃん(汗)。

■女の子と初めて二人で観た映画は・・・
「フランス軍中尉の女」
フランス軍中尉の女 [MGMライオン・キャンペーン] [DVD]
メリル・ストリープ主演作だから観たかった(おマセ)。
一人で行くつもりだったのに、女の子と二人で観ることに・・・。
「tak君って難しい映画観るのね。でも意外と面白かったわ。」

そしてその娘とは「ビッグ・ウェンズデー」のリバイバルや「E.T.」を一緒に観たっけ。

ブログランキング・にほんブログ村へ
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラスト・コンサート

2010-01-17 | 映画(ら行)

■「ラスト・コンサート/The Last Concert (Dedicato A Una Stella)」(1976年・イタリア=日本)

監督=ルイジ・コッツィ
主演=リチャード・ジョンソン パメラ・ヴィロレッジ リカルド・クッチョーラ マリア・アントニエッタ

 この映画は公開当時「泣ける!」とやたら評判になっていたのをうっすらと覚えている(何せ小学校高学年だったからなぁ)。NHKFMの映画音楽番組でこの主題曲を聴いたときに、いい曲だけど、映画は「難病もの」で悲しいお話と聞いているのに、妙に明るい曲だなぁ・・・と違和感を感じたものだった。以来、観る機会がずーっとなかったが、TSUTAYAの100円レンタルの棚にあった・・・。思わず借りてしまった。

 いやぁ・・・40歳過ぎた男子がこれを観ると、パメラ・ヴィロレッジがマジで天使に見える!(笑)。挫折して落ちぶれた音楽家リチャードが、偶然知り合った17歳の女の子ステラ。彼女は白血病に冒されて余命数ヶ月・・・。彼女は屈託のない笑顔で、彼に近づいてきた。よくしゃべるしつこい小娘を、最初はうっとおしく思ったが、次第に二人はお互いに欠かせない存在になっていく。なついてきた野良猫を追い払うみたいに、「私はこっちに行く。おまえはあっちに行け。」と言うリチャードのあしらい方が面白い。そしてステラの励ましでリチャードは自身の作品で演奏会を開くことに。ところが、ステラには確実に病魔が迫っている。

 二人の登場人物に絞れるだけ絞ったストーリーの展開で、他の登場人物はほとんど絡まない。しかも二人の心情を表現するために、今の映画ならグッとくる粋な台詞を並べ立てるところなんだろうけど、この映画で語られる愛の言葉は必要最小限。そんな行間を埋めるように、二人の表情が無言で愛を伝えている。探していた父親を見つけ出したステラが、子供と戯れる姿を見て何も言えずに立ち去る場面(ここも一切台詞なし)。そしてその後暗い道で、ステラを待っていたリチャードのはにかんだ笑顔が実にいい。その後の展開も台詞は極めて少なく、映像で心情を読み取る演出。リチャードからの電話に出ずに黙って立ち去ろうとするステラ。くーっ、なんて健気なんだ。今ドキいるのか、こんな17歳。

 この映画は日本の資本で製作されている映画。日本人って「難病もの」に弱い。特に70年代がそうだった気がする(「赤い」シリーズのせい?)。でも単なる難病・悲恋ではなくて、残されたリチャードにしっかりと愛と希望を託しているから、ラストシーンは悲しくも美しい。撮影当時リチャード・ジョンソンは40代後半だったそうだ。そんな彼が笑顔の素敵な女の子に励まされ、叱咤され、立ち直るストーリーは、なーんか中年男である僕らに勇気をくれるし、夢をくれるよね(こら)。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

火天の城

2010-01-12 | 映画(か行)

■「火天の城」(2009年・日本)

監督=田中光敏
主演=西田敏行 福田沙紀 椎名桔平 大竹しのぶ 寺島進

 織田信長が琵琶湖のほとりに築城を命じて建築されたのが安土城。築城に関わった宮大工岡部又右衛門を主人公に、彼を支えた家族・門下の弟子、そして当時の政治状況を絡めた人間ドラマが本作である。素直な感想は、信念を持って行動する男ってかっこいい・・・ということ。多少の物足りなさはあるけれど、よい台詞がきちんと残る映画だった。

 信長を演ずるのは椎名桔平。信長俳優でベストというと渡哲也か藤岡弘(どちらも大河ですが・・・)と思っていたが、椎名信長は野心に満ちあふれた血の気の多さがよく出ていてナイス。西欧かぶれの信長が教会のような高い天井や吹き抜けに拘っていた。城の設計については指図争い(設計コンペですな)が行われるのだが、又右衛門は自分の信念を貫いて異議を唱え、信長を納得させてしまう。さらに、城を支える通し柱で使う木曾檜の巨木を手に入れる為に、敵陣の領内に単身乗り込んでいくエピソード。これには信念を貫く男の姿に、心底すごい人だったんだ・・・と思わざるを得ない。

 その又右衛門の仕事を支えたのが、家族や一門の人々。大竹しのぶ演ずる妻は、常に笑顔を絶やさずに夫を支える。「おなごが笑わぬ家に日は昇らぬ」と父親に教えられた妻は最期まで笑顔を絶やさない。これもまた信念。弟子の一人である寺島進(好助演!)が若いもんに「お前は不器用だ。でも不器用である者は上手くなるために工夫をする。工夫をするから立派になれる。」という趣旨のことを、自分も師匠から言われたと励ます場面も素晴らしい。この二つの台詞は、是非使わせてもらおうと思った。メモメモ。

 映画の後半、映画はややトーンダウンする。巨石を運び上げようとする際に、刺客に襲われる見せ場。落ちてくる巨石のあからさまなCGと、山本太郎君の純なる愛情もちょっと唐突な印象がぬぐえない。ラストのヒロイン福田沙紀チャンに都合のよい展開にしても、やたら都合よく感じられてしまうのがねぇ・・・。原作もこうなのだろうか。それでも多くの人々の手で柱の手直しがなされるクライマックスは、力の入るいい場面だった。欲を言えば、完成した安土城を誇らしく見つめる又右衛門の姿が見たかったかな。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リミッツ・オブ・コントロール

2010-01-10 | 映画(ら行)

■「リミッツ・オブ・コントロール」(2009年・スペイン=アメリカ=日本)

監督=ジム・ジャームッシュ
主演=イザック・ド・バンコレ ティルダ・スウィントン 工藤夕貴 ジョン・ハート ガエル・ガルシア・ベルナル ビル・マーレイ

 好き嫌いがはっきりと分かれる映画だ。殺し屋と思われる主人公が「自分こそが偉大だと思っているヤツを墓場に葬れ」との指令を受けて、スペイン中を移動し続けるロードムービー。殺し屋にも「待つ」という日常がある以上、淡々と日々が過ぎていくこともあるだろう。この映画はその「待つ」様子を2時間綴っていく。マッチ箱に入った指令が届いて、2杯のエスプレッソ飲んで、ホテルで寝て、朝の太極拳・・・。延々とそれが繰り返される。おそらく嫌いな人にはとんでもなく退屈な映画だろうし、その訳がわからない中にかっこよさを見つけ出す人も一方ではいることだろう。僕は・・・どちらかと言えば後者だった。

 僕はジャームッシュ監督作品は「ミステリートレイン」しか観たことがない。だからこの映画がジャームッシュの集大成みたいに宣伝されているのが、ピンとこなかった。彼の作風を理解している訳ではないにせよ、この映画はストーリーを読み取るよりも、あるがままに受け入れて解釈をする映画だと思う。文章で言うならば、詳細に書かれた説明文を読むのではなく、「詩」を読んでいる感覚だ。しかも韻を踏みまくって、それぞれの節が少しずつ変化しているような定型詩。エスプレッソ、太極拳、ベッドでごろ寝が「韻」ならば、主人公の前に現れるエージェントらしき登場人物たちが「節の変化」だ。エージェントたちが好き勝手に彼に語る言葉は、ジャームッシュの芸術論や人生観なのかもしれない。美術館で主人公が見つめる絵画の一つ一つにも隠喩みたいなものが含まれているのだろう。それに明快な答えを導き出すことは僕にはできないけれど、そこに込められたであろう監督のこだわりは感じることができる。

 「想像力を使え」と最初に言われる。部屋で待っている全裸の女性とか「男の願望」(裸に透明レインコート!エッチでしたねぇ♪)なのかもしれないし、標的であるビル・マーレイのアジトに潜入するラストのあっけなさも「想像」故なんだろうし。理屈で語れないのがこの映画の特徴だし、魅力でもある。そこを受け入れられるかどうかが好き嫌いになるのでしょうな。最後の最後まで、マッチ箱のメッセージをエスプレッソで飲み込んでいるのは何故?あれはコインロッカーの暗唱番号か何かなんだろうか。日本のバンドであるボリスが演奏するスコアも印象的。純白の衣装を着たティルダ・スウィントンが語る映画論も興味深い。

ブログランキング・にほんブログ村へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2000年代を振り返る

2010-01-09 | 映画・ビデオ
 さて、今年最初のシリーズ「10選」は、
「takに影響を与えちゃった2000年代重要映画10選」
毎年「tak's Movie Awards」を選出しています。が、個人的な思い入れよりは、映画としての仕上がりを重視してしまいがち。それで今回は、クリエイティブ・マインドを刺激されたとか、この女優さんに恋してしましましたとか、変にハマりましたとか・・・。自分にとっての影響度の高かったものを選びました。

雑誌「映画秘宝」でもゼロ年代ベストテンが特集されておりました。
映画秘宝 2010年 02月号 [雑誌]表紙の「キル・ビル」しょこたん素敵です。

■「裸足の1500マイル」(2002年)
■「グッバイ、レーニン!」(2003年)
僕は2002年から「映画授業」なるものをやらせてもらいました。「ヴァーチャル社会見学」の目的で、映画を通じて世の中の現実や社会問題に目を向けてもらおう!という授業。その数年間(+今年やってます)この試みをやるにあたって原動力となった映画。オーストラリアの「白豪主義政策」を描いた「裸足の~」は、”我々は現代史を学ばねばいけない”と強く思わせてくれました。「グッバイ~」は政治と関係なしに人間は強く生きていることに感動しました。
裸足の1500マイル [DVD]グッバイ、レーニン! [DVD]

■「スターウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年)
中学3年で映画の魅力にどっぷりとハマって映画ファン歴30年目となりますが、そこまでバカになったのは小学生の時に観た「スターウォーズ」がすべての原因。ここに込められた様々な映画のオマージュを知り尽くしたい!と思った少年の心が今でも燻っているのです。となればシリーズ完結となるこの映画は、涙なくしては観られなかった。「俺はこれを観るために今まで映画を見続けてきたんだよな」と映画館の暗闇で放心状態に。そしてこんな行動までとっちゃったし(恥)。
スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐 [DVD]

■「アメリ」(2001年)
「女優で映画観る人だもんね」と不純な映画ファンであるかのように言われる私ですが、ゼロ年代で最も恋してしまった女優さん・・・。ニコールもスカーレットもペネロペも・・・と節操がありませんが(汗)、スクリーンに向かったのがマジで恋する5秒前になったのはオドレイ・トトゥ。ジュネ監督の映画自体は「デリカテッセン」以来大好きですが、「アメリ」には参りました。DVDすぐに買いました。
アメリ [Blu-ray]

■「キル・ビル」(2003年)
ルーツを知り尽くしたい!という欲望に再び火をつけた映画と言えば、何をさておいてもこれ。映画バカの鑑タランティーノの映画愛が炸裂するバイオレンスムービー。暴力映画が大嫌いな癖にそこに込められた映画愛が勝って、「キル・ビル」だけは愛さずにいられない。結局、自分の本家HPでここまでやっちゃったもんね(汗)。「ヨーロッパ映画好きのくせに、どうしてタランティーノが好きなんですか!?」とよく言われるのです。
キル・ビル Vol.1 (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第2弾) [DVD]

■「ラブソングができるまで」(2006年)
■「マイ・ブルーベリー・ナイツ」(2007年)
「恋愛映画にドキドキすることが・・・まだできるんだ、オレ!」と自分を振り返ることができたのは、この映画たちのお陰。「花様年華」や「エターナル・サンシャイン」(大傑作)でもそれは思ったけれど、映画館を出た後まで余韻が冷めなかったのはこの2本。「ラブソングができるまで」は僕にとっては恋愛映画の理想型。そう思えたのは「恋人たちの予感」以来かも。
ラブソングができるまで 特別版 [DVD]
そして「マイ・ブルーベリー・ナイツ」はリピーターとなり、さらにサントラを毎日のように聴き続けて追体験。映画史に残るキスシーン・・・くーっ!思い出しても身悶えしそう(バカ)。こういう映画が「いい!」と言える自分、まだまだイケてます(恥)。
マイ・ブルーベリー・ナイツ [DVD]

■「あの頃ペニーレインと」(2000年)
■「パイレーツ・ロック」(2009年)
ゼロ年代に気に入った映画たちは、ロック映画が多い。「スクール・オブ・ロック」「アイデン&ティティ」「ONCE ダブリンの街角で」「リトル・ダンサー」「バニラ・スカイ」・・・。音楽なしには生きていけない!とマジで思うことがとても多い10年間だった気がする。ケイト・ハドソン演ずるペニーレインは、僕に音楽への思いを再びアツくさせてくれたバックステージの女神。音楽ってのは演奏する側だけのものじゃない。そこに関わるいろんな人々が、ロックンロールを支えている。それはラジオの前のリスナーだったり、マイクに向かうDJだったり、バレエを禁じられても体が動いちゃう炭坑町の少年だったり、彼女に音楽的な啓示を受ける冴えないロック歌手だったり。
あの頃ペニー・レインと 特別編集版 [Blu-ray]

■「機動戦士Zガンダム 星を継ぐもの」(2005年)
僕は一人で映画館に行くのが普通だった。しかしこの映画を職場の仲間と行ったことから「映画鑑賞部」に発展。現在も仲間と映画館に行って、感動を共有するという素敵なことが続けられている。仲間に感謝。ゼロ年代はアニメも夢中になってあれこれ観たなぁ。
ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-<2010年07月23日までの期間限定生産> [DVD]

・・・という訳で、年間ベストとは異なる影響度から10本選んでみました。これを観なかったら行動が変わったというものばかり。10年代も素敵な映画に出会いたいものです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1Q84

2010-01-06 | 読書
1Q84 BOOK 11Q84 BOOK 2
やっとBOOK2を読み終わりました。

 僕は社会人になった頃から村上春樹を読み始めた。大学時代に「ノルウェイの森」が大ヒットしていて周囲の友人も読んでいた。でも根っから天の邪鬼なもんで、すぐに手を出そうとは思わなかった。社会人になって、何故だかふと「風の歌を聴け」が読みたくなり、発表順に読み始めて夢中になる。僕は村上春樹の小説にあるどことなくおセンチなムードに酔わされる感覚が好き。どこか世の中を冷めた一歩引いたところで眺めつつ、追求していくテーマはあくまで自分の”内側”にある。そして音楽や日常を独特のタッチで書くエッセイがこれまた好きだった。

 デビュー作である「風の歌を聴け」では、劇中登場人物の鼠が書く小説が出てくる。セックスシーンがなくて、人が死なない小説。主人公「僕」はそれを評価している。初期の村上作品はまさにそれだった。だが「ノルウェイの森」あたりからそれは変化を遂げていく。自己に対する愛だけでなく性愛についても描かれるようになってくる。そしてやたらと人が死ぬ話が多くなっていく。時代のせいかもしれないし、人を語る上で避けられないものだからかもしれない。

 長編「1Q84」は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」や「ねじまき鳥クロニクル」「海辺のカフカ」などの長編と似通った構成をもっている。だがこれまでの小説とは違う。あくまでテーマが”自分探し”だったものが、「1Q84」では、常に行動を伴って外側に向かっていくところだ。そこには他人とのつながりが描かれている。主人公が常に孤独に自分の内なる不安と戦っていくお話とはそこが異なるのだ。物語はまだまだ謎が多いだけに、これから先が楽しみだ。

 ところで、小説の冒頭に出てくるヤナーチェックの「シンフォニエッタ」というクラシック曲。オープニングのファンファーレ部分。
Leoš Janáček, Sinfonietta

あれ?どっかで聴いたことがある・・・と思った。これだ。これだ。
EMERSON LAKE & PALMER (ELP) - Knife Edge


BOOK3が待ち遠しい。つーか、「これを肴に村上春樹ナイトをやろ?」って言ったら僕の周囲の人間は何人手を挙げてくれるのだろうか。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする