Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

人のセックスを笑うな

2021-12-30 | 映画(は行)





◼️「人のセックスを笑うな」(2007年・日本)

監督=井口奈己
主演=松山ケンイチ 永作博美 蒼井優 忍成修吾

永作博美大好きで、松山ケンイチ大嫌いなもので、実はこの映画を観るのをずーっと避けてきた。この二人がイチャイチャする場面がある映画を観るなんて拷問だよ。好きな女の子から自分が知ってる男との遍歴を聞かされるくらいに耐えられないに違いない!と公開当時思っていた(考えすぎです)。やっと観る気になった。

井口奈己監督、なかなかカットと言わずに長回しが好きな人とは聞いていたけれど、これ程とは。低めにでーんとカメラを据えて、奥行きがある遠景。遠くに向かって連なる電信柱、大学校舎の廊下、とキューブリックも大好きな一点消去の構図。そこに長回しで役者の演技が刻まれる。用意された台詞が終わった後もカットがかからないから、かなりのアドリブが要求されて役者の自然な様子が引き出されたと聞く。なーるほど、実際に観てみると納得できる。川辺の道をユリが歌いながら自転車で遠ざかる場面にしても、ユリとみるめのイチャイチャも、二人でエアマットに空気を吹き込む場面にしても、最後の方はもうノリでやってるのがよくわかる。それだけに自然。一方、カメラが動く時は被写体と並行して動く。

歳上女性に夢中になって翻弄される主人公を、途中までざまあみろと思いながら観ていたけど、無言の切ないラストシーンでちょっと許せる気になった(何様?ww)。蒼井優演ずるえんちゃんの煮え切らない感じもいい。言いたいけど言えないのも青春。酔い潰れてベッドに横たわるみるめの上をジャンプする様子が憎めない。

そして何よりも、永作博美演ずるユリの不思議な雰囲気は絶品。この無邪気で自由奔放な大人、他の女優さんが演ずるのなんて想像できない。心配だった(何がだ)イチャイチャ場面も、ずーっとニコニコしてて、いわゆる濡れ場じゃないのが好感。一緒にいる楽しさが伝わってくる。同い年の先生役で温水洋一を配置するなんて、意地悪なキャスティングだよね。

最初のうちは、ボソボソ喋るセリフと延々続くロングショットに途中で飽きるんじゃないかと思ったけれど、ちょっとイジイジした青春の風景は意外と好感だった。映画館を出る時、永作博美が音楽流しながら歌ってた曲を口ずさんでいた。

Let Me Fly Like An Angel ♪

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キングスマン:ファースト・エージェント

2021-12-30 | 映画(か行)


◼️「キングスマン:ファースト・エージェント/The Kingsman」(2020年・イギリス)

監督=マシュー・ヴォーン
主演=レイフ・ファインズ ジェマ・アータートン リス・エヴァンス ハリス・ディキンソン

秘密結社キングスマン発足までの物語は、第一次世界大戦を背景に、歴史上の様々な人物が登場するエンターテイメント。第1作第2作と比べたら派手さも毒気も控えめに感じる。これまで見られたおふざけ感があまりないのだ。確かにキャストも地味かもしれないが実力派揃いなので本作には本作の別な面白さがある。

もし僕が世界史の授業担当だったら絶対授業でネタにしてるだろな。ニコライ2世、ヴィルヘルム2世、ジョージ5世、レーニンに、ロシアを揺るがした怪僧ラスプーチン、女スパイとして名高いマタ・ハリ、そして後のナチスとも関わってくるエリック・ヤン・ハヌッセンまでも登場。

前半のハイライトは、何と言ってもラスプーチンとの対決。殺し合いなのにあまりにも華麗なダンス。それもチャイコフスキーの序曲「1812年」をバックに繰り広げられるんだもの(この場面、コージー・パウエル好きならきっとアガルよね♪)。

西部戦線での息子コンラッドの物語は、涙を誘うほどにこの映画で最もシリアスで過酷なパート。別な戦争映画を観ているかのようにさえ思える。しかしこのパートがあるからこそ、後半の大活躍が楽しいのだ。

断崖絶壁の上にある黒幕のアジトを攻略するクライマックス。ただでさえ高所恐怖症の僕には、とってもキツい場面の連続😰。ほんっと心臓に悪い。もう崖に近寄らないでっ!この手のクリフハンガーな場面があるのは向いてないのかも…。手のひらが汗でびしょびしょでございました😫。もしかしたらホラーより苦手かも。

されど、されど。レイフ・ファインズがこんなアクション映画で主役を演ずるなんて昔じゃ想像も出来なかった。「シンドラーのリスト」で注目されてから、無表情気味だけど他の役者にはない存在感があって昔から僕はお気に入り。ブレイクしたての若い頃は、次のジェームズ・ボンドこの人がやればいいのにと思っていた。それが今ボンドの上司Mなんだから、キャスティングされたときはちょっと嬉しかったっけ。

去年の2月から製作会社の買収、コロナ禍の上映延期に延期を重ねてやっと公開されたキングスマン発祥の物語。




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オフィシャル・シークレット

2021-12-27 | 映画(あ行)





◼️「オフィシャル・シークレット/Official Secrets」(2018年・イギリス)

監督=ギャヴィン・フッド
主演=キーラ・ナイトレイ マット・スミス レイフ・ファインズ マシュー・グード
 

2003年のアメリカ、イギリスによるイラクに対する軍事的な行動。不確かな情報に基づいて攻撃に至ったことに、多くの人と同じく当時すっごく疑問を感じていた。忘れもしない3月20日(結婚記念日なんでw)、英米が攻撃に踏み切った。80年代の映画タイトルを冠した作戦が展開され、捕虜としたイラク兵にデスメタルを聴かせて拷問をしたとも伝えられる。文化を戦争の道具にするんじゃねえよ!と怒りに震えた僕は、米国万歳なハリウッド映画を個人的にボイコットすると宣言した。娯楽大作を避けがちなのは、昔からだけど、宣言したのはあの年だから。

実話に基づく映画「オフィシャル・シークレット」の主人公キャサリンは、英国諜報機関の職員として働いている。ある日、イラク攻撃に反対票を投じそうな安保理の国々を盗聴するよう命じるメールが届く。英米が攻撃を強行するための命令であることは明白だった。憤りを感じたキャサリンは、守秘義務に反することは承知で、メールの内容をリークしたいと元職員に相談する。情報を持ちかけられた「オブザーバー」誌は政府の顔色を伺うのか、スクープを報じるべきかの選択を迫られる。そして発表された記事は政府を揺るがす事態に。同僚が疑われ続けることに耐えられなくなったキャサリンは自分がリークしたと名乗り出る。

職務としての守秘義務は、この映画のように視点を変えれば沈黙を強いられることでもある。キャサリンの身に降りかかる数々の嫌がらせや報復。警察からのプレッシャー。果てはパートナーのクルド人男性が何の罪もないのに突然拘束され、あわや強制送還されそうになる。友人や同僚からも連絡が途絶え、ますます孤立する主人公。彼女に行政訴訟に長けた法律事務所がサポートにつく。司法取引か、法廷で争うのか。

「私は国民に仕えているんです」
キーラ・ナイトレイはこういう芯のある役柄がよく似合う。

法律事務所の弁護士を演ずるレイフ・ファンインズが好助演。罪を認めて減刑を求めようとする意見を退けて、争う為の筋道を立てる場面のカッコよさ。印象的なのはラストシーン。キャサリンの件で対立関係にある政府側の元同僚と、釣りに行った海辺で交わす会話。短いながらも、権力側の怖さ、民間との感覚の相違を示す見事な幕切れだ。

(以下、ネタバレと大事な蛇足)
裁判は国側がキャサリンへの告訴を取り下げて、訴訟を終わらせる結末を迎える。訴訟を続ければ、キャサリン側が開示を求める政府側に都合の悪い事実が明かされるからだ。

このレビューを書いている前日。森友問題の文書改ざんをめぐる訴訟で、国側が原告の訴えを認めて突然訴訟が終結したとのニュースが届いた。訴訟が続くことで原告が求める情報の開示がさらに進んでしまうことを、国側が避けたかったと思われる。訴訟の場で真相究明の機会が失われてしまったのだ。ここにも不都合なオフィシャル・シークレットがある。






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ドント・ルック・アップ

2021-12-24 | 映画(た行)


◼️「ドント・ルック・アップ/Don't Look Up」(2021年・アメリカ)

監督=アダム・マッケイ
主演=レオナルド・ディカプリオ ジェニファー・ローレンス ジョナ・ヒル メリル・ストリープ ロブ・モーガン

これは劇場で観られないのがもったいない。スクリーンで観られるなら観ておくべき。巨大彗星が地球に迫るという、70年代ならパニック映画になる題材を、現代アメリカを強烈に皮肉るコメディに仕上げていて面白い。大手メジャー映画会社の製作する一般劇映画では、政治をぶった斬り、風刺というスパイスたっぷりの映画は難しいだろう。ネトフリ作品だからこそ撮ることができた作品かもしれない。そう思ったら過剰な演出も毒を含んだ演技も、妙にノリノリに見える。

政治とマスコミに翻弄される主人公二人、ミンディ教授と大学院生ケイトを中心に、周囲がどんどん常軌を逸していく様子が面白い。だが、一方でとんでもない人間の欲望の怖さに笑いながらもヒヤリとするのだ。メリル・ストリープ大統領とジョナ・ヒル補佐官が、楽しそうに嫌な役をやっている。トランプ前大統領を意識しているキャラづくりで、地球規模の危機だというのに、中間選挙と支持率しか頭にない俗物ぶり。視聴者にウケる笑いのネタが欲しいだけのマスコミの酷さ。ケイト・ブランシェット演ずる司会者も、これまた人気者となったミンディ教授を手玉に取る手腕に驚く。現実に失望したケイトが出会うスケボー青年。彼を演じるシャラメ君が、他の映画と違って気取ってもナイーブでもなく、妙に等身大な役柄でこれまた好印象。

危機的な事態に向き合う他国や国連との関係はあまり描かれないので、現実味は薄い。しかし、人間のエゴこそ醜くくて滑稽だということを、この映画は笑い飛ばしながら教えてくれる。迫り来る彗星をめぐって、国家が二分される大激論に発展する様子は、勝つ為なら誹謗中傷も情報操作も辞さない大統領選挙のダーティな一面そのもの。救世主のようにアイディアをもって現れるIT企業主が、まるで国家を牛耳っているかのように描かれる。これは145分の現代風刺画。




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ラストナイト・イン・ソーホー

2021-12-21 | 映画(ら行)


◼️「ラストナイト・イン・ソーホー/Last Night In Soho」(2021年・イギリス)

監督=エドガー・ライト
主演=トーマシン・マッケンジー アニャ・テイラー・ジョイ マット・スミス ダイアナ・リグ

「ベイビー・ドライバー」のエドガー・ライト監督の新作は、60年代ロンドンと現代を行き来するスリラー映画。「ティファニーで朝食を」のポスターが貼られた部屋、レノン=マッカートニー作の「明日なき世界」が流れる冒頭から心掴まれて、ホラーぽい映画苦手なくせに、もうワクワクが止まらない。本筋のネタバレ防止と、気づいたことの備忘録として、筋に関係ないことを好きに語らせてもらいますww。

もう一つの舞台となる60年代ロンドンを示すために、ヒロインが好む当時の楽曲が効果的に引用されているのがなんとも素敵。鏡を通じてシンクロするもう一人のヒロイン、サンディがオーディションで歌うのが、ペトラ・クラークの代表作Downtown。80年代にジョージ・ハリスンがカバーしたI've Got My Mind Set On Youに、ウォーカーブラザーズの「ダンス天国」。

泣きのバラードYou're My Worldのイントロのキーッ、キーッって高音のストリングスを、まるで「サイコ」の劇伴のように使う発想。やるじゃん!映画後半では、血まみれ刃物に瞳が映る演出が怖くって、イタリアの残酷映画テイストだなーと思ってたら、劇中出てくる店の名前が「インフェルノ」。ダリオ・アルジェントのホラー映画(音楽担当キース・エマーソン)へのオマージュなんですと!すげえ趣味の振り幅。エドガー・ライト、すげえな。

そしてテレンス・スタンプがカウンターで演奏の真似をしながら、「君の名を冠した曲だ!」と紹介するのがEloise。「ベイビードライバー」でヒロインの名前の曲があるだのないだの言う場面が思い出されて、映画館の暗闇で「またかい!」とツッコミ入れながら思わずニヤリ。

ストーリーや映像でもワクワクが止まらない。カフェドパリでのダンスシーンは、エロイーズとサンディが入れ替わるコンビネーションがあまりに見事。観客のミスリードを誘いながらも、決して情報量が少ない訳じゃない脚本と映像。これが遺作となったダイアナ・リグの存在感。2時間たっぷりワクワク、ハラハラ、喜ばせたり、怖がらせたりした後で、この映画は僕らにエールを送ってくれる。過去に憧れるのは勝手だが、決していいことばかりではない。過去から学んで前を見ろ、と。ラストシーンの彼女(たち)が眩しかった。

英国ワーキングタイトル社の映画、やっぱり好きだな。



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コードギアス復活のルルーシュ

2021-12-20 | 映画(か行)





◼️「コードギアス復活のルルーシュ」(2019年・日本)

監督=谷口悟朗
声の出演=福山潤 櫻井孝宏 ゆかな 小清水亜美

よくも悪しくもファンサービスの「復活」編。確かに蛇足だよ。だけどそれがなんだっちゅうの。オレたち、これが楽しいんだもの。これ以上ファンを満たしてくれる蛇足があろうか。

復活したルルーシュが登場する場面、カッコよすぎてワクワクする。
「間違っているぞ!」
あー、この自信に満ちた言葉が聞きたかったんよ。オールスターキャストが揃い踏みする決戦前夜。集まった誰もがルルーシュの復活に文句も言わず、疑問も抱かずw。しかしそんな野暮なツッコミを入れるよりも、愛すべきキャラクターたちが並ぶ姿を見るだけで幸せな気持ちになる。テレビシリーズで敵味方だったキャラクターが共に戦うクライマックスが素晴らしい。
「私にとってZEROは記号じゃないから」
さり気ないけど気持ちのこもったいい台詞。

一時は平和を取り戻した世界。それは軍需しか産業がなく、育てあげた兵士が輸出品の国にとっては死活問題となる。シンプルだけど現実味のある物語の軸。

そして、ラストのC.C.の表情がたまらん。永い時間を孤独に過ごしてきた魔女に、一緒にいてくれる理解者を得た瞬間の涙。シリーズのファンにとって高い満足度の作品。それだけに、散漫な感想を並べたレビューになっていてごめんなさい😝






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コードギアス反逆のルルーシュⅢ皇道

2021-12-18 | 映画(か行)





◼️「コードギアス反逆のルルーシュⅢ皇道」(2017年・日本)

監督=谷口悟朗
声の出演=福山潤 櫻井孝宏 ゆかな 小清水亜美

長男が高校生の時、同じクラスに外国人の男子がいた。彼は「日本が嫌いだ」「日本の文化なんて」みたいな文句を口にして、周囲に当たり散らすことがあるらしい。ある日、いつものように日本バッシングをしていた彼は、見下すようにこう言った。
「この"イレブン"どもめ」
…"イレブン"って、「コードギアス」で統治下の日本"エリア11"の日本人を指す呼び名。日本カルチャーしっかり知ってるじゃん!「コードギアス」好きなんじゃん!w

劇場版第3作。ナナリーを守るために朱雀に頭を下げるルルーシュ。朱雀からの厳しいひと言。だったら今までの嘘を本当にしてみろ。世の中を裏切って人々を踏みにじってきたゼロが正義の味方だったと示してみろ。立ちはだかる巨大な壁、人物。変わり続ける勢力図。ルルーシュが目指すゼロ・レクイエムとは。

30分刻みで壮大なクライマックスを見続けたテレビシリーズを、こうやってつないでくれると没入感がハンパない。天空の要塞ダモクレスとの攻防戦。ぶつかり合う思い。場面と人物が変わりながらもそれぞれの主張が激突する場面の緊張感。シュナイゼル対ルルーシュの空中大戦争をじっくり見せた後で、衝撃の結末へとなだれ込む。テレビシリーズで観てはいるけれど、改めてつないで観ると、いい場面がいっぱい。駆け足だが、登場人物を絞っていながら、ジェレミアやディートハルトの肝心なところはきちんと押さえているのは努力の跡。シャーリーの扱いが変更されているのはちょっと嬉しい。テレビシリーズでは、ちょっと悲し過ぎたから。

最後に示される物語の結末。その為に世の憎しみを一身に集めたルルーシュ。エンドクレジットで映されるのは、学生服姿のルルーシュが窓から外を見ているような姿の写真で、彼の表情をうかがうことはできない。それは世間の人が本当の彼を知ることができなかったことを示しているようでもあり、世界の明日を遠いところから見守っているようでもある。

最後に意味深なC.C.のひと言。






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コードギアス反逆のルルーシュⅡ叛道

2021-12-15 | 映画(か行)





◼️「コードギアス反逆のルルーシュⅡ叛道」(2017年・日本)

監督=谷口悟朗
声の出演=福山潤 櫻井孝宏 ゆかな 小清水亜美

劇場版第2作。新たにエリア11統治をすることになったユーフェミアがストーリーに大きく絡み、ルルーシュとナナリーとの再会、特区「日本」を設ける宣言と悲劇、その後の混沌とした世界情勢が描かれる。父シャルルと対峙、ゼロの復活がクライマックス。見せ場に次ぐ見せ場の130分。

コードギアスはただでさえ登場人物が多いだけに、このハイテンポ編集ではボーッとしてるとあれ?あれ?と置いてかれそうになる。V.V.こそきちんと登場したけれど、ロロ君はいつの間にか出てきて、もう兄と思って寝返ってる。ジェレミアいつ味方になったっけ?。出番が少ないから仕方ないのだけれど、シャーリーに至ってはルルーシュにいつも置いてけぼりにされるかわいそうな女子にしか見えないのが残念。テレビシリーズあっての作品だから仕方ない。なんせ50話が劇場版三部作だし。

このパートを見るのが一番辛い。ユーフェミアにギアスがかかってしまう悲劇と絶望。特区「日本」の大虐殺シーンは、アニメだからお話だからとは言え、やっぱり見ていてキツい。ガンダム好きなのにダブルオーにハマれないのも、同じく虐殺シーンが多いからなんだよね。それでもこのシリーズが魅力的なのは、登場人物それぞれの立場や思いがあって、お互い歩み寄れない悲しみがあって、それらが丁寧に表現されているから。しかしながらこの編集ではいちげんさんには無理だ。

次は第3作。全ては「復活のルルーシュ」を観るための助走。







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コードギアス反逆のルルーシュⅠ興道

2021-12-13 | 映画(か行)





◼️「コードギアス反逆のルルーシュⅠ興道」(2017年・日本)

監督=谷口悟朗
声の出演=福山潤 櫻井孝宏 ゆかな 小清水亜美

仕事で顔を合わせるサブカル好き女子に、
「きっとtakさんが気にいるアニメがある」
と言われたことがある。作品名を尋ねたら彼女は、「東のエデン」と「コードギアス反逆のルルーシュ」を挙げた。「東のエデン」は既にハマっていたのだが、「コードギアス」は正直なところ、全員痩身のキャラクターデザインに違和感を感じて敬遠していた。その後、少し前のアニメを見たがる長男が「見たい!」と言いだしたので一緒にテレビシリーズ全50話を完走。主題歌COLORSは一緒にカラオケで歌う(父親はハモり要員)。

三部作に再構築した劇場版第1作。少年期のルルーシュがエリア11(旧日本)にやって来たくだりから、黒の騎士団と組んだ(を利用した)成田山の戦い、そしてランスロットを駆るパイロットが友人枢朱雀だと知って苦悩するところまでがこの第1部。前半、こんなスローペースで話が終わるのか?と心配したが、後半のやっぱりテレビシリーズの再編集と感じる端折り方と脇役の扱いに駆け足感は否めない。それでもここまでの要所はきちんと押さえて、2時間の映画としてドラマティックに仕上げているのは好感。

ここから先の悲劇的な展開が…とは思うけれども、作戦を指揮するルルーシュの陶酔感はカッコいいし(あの口調は真似したくなる)、紅蓮とランスロットのバトルはここからも見ごたえあるし、何よりも「復活のルルーシュ」観るために復習しておかないと、キャラと名前が一致しない(汗)。歳かな🥲






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ブラックバード 家族が家族であるうちに

2021-12-10 | 映画(は行)





◼️「ブラックバード 家族が家族であるうちに/Blackbird」(2019年・アメリカ=イギリス)

監督=ロジャー・ミッシェル
主演=ケイト・ウィンスレット スーザン・サランドン ミア・ワシコウスカ サム・ニール

スーザン・サランドンという女優は、常に自由でカッコいい姉貴というイメージだった。「プリティベビー」のお母ちゃん、「ぼくの美しい人だから」「さよならゲーム」の恋する歳上の女、「テルマ&ルイーズ」のタフな美女。「エリザベスタウン」の葬儀スピーチも心に残っている。それが「ブラックバード」では、難病ALSで身体の自由が利かなくなり、安楽死を選ぶ母親役。決行しようとする前、最後に家族と過ごす二日間が描かれた映画だ。もうそんな年齢なの?と思ったがこの撮影時は70代。元気なうちに死を選ぶ役柄には納得できるタイミングの出演作。

安楽死をすると決めたリリーと夫ポールのもとに、二人の娘ジェニファーとアンナ、二人のパートナー、リリーの長年の友人リズが集まった。最後の時間を共に過ごすためだ。リリーの選択に反対するアンナ。久々に顔を合わせた姉ジェニファーとの確執。普段と変わらない家族との時間の後で、世を去ろうと思っていたリリーだったが、黙っていた事、認めて欲しかった事、伝えたい事、それぞれの思いが波のように家族の心に押し寄せては返す。舞台劇のような緊張感で、最後まで飽きさせない。

自分は何を家族に遺せるのかを追った「死ぬまでにしたい10のこと」、尊厳死に真正面からカメラを向けた「海を飛ぶ夢」を思い出させる。個人的にはそれでも生きていてほしいと思うけれども、この家族には、重大な選択をするからこそ見えてくる大切なことがあったんだと思う。死が近づいた時に何を思うのか。こうした作品を観た記憶が、気持ちに寄り添う助けになってくれるんじゃないかと思うのだ。





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