Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

フローラとマックス

2025-01-17 | 映画(は行)


◼️「フローラとマックス/Flora And Son」(2023年・アメリカ)

監督=ジョン・カーニー
主演=イヴ・ヒューソン ジョセフ・ゴードン・レヴィット ジャック・レイナー

Apple TV+が週末限定無料だったので、観たかったジョン・カーニー監督作「フローラとマックス」を鑑賞。

夫と別れて息子と二人暮らしのフローラ。経済的にも厳しいし、息子は窃盗を繰り返して手を焼いている。クラブで踊り明かして男と戯れても、憂さが晴れることもない。息子が何か夢中になれることをと考えて、粗大ゴミからギターを持ち帰ったのだが、ヒップホップ好きの彼には見向きもされず。彼女は自分が弾こうと思い立つ。他のオンライン講師とは違うものを感じて、LA在住のジェフのレッスンを受け始める。

ジョン・カーニー監督作はどれも大好きなものばかり。主人公が過ごす毎日の彩りや生き方を、音楽が少しずつ変えていく様子がたまらなく魅力的。それは本作でも期待通りで、思ってた音が自分で奏でられた瞬間、音楽を通じて人と繋がった瞬間、それが誰かに共感してもらえた瞬間のときめきが描かれる。共通の会話もなかった母と息子が音楽制作ソフトGarage Bandの画面を前にして打ち解ける場面や、好きな彼女に向けた告白ソングを作る場面、母と息子でそのミュージックビデオを撮る場面。そしてラストのステージ場面の一体感には涙出そうになる🥹。観てよかった。

音楽が心を開くきっかけになっているのも素敵な場面だ。ジェフのオリジナル曲にフローラがアドバイスすることで、心の距離が縮まる様子もいい。また、ジェフが宿題として聴くように勧めるのがジョニ・ミッチェルのBoth Sides Now。いろんな映画で使われているが、本作でもヒロインに気づきを与えるいい場面。そして、エンドクレジットが憎いんだよなぁ🥹。カーニー監督、音楽の使いどころが巧い。フローラの自作曲、ちょっと下品な言葉選びだが、それが生々しくて等身大。音楽って自己表現。そこに気取りなんて必要はない。

アラン・パーカーの「ザ・コミットメンツ」を含めて、アイルランドが舞台の音楽映画にはハズレがない!と勝手に思っている私です🎸♪。Garage Bandちゃんと使い方を覚えようかな。映画観ながら、楽器を手にしたいとウズウズしている自分がいる。




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陪審員2番

2025-01-13 | 映画(は行)


◼️「陪審員2番/Juror#2」(2024年・アメリカ)

監督=クリント・イーストウッド
主演=ニコラス・ホルト トニ・コレット J・K・シモンズ クリス・メッシーナ

大学4年、陪審員制度について考える刑事訴訟法ゼミに所属していた。映画「十二人の怒れる男」を題材にしているゼミ。当時の日本には、国民が司法参加する裁判員制度がまだなかった頃で、陪審制の長所と短所、導入の賛否について意見が交わされていたっけ。そんな過去があるので、法廷映画は好物の一つなのだ。とは言っても僕は決して真面目な学生ではなかった。「愛のコリーダ」で知られる阿部定事件の裁判記録を図書館でキャーキャー言いながら読んでるようなヤツ😓。そんなスチャラカ法学部生だった僕が、法廷映画で久々にアツくなった。クリント・イーストウッド監督の最新作「陪審員2番」である。

イーストウッド監督作では、しばしば正義を貫くことや人を裁くことの難しさが題材とされてきた。自身のプロダクションを設立した第1作「奴らを高く吊るせ!」から始まって、西部劇でも人間ドラマ路線でも当事者のまっすぐな気持ちと相容れない社会が描かれる。「陪審員2番」はイーストウッドが貫いてきたテーマが色濃く反映されており、この路線では集大成とも言える奥深さを感じさせる。

陪審員が選出される場面で、裁判官が陪審制の意義を説く。
「陪審制には欠点もありますが、私は信じています。正義をもたらす最良の手段だと」
この台詞にビビッときた。従来のハリウッド映画で陪審制が描かれるとき、これぞ民主主義めいた肯定的な描写になることが多かったからだ。法廷シーンが出てくる社会派映画でも裁判の裏側にある不正を告発するテーマが多く、陪審制そのものに否定的な言葉が投げかけられる作品にはなかなかお目にかかれない。もし今、あのゼミに所属していたら「先生!これを観て議論したいです!」と申し出たかも。

そして「陪審員2番」ではそこから先に続く評議の場面で、陪審員それぞれの思想、生い立ち、偏見が結果に大きな影響を及ぼしていくことが露骨に描かれる。裁判で示された事件の証拠のみに従って有罪無罪を判断するとされているが、被告人の過去の行いから証拠に目を向けない陪審員たちが頑なな態度をとるのだ。そして票は真っ二つに割れる。「十二人の怒れる男」では、ヘンリー・フォンダの熱弁から有罪と断定できない理由が次々と明らかになる推理小説のような面白さがあって、有罪無罪の票が動いていくのがスリリングだった。しかし本作にはそれがない。裁判とは別に、観客にのみ示されるもう一つの事実。それが明らかになるのかどうが、ハラハラさせるもう一つ要素として加わることで、物語の先がますます曇ってくるのだ。

真実を明らかに、とよく言われるけれど、法廷で全てが明かされるとは限らない。また、そこで示されたことを裁判に関わる人々がどう受け止めるかによって、結論が大きく揺らぐことになる。「落下の解剖学」で夫殺しを疑われた妻に、「問題は君がどう思われるかだ」と弁護士が言うように、受け取る側の心証次第。夫の転落に直接関係がない家族の裏事情でヒロインが窮地に立たされる怖さが描かれた。「陪審員2番」では、法廷に出て来ないもう一つの事実が観客に示されることで、裁判の結果で出世が決まる検察官と平穏な日々が覆る人物の行末が、裁判の流れと二重三重に絡み合うから目が離せない。社会派の目線も、エンターテイメント視点も兼ね備えている。正義って何だ。考えさせられる。

余韻の残るカッコいいラストシーン。その先にどんな会話があったのか、何のために訪れたのか。それはディスプレイのこっち側にいる僕らの受け取り方次第。こんな力作が配信のみで、多くの人に観られないのはもったいない。




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フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

2025-01-12 | 映画(は行)


◼️「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン/Fly Me To The Moon」(2024年・アメリカ)

監督=グレッグ・バーランティ
主演=スカーレット・ヨハンソン チャニング・テイタム ウディ・ハレルソン

米ソの宇宙開発競争が激化する時代、アメリカのアポロ計画は国民の関心を失いかけていた。そこに宣伝プロデューサーとして手腕を発揮していたケリーが雇われ、議員への根回しとイメージ戦略が展開される。NASAで打ち上げの指揮を執る生真面目なコールと対立しながらも、予算は確保でき、打ち上げの準備が進められた。ところがケリーに別なミッションが依頼される。それは月面着陸の失敗に備えて偽の映像を準備すること。

アポロ月面着陸の映像はフェイクであるとの噂は昔からあって、それを検証する様子をテレビで見たことがある。月面に立てられた旗の動きがおかしいとかなんとか。本作のストーリーはそんな噂から着想を得たんだろう。

チャニング・テイタム演ずるコールはとにかく生真面目で嘘が嫌い。一方で売り込みの為なら嘘を手段とすることも平気なケリー。男女として惹かれ合いながらも、その対照的な仕事ぶりからたびたび衝突する。そんな2人が、ソビエトとの競争に勝つために嘘で塗り固めようとする政府関係者の方針に共に立ち向かう様子にワクワクする。

偉業を成し遂げる裏側の人間模様、性格もやり口も違う2人のタッグ。ハリウッドらしい予定調和と言われればそれまで。だが、数々の秀作良作を生んできた宇宙開発という題材の安定的な面白さ、「キューブリックはクソ」「ビートルズより有名にしてあげる」といった60年代末期の空気感は、アメリカ映画でないとできない楽しさ。そして、もはやロマコメに見える男女の距離感。往年のハリウッド映画のような王道感がある。やっぱり映画館で観ておきたかったな。

アポロ11号関連の映画もあれこれある。アームストロング船長が主役の「ファースト・マン」の生真面目さもいいけれど、月からの中継を支えた田舎の天文台を描いたオーストラリア映画「月のひつじ」はお気に入り。



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ボルテスVレガシー

2025-01-08 | 映画(は行)


◼️「ボルテスVレガシー/Voltes V: Legacy」(2024年・フィリピン)

監督=マーク A. レイエス V
主演=ミゲル・タンフェリックス ラドソン・フローレス カーラ・アベラーナ

オリジナルの日本アニメ「超電磁マシーン ボルテスV」(1977)は見たことがない。民放2局(当時)の県に住んでいたから、きっと放送がなかったんだと思う。そのアニメがフィリピンで大人気。その作品への愛で実写映画化してしまったのが本作。日本アニメが海外で愛されているのは嬉しい。

とは言え、僕はオリジナルを知らないから、地球の危機に5人の若者が立ち上がる物語に触れるのはこれが初めて。オリジナルは動画サイトでチラ見したが、見せ場の合体シーンだけでなくそれぞれの場面がオリジナルに準拠しているようで、並々ならぬ愛を感じた。ドクロの宇宙船の再現度、角の生えた異星人を大真面目に演ずる役者さん。スーパー戦隊をチープにしたような映画と思っていたけど、フィリピンでの国民的な人気を裏切れないという心意気を感じる。いいねぇ。ガミラスを妙なCGにしたヤマト実写版より遥かにいい心意気だw

世界規模で危機が起こっているのに狭い孤島だけで話が進行してない?
コクピット内でいちいち振り返っているがそっち向いて見えるのか?
ドクロ宇宙船の攻撃は手ぬるいでしょ
いろいろツッコミどころはあるけれど、楽しめました。

劇場公開後、その年のうちにBSで放送されたことにもびっくり😳



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はたらく細胞

2024-12-19 | 映画(は行)


◼️「はたらく細胞」(2024年・日本)

監督=武内英樹
主演=永野芽郁 佐藤健 阿部サダヲ 芦田愛菜

家族で大好きな「はたらく細胞」。それがなんと実写映画化。アニメ版ED曲Cheers!を時おり口づさむ長女は、予告編を見て顔をしかめた。
🧑🏻「マジ?しかも予告編からウンコネタ?こんな映画化ありえん」
きっと実写版行くか?と尋ねてもついて来ないに違いない。でも武内監督だもんな。突拍子もない企画でもこの人なら原作を損ねず、映画でしかできないものを示してくれるはず!と信じて最初の週末に映画館へ行くと、家族連れがたくさん😳。モアナ続編よりこっちなのか。病原菌を殺す場面はアニメでもけっこうグロかったが、お子ちゃまは大丈夫なんだろか。といらぬ心配をしている間に上映が始まった。

原作のテイストを損なわないキャスティングがまず見事。これで半分くらい成功していると言っていい。赤血球の不器用だけど頑張る役柄は永野芽郁ちゃん向いてるし、言葉少なに信念を貫きおとす白血球も佐藤健のイメージ通り。しかもドジで方向音痴の赤血球を白血球が見守る構図は、遠回しに朝ドラ「半分、青い」の記憶を蘇らせる。子役キャストの血小板はEテレで見慣れた子にするなど、武内監督はテレビっ子の心をくすぐる仕掛けが上手い。山本耕史のマッチョなキラーT細胞もいいし、NK細胞の仲里依紗はかつてのゼブラクィーンを彷彿とさせるカッコよさ♡

だが武内監督が原作再現だけに終わるはずがない。それは阿部サダヲと芦田愛菜演ずる父娘の健康をめぐるストーリーをもう一つの軸としたことだ。原作正編を娘の体内、原作BLACK編を不摂生な父親の体内としている。健康診断の結果を見てもなかなか生活を改められない僕らには、身に積まされるエピソードが綴られる。そして映画後半、身体に異変が起きる衝撃の展開に😱



(以下、ネタバレを含みます)



もしかして、武内監督は難病ものを撮ってみたかったんじゃないだろか。日本のテレビ番組や映画は数々の難病もので視聴者鑑賞者の涙を搾りとってきた。吉永小百合の骨肉腫、山口百恵の白血病、深田恭子のHIV(個人的にドラマ「わが子よ」の高部知子を加えたいところ)。いつも元気な笑顔でお茶の間をニコニコさせる芦田愛菜が、やつれて放射線治療を受ける姿を見せられたらそりゃ観客はたまんないよ。

それだけに、窮地に陥った細胞たちに酸素を届けようと懸命になる赤血球に声援を送りたくなるのだ。もし応援上映があったら、僕はここできっと永野芽郁に声援を送るだろう。
📣「メイちゃーーーん!」
🧑🏻「親父の声だとトトロのばあちゃんだよ」
はいはい。

身体を攻撃するがん細胞に変異してしまう白血球のエピソードも切ない。えー、欲を言えばBLACK編のグラマーな白血球のおねいさんを実写版で見たかったですっw

最後に。
いつもありがとな、身体🥲






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パリタクシー

2024-12-12 | 映画(は行)


◼️「パリタクシー/Une belle course」(2022年・フランス)

監督=クリスチャン・カリオン
主演=リーヌ・ルノー ダニー・ブーン 

昨年の劇場公開時に見損ねて以来、気になっていた作品。できれば映画館で観ておきたかった。でもパリの地図を広げて自宅で観るのも楽しいかもしれない。どれだけのドライブだったのか、どれだけ寄り道をしたのかがよくわかるかもw

感動ポイントや泣かせどころがいわゆる"人情"にある映画ってあれこれある。そういう映画を観るたび、若い頃の僕は"教科書のような優等生の映画"とちょっと距離を置くような感想を口にしていた。でも決して嫌いじゃない。今思うと、ヒネリのある作風を好んで観てた時期だったし、それ以上に王道の感動をくれる映画をちょっとくすぐったく思ってたのが本音かもしれない。

もし「パリタクシー」を若い頃に観ていたら、多分似たような感想だったかもしれない。ばあさんの思い出と心優しいダメ男が生き方を改める物語。(回想以外は)善人しか出てこないとか言われるかもしれない。でも、そんな作風がなんか心地よい。歳とったせいかもしれない。世知辛い話題ばかりの毎日にちょっと疲れているから、2時間ばかりホッとできたのが嬉しかったのだろう。

されど、途中に挟まるばあさんの回想シーンは、観ていて辛い場面も多い。ひとつ挙げるなら暴力的な夫に耐えたマドレーヌが選んだ激しい仕返し。大昔の映画なら、何をやったのかセリフだけで品よく流しちゃいそうなものかも。でもビジュアルとして見せることで、彼女が抱えていた怒りはバーナーの炎よりもさらに激しいものだったと観客に示してくれるのだ。

全編を通じて心に残るのは、主人公シャルルが次第に穏やかな言動になっていく姿と老婆マドレーヌの柔らかな笑顔。予想を超える映画ではないけれど、じんわりと心を温めてくれる幸せな結末が待っている。今の年齢で「ドライビング・ミス・デイジー」を観たら、あの頃とは違った感想になるのかな。

ひと言言わせて。
邦題はなんとかならんのかい💢



コメント (2)
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ハメット

2024-12-10 | 映画(は行)


◼️「ハメット/Hammett」(1982年・アメリカ)

監督=ヴィム・ヴェンダース
主演=フレデリック・フォレスト マリル・ヘナー ピーター・ボイル

「マルタの鷹」で知られるミステリー作家ダシール・ハメットを主人公にした小説を、フランシス・フォード・コッポラの製作総指揮の下、ヴィム・ヴェンダースが監督を務めたアメリカ資本の作品。コッポラはプロデューサーとして才能ある監督と組んだ仕事がちらほらある。黒澤明の「影武者」、アグニェシカ・ホランドの「秘密の花園」、初期のジョージ・ルーカス作品もコッポラが製作者として名を連ねている。

ヴェンダースをハリウッドに招いて撮った「ハメット」は、正直言うと居心地が悪い映画だ。探偵事務所を辞めて執筆に力を注ぎ込み始めたハメットが、友人の頼みで中国人女性を探すことになる。そこから事件に巻き込まれるハードボイルドな作風の作品。探偵小説は、事件の経緯から解決までを鮮やかに観客に示したいのが常道。僕はこの映画を観て、コッポラはストーリーテリングに力を注ぎたいと思っているが、一方ヴェンダースは登場人物それぞれのキャラクターを掘り下げたいのでは、と思った。どっちつかずな印象を受けるのだ。

作家自身が自分が書く小説のような事件に巻き込まれるお話。都会の闇の迷宮に巻き込まれるような、いい雰囲気がある。だけど引き込まれる魅力かと言うとちょっと違う。いろんな感想を読んでも、スタッフやキャストの豪華さに触れるものはあっても、映画自体を讃えるものは少ない。きっと何か物足りなさがあるのだ。ヴェンダース色を期待しても、コッポラ色を期待しても、どちらも薄味に感じる。

一説にはコッポラが一部撮っているとも言われるし、口を出しすぎてヴェンダースと対立したとも聞く。普段の作風とはちと違うジャジーなジョン・バリーの音楽は好みだったけど、本編はちょっと印象薄。






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プロテクター

2024-12-05 | 映画(は行)


◼️「プロテクター/The Protector」(1985年・アメリカ=香港)

監督=ジェームズ・グリッケンハウス
主演=ジャッキー・チェン ダニー・アイエロ ソーン・エリス ロイ・チャオ

80年代にジャッキー・チェンが最初のアメリカ進出を挑んだ頃の主演作。僕は初公開の85年に映画館で観ている。生息地の映画館では「007/美しき獲物たち」と二本立て。ジャッキーと並べられたら、ロジャー・ムーアのアクションが見劣りしてしまうじゃねぇか。2024年12月BS12の放送で再鑑賞。

監督は、当時残虐描写満載の「エクスタミネーター」で知られていたジェームズ・グリッケンハウス。ジャッキーとはアクション場面をめぐって意見が対立し、ジャッキーが追加撮影した場面を使ったジャッキー版(アジアで上映)とグリッケンハウス版があるとか。

ジャッキーはニューヨーク市警の刑事。映画冒頭で相棒を殺される場面は銃撃と流血のスローモーション。あー、「エクスタミネーター」もこんな感じだったよな😥。そこからジャッキーは大暴れするが上司の叱責を喰らうことに。新しいコンビでファッションショーの警備を命じられたが、突然現れた武装集団に主催者の女性が連れ去られてしまう。彼女はある組織の娘で、麻薬取引をめぐって香港の組織との対立が背景にあると掴んだ警察は、ジャッキーとダニー・アイエロのコンビを香港に送り込む。

ここから先は銃撃少なめで香港映画らしい拳中心のアクションが続く。とにかく銃弾で片をつけない。ジャッキーが船から船へと飛び移りながら追いかける場面は、銃をぶっ放せば済みそうなところだが、アクロバティックでご当地の特徴も活かしたいい場面。「インディ・ジョーンズ」にも出演してしているロイ・チャオの悪役ぶり、脇役ながらムーン・リーが出てくるのもよかった。後半は完全に香港映画のムードで、冒頭の派手でハードな雰囲気とは空気が違う。

二大勢力が対立するギクシャクした様子が感じられなかったり、人質奪還があっけなかったりと物足りなさがあるのは残念なところ。

ダニー・アイエロって、異国人や人種が異なる人に優しい役柄のイメージがある。「レオン」や「ドゥ・ザ・ライト・シング」とか。「プロテクター」の印象が残ってたからますますそう思えるんだろか。




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フィツカラルド

2024-11-03 | 映画(は行)


◼️「フィツカラルド/Fitzcarrald」(1982年・西ドイツ)

監督=ヴェルナー・ヘルツォーク
主演=クラウス・キンスキー クラウディア・カルディナーレ ホセ・レーゴイ ポール・ヒッチャー

船が山を上る強烈なビジュアルに惹かれて、学生の頃からずっと気になっていた「フィツカラルド」。やっと観られた。天然ゴム景気に沸く19世紀末のペルーを舞台に、密林を切り拓いてオペラ座を建てるという野望に駆られた男の物語。

主人公の取り憑かれた野心にも圧倒されるけれど、実際に現地で過酷なロケを行い、山越えをする船を実際に撮る狂気。もはや土木工事。上流へと川をのぼるストーリー展開、主人公や乗組員がギリギリの心理状態に陥っていく様子にコッポラ監督作「地獄の黙示録」のイメージが重なる。執着という狂気に駆り立てられたのは脚本に役として載る人物たちだけではない。カメラのこっち側にいる人々も同じ。こんな映像はもう撮れないだろう。今なら山を切り拓く場面に森林破壊だとかクレームがありそう。それだけに、ここに収められた映像は貴重なものと思えた。

ジワジワと小舟で迫ってくる原住民たち。
「カルーソーの出番だ!」
と主人公が船上でレコードをかける場面。ジャングルに響く歌声は、原住民にはどう聴こえたのだろう。これも「地獄の黙示録」でワーグナーが使われたことに、ちょっと共通点を感じてしまう。人々に与えた感情は違うだろうが。

クラウス・キンスキーが着る白いスーツ。あの状況では動きにくくて不快になりそうなもの。それでもその容姿を保とうとするのは、現地民や雇った乗組員とはオレは違うぞという心意気でもあるし、人々を見下して思い上がった当時の西洋人の象徴にも見える。しかしその白いスーツを泥で汚しながら切り拓いた現場を走り回る主人公に、僕らは心のどこかで声援を送っていたようにも思える。映画のラストに登場する船の上での演奏は、主人公が思っていた形こそ違えども、彼が貫いた音楽愛のひとつの形でもある。この幕切れはどこか痛快にも感じられた。

クラウス・キンスキーだからこそ演じられた狂気。彼を支える娼館の女将クラウディア・カルディナーレの存在感。ラストシーンで再び見られたその笑顔は、息が詰まりそうな緊張の船旅を乗り切った僕ら観客の心をもほぐしてくれる。



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ビートルジュース ビートルジュース

2024-10-06 | 映画(は行)


◼️「ビートルジュース ビートルジュース/Beetlejuice Beetlejuice」(2024年・アメリカ)

監督=ティム・バートン
主演=マイケル・キートン ウィノナ・ライダー ジェナ・オルテガ モニカ・ベルッチ

ティム・バートン監督作を初めて観たのは「ビートルジュース」だった。レンタルビデオ店のきゃわゆいバイト女子に「これっ!どうですか?♡」と勧められた思い出の映画w。その続編がまさか30ウン年経って製作されるとは。近ごろティムはディズニー資本で万人向け作品を撮っていたから、きっと鬱憤が溜まっていたに違いない。だから出世作「ビートルジュース」の続編は、やりたいことをやれるわがままを満喫しているように思える。血しぶきが飛ぶ毒気に満ちたバートン映画なんてどれくらい久しぶりだよ🩸

ダニー・エルフマンの暗いけど変な躍動感のある音楽が来るぞぉと思っていたら、意外にもWBのロゴにドナ・サマーのMacArther Parkが重なる。な、何っ!?音楽好きには本作の凝った選曲はたまらん魅力。「ヴァニラスカイ」でも印象的だったシガーロスのSvefn-g-englarは怪しげな彼氏の部屋で流れていて、ダニー・デヴィートがヘッドフォンで聴いてるのはビージーズのTragedy(哀愁のトラジディ)。前作で使われたDay-O(バナナボート)は合唱曲にアレンジされて葬儀の場面に登場。リチャード・マークスの名曲Right Here Waitingはクスッと笑わせてくれる。

そしてオープニングにチラッと流れたMacArther Parkはオリジナルの男性ヴォーカル版(初代ダンブルドア校長のリチャード・ハリス!)で再び流れ、突然ミュージカルと化してしまう。死後の世界のあの世行き列車がSoul Trainって!🤣🤣🤣。エンドクレジットのMacArther Parkはドナ・サマーのディスコアレンジ🕺✨
きゃほー♪楽しいー♪
観てから数日ドナ・サマーばっかり聴いてたディスコ世代の私ww(ドナ・サマーの時代は小学生だったくせに💧)

サンドワームのストップモーションアニメ、モニカ・ベルッチのホチキス止め、ウィレム・デフォーの怪演と好き放題やってる一方で、ストーリーは「ビッグフィッシュ」などで見られる親子の関係修復劇になっているのはティムらしいとも言える。ともあれ、ウィノナ・ライダーとマイケル・キートンの出演は嬉しい。サイキック少女のその後は、年齢相応の役柄で好印象。「ウェンズデー」のジェナ・オルテガが好演。彼女あってのこの作品でもある。

それにしてもタイトルがいい👍。3回繰り返すと悪霊が復活しちゃうから、2回にとどめているってことよね!。いやもう3回言わせようとしてるでしょw





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