Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

陪審員2番

2025-01-13 | 映画(は行)


◼️「陪審員2番/Juror#2」(2024年・アメリカ)

監督=クリント・イーストウッド
主演=ニコラス・ホルト トニ・コレット J・K・シモンズ クリス・メッシーナ

大学4年、陪審員制度について考える刑事訴訟法ゼミに所属していた。映画「十二人の怒れる男」を題材にしているゼミ。当時の日本には、国民が司法参加する裁判員制度がまだなかった頃で、陪審制の長所と短所、導入の賛否について意見が交わされていたっけ。そんな過去があるので、法廷映画は好物の一つなのだ。とは言っても僕は決して真面目な学生ではなかった。「愛のコリーダ」で知られる阿部定事件の裁判記録を図書館でキャーキャー言いながら読んでるようなヤツ😓。そんなスチャラカ法学部生だった僕が、法廷映画で久々にアツくなった。クリント・イーストウッド監督の最新作「陪審員2番」である。

イーストウッド監督作では、しばしば正義を貫くことや人を裁くことの難しさが題材とされてきた。自身のプロダクションを設立した第1作「奴らを高く吊るせ!」から始まって、西部劇でも人間ドラマ路線でも当事者のまっすぐな気持ちと相容れない社会が描かれる。「陪審員2番」はイーストウッドが貫いてきたテーマが色濃く反映されており、この路線では集大成とも言える奥深さを感じさせる。

陪審員が選出される場面で、裁判官が陪審制の意義を説く。
「陪審制には欠点もありますが、私は信じています。正義をもたらす最良の手段だと」
この台詞にビビッときた。従来のハリウッド映画で陪審制が描かれるとき、これぞ民主主義めいた肯定的な描写になることが多かったからだ。法廷シーンが出てくる社会派映画でも裁判の裏側にある不正を告発するテーマが多く、陪審制そのものに否定的な言葉が投げかけられる作品にはなかなかお目にかかれない。もし今、あのゼミに所属していたら「先生!これを観て議論したいです!」と申し出たかも。

そして「陪審員2番」ではそこから先に続く評議の場面で、陪審員それぞれの思想、生い立ち、偏見が結果に大きな影響を及ぼしていくことが露骨に描かれる。裁判で示された事件の証拠のみに従って有罪無罪を判断するとされているが、被告人の過去の行いから証拠に目を向けない陪審員たちが頑なな態度をとるのだ。そして票は真っ二つに割れる。「十二人の怒れる男」では、ヘンリー・フォンダの熱弁から有罪と断定できない理由が次々と明らかになる推理小説のような面白さがあって、有罪無罪の票が動いていくのがスリリングだった。しかし本作にはそれがない。裁判とは別に、観客にのみ示されるもう一つの事実。それが明らかになるのかどうが、ハラハラさせるもう一つ要素として加わることで、物語の先がますます曇ってくるのだ。

真実を明らかに、とよく言われるけれど、法廷で全てが明かされるとは限らない。また、そこで示されたことを裁判に関わる人々がどう受け止めるかによって、結論が大きく揺らぐことになる。「落下の解剖学」で夫殺しを疑われた妻に、「問題は君がどう思われるかだ」と弁護士が言うように、受け取る側の心証次第。夫の転落に直接関係がない家族の裏事情でヒロインが窮地に立たされる怖さが描かれた。「陪審員2番」では、法廷に出て来ないもう一つの事実が観客に示されることで、裁判の結果で出世が決まる検察官と平穏な日々が覆る人物の行末が、裁判の流れと二重三重に絡み合うから目が離せない。社会派の目線も、エンターテイメント視点も兼ね備えている。正義って何だ。考えさせられる。

余韻の残るカッコいいラストシーン。その先にどんな会話があったのか、何のために訪れたのか。それはディスプレイのこっち側にいる僕らの受け取り方次第。こんな力作が配信のみで、多くの人に観られないのはもったいない。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

2025-01-12 | 映画(は行)


◼️「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン/Fly Me To The Moon」(2024年・アメリカ)

監督=グレッグ・バーランティ
主演=スカーレット・ヨハンソン チャニング・テイタム ウディ・ハレルソン

米ソの宇宙開発競争が激化する時代、アメリカのアポロ計画は国民の関心を失いかけていた。そこに宣伝プロデューサーとして手腕を発揮していたケリーが雇われ、議員への根回しとイメージ戦略が展開される。NASAで打ち上げの指揮を執る生真面目なコールと対立しながらも、予算は確保でき、打ち上げの準備が進められた。ところがケリーに別なミッションが依頼される。それは月面着陸の失敗に備えて偽の映像を準備すること。

アポロ月面着陸の映像はフェイクであるとの噂は昔からあって、それを検証する様子をテレビで見たことがある。月面に立てられた旗の動きがおかしいとかなんとか。本作のストーリーはそんな噂から着想を得たんだろう。

チャニング・テイタム演ずるコールはとにかく生真面目で嘘が嫌い。一方で売り込みの為なら嘘を手段とすることも平気なケリー。男女として惹かれ合いながらも、その対照的な仕事ぶりからたびたび衝突する。そんな2人が、ソビエトとの競争に勝つために嘘で塗り固めようとする政府関係者の方針に共に立ち向かう様子にワクワクする。

偉業を成し遂げる裏側の人間模様、性格もやり口も違う2人のタッグ。ハリウッドらしい予定調和と言われればそれまで。だが、数々の秀作良作を生んできた宇宙開発という題材の安定的な面白さ、「キューブリックはクソ」「ビートルズより有名にしてあげる」といった60年代末期の空気感は、アメリカ映画でないとできない楽しさ。そして、もはやロマコメに見える男女の距離感。往年のハリウッド映画のような王道感がある。やっぱり映画館で観ておきたかったな。

アポロ11号関連の映画もあれこれある。アームストロング船長が主役の「ファースト・マン」の生真面目さもいいけれど、月からの中継を支えた田舎の天文台を描いたオーストラリア映画「月のひつじ」はお気に入り。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オリエント急行殺人事件 死の片道切符

2025-01-10 | 映画(あ行)


◼️「オリエント急行殺人事件 死の片道切符/Murder On The Orient Express」(2001年・アメリカ)

監督=カール・シェンケル
主演=アルフレッド・モリナ レスリー・キャロン メレディス・バクスター アミラ・カサール

アガサ・クリスティ「オリエント急行の殺人」の映像化で、本作はアメリカのテレビ向けに制作されたドラマ版。申し訳ないけれど、シドニー・ルメット監督版(名作!)やデビッド・スーシェのテレビシリーズ、ケネス・ブラナー版には遠く及ばない。本作を観てクリスティ作品を観た気になってもらっては困る。いい作品は他にいっぱいあるぞ。

クリスティの原作を現代劇に翻案した試み。発想はわからんでもないが、ちょっと無理がある。何よりも大きいのは、原作の当時とは違ってオリエント急行は東西を結ぶ国際寝台列車ではなく、観光列車の性格が強くなっていることだ。本作でポアロが乗客に聞き込みする度に、列車に乗った理由をいちいち尋ねるから話がまどろっこしい。空路ならパリまであっという間になのに、わざわざ列車に揺られて遠回りすることはないのだから。

アルフレッド・モリナが演ずるポアロも、従来のファンには物足りない要素があれこれ。本作のポアロは、僕らがポアロに抱いている小綺麗な紳士のキャラクターとは違う大柄なヒゲ男だ。おまけに現代劇なので、ノートパソコンでアームストロング事件を検索したり、乗客も携帯電話使ってるし、かつてPDAと呼ばれた情報端末(90年代のザウルスとか・懐)まで登場する。いやいや、ポアロはこんなことしないよ。おまけに最初と最後に美しい恋人(?)も登場。彼女の職業にびっくり!🫢。それ付き合う相手間違ってない?

残念なのは、列車で移動しているムードが感じられないこと。車窓が映されるシーンも少ないし、ガタゴト揺られているような演出もあまり出てこない。最後はカーテン閉め切ったラウンジのような車両で謎解き。なんだかなぁー。

ともかく、アルフレッド・モリナのポアロが見てみたかったのでした。往年のスター、レスリー・キャロンが老夫人役で出演。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボルテスVレガシー

2025-01-08 | 映画(は行)


◼️「ボルテスVレガシー/Voltes V: Legacy」(2024年・フィリピン)

監督=マーク A. レイエス V
主演=ミゲル・タンフェリックス ラドソン・フローレス カーラ・アベラーナ

オリジナルの日本アニメ「超電磁マシーン ボルテスV」(1977)は見たことがない。民放2局(当時)の県に住んでいたから、きっと放送がなかったんだと思う。そのアニメがフィリピンで大人気。その作品への愛で実写映画化してしまったのが本作。日本アニメが海外で愛されているのは嬉しい。

とは言え、僕はオリジナルを知らないから、地球の危機に5人の若者が立ち上がる物語に触れるのはこれが初めて。オリジナルは動画サイトでチラ見したが、見せ場の合体シーンだけでなくそれぞれの場面がオリジナルに準拠しているようで、並々ならぬ愛を感じた。ドクロの宇宙船の再現度、角の生えた異星人を大真面目に演ずる役者さん。スーパー戦隊をチープにしたような映画と思っていたけど、フィリピンでの国民的な人気を裏切れないという心意気を感じる。いいねぇ。ガミラスを妙なCGにしたヤマト実写版より遥かにいい心意気だw

世界規模で危機が起こっているのに狭い孤島だけで話が進行してない?
コクピット内でいちいち振り返っているがそっち向いて見えるのか?
ドクロ宇宙船の攻撃は手ぬるいでしょ
いろいろツッコミどころはあるけれど、楽しめました。

劇場公開後、その年のうちにBSで放送されたことにもびっくり😳



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マドモアゼル a Go Go

2025-01-06 | 映画(ま行)


◼️「マドモアゼル a Go Go(女の望遠鏡)/ Trop Jolies Pour Etre Honnetes」(1973年・イタリア=フランス)

監督=リシャール・バルデュッシ
主演=ベルナデット・ラフォン ジェーン・バーキン エリザベート・ヴィエネール セルジュ・ゲンスブール

本作は1974年に「女の望遠鏡」のタイトルで公開された。その後、渋谷系からフレンチカルチャーが人気になった90年代に「マドモアゼル a Go Go」と改題して再上映された作品。ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンスブール共演作ではあるが、一応の主役はベルナデット・ラフォン。犯罪者から金を奪おうと計画する4人の女性たち。その一人がジェーンで、セルジュは彼女らがターゲットにした犯罪者の相棒を演じている。

ニースの海辺に建つマンションでルームシェアして暮らしている4人娘。船員の彼氏からプレゼントされた望遠鏡を覗いていたら、向かいのアパートの一室で大金を扱う男が。世間で騒がれている泥棒だと信じた彼女たちは、その金を横取りしようと企む。果たして計画は成功するのか!?

「黄金の七人」や「ミニミニ大作戦」のような華麗な犯罪映画を期待してはいけない。無駄としか思えない訓練風景と、準備不足で隙だらけの計画。ストーリーの展開も結末も、なんとも都合のいい話ではあるのだが、船員の彼氏が事態を引っ掻き回す様子にはドキドキさせられる。

彼女たちのファッションと行き当たりばったりの活躍をニコニコして見守られる方ならば、きっとお気に召す作品。堅いこと言わないで年末気軽に観るにはちょうどよかったかも♪

音楽担当はセルジュ。電子オルガンで遊んでるような軽妙なメロディがクセになる。ジェーンはメガネっ娘の女医役で、4人の中ではドジっ子担当。ホームセンターで電動ドリルの使い道を尋ねられて、「金庫を開ける」と答えちゃうのがおかしいw



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おとぼけオーギュスタン

2025-01-04 | 映画(あ行)


◼️「おとぼけオーギュスタン/Augustin」(1995年・フランス)

監督=アンヌ・フォンティーヌ
主演=ジャン・クレティアン・ジベルタンブルン ステファニー・チャン ギ・カザポンヌ 

ココ・アヴァン・シャネル」のアンヌ・フォンティーヌ監督初期の作品で、60分の中編。パートタイムで保険会社に勤務しながら、俳優業をしているオーギュスタン。彼の日常とメジャー作品のオーディションに挑む様子が描かれる。

タイトルとジャケットのデザインから、ムッシュユロ(「ぼくの伯父さん」)みたいな小洒落たコメディを期待していた。だがこれがなかなか曲者の主人公で、ケラケラ笑えるような作品ではなかった。

俳優の仕事もないのに、三枚目役は嫌、感情表現は苦手とか変な注文ばかりつける。オーディションはホテルボーイ役だからと高級ホテルで一日見習いを頼み込むが、部屋の清掃をする中国人女性に「また会いたい」とか言い寄る始末。職場では同僚の仕事ぶりを上司に悪く言って点数を稼ぐけど、女性社員には終始からかわれる。

彼は生真面目すぎる人なんだろうけど、ちょっと扱いにくいタイプ。タイトルにある"とぼけた"人でもない。本人は大真面目に物事に向き合っている。周囲と噛み合わない様子で笑わせるのが狙いだろうが、今ドキの若い世代に"イタい"と言われそうなオーギュスタンを笑いのネタにするのは、観る人によっては不快に映る気もする。

オーディション場面で相手をしたティエリー・レルミット。何を言われても大らかに対応する姿がいいね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

tak's Movie Awards 2024

2025-01-02 | tak's Movie Awards

 


2024年の映画生活は昨年に引き続き多くの作品に触れることができた。新作はもちろん、宅配レンタルで名作と称される作品や配信にあがっていない作品を観るのが楽しくて、心の向くまま無節操に観るものを選んできた。そのため例年以上に新旧混じったベスト作品の選出になっている。Filmarksでの率直な感想と口コミには今年もお世話になりました。
いち映画ファンとしての年中行事、2024年の年間ベストは、この1年間にわたくしtakが観たオールタイムの映画からセレクト。公開年にタイムリーになってませんので、ご了承くださいませ。

tak's Movie Awards2024

■作品賞=「PERFECT DAYS」(2023年・日本)

孤独を楽しんでいるようで、人との触れ合いが恋しくなる。詩が韻を踏んでいるような映像の反復が美しい。

今年の10本
PERFECT DAYS(2023)
アイミタガイ(2024)
哀れなるものたち(2023)
関心領域(2023)
親密すぎるうちあけ話(2004)
ちひろさん(2023)
デューン 砂の惑星PART2(2024)
パリタクシー(2022)
フィツカラルド(1982)
落下の解剖学(2023)

■アニメーション作品賞=「ルックバック」(2024年・日本)
アニメだからできること、アニメだから伝わること。

■監督賞=ヨルゴス・ランティモス 「哀れなるものたち」(2023年・イギリス)
演技も演出も美術も音楽も、あらゆる要素がとにかく大胆。こんな映画はなかなかない。
今年の10人
ヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」
ウィリアム・ワイラー「友情ある説得」
上田慎一郎「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」
ヴェルナー・ヘルツォーク「フィツカラルド」
クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」
ジョナサン・グレイザー「関心領域」
ダルトン・トランボ「ジョニーは戦場へ行った」
パトリス・ルコント「親密すぎるうちあけ話」
ヨルゴス・ランティモス「哀れなるものたち」
リドリー・スコット「グラディエーターⅡ英雄を呼ぶ声」

■主演男優賞=ダニー・ブーン 「パリタクシー」(2022年・フランス)
人間不信に陥りそうな現実の中、スクリーンからあふれ出す人情という温かさ。人間観察に優れたコメディアン兼役者は、そこにリアルを吹き込んでくれる。
今年の10人
アラン・ドロン「サムライ」
キット・ハリントン「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」
クラウス・キンスキー「フィツカラルド」
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ「DOGMAN ドッグマン」
ジェラール・ドパルデュー「メグレと若い女の死」
ダニー・ブーン「パリタクシー」
ファブリス・ルキーニ「親密すぎる打ちあけ話」
フレデリック・マーチ「セールスマンの死」
ポール・ニューマン「傷だらけの栄光」
役所広司「PERFECT DAYS」

■主演女優賞=有村架純「ちひろさん」(2023年・日本)
人とのつながりを避けているようで、自然に人と人をつないでくれる。孤独との向き合い方、人との向き合い方。架純たん、いい役者になりました🥲
今年の10人
有村架純「ちひろさん」
アンナ・カリーナ「はなればなれに」
エマ・ストーン「哀れなるものたち」
カトリーヌ・フロ「アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵」
クリステン・スチュワート「ランナウェイズ」
ザンドラ・ヒュラー「落下の解剖学」
サンドリーヌ・ボネール「親密すぎるうちあけ話」
ダイアン・キートン「赤ちゃんはトップレディがお好き」
フェイ・ダナウェイ「ネットワーク」
ルアンヌ・エメラ「エール!」

■助演男優賞=デンゼル・ワシントン「グラディエーターⅡ英雄を呼ぶ声」(2024年・イギリス=アメリカ)
善人イメージの強いデンゼル・ワシントンだが、こういうしたたかな悪役も巧い。単なる悪人でなく、そこに至るまでの人生を感じさせる重みある演技が素晴らしい。
今年の10人
アンソニー・パーキンス「友情ある説得」
ウィレム・デフォー「哀れなるものたち」
大沢たかお「キングダム 大将軍の帰還」
クリストファー・ウォーケン「デューン 砂の惑星PART2」
ジェーソン・ロバーツ「ジュリア」
ジェームズ・ガンドルフィーニ「ザ・メキシカン」
デンゼル・ワシントン「グラディエーターⅡ英雄を呼ぶ声」
ピーター・フィンチ「ネットワーク」
ポール・ジアマッティ「デュエット」
ロバート・ダウニーJr.「オッペンハイマー」

■助演女優賞=グウィネス・パルトロウ「デュエット」(2000年・アメリカ)
カラオケがつなぐ人間模様。ずっと観たかった本作を宅配レンタルで初鑑賞。離れ離れになっていた父親との再会と和解。父娘のデュエット場面は泣くかと思ったぞ🥹
今年の10人
アニー・ジラルド「殺人鬼に罠をかけろ」
アンヌ・ブロシェ「親密すぎるうちあけ話」
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ「華麗なるアリバイ」
エレナ・アナヤ「サン・セバスチャンへ、ようこそ」
グウィネス・パルトロウ「デュエット」
草笛光子「アイミタガイ」
スーザン・サランドン「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」
ドロシー・マクガイア「友情ある説得」
バーバラ・ベル・ゲデス「めまい」
ピア・アンジェリ「傷だらけの栄光」

■音楽賞=トーキングヘッズ「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア」(1984年・アメリカ)
この頃のトーキングヘッズをよく知らなかったけど、これは映画館で観るべき作品。ステージをひたすらカメラは追う。観客の盛り上がる様子は最後でチラ見せ。僕らは特等席にいるのだ。
今年の10人
イェルスキン・フェンドリックス「哀れなるものたち」
キース・モリソン「スパルタンX」
クロード・ボラン「ボルサリーノ」
ソニー・ロリンズ「アルフィー」
トーキングヘッズ「ストップ・メイキング・センス」
バート・バカラック「007/カジノ・ロワイヤル」
パット・メセニー「コードネームはファルコン」
フランシス・レイ、ミシェル・ルグラン「愛と哀しみのボレロ」
ミカ・レヴィ「関心領域」
ミシェル・ルグラン「はなればなれに」

■主題歌賞=夜明けのマイウェイ(黒木華)「アイミタガイ」(2024年・日本)

劇中の台詞「今はそういう話を信じたい」が強烈に胸に響いた。70年代末期のテレビドラマ楽曲だが、こんなに映画にマッチするなんて🥹。映画館の暗闇で一緒に歌っていた。
今年の10人
Angel Queen(Dara Sedaka)「劇場版1000年女王」
blast!(TRUE)「劇場版響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」
Cold Song (Klaus Nomi)「愛の記念に」
Everchanging Time(Siedah Garrett)「赤ちゃんはトップレディがお好き」
MacArther Park(Donna Summer)「ビートルジュースビートルジュース」
The Power Of Love (Frankie Goes To Hollywood)「異人たち」
This Is Not America(David Bowie)「コードネームはファルコン」
月並みに輝け(結束バンド)「劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:」
夜明けのマイウェイ(黒木華)「アイミタガイ」
ロタティオン(LOTUS-2)(平沢進)「千年女優」







今年も素敵な映画と出会えますように。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アガサ・クリスティ 〜謎の失踪 失われた記憶〜

2025-01-01 | 映画(あ行)



◼️「アガサ・クリスティ 〜謎の失踪 失われた記憶〜/Agatha Christie : A Life In Pictures」(2004年・イギリス)

監督=リチャード・カーソン・スミス
主演=オリヴィア・ウィリアムズ アンナ・マッセイ レイモンド・クルサード スティーブン・ボクサー

アガサ・クリスティーが11日間失踪した1926年の事件は謎に包まれている。それはミステリーファンやクリエイターの想像をかき立て、数々のドラマや映画が製作されてきた。

本作は、発見時に記憶を失っていたアガサに向き合う精神科医が、催眠療法で失踪の謎に迫ろうとするお話で、英国BBCテレビの製作によるドラマ。失踪期間がこうだったら面白いという発想で製作されたドラマ「アガサと殺人の真相」(2018)のライトなミステリー仕立てとは違って、アガサ自身の行動と心の闇に迫るドラマになっている。

本編は大きく2つのストーリーが並走する。アガサの失踪であたふたする周囲の人々、精神科医とのやり取りを描く1926年パートと、舞台「ねずみとり」10周年を祝う1962年のパーティ会場でアガサが受けるインタビュー。若き日のアガサはオリヴィア・ウィリアムズ(「17歳の肖像」の先生役が良かった)、老年のアガサはアンナ・マッセイ(ヒッチコック「フレンジー」で殺される被害者の一人)が演じている。

史実としては、アガサが大戦中看護に従事したこと、薬に詳しくなるエピソード、離婚を経て2番目の夫マックスと出会うまでが紹介される。幼い頃から繰り返しみる夢に出てくる銃を持ったうす汚い男のイメージが、ことあるごとに彼女を精神的に苦しめる描写は、ホラー映画のテイスト。全体的にはどよーんと暗い雰囲気で娯楽作ではない。だが2000年代に入ってもこうした作品が製作されるのは、クリスティに対する人気と興味が衰えを知らない証でもある。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年12月のプレイリスト

2024-12-31 | 今日のBGM



みなさま、今年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。

◆2024年12月のプレイリスト
2024年12月に聴いていた愛すべき31曲

1 Never Walk Away(Journey)
代表曲の再録を含むアルバムRevelationより。ジャーニーの魅力に溢れた楽曲。
2 Do Wot You Do(INXS)
映画「プリティ・イン・ピンク」サントラに収録された楽曲。
3 The Birth Of The Odyssey(ゴダイゴ)
シンセの音色にお子ちゃまだった僕が興味を持ったのは、実はゴダイゴが最初だった気がする。
4 Sleigh Ride(Idina Menzel)
「アナ雪」エルサを演じたイディナのクリスマスソング。
5 語りつぐ愛に(来生たかお)
薬師丸ひろ子のバージョンとは違う魅力。
6 REINCARNATION(松任谷由実)
安藤まさひろのギターソロで次の曲が始まるつなぎがカッコいい🎸✨
7 It's Time To Party Now(Ray Parker Jr. & Raydio)
ディスコ🕺の時代が恋しい…?w
8 A Night To Remember(Shalamar)
ダンスチューン🕺が続くと鬱憤が溜まり始めた証拠である💧
9 Give It Up(KC & The Sunshine Band)
さらに続くダンスチューン🕺🕺♪
10 Maria Club(TM Network)
🕺🕺🕺♪ 😩やばい。気分転換しなきゃ💦

11 10 Years After(米倉千尋)
「機動戦士ガンダム08小隊」ED曲。大好きなラブソング。自分の10年後かぁ…。
12 CALL ME(才恵加)
アルバム「NEW CITY」のオープニングナンバー🎷✨
13 愛があるなら年の差なんて(クレイジーケンバンド)
Age Ain't Nothing But a Number
14 なみだ恋(八代亜紀)
もうすぐ一周忌。おんな港町をカラオケで歌ってた時期あったなぁー🎙️♪
15 Nameless Story(寺島拓篤)
アニソンしばりでカラオケ行くなら、歌いたいのですっ🎤♪
16 すべての悲しみにさよならするために(KAN)
亡くなって1年経ったんだよなぁ😢
17 Looking For Clues(Robert Palmer)
ニューウェィブぽい時代もあったのか🎸♪
18 転がる岩、君に朝が降る(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
THE FIRST TAKEの演奏にて。
19 Don't Worry Baby(Vapour Trails)
ベストヒットU.S.A.でおなじみのあの曲。
20 et si(Louane)
フランス映画「エール!」のヒロイン、ルアンヌ・エメラ。つぶやくような歌声。

21 Orange Express(渡辺貞夫)
休日出勤を軽やかに彩ってくれる🎷
22 Joyful Joyful(平原綾香)
テレビで平原綾香のジャズライブを見る。歌にサックスにボイパにスキャットの無双ぶり。カッコいいとはこういうことさ。
23 ゼブラーマンの歌〜俺の背中にGET OFF(水木一郎)
映画「ゼブラーマン」ふと観たくなりまして🦓。俺の背中に立つんじゃねぇ!
24 Christmas Time Again(Extream)
クリスマスはこの曲聴かないと!🎄
25 Grown-Up Christmas List(David Foster feat. Natalie Cole)
各地で戦火が収まらない2024年だけに、歌詞が沁みるのです🎄
26 Love Will Show Us How(愛のてだて)(Christine McVie)
フリートウッドマックはスティービーよりクリスティンのボーカルが好きでした。
27 Through The Fire(Peabo Bryson)
チャカ・カーンも歌ったデビッド・フォスター楽曲。上手い人は何を歌わせても上手い。
28 SHINY DAYS(伊地知虹夏)
結束バンドがきららアニメ楽曲を歌う企画より。虹夏ちゃんにはナイスな選曲👍
29 シドニア(angela)
アニメ「シドニアの騎士」第1期完走。
30 すきっちゃん!からチュッ(フランシュシュ)
唐津市の依頼で制作された「ゾンビランドサガ」フランシュシュの新曲。てんこ盛りのPRソング。すげぇ…🤭
31 Heal The World(Michael Jackson)
世界を癒そう もっといい場所にしよう
2025年はよりよい年になりますように😊








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らんま1/2

2024-12-29 | テレビ・アニメ



80年代少年サンデー育ちなもので、高橋留美子(&あだち充)は大好物。短編も読み漁っているくせに、唯一つまみ食い程度しか読んでいなかった作品が「らんま」だった。最初のアニメ化は1989年。人生で最もテレビ離れしてた時期で、映画やニュース番組は見てもテレビアニメまで見る余裕がなかったもんなー。だからこの2024年に2度目のアニメ化と聞いたときはめちゃくちゃ嬉しかったのだ。

ジェンダーやら性の多様性に配慮が必要な令和の世に、男だ女だと線引きする題材をぶつけてくるのは、確かにちょっとセンシティブな企画。果たして受け入れられるのかと心配した通り、そこを不快に思う感想はあれこれ目にする。さらに日本アニメがグローバルに見られる時代に、「らんま」で描かれる中国のイメージにイラッとする方もあるかもしれない。

しかしこの作品はあくまでも早乙女乱馬と天道あかねを主軸としたラブコメ。「うる星やつら」と同様に、次々と個性的なキャラが登場して話をかき乱すのを楽しまないでどうする。親に勝手に許嫁にされたあかねが、次第に乱馬に心を開いたり、他の女性たちとの関わりに心が乱れる様子。事あるごとにぶつかって「かわいくねぇ」を繰り返すけれど、あかねの魅力を誰よりも理解しているのは乱馬。ジワジワと縮んでいく2人の距離と理解。これは王道のラブコメであるヨ(呪泉郷ガイド風に読んでください)。

「うる星」は2人の愛情が不等号でつながれ(あたる<ラム)、逃げる男←追う女というベクトルが示される。だからなにが起こるかわからない、その騒動を楽しむ話。「らんま」は交わることのなかった二つの数式グラフがいろんな要素をぶち込まれることで、接点が生まれそうになるドキドキの話。だから最終着地点は見えてるのだが、そこにたどり着くまでにいろんな感情が湧きあがることが面白い。

相手を知ることで、いいところが見えてくる。「らんま」は、そんな人間関係って素敵だなと説いた話でもある。令和の世にこんな男だ女だの話を💢とおっしゃる方もあるけれど、人間関係がだんだん希薄になって、接点がつかめないでいる令和の現代人にこそ必要な話なんじゃないのかな。人が仲良くなるのに男も女もないじゃない。

キャラクターでは、早乙女玄馬のパンダ姿が圧勝で好き♡(「うる星」でもこたつねこが好きだったもんなw)。オリジナル声優の再結集、あのちゃんの主題歌も楽しい。第2シーズンでは、ちょっとお気に入りだったムースが登場するのが楽しみ。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする