麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

実験

2007年05月31日 | 鑑賞
昨日は『恋でいっぱいの森』のGPでした。

 舞台写真も撮り・・・カメラマンは『大地のカケラ』に続いて森田貢造さんにお願いしました。
 民藝や円でも撮っている方で・・・そんな彼が手掛けた舞台の一本で、本日千秋楽の芝居について・・・
 今回はバスケに例えて書こうと思います

 演劇集団円公演『実験-ヒポクラテスに叛いた男』
 作・演出/宋英徳(5/17~31 於:ステージ円)

 権藤(大製薬会社社長。元石田部隊)・・橋爪功
 石田四郎(関東軍石田部隊長)・・・・・藤田宗久
 柴田(週刊ペンチ記者)・・・・・・・・大竹周作
 内野(同・カメラマン)・・・・・・・・大窪晶
 岡水(同・編集長)・・・・・・・・・・山崎健二
 吉村(権藤の部下。元石田部隊)・・・・伊藤昌一
 郡司(権藤家の家政婦)・・・・・・・・岡本瑞恵
 みゆき(権藤の後妻)・・・・・・・・・米山奈緒
 香(権藤の娘)・・・・・・・・・・・・佐藤芳江
 明子(柴田の妻)・・・・・・・・・・・大野愛子

【文中敬称略】

 エースでポイントガードの橋爪功が高い位置にどっしり構えて、まずはシューティングガードの大竹周作をどんどん飛び込ませ点を重ねる。相手DFが、それを嫌って中に絞れば、外から高さのある伊藤昌一、大窪晶に打たせる。
 あるいは橋爪―大竹のテクニカルなパス交換から守備陣を引っ張り出して、重戦車FW米山奈穂へつなげば、敵を薙ぎ倒してリングを揺らす・・・と、もうやり放題。
 守ってはベテラン陣が貫禄をみせる。藤田宗久、岡本瑞恵とも、無駄のないプレーで得点を与えない!

 『アフリカの太陽』で一皮むけた宋英徳が、名門らしからぬ“遊び”に徹したバスケを魅せ、スタンドは大いに沸いた。
 座の成り立ちが役者集団の円は、長らく演出家不在が課題だったが、この宋といい、『ロンサム・ウエスト』の森新太郎といい、役者に拮抗しようとする中で「演出家」が成長していく様がよくわかる。

 と、手放しで喜んでいるうち、やはりゲームは生き物だ。何があるかわからない。後半、突如失速する。これはプレイヤーの問題ではなく、ゲームディレクション=簡単にいえば台本の筋建てが急に「説明」に重きを置いた途端に起きた。
 こうしてゲームの主導権を失ったチーム『実験』は、だがしかし、前半の圧倒的な得点差と、終了間際、橋爪が個人技からスリーポイントを次々に決めて、終わってみれば楽勝のゲーム。

 僕は、そんな風にこの芝居を捉えた。

 さて。けれども、そんな比喩を並べられても・・・観ていない人にはサッパリだ。

 【医学発展という名を利用し、戦争を隠れ蓑に罪を重ねた男たちは、戦後日本の医学界の中枢を構成し、まんまと生き抜いた。巨悪とそれを暴こうとする若きジャーナリストの戦いを通して、歪んだ近代日本の暗部を描きだす。一昨年話題をさらった『アフリカの太陽』に続く宋英徳の書下ろし。橋爪功、ステージ円初登場です。】

 これは円のHPにあるあらすじです。
 つまり石田四郎は、731部隊=関東軍防疫給水部本部・初代部隊長石井四郎がモデルである。
 そんな《実験》に手を染めた権藤を前半追いつめた編集長・岡水が病院長として、カメラマン内野はみゆきの若い燕として、すぐミスをする吉村は会社の専務として、舞台の後半姿を現す。
 果たしてそれが現実で、舞台前半が夢なのか・・・
 それとも・・・

 観劇は随分前、5/18。
ネタバレするので今日、アップしました。
 『恋森』初日を明日に控えた5/31に


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする