麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

軍鶏307

2007年05月30日 | 鑑賞
やはり、そうそうホームランは出ないのです。

 日曜日に終わった桟敷童子『軍鶏307』(作/サジキドウジ 演出/東憲司 美術/塵芥 2007年5月21日(月)~ 5月27日(日) 鈴木興産株式会社2号倉庫内特設劇場…いわゆるすみだパークスタジオの一角ですね)について。
                     【文中敬称略】
 
 今回は、本来なら桟敷童子の専売特許の非劇場・・・それも「倉庫」ということで、大いに期待されるところであった。直前にアクシデントがあって、恐らくホンも急遽いじったのかもしれない…。

 でもそれをおいても、まず登場人物に魅力がなく、全体のストーリーの展開力もなく、倉庫ならではの大がかりな可動舞台はスピード感のなさに逆に拍車をかけてしまった・・・。

 でもそれはブレイクしたサジキ-東の作演出が、外部書き下ろし(その場合の作は東憲司名義)に加え役者としての客演もあり、余りに多忙だったからに他ならない、と信じる。

 例えば、従軍看護婦・興櫨木桜と医師・能嶋図書助。二枚看板の板垣桃子と池下重大が演じたが、人物としての背景が弱く、まるで立体感が感じられなかった。役者のせいではなく、多分にホンのせいで。

 キャスト欄の最後に「メンドリさんと呼ばれる女」と記された女性が、廃人ながらこの作品を引っ張って行くのだが、彼女が何故そうなったかを描いたプロローグも、長いだけで切れがなく、物語への期待を一気に削いでしまった・・・。まさに「今の日本」を見据えた平和への問いかけで、狙いはは十二分に理解できたが、余りに直接的に過ぎた。

 しぼんだ気持ちで観進めた我々に提示される劇中のロマンス(図書助の妹・文子と敵対する楢崎組に拾われた復員兵・葉島の関係)も余りに唐突に過ぎ、その他、どのエピソードも平たくて絡み合っていかず、個々の人物がバラバラに自分の我を通そうとしているようにしか見えない。

 そんな中、唯一ホロッと来たのは、図書助の妻・福子の行動だった
 メンドリの命を救うため、文子がインシュリンの入手を葉島に依頼。彼は米軍からそれをくすねてくる。が「正義の人」図書助はこれを歯を食いしばって拒否。そこで福子は、普段私が闇市でしていることだと着物との交換を申し出、人の命と夫の義心を救うのだ。…これまた、アリアリな運び。
 だけれど、それを演じた川原洋子の阿呆なほどの明るさが良かった

 ほかにも、復員兵の一人で最後は鉄砲玉を買って出る藪役の小野瀬弥彦の心の揺れや、敵役で楢崎組組長の未亡人を演じた山本あさみの極道っぷり、勿論、鈴木めぐみの廃人・メンドリは熱演だった。

 が、ひとつの作品としては「連投の疲れ」から、ボカスカに打たれて途中降板の図、であった。残念ながら

 次回作・・・は秋に再演二本立てとのこと、つまり新作は来年。とすれば、コンディションを整えたスゴイ投球を、また見せてくれることだろう。

 さて。その日、芝居以外にも語りたいエピソードが二つあった。

 まず千代の富士を見たこと。錦糸町の駅前でタニマチたちと飲んだあと、とはいえ、まだ22時前だったから、次の店に移動したのだろうと予想される、そんな遭遇。
 もうひとつは西村京太郎気分になったこと。それは既に先週(5/25)書いてしまった。

コメント
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