夢の話なので、断片的なのだが。
訪れた一軒の家。
・・・なぜそこに行ったのかと
そこまでの道程は定かでない。
訪れた家は高い山の頂近くにあると、
ドア前に立つ「私」は思っている。
・・・私の夢の記憶にはないが、
そんな前段があったらしく
「私」はそう認識している。
訪れた一軒の家を入ると、そこは
想像以上に広くて部屋数も多かった。
けれども、そのほとんどの部屋は
「思い出」に埋まり、佇むばかりの
随分と使われていないものだった。
初老の居住者
・・・前触れもなく現れた紳士に
「私」は驚きもせず・・・に、
その部屋の幾つかに案内され、
エピソードを聞かされたのだが、
誰もがよく知る偉人の、知られざる
逸話に「私」は小さく頷いていた。
・・・私のビックリとは対照的に
冷静な「私」に、重ねて吃驚したが、
まぁ夢とは概ね、そんなものだ。
クラシカルな装飾の部屋。
そこに流れる特有の空気
・・・黴臭さが鼻をつくけれど
目にする優雅さや渋味が勝る、
バランスの絶妙さに嘆息する「私」。
一方私は。
これらが決して骨董品ではなく、
現在に通用する「資源」だと
わくわくし始めていた。
案内人は、今使っている部屋にも
「私」をいざなってくれた。
そこは、バランスを喪った
一言でいえば「残念」な場所だった。
安いアメコミ、流行遅れのゲーム、
買ったきり読まれなかった全集等々、
時代を取り入れようとする苦心は
充分に感じられたのだけれど……。
メイド服に身を包んだ
・・・とはいえ某秋葉原のような
「扮した」メイドではなく、
清楚で洗練され、歳も重ねた
妙齢の女性が純銀製の盆に
豊かな馨りの珈琲を運んできた。
そこで目が覚めた。
現実の世界では妻の淹れた珈琲と、
スーパーで買った30%オフの
六枚切りをトーストしたパンと、
目玉焼き、ソーセージの
朝食が待っていた。
そこはワンルームマンション。
山の頂にある古く大きな一軒家。
あれは、果たして何だったのか?
断片的に思い出されるのは。
センダンの樹々のなかに落ちた鈴。
小さな沢の岸に輝く嬰児・・・
おとずれた一軒の家。
或いは、音ズレタ一軒の家の
夢の続きは見られるかしら……
訪れた一軒の家。
・・・なぜそこに行ったのかと
そこまでの道程は定かでない。
訪れた家は高い山の頂近くにあると、
ドア前に立つ「私」は思っている。
・・・私の夢の記憶にはないが、
そんな前段があったらしく
「私」はそう認識している。
訪れた一軒の家を入ると、そこは
想像以上に広くて部屋数も多かった。
けれども、そのほとんどの部屋は
「思い出」に埋まり、佇むばかりの
随分と使われていないものだった。
初老の居住者
・・・前触れもなく現れた紳士に
「私」は驚きもせず・・・に、
その部屋の幾つかに案内され、
エピソードを聞かされたのだが、
誰もがよく知る偉人の、知られざる
逸話に「私」は小さく頷いていた。
・・・私のビックリとは対照的に
冷静な「私」に、重ねて吃驚したが、
まぁ夢とは概ね、そんなものだ。
クラシカルな装飾の部屋。
そこに流れる特有の空気
・・・黴臭さが鼻をつくけれど
目にする優雅さや渋味が勝る、
バランスの絶妙さに嘆息する「私」。
一方私は。
これらが決して骨董品ではなく、
現在に通用する「資源」だと
わくわくし始めていた。
案内人は、今使っている部屋にも
「私」をいざなってくれた。
そこは、バランスを喪った
一言でいえば「残念」な場所だった。
安いアメコミ、流行遅れのゲーム、
買ったきり読まれなかった全集等々、
時代を取り入れようとする苦心は
充分に感じられたのだけれど……。
メイド服に身を包んだ
・・・とはいえ某秋葉原のような
「扮した」メイドではなく、
清楚で洗練され、歳も重ねた
妙齢の女性が純銀製の盆に
豊かな馨りの珈琲を運んできた。
そこで目が覚めた。
現実の世界では妻の淹れた珈琲と、
スーパーで買った30%オフの
六枚切りをトーストしたパンと、
目玉焼き、ソーセージの
朝食が待っていた。
そこはワンルームマンション。
山の頂にある古く大きな一軒家。
あれは、果たして何だったのか?
断片的に思い出されるのは。
センダンの樹々のなかに落ちた鈴。
小さな沢の岸に輝く嬰児・・・
おとずれた一軒の家。
或いは、音ズレタ一軒の家の
夢の続きは見られるかしら……