たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

2021年12月09日 17時54分50秒 | 懐かしい小倉百人一首

足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、小町谷照彦著 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラとページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、作者や歌意も分からないまま、正月になると必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからである。
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、昨年、一昨年、「春」「夏」「秋」「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログに書き留めたが、今回は、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、書き留めてみることにした。

(ネットから拝借画像)


百人一首で「恋」を詠んだ歌 その9

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

出典
後拾遺集(巻十四)

歌番号 
65 

作者
相模

歌意
相手の薄情さを恨み悲しんで、涙の乾くひまさえない袖さえも
朽ちないでこのようにあるのに、この恋のために、
浮き名が立って、朽ちてしまいそうな私の名が、
まことに口惜しいことです。

身悶える女性の恨みがゆれ動いており、
不幸な片思いの悲しみを、女性的立場で実感を込めて詠んだ歌。

 注釈
「恨みわび」・うらめしく思い悲しむ の意。
「恋に朽ちなむ」・・恋して、捨てられ、その評判のため、
世間から見放されてしまいそうな の意。
「名こそ惜しけれ」・・「名」は、作者の評判のこと、
「こそ」は 強意の係助詞。


相模(さがみ)
大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)討伐で有名な源頼光の娘で、後冷泉天皇の頃、相模守大江公資(おおえきんすけ)の妻となったため、「相模(さがみ)」と呼ばれた。かなり自由奔放な恋愛生活をしたとも言われており、のちに大江公資が遠江守として任地に下る時には、別の女を連れて行き、置きざりにされた。一条天皇の皇女脩子内親王の女房として出仕、当時第一流の女流歌人として活躍した。家集「相模集」が有る。


狂歌

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを この四五日は 雨続きでは


参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)


 

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横溝正史著 「人形佐七捕物帳(二)」・音羽の猫

2021年12月09日 16時17分16秒 | 読書記

図書館から借りていた、横溝正史著 「人形佐七捕物帳(二)」・音羽の猫 (嶋中文庫)を読み終えた。本書には 表題の「音羽の猫」の他、「二枚短冊」「離魂病」「名月一夜狂言」「蛍屋敷」「黒蝶呪縛」「稚児地蔵」「敵討ち人形噺」「恩愛の凧」「まぼろし役者」の連作短編10篇が収録されている。ネットで確認したところ、横溝正史著「人形佐七捕物帳シリーズ」は、新聞、雑誌、単行本、等、数多の媒体で発表され、その改編も多く、180編余にも及ぶだそうで、全作品を網羅すること自体困難なのだそうだ。そうなると、爺さんには、とても読み通す等不可能なことで、この第2巻を読んだところで、いったん打ち止めにすることにした。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう爺さん、読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、その都度、備忘録としてブログ・カテゴリー「読書記」に書き留め置くことにしている。


舞台は、江戸。人形が付く程に端正な美男、神田お玉が池(現在の岩本町2丁目付近)の岡っ引き佐七が主人公の連作短編時代小説、男ぶりの良さに加えて、度胸も良く、頭脳明晰、捕物にかけては三国一、女好きで、恋女房お粂(おくめ)をやきもきさせるが、子分(下っ引き)の巾着の辰(辰五郎)うらなりの豆六と共に、奇怪な事件を解決していく、ユーモアあふれる捕物物語だ。なんでも、「銭形平次捕物帳」「半七捕物帳」と並んで、三大捕物帳の一つとされているのだそうだ。佐七を手下とし、目をかけている南町奉行所与力神埼甚五郎、佐七の亡父伝次と兄弟の盃を交し、佐七の親代わりにもなっている岡っ引きこのしろ吉兵衛、浅草鳥越を縄張りとし、荒っぽい捜査で有名、海坊主の茂平次と呼ばれ、佐七をライバル視する憎まれ役岡っ引き茂平次、等々が、随所に登場する。

「音羽の猫」
主な登場人物・お咲茂兵衛(錺職人)、山猫のお銀(旗本丹波主膳の妾)、花歌留多のお勝、
音羽稲荷でお咲茂兵衛が殺され、下手人は?、猫の爪、猫の鈴から謎解き、贋金作り事件へ、

「二枚短冊」
主な登場人物・立花靫負、お梅お松、白木勘兵衛、粂寺左仲、犬塚春之丞、
お取り潰しも免れない石見五万石の先代暴君大和守毒殺の連判状の行方をめぐる事件

「離魂病」
主な登場人物・お絹、伊豆屋与兵衛(隠居)、金蔵、お杉(花歌留多のお勝)、お由、紋三、
佐七が殺人容疑で逮捕?、お粂、辰五郎、豆六も禁足、真相解明、謎解き開始、

「名月一夜狂言」
主な登場人物・結城閑斎(旗本隠居)、千里、音羽屋尾上新助、並木治助、歌川国富、桜川孝平、瀬川あやめ、
古井戸に尾上新助の絞殺死体、謎解き・・下手人はこの座敷にいる5人の中に有り、

「蛍屋敷」
主な登場人物・和泉屋喜兵衛、お源、京造、お俊、お町金兵衛(番頭)、彦三郎(行商人、島送り)、
和泉屋の後家お源、女中お俊が殺された事件、下手人は?

「黒蝶呪縛」
主な登場人物・服部十太夫、白井弁之助、貞寿院(弁之助の叔母、隠居)、お綾、武平、三蔵、
山吹小町と呼ばれた山吹屋善吉の娘お綾は、いったん武家服部十太夫の養女となり、旗本白井弁之助に輿入れすることになったが、途中で失踪?、事件か?、謎解き開始、実は、大奥に仕えた程の弁之助の叔母貞寿院が・・・、

「稚児地獄」
主な登場人物・清七(髪結床)、桐十郎(猿回し)、お艶(内藤伊賀守の妾)、お力、鵜殿源八郎(家老)、斑鳩玄蕃(江戸家老)
巣鴨庚申塚の内藤伊賀守下屋敷の塀外の子育て地蔵が度々、向きが代えられ、その前で殺人事件発生、真相解明、謎解き開始、内藤伊賀守家のお世継ぎめぐる事件?

「敵討ち人形噺」
主な登場人物・加賀屋徳兵衛、お国お藤お初(女中)、桐竹勘十郎、音羽文五郎、吉田源吾
「辰、人間、顔かたちじゃ性根はわかれねえもんだぜ」

「恩愛の凧」
主な登場人物・権現の吉五郎お仙、田宮家縫之助、御後室、専蔵、松助、介十郎、新さん、
「親分さん、これで島を抜けだした甲斐がありました。ごめん」

「まぼろし役者」
主な登場人物・阪東三津蔵、中村粂之丞(女形)、お絹、本庄甚右衛門、金之助、お役者吉三、
3年前に失踪した女形中村粂之助の似顔絵を巡って殺人事件、本庄甚右衛門の妾お絹が、実は・・・、