西高東低の冬型気圧配置が強まると、北海道、東北の日本海側や北陸等に降雪積雪マークが付き、一方、太平洋側はカラカラに乾燥し、夜は、凍てつくように冴え渡った星空が仰ぎ見られることが多くなる。幼少期を雪深い北陸の山村で過ごし、冬の星空を仰ぎ見るような機会等滅多に無かった人間には、時々、普段あまり気が付かない星座等が見られたりすると、ちょっと感動してしまうことも有る。ただ、何分、地上が明る過ぎて、限られたものではあるが・・・。
もう7年前のことになるが、「その内いつか・・」等と言ってられない歳になり、清水の舞台から飛び降りる思いで、旅行会社のカナダの紅葉を訪ねる格安強行ツアーに参加したことが有った。夜間、バスで、地上の明かりがゼロのロッキー山地を移動中、ある地点で、全天、宝石をちりばめたような星空を、車窓から眺め感動、眠気がすっとんで歓声を上げた記憶が有る。それは、現代の日本の明るい都市生活では見られない天然の美、その時、瞬間的に脳裏に浮かんだのは、唱歌「冬の星座」だった気がする。
唱歌「冬の星座」、
今更になって改めてネットで調べてみると、
唱歌「冬の星座」の原曲は、1872年(明治4年)、アメリカの音楽家、ウイリアム・シェクスピア・ヘイズが作詞、作曲した「愛しのモーリー(Molly Darling)」という楽曲だった。日本では、1947年(昭和22年)に、堀内敬三が、原詞とは全く内容の異なる歌詞を付け、堀内敬三作詞、「冬の星座」として、中学の音楽教科書に掲載されたのだそうだ。
原曲「Molly Darling」を、原詞をそのまま日本語訳すると下記のようになるのだそうだ。
愛しのモーリーよ、
僕だけを愛してるって言っておくれ
君を愛してる、君は僕のすべてだ、
愛してるって 言っておくれ
僕の手を取って 気持ちを感じて
君の心が欲しいんだ、
モーリー、最愛の人よ、
僕を愛してるかい?、愛しのモーリーよ、
答えはキスで受け取りたい
星は微笑む、愛しのモーリーよ
夜の闇の中でも
星は笑ってる、愛しのモーリーよ
月の女神が光を閉ざしても、
花々だけが開いている
恥ずかしそうに頭を垂れて
僕は君の名前を呼ぶときは、
原曲は、モーリーという女性を想う男の悶々とした狂おしい心境を歌ったラブソングだったのだ。
一方、唱歌「冬の星座」の方は、「日本の歌百選」の1曲にもなっているそうで、すっかり日本人の心に宿っており、毎年、凍てつき冴え渡った冬の夜空を仰ぎ見る時、必ず脳裏に浮かんでくる曲のひとつになっているような気がする。
木枯らしとだえて さゆる空より
地上に降りしく 奇(くす)しき光よ
ものみないこえる しじまの中に
きらめき揺れつつ 星座はめぐる
ほのぼの明かりて 流るる銀河
オリオン舞い立ち スバルはさざめく
無窮(むきゅう)をゆびさす 北斗の針と
きらめき揺れつつ 星座はめぐる
カントリー歌手のエディ・アーノルド歌う、「愛しのモーリー(Molly Darling)」
(YouTubeから共有)
島田祐子歌う、唱歌「冬の星座」 (YouTubeから共有)