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平岩弓枝著 御宿かわせみ13 「鬼の面」

2020年02月18日 06時38分00秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 長編時代小説 御宿かわせみシリーズ第13弾目の作品 「鬼の面」(文藝春秋)を 読み終えた。
本書には 表題の「鬼の面」の他、「夕涼みの女」、「大川の河童」、「麻布の秋」、「忠三郎転生」、「雪の夜ばなし」、「春の寺」の 連作短編7篇が収録されている。

八丁堀吟味方与力神林家の次男坊神林東吾は 幼馴染で大川端の小さな旅籠「かわせみ」の若い女主人のるいとは相思相愛の仲、夫婦同然の関係を続けている。一方で 兄嫁神林香苗の実家麻生家には やはり東吾とは幼馴染で、お互い兄妹のように慕い合う麻生七重がおり 父親の麻生源右衛門は 東吾を婿養子にしたいと熱望している。お互いに自分の置かれた身分、立場を思い、気を使いながら、長年続いてきた関係だが、当篇では 急展開を見せ、懸案事項が次々解決してゆき、不透明だったそれぞれの道筋が 次第にはっきりしてくる。

平岩弓枝著 御宿かわせみ13 「鬼の面」

「夕涼みの女」
年に2回、江戸に出てきて「かわせみ」を常宿にしている越後長岡の縮(ちぢみ)問屋の若旦那伊之助(26歳)が 4ケ月振りに江戸に出てきて、惚れた女おすみに会いに行ったが そこで確かに縁台に座ったおすみを見た。だが、死んだと言われ、幽霊話が持ち上がる。幽霊嫌いな「かわせみ」の女中頭お吉が病気まがいになってしまい、東吾は 親友の医師の天野宗太郎に相談。宗太郎は 長助と一計を案じ、お吉、東吾、るい、幽霊の見世物小屋へ連れて行く・・・。吉三、おくら、又助、一橋奉公話・・・・、「どうも勝手な連中でございます」、長助はぼんの首に手をやった

「大川の河童」
八丁堀吟味与力神林家の内儀香苗のもとに 妹の麻生七重がやってきた。父親の西の丸御留守居役麻生源右衛門が食欲不振になっているという。東吾は 友人の医師天野宗太郎を紹介する。宗太郎は 将軍家の典医を務める天野宗伯の長男だが 貧しい人達を救うため治療代度外視の診療を行う等、型破りの人物で 東吾とは最も言いたい放題が出来る気の置けない親友。
東吾に案内されて行った天野家の玄関で 七重と宗太郎の初めての出会いが有る。
一方 大川で船が転覆する事故が発生。船頭は 河童を見たという。
さらに死人が出る転覆事故が有る。死んだのは 医者の向井恒庵、駒形の船宿喜文の船頭定吉、芸者おとよ、その弟七之助・・・・、東吾、長吉等が 真相究明探索、謎解きし、下手人を突き止めるが、そこに同心源三郎が現れる。「源さん、情けは人のためならずだ」

「麻布の秋」
東吾は 方月館の松浦方斎の共をして、麻布織り見学に 方斎の囲碁仲間である名主嶋田伝蔵宅を訪ねる。東吾は正吉にせがまれて広尾の原へ鈴虫、松虫捕りに出掛け、麻布織りをしていた娘おすずと出会い、家で育てた鈴虫、松虫を貰うが そのおすずが 家出して「かわせみ」に東吾を訪ねてやってきた。るいは大いにやきもちを焼く。おすずは菓子職人弥助の一人娘、母親おもんは駆け落ちし 父娘暮らし。その母親が戻ってきたことが原因?。さてさてどうする?。

「忠次郎転生」
病人がいる富豪の家に容態が急変した等と騙り、扉を開けたところを押し入る卑劣な強盗が現れるようになる。「この事件は 医者がからんでいるな」・・東吾は 畝源三郎に協力し究明に乗り出す。親友で医者の天野宗太郎に相談し、宗太郎の次弟宗二郎に協力を乞うが 後半 麻生七重天野宗太郎が 賊に攫われる事件が発生。2人の命を救おうと 東吾はじめ、同心畝源三郎、岡っ引の長助、元同心に仕えていた「かわせみ」の老番頭嘉助、等が必死に追跡するが 嘉助や源三郎まで 賊の凶刃で倒れ大怪我する大ピンチに陥る。久し振りに緊張感あふれる斬り合い有り、捕り物が有り、本シリーズ中でも クライマックスになるであろうシーンが展開される。盗賊の一味の隠れ家は 御三家水戸藩の下屋敷。盗賊の首領は岡崎半次郎、実は4年前江戸を荒らしまわり逃亡した盗賊の首領江島屋の忠三郎(本名矢倉一太郎)、
東吾の兄、与力神林通之進、七重の父親、三河以来の譜代の旗本麻生源右衛門までが馳せ参じ、下知するという異例の捕り物劇が有り、盗賊6人は捕縛され、最大のピンチを免れる。
事件後、将軍の御典医天野宗伯が 宗太郎、宗二郎、宗三郎の三人の息子と共に麻生家を訪れ、その際、型破りの医者宗太郎は 七重に気持ちを伝え、麻生家に婿入りを申し込む。七重も どこか東吾に似たところがある宗太郎に惹かれており、東吾への気持ちを断ち切り快諾。父親麻生源右衛門も ずっと抱いていた東吾婿養子願望を捨て、縁談がまとまる。
ほっとするるいが東吾にささやく。「がっかりなさっておいでなのでしょう」「なにが・・・」「七重様が お嫁にいらして・・・」、「馬鹿・・・」。

「雪の夜ばなし」
天野宗太郎、麻生七重の祝言が行われ、東吾は 長年妹のように親しく、お互いにそれ以上の思いも有った七重に対し安堵と哀歓を感じるのだった。東吾は 宗太郎に「七坊を たのむぞ」と神妙に頭を下げ 玄関を出る。寒い雪の夜更け、橋の袂に身投げしようとする女お久麻を見かけ、助けるが なんだか変、わけがわからないままに・・・・。東吾は 合点が行かず寝覚めが良くない。小梅村?、押上村?、探索していくと。浮かび上がってきたのは、七重の茶の湯同門の友人清水琴江?、名主中田五郎左衛門の妹おその 長助の店長寿庵にやってきた。「そいつは俺の客だろう・・・」、事の次第が明らかになり、東吾は源三郎、長助に「・・・いつかの雪の晩、俺はどうやら狐に化かされたらしいぜ」

「鬼の面」
東吾「源さん、まさか 立春早々 人殺しでもあるまいな」「その まさかです」。殺されたのは日本橋馬喰町麻苧問屋信濃屋の主人吉三郎。倉の中の長持ちの中で死体で発見されたという。信濃屋の元主人で、「かわせみ」に宿泊していた信州上田の庄屋の手代和助が 馬喰町の岡っ引き久六によって 下手人としてしょっ引かれた。東吾、源三郎、長吉が 信濃屋に急行。先代の隠居善兵衛夫婦は、一人娘お春に 奉公人だった和助を婿養子にした。16年前、お初という娘が2歳の時、和助は離縁され、その後お春は 吉三郎と再婚、番頭吉右衛門、手代源七、卯之助、与五郎、下女おつね、小僧松吉、仙太郎、芸者おりん・・・・・、下手人は誰だ?、東吾、源三郎、長助等が推理、謎解き、キーワードは 鬼の面?

「春の寺」
2月半ば、亡母の命日に神林家の通之進、東吾兄弟は 兄嫁香苗と共に、日暮里村の菩提寺経王寺に墓参に出掛けた。本堂で 住職の「御舎弟は・・まだお独り身かな」の問いに、通之進が「間もなく年貢を納めさせる所存にござれば・・」と答える。その意は?、東吾は るいとのこと等、空想を巡らしてしまう。
墓参の後、谷中七福神の一つ大黒天のお堂の前を通り、江戸三十三桜の一つに数えられる名木が眺められる茶店に寄る。門前で花売りをしている女おきぬの店だが、住職から おきぬは来年はもういないかも知れない等と聞かされている。
墓参から3日後 東吾は 一番気にしていた兄の言葉を兄嫁香苗に聞いてみると「おるい様のこと、今年中にはと お考えのようですよ」との言。
早速 るいの考えを聞きたい東吾、「かわせみ」にやってきて「俺のところに嫁にくることになったら るいはこの家をどうする・・・」、るい「この家・・・」
るいは「夢のようで・・」と眼から涙をこぼれる一方で 嫌われ同心だった庄司源右衛門の娘がゆくゆく与力になる東吾の嫁になること、子供が出来ないこと等々、不安が襲ってくる。
畝源三郎、千絵夫婦に子供が出来、宗太郎、七重夫婦も お目出度だという。るいは動揺する。
川越の造り酒屋に奉公している長太郎が「かわせみ」に宿泊。15年振りに江戸に帰ってきたら実家である新川の酒問屋吉井屋吉右衛門の家もなくなり、家族もいなくなっているという。道楽者の父親は脳卒中で死に、深川の芸者だった実の母親お俊は?、子供が出来ず、妾の子供を育ててくれた養母は?、いろいろ 手蔓を探るが不明のまま、川越に帰っていく。元吉井屋の奉公人清吉の奔走で、吉井屋吉右衛門の本妻の居所が知れたが それは経王寺の門前の茶店。東吾、るいは 川越から出てきた長太郎を伴って 経王寺へ。しかし おきぬは・・・・。

(つづく)


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