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玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする

2021年11月21日 10時22分15秒 | 懐かしい小倉百人一首

足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、小町谷照彦著 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラとページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、作者や歌意も分からないまま、正月になると必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからである。
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、昨年、一昨年、「春」「夏」「秋」「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログに書き留めたが、今回は、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、書き留めてみることにした。

(ネットから拝借画像)


百人一首で「恋」を詠んだ歌 その5

玉の緒よ 絶えなば絶えぬ ながらへば
忍ぶることの 弱りもぞする

出典 
新古今集(巻十一)

歌番号 
89

作者
式子内親王

歌意
私の命よ、絶えてしまうなら、
いっそのこと、早く絶えてしまっておくれ、
このまま生きながらえていると、
恋心がつのって、耐え忍ぶ心も弱ってしまって、
人に知られてしまうことになるであろうから

「忍ぶる恋」とは、人に知られないように秘めた恋のこと。
上二句の激情と下二句の哀調の対照は
断とうとしても断ちきれない激しい恋情に悶える女心を
見事に表現している。
恋する心とそれを忍ぼうとする心との緊張が、
まさにくずれようとする時、
懸命にそれに耐えている心のせつない叫びで、
忍ぶ恋の歌の絶唱と言える。

                 注釈
「玉の緒」・「魂」を身に繋いでおく「緒」のことで、「命」の意。        
「絶えなば絶えね」・絶えるものなら絶えてしまえばよい、            
          勝手にどうにでもなれ、どうなろうとかまわない・・   
          という激しい語調。         
「弱りもぞする」・耐え忍ぶ心が弱って人に知られたら困ったことになるから。   
         「もぞ」・・懸念の気持ちを表している。  


式子内親王(しょくしないしんのう)
後白河天皇の第3皇女。10歳の頃から賀茂神社の斎院を勤め、後に出家。
新古今集の女流歌人の第一人者だが、平治の乱を前後して、父親(後白河院)の幽門、兄(以仁王)の戦死等という憂き世を経験し、悲運を詠んだ歌やしみじみと哀愁の有る歌が多い。


参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)


 


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