当地 早朝の気温は 27度前後だったが、
快晴、日の出と共に ぐんぐん 気温上昇。
今日もまた 最高気温35度超の猛暑日になりそうだ。
猫の額の庭で大きく成り過ぎて 1昨年、地上から1.5m位の高さで
幹をバッサリ切断されたサルスベリ(百日紅)、
枯れてしまうかと思いきや、切断した箇所から再び枝葉を伸ばし
元の木阿弥状態になっている。
ただ花付きの勢いはやや弱まり、今頃になって満開状態になっている。
高齢者に対して、さかんに熱中症厳重警戒が呼びかけられている。
今日は 涼しいところで ゆっくり、のんびり過ごした方がよさそう。
図書館から借りていた 平岩弓枝著 長編時代小説「御宿かわせみシリーズ」第26弾目の作品、「長助の女房」(文藝春秋)を 読み終えた。
読んでも読んでも、読むそばから忘れてしまう爺さん、読んだことの有る本をうっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも 毎度のこと、備忘録としてブログに書き留め置くことにしている。
平岩弓枝著 御宿かわせみ(二十六) 「長助の女房」
本書には 表題の「長助の女房」の他、「老いの坂道」、「江戸の湯舟」、「千手観音の謎」、「嫁入り舟」、「人魚の宝珠」、「玉川の鵜飼」、「唐獅子の産着」の 連作短編8篇が収録されている。
「老いの坂道」
八丁堀の定廻り同心を引退、隠居届を出した新田彦左衛門は 尚も「わしでなくては・・」と意気軒昂、現役と変わらない言動を続け、いろいろ問題を起こし、周囲から顰蹙を買っているが、本人一向に聞く耳を持たない。現代社会でも有りそうな話だ。養子大一郎の新妻は 吟味方の同心佐倉藤十郎の娘お絹、大一郎とお絹の心配と確執、
「大一郎、血迷うな、刀を退け、退けッ!」・・・「御老体、落ちつかれよ。武芸の稽古なら、道場でなさることだ」
大一郎の剣術道場の師範でもあった神林東吾が抑える。一方で 多趣味な隠居暮らしをしている様子の元町火消人足役同心の原久蔵に事件発生・・。
「江戸の湯舟」
本所深川は水路の町だった。移動式銭湯ともいうべき舟に湯桶を設えた湯船で殺人事件発生。畝源三郎、神林東吾、長助が探索開始、トリックの謎解きをしていく物語だ。船頭の権助、船頭の七之助、弥七、お俊・・・、弥七の姉は辰巳芸者のおらん(蘭丸)、下手人は?
「千手観音の謎」
神林通之進の妻(東吾の兄嫁)香苗がふとしたことで神林家の家宝である千手観音の手を破損させてしまうところから物語が始まる。相談された東吾は 麻生宗太郎のアドバイスでそっくりの代物を手配したが、思わぬ展開に・・・。
道具屋政右衛門は処刑され、店は闕所となった。道具屋要屋清兵衛曰く
「やっぱり 取れましたか」・・、「20年前・・」・・、「神林の殿様が・・・」・・、「兄上も人が悪いですな」・・、「お願い、東吾様、今のこと、内緒にして下さいましね・・」
東吾と兄通之進と兄嫁香苗との心温まる交流が描かれている。
「長助の女房」
定廻り同心から手札をもらって同心の下で働く岡っ引きは 正式に町奉行から認定されたものではなく無報酬であり、たいがい家業を持っている。定廻り同心畝源三郎の配下の長助の家業は深川の蕎麦屋長寿庵。町奉行からの提議で、功績のあった岡っ引きに然るべき給金を与え、最下級であるが士分の端くれにすることになり、長助も奉行所に呼び出され、新しい十手、褒美の金子十両が手渡された。長助が 心置きなく岡っ引きを勤められるのは 女房おえいがしっかり家業の蕎麦屋を守っていればこそである。
長助が祝賀宴に出掛け酔い潰れて帰ってきた日、事件が発生。とっさの機転で、おえいは亭主顔負けの活躍をする物語である。おとき、清五郎、清太郎、「邪魔しゃがると 怪我するぜ」・・、いきなり匕首を抜いた辰吉。
通リ掛かったのは ?、「おえい、見事であった。流石 長助の女房、・・、改めて御沙汰があろう」
おえいは 年甲斐も無く 立派な美しい殿様に 惚れ込んでしまう。光源氏か、業平様か。
「神林の殿様だけどねえ。団十郎も菊之丞もかなわないよねえ」、長太郎(長助の倅)の女房おさとがくすくす笑った。「おっ母さんたら こないだからそればっかり・・」
吟味方与力神林通之進の妻香苗と対面しようものなら、まるで天女様か観音様を見るが如くうっとり夢心地になってしまう長助、おえいはまた、通之進に惚れ惚れ、夫婦揃って、神林夫婦に憧れてしまうことになった。
「嫁入り舟」
この年の正月、「かわせみ」は 神林麻太郎、畝源太郎、お千代、麻生花世、小太郎、神林千春、子供達の集合所になった。双六、かるた取り、凧上げ、羽つき、駒回し・・・。
八丁堀本所方同心高岡兵左衛門が病死、兵太郎、お涼は 異腹兄妹、
異腹の兄妹がそれとは知らず巡り合って恋をして夫婦になる。一生真実を知らずに添い遂げたとしたら、いったいどうなるのだと お涼は言ったのだと思う。
香苗は瞼を赤くして・・「・・・でも、・・・あの子はこの私の腹を痛めた大事な子、いくら考えても、そうとしか思えませんの」、うつむいて、東吾は自分の両膝をつかんだ。東吾にとって 兄嫁は観世音菩薩であった。
誰の目からみても兄妹に見える、兄神林通之進の養子になっている麻太郎と千春・・、東吾の心が揺れる。いつの日にか 真実を明らかにしなければならない。その時 るいは・・、麻太郎は・・、千春は・・、そして物語がどんな展開になって行くのだろうか。
「人魚の宝珠」
「かわせみ」に 常連客の館林の米問屋伊兵衛が、おすみという若い女を伴って宿泊している。伊兵衛は、おすみを 子供が出来ないからと里帰りさせられた苅田の菓子屋和泉屋久太郎との復縁交渉目的で江戸に出てきたが、おすみが突然行方不明となる。東吾は 畝源三郎、長助の探索を手伝い、大久保の子授かり御堂神女堂へ、「行者は年をとるが 尼さんは昔のままか」「御堂で玉栄尼を見かけたが あの尼さんの本当の年はいくつぐらいかのかな」、一方で おすみ行方不明事件で、東吾が見事に謎を解いていく。源三郎、「東吾さんの推量がぴったりでしたよ」、和泉屋のおさだは死罪、久太郎は遠島、和泉屋は潰れた。
「玉川の鵜飼」
「かわせみ」の女主人るいは 畝源三郎の妻お千絵から誘われ、蔵前の札差連中、板倉屋平兵衛・お喜久隠居夫婦と手代、大和屋夫婦、大口屋伊左衛門・お秀夫婦、お千絵と源太郎とお千代と蔵前の中番頭宇之助、るいと千春とお吉と長助、の総勢15人、ちょっと目立った駕籠行列で玉川の鵜飼見物に出掛けたが・・・、宿泊先で 殺人事件発生。急報を受けて江戸から駆け付けた東吾が下手人を炙り出していく。途中六所大明神の境内で見かけた三人連れ藤之助、おつね、おいつが同宿していたが、決め手は 小手拭?・・。探偵小説、推理小説っぽい展開。
「唐獅子の産着」
東吾が講武所の稽古の帰り、兄神林通之進の屋敷に寄り、兄嫁香苗の土用干し(虫干し)の手伝いをして帰る途中、るいと長助に出会うが、その時、飛び出してきた子供がぶつかって倒れた老婆はお松(73歳)を目にする。お松は長助の顔見知りで物語の最後に再登場する。一方で、畝源三郎から 神田周辺で子さらい事件が4件発生していることを聞いた東吾は 早速加勢し、真相解明、探索開始するが、意外な犯行グループに、東吾も一杯食わされる。子沢山のお咲は流罪。事件の結末は切ないものが有る。他にも1件、染物問屋京屋の福松(5歳)行方不明事件が有ることを知った東吾、長助と探索続行、謎解きをすすめるが、長助の情報から、京屋の先代勘兵衛と木地職人兼吉・お松・栄太郎の関わりが浮かび上がり・・・。
お松は あの日、唐獅子の産着をひっかけて逃げ廻っていた福松をみた。50年の歳月を一瞬の中に引き戻したのは 唐獅子の産着だった。・・・「母親にとって、忘れるものじゃありませんでしょう。50年経とうと、百年が過ぎようと・・」るいが涙ぐみながら 訴えた。
(つづく)
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