講談社文庫 2003年
まだ単行本等の本に未収録の初期のエッセイ中心に収めた本。
やはり、この本をゆっくりと読んで、心に残ったのは、喫茶店
「スワニイ」の主人と題されたエッセイだろう。その若い店主の
風変りぶりがこれまた、まだ若い30代の池波氏によって、イキ
イキと活写されていく。
新国劇との関りや、六回目のノミネートでようやく受賞できた
こと。直木賞に落ち続けたことに関しては、さして気にしてい
なかったが、六回目がだめだったら、もうだめだろうな、と
思っていたという。
ぼくはこの人の痔の持病が気になっていて、人間、いわゆる、
作家というものは、ひとつくらい痛いところがあった方がいい
という見解に、なるほど、鋭い見かただな、と思った。
装丁にはおそらく、「ミイ子」と写った写真が使われている。
猫好きに悪い人はいないはずだ。
(読了日 2022年10・19 0:20)
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