映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ファウンテン 永遠につづく愛

2007年09月02日 | 映画(は行)

大変に映像の美しい作品でした・・・。
時空を超えた、永遠の愛???
まあ、そのようなウリなのですが・・・。

病で余命わずかな妻イジーと、必死でその治療法を探る医師の夫トミー。
はじめから最期まで、それだけのストーリーなんですけどね・・・。

ここでは同じ登場人物で3つの異なった世界が描かれています。

一つは、ありのままの、医師トミーと、妻イジーの世界。イジーは実は自分の命が残り少ないことを受け入れ、後は夫とともに静かにすごしたいと思っている。ところが、トミーはそのことをどうしても受け入れることができない。
共に行き続けること。それが絶対的命題と信じている。
それゆえの悪戦苦闘。

もう一つの世界は、イジーが最期に書き綴っていた物語の世界。
中世スペインの騎士が愛する女王のために、マヤの地に遠征し、永遠の命を授けるというファウンテン(生命の泉)を探すのです。
そこには生命の木が生えていて、不老長寿をかなえるという・・・。
この騎士がトミー自身。
この物語は未完に終わっていて、妻イジーは残りをトミーに託すのです。

そして、さらにもう一つの世界は、超未来という設定のようなのですが、これはつまりトミーの観念の世界。
生命を終えようとしている星に浮かんだ球形の空間で、今ほとんど枯れつつある「生命の木」で今なお、妻の命を救うための方法を永劫の時を経て、研究し続けている・・・そんなイメージでしょうか。
ここのシーンは多分に「禅」を意識していると思います。

この三つの世界が入れ替わりに出て来るというしかけです。
普通のラブストーリーを期待しているとちょっと面食らいます。
製作者の意気込みは分かりますが、あまり感動は伝わらないかなあ・・・。

結局、最期にトミーが書き綴った残りのストーリーでは、やはり、この肉体での永遠の命はあり得ないのだと、そういうことなのでしょうね・・・。
でも、ここをもう少し、穏やかに納得できる形で描いてほしかった気がするのですが・・・。

2006年/アメリカ/97分
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ヒュー・ジャックマン、レイチェル・ワイズ、エレン・バースティン

「ファウンテン 永遠につづく愛」公式サイト