映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

GERRY  ジェリー

2008年01月26日 | 映画(さ行)

(DVD)

私はいま、これをみて眠り込んでしまわなかった自分を褒めたい!と思います。

車で、ドライブにやってきた二人の青年が、車を降り、ほんの散歩のつもりだったのでしょう、荷物は何もなし。
手ぶらであたりを歩き始める。
そこは、さすがアメリカ、ひろ~い荒野であり、砂漠であり、山地でもある。
いつしか、道を見失い、(というか、はじめから道は無い!)さ迷い歩くことになる。
それがですね、ほとんどセリフも無く、延々とただひたすら歩く映像なのです・・・。
そのワンショットがまた、やたらと長い。
時たま雄大な風景が現れてわ~と思うところもありますが、
それにしても、延々と無言で歩き続ける、その繰り返し。

これはですね、実際にこのようなところで道に迷ったら、確かに無言で延々と歩き続けるしかないでしょうし、
いつ果てるるとも知れないその焦燥感・・・、
それを表現したかったのでしょうね・・・・多分。
タバコだけは持っていたようで、ライターもあったのでしょう、かろうじて夜は焚き火をして過ごせました。
しかし、飲まず食わずで結局3日間・・・。
せめて何かの動物くらい出てきてほしかったですが、それもなし。
(足跡だけ、ありました。)
こんなところで、人知れず行き倒れて死んだら、すごくむなしいと思います・・・。
発見される可能性もほとんど無いですね。
こんなところにほおり出されたら、人間なんて、ちっぽけなものなんですね。

ジェリーというのは、どちらかの名前かと思ったら、これは何か「どじった」時の仲間内の造語のようです。
こんなところで迷子になるなんて「ジェリった」などという。
だから、どじなヤツ、という意味でお互いを「ジェリー」と呼んでいる。
結局最後までこの二人の本当の名前は明かされません。
名も無い青年が、名も無い場所で、目的もなく、人知れずさまようというつかみどころのないおはなし。
そういえば、迷子になって延々と歩き続けるということで、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を思い出しました。
オール野外ロケですし、出演者はほとんど二人だけなんで、
これも実はすごい低予算でできた映画なのではないでしょうか。
(あ、その二人のギャラが、安くはないか・・・)
いっそ、そのようなオカルトなら、もう少し退屈しなかったのに。

でも、この場所はきちんと地図や磁石を持って、キャンプ装備もあったら、すごく面白いトレッキングコースのように思えました。
実際にはどこの場所だったのでしょう? 
西部劇何ぞでよく見かけるような風景でしたが。

それにしても2回見たいとは思えない作品であります。

2002年/アメリカ/103分
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:マット・デイモン、ケイシー・アフレック