映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「腕貫探偵/市民サーヴィス課出張所事件簿」 西澤保彦

2008年01月31日 | 本(ミステリ)

「腕貫探偵/市民サーヴィス課出張所事件簿」 西澤保彦 実業之日本社 ジョイ・ノベルス

いつもユニークな設定の西澤保彦氏ですが、これがまた、新スタイルの探偵登場です。

「市民サーヴィス課臨時出張所
櫃洗(ひつあらあい)市のみなさまへ
日頃のご意見、ご要望、なんでもお聞かせください
個人的なお悩みもお気軽にどうぞ
---櫃洗市一般苦情係」

・・・というような貼り紙を掲げ、あるときは大学校舎内
あるときは病院内、
またあるときは路上にて出張所を開設。
名も知れない、いかにもお役所の人らしき事務員が黒い腕貫をはめ、
じっと市民の相談を待っている・・・。

なにかしら、腑に落ちない出来事を抱えていると、
ふとそこに、いつの間にかこんな相談所が出現しているのです。
彼の前へ座るとなぜかすべて前後の事情まで話しをしてしまう。
しかし、彼はするすると謎を解き明かしてしまう。
・・・と、短編集ですが、すべてこのような運びとなっています。
問題解決の後、再びそこへ行ってみると、もう、跡形も無い。
まるで幻のよう。

しかし、これはこの「櫃洗市」内の出来事なので、
同じ人物が何回か登場したりします。
一番初めに登場した男女二人の学生が、最後の短篇でまた出会い、
いい感じになっていくなんていうちょっとした仕掛けもあったりするので、
楽しめます。

私が思うに、この出張所は警察署に常設するのが一番速いのではないかと・・・。
あっという間に事件解決ですぞ~!

満足度 ★★★