「捜査官ガラーノ」 パトリシア・コーンウェル 相原真理子訳 講談社文庫
パトリシア・コーンウェルの新シリーズ。
先日読んだ検視官シリーズ最新刊「異邦人」に先駆けて出たものですが、
私は読む順が逆になりました。
別シリーズなので、ぜんぜん影響ありません。
ここでの主人公となるウィンストン・ガラーノ(通称ウィン)は、
褐色の肌、漆黒の髪、さまざまに変化する瞳、秀でた容姿と確かな手腕を持つ。
父親が黒人、母親がイタリア人という設定。
デザイナー・ブランドのスーツを着こなす。
(実はすべて中古とのこと。)
かっこいいですね!
この本ではまだDNA鑑定など無かった時代の古い事件を、
最新の科学捜査技法で解決しようという試みがなされます。
しかし、実はこれが、女性地区検事モニーク・ラモントの犯罪撲滅キャンペーンによる点数稼ぎ。
ところがそのラモントが、凶悪事件に巻き込まれてしまうというなかなかショッキングな展開。
ウィンは、その古い事件とこのラモントの事件捜査を同時に手がけることになってしまいます。
どうも、古い事件を掘り返されることを恐れる人物がいるようなのです・・・。
コーンウェルらしく、人物関係も、感情のもつれがあちこちにあり、
政治的思惑で動かされるやりきれなさ、腹立たしさも健在。
そんな中で、唯一ホッとするのは、ウィンの祖母の登場シーン。
タロット占いをたしなみ、時にはちょっとしたヒントも。
オカルト要素がほんのちょっぴり加味されて、なかなかいい味になっています。
また、年配の女性捜査官サイクス、彼女は文句なしにウィンのファンで、たよりになる存在。
これだけにとどまらず、シリーズで、また続きが読みたい気がします。
いっそ、スカーペッタのシリーズと合体して、タッグを組めば最高なんだけどなあ・・・。
少なくとも、マリーノよりはずっと役に立つ・・・。
満足度 ★★★