舞台は1900年代初頭。英国。
ある田舎町に小さな食料品店を営む母と暮らすエンジェル。16歳。
彼女は、小さいときから近くの「パラダイス屋敷」と呼ばれる豪邸を見るのが大好き。
巧みな想像力で小説を書き、いつか富と名声を手に入れると夢見ている。
彼女の書くロマンス小説は、まだまだ未熟ながらもある編集者の目にとまり、
出版され、瞬く間にベストセラーになってしまう。
人々にもてはやされ、富を手にした彼女は、
売りに出ていた憧れの「パラダイス屋敷」を購入。
そして、一目ぼれした売れない画家、エスメとの結婚。
まさしく夢見たとおりの、ばら色の人生を手に入れたのですが・・・。
お定まり通り、そこから転落が始まります。
・・・総じて、どうも私はさめた目でしか見られませんでした・・・。
これははじめからそういう設定なのだと思います。
ひたすら強引な自分の思い込みと押し付け。無作法。
うそで固めた自らの出自。
とても共感できない。
けれど、これはわざと共感できなく描いてありますね。
そういう意味では、このロモーラ・ガモイの演技は成功ということでしょう。
・・・損な役ですが。
結局自らの夢にしがみつくことに対しての異常な執念、それを描いた映画。
う~ん、でもそれに感動はしがたい。
だって、彼女に愛はないんのだもの。
彼女にとっての結婚は彼女の夢を形どるピースの一つにしか過ぎない。
だから、彼の絵を理解なんかできない。
彼の姿形がかっこよくて、その彼と結婚する自分がステキに思えただけ。
彼女に比べると、秘書役のノラがものすご~く聡明に見えます。
その聡明な彼女が、なぜそこまでエンジェルの小説なんかが気に入ったのか、それが最大の謎!
そして、彼女の弟、画家のエスメ。
彼は、はじめからエンジェルの本性を見抜いていた風に思えるのに、
何で結婚しちゃうかなあ・・・。
まあ、はじめから、結婚に期待なんかしていない、どうでもいい、そんな感じでしょうか。
でも、耐えられなくて結局戦争へ行ってしまった・・・。
ちょっと、「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラを連想はするのですが。
でもあの迫力からみると、かなり小粒。
結局、私にとってはちょっと消化不良に終わった作品でした。
2007年/ベルギー=イギリス=フランス/119分
監督:フランソワ・オゾン
出演:ロモーラ・ガライ、サム・ニール、シャーロット・ランプリング、ルーシー・ラッセル