映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

デッドマン・ウォーキング

2008年01月17日 | 映画(た行)
(DVD)

この題名だけ見ると、ホラーのような感じですね。
でもこれはそうではなくて、なかなか重厚な、実話をもとにしたヒューマンドラマです。

カトリック修道女であるシスター・ヘレン。
彼女の宗派では、あの一般的な黒い尼僧福を着ていません。
彼女は死刑囚であるマシューと話をする機会を得て、彼の助命のために動くことになります。
マシューの罪は殺人罪。
相棒と二人で男女のカップルに暴行を加え、殺害してしまったというもの。
その相棒には腕のいい弁護士がついたため、死刑を免れ無期懲役になったけれど、マシューにはいい弁護士を雇う費用が無く、死刑の判決を受けてしまった。
しかも、本人は実行したのは相棒の方で、自分は見ていただけだという。
シスターはその言葉を信じたわけではないのです。
どちらにしても、事件には係っており、言ったことが本当だとしても、殺人を見過ごしたわけなので。

ここで問題なのは死刑という制度なんですね。
すでに死刑は廃止されている国もかなり多いです。
アメリカでは州によって異なる。
大変大きな問題で、日本の死刑制度もその存続が論議されているところです。

この作品中では、
神は殺人を禁止しているのに、「死刑」という名のもとで行われるとしてもやはり殺人であり、行うべきではない、
というシスターの考えが前面に出されています。
一方、世間一般、被害者の遺族、そしてマスコミは、死刑は当然の報いとして、マシューを助けようとするシスターを非難。
確かに、何の理由も無く突然命を奪われてしまった、その家族としては犯人を憎んでも憎みきれない。
仮に、無期懲役になったとしても、自分たちの税金で囚人がのうのうと生きながらえるということすら耐えられない、という気持ちはよく分かります。
特赦審問会、知事への上訴審、シスターはできるだけの手を尽くすのですが、聞き入れられませんでした。
シスターはマシューの精神アドバイザーとして最後の数日をマシューに寄り添います。

はじめは反省の様子も見られなかったマシューも、次第にシスターの一途な語りかけによって少しづつ心を開いていくのです。
そして最後の死刑執行の場面。
できるだけ受刑者が苦しまないように、人道的(?!)な方法ということで注射による死刑がなされます。

私自身、死刑の制度については、どちらが良いのか、今もって確信がありません。今後もいろいろな動向に注目したいと思います。

それにしても、ショーン・ペンは、こういうマッチョでがらの悪い役が似合います・・・。

1995年/アメリカ/123分
監督:ティム・ロビンス
出演:スーザン・サランドン、ショーン・ペン、ロバート・プロスキー、レイモンド・J・バリー